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出会い編
15 視線を感じる。
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ソロでうろうろしていると、何度もニアミスする冒険者がいた。
彼はラウリーの少し後に西側から来た冒険者で、セルジュ。体格とパワーに恵まれた羨ましいタイプだった。
金髪碧眼のワイルドな感じの男で、見るからに強そうだった。ただ魔法はイマイチで、総合的な戦闘力は同等くらいだと思われた。
これから魔法が一気に伸びて、置き去りにされる可能性はあるが。
ただ現状ならラウリーより近接戦に強いし、いい奴ならそのうち共闘するかもなぁくらいに思っていた。
けれどある時から、頻繁にセルジュからの視線を感じるようになった。
狩りの最中はもちろん、ギルドの中でまでかなり見られていた。けれど話しかけられることは無かった。
セルジュの見た目や雰囲気はどう考えてもタチ。勝手なラウリー基準ではオラオラ系のタチの気がしていた。
人を見た目で判断してはいけないと思ってはいるが、どうしてもそういう雰囲気を感じてしまう。
ラウリーは顔立ちや雰囲気、装備品からタチと勘違いされる。
その方が何かと都合がいいので敢えて誤解させたままにしているが、ラウリーは純然たるネコだった。
ラウリーの今の装備は、黒の立襟で袖なしのワンピースタイプ。片側にスリットが入っていて、膝下丈。
それの中に長袖のシャツとズボンを着て、腰は白い腰帯で結び、膝までのロングブーツを履いている。
装備品は魔物素材でのオーダーメードがほとんどになる。立襟は首を守るために普通のこと。
上下別々か繋がっているかは個人の好みだけれど、裾の長さはその人の考え方で異なる事が多い。
ラウリーは陰茎や臀部が何かの拍子に見えるのが嫌いで、一般的な装備ではあるが標準よりも裾が長い。
大体の人は膝上が多いし、スリットも両側に入っている。そしてそういう裾が長い服や腰布などを好む人は、バリタチに多かった。
オイデンでも既にネコからの視線は頻繁に感じるが、タチからの視線は経験上大抵ロクなことじゃない。
声をかけたネコがラウリーがいいと言ったとか、お気に入りのネコがラウリーを褒めたとかのそういう感じで妬みや恨みの視線をもらう。
ラウリーが寝取ったとか(無理)何かした訳でもないのに。
いい奴で仲良くなれたら共闘といういつかは、来なさそうだと思った。
ラウリーはそれなりにやれるがオイデンでは実力不足、という有難い評価をもらってギルドの育成システムに無事組み込まれることになった。
オイデンでも上澄みの冒険者であるロイに誘われ、ラウリーは初めて共同依頼を受けた。
指導してもらう立場なのであまり金にはならないが、一日の宿代と食事代くらいにはなる。
今まで南側で支払って来た対価に比べれば、充分過ぎるほどの収入だった。
同時期にここに来たならもしかしたらと思っていたら、もしかしなくてもセルジュもいた。
ロイの評判はとても良く人選も確かだと聞いてはいたが、ちょっと不安でラウリーからセルジュに話しかけることはしなかった。
討伐そのものは順調でいい経験を積ませてもらえた。
人に体の扱いや全体での動き方などの指導を受けたのは久しぶりで、新鮮な気持ちだった。
セルジュも私情を挟むタイプではなく、普通に役割をこなしていてラウリーに変に関わってくることもなかったので安心していた。
後はもう帰るだけのタイミングで、セルジュに話しかけられた。仕事は帰るまでですよ! と内心焦った。
「なぁ、あんた魔法凄いよな。俺に魔法を教えてくれないか?」
ラウリーは大変失礼ながらオラオラ系タチが、まさかそんな理由で自分を見ていたとは思わなかった。
自分の色恋系に著しく偏った考え方に恥ずかしくはなるが、それとこれとは別。ラウリーは優しい男ではない。
「見返りは?」
魔法をここまで仕上げるのに、相応の勉強と努力をして来た。見返りもなく教えるはずがないのだ。
純粋な魔法に関してだけを言うなら、ラウリーの魔法はオイデンの冒険者として充分なレベルにあった。
「泣くまで抱くとか?」
ラウリーは言われてちょっと、いやかなり驚いた。タチかネコかもそうだが、性癖を言い当てられたからだ。
だが言い方は冗談っぽいし、表情もからかうようなもの。だからラウリーは定評のある無表情で鼻で嗤った。
「ふっ」
「冗談だって。飯を奢るとかどう?」
「はん」
飯くらいでは教える労力とは釣り合わない。
雰囲気的にも話しかけるきっかけにしたかっただけなのだろうとラウリーは判断した。
共闘は同レベルの冒険者が共に狩りに向かい、お互いを補い合う仕組みでしかない。
収入も上がるし紹介もしてもらえるが、その相手は自分で選ばなければならない。狩り場で何が起こっても自己責任だからだ。
近接が得意でパワーがあるセルジュと、器用で魔法が得意なラウリーは多分相性が良い。
ラウリーは話しかけにくい雰囲気だと言われるので、今まで感じた視線は話しかけるきっかけがなかっただけなのだと理解した。
その後も延々話しかけ続けられたのは少し予想外だったが、共闘の相手がどういう性格かも重要だからだろう。
セルジュがとても気さくで話しやすかったので、話が自然と続いたというのもある。
彼はラウリーの少し後に西側から来た冒険者で、セルジュ。体格とパワーに恵まれた羨ましいタイプだった。
金髪碧眼のワイルドな感じの男で、見るからに強そうだった。ただ魔法はイマイチで、総合的な戦闘力は同等くらいだと思われた。
これから魔法が一気に伸びて、置き去りにされる可能性はあるが。
ただ現状ならラウリーより近接戦に強いし、いい奴ならそのうち共闘するかもなぁくらいに思っていた。
けれどある時から、頻繁にセルジュからの視線を感じるようになった。
狩りの最中はもちろん、ギルドの中でまでかなり見られていた。けれど話しかけられることは無かった。
セルジュの見た目や雰囲気はどう考えてもタチ。勝手なラウリー基準ではオラオラ系のタチの気がしていた。
人を見た目で判断してはいけないと思ってはいるが、どうしてもそういう雰囲気を感じてしまう。
ラウリーは顔立ちや雰囲気、装備品からタチと勘違いされる。
その方が何かと都合がいいので敢えて誤解させたままにしているが、ラウリーは純然たるネコだった。
ラウリーの今の装備は、黒の立襟で袖なしのワンピースタイプ。片側にスリットが入っていて、膝下丈。
それの中に長袖のシャツとズボンを着て、腰は白い腰帯で結び、膝までのロングブーツを履いている。
装備品は魔物素材でのオーダーメードがほとんどになる。立襟は首を守るために普通のこと。
上下別々か繋がっているかは個人の好みだけれど、裾の長さはその人の考え方で異なる事が多い。
ラウリーは陰茎や臀部が何かの拍子に見えるのが嫌いで、一般的な装備ではあるが標準よりも裾が長い。
大体の人は膝上が多いし、スリットも両側に入っている。そしてそういう裾が長い服や腰布などを好む人は、バリタチに多かった。
オイデンでも既にネコからの視線は頻繁に感じるが、タチからの視線は経験上大抵ロクなことじゃない。
声をかけたネコがラウリーがいいと言ったとか、お気に入りのネコがラウリーを褒めたとかのそういう感じで妬みや恨みの視線をもらう。
ラウリーが寝取ったとか(無理)何かした訳でもないのに。
いい奴で仲良くなれたら共闘といういつかは、来なさそうだと思った。
ラウリーはそれなりにやれるがオイデンでは実力不足、という有難い評価をもらってギルドの育成システムに無事組み込まれることになった。
オイデンでも上澄みの冒険者であるロイに誘われ、ラウリーは初めて共同依頼を受けた。
指導してもらう立場なのであまり金にはならないが、一日の宿代と食事代くらいにはなる。
今まで南側で支払って来た対価に比べれば、充分過ぎるほどの収入だった。
同時期にここに来たならもしかしたらと思っていたら、もしかしなくてもセルジュもいた。
ロイの評判はとても良く人選も確かだと聞いてはいたが、ちょっと不安でラウリーからセルジュに話しかけることはしなかった。
討伐そのものは順調でいい経験を積ませてもらえた。
人に体の扱いや全体での動き方などの指導を受けたのは久しぶりで、新鮮な気持ちだった。
セルジュも私情を挟むタイプではなく、普通に役割をこなしていてラウリーに変に関わってくることもなかったので安心していた。
後はもう帰るだけのタイミングで、セルジュに話しかけられた。仕事は帰るまでですよ! と内心焦った。
「なぁ、あんた魔法凄いよな。俺に魔法を教えてくれないか?」
ラウリーは大変失礼ながらオラオラ系タチが、まさかそんな理由で自分を見ていたとは思わなかった。
自分の色恋系に著しく偏った考え方に恥ずかしくはなるが、それとこれとは別。ラウリーは優しい男ではない。
「見返りは?」
魔法をここまで仕上げるのに、相応の勉強と努力をして来た。見返りもなく教えるはずがないのだ。
純粋な魔法に関してだけを言うなら、ラウリーの魔法はオイデンの冒険者として充分なレベルにあった。
「泣くまで抱くとか?」
ラウリーは言われてちょっと、いやかなり驚いた。タチかネコかもそうだが、性癖を言い当てられたからだ。
だが言い方は冗談っぽいし、表情もからかうようなもの。だからラウリーは定評のある無表情で鼻で嗤った。
「ふっ」
「冗談だって。飯を奢るとかどう?」
「はん」
飯くらいでは教える労力とは釣り合わない。
雰囲気的にも話しかけるきっかけにしたかっただけなのだろうとラウリーは判断した。
共闘は同レベルの冒険者が共に狩りに向かい、お互いを補い合う仕組みでしかない。
収入も上がるし紹介もしてもらえるが、その相手は自分で選ばなければならない。狩り場で何が起こっても自己責任だからだ。
近接が得意でパワーがあるセルジュと、器用で魔法が得意なラウリーは多分相性が良い。
ラウリーは話しかけにくい雰囲気だと言われるので、今まで感じた視線は話しかけるきっかけがなかっただけなのだと理解した。
その後も延々話しかけ続けられたのは少し予想外だったが、共闘の相手がどういう性格かも重要だからだろう。
セルジュがとても気さくで話しやすかったので、話が自然と続いたというのもある。
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