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出会い編
12 とある冒険者ラウリー。
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ラウリーが故郷を出て8年。最初は金がなくて苦労したが、オイデンで活動出来るだけの冒険者になれた。
オイデンは西部で一番大きな町で、強くて金になる魔物が多いので西部中から冒険者が集まって来る。
ラウリーもそんな冒険者の一人。ギルドの資料室で魔物の特性や地域性を覚え、ソロでも行ける場所で自分の適性に合った場所を探した。
ギルド職員も積極的に協力してくれたが、冒険者は自己責任の職業で自分の腕で稼ぐもの。
だから冒険者だけが持っている情報というものがある。いい狩り場を教えてくれることはまずない。
けれどラウリーが知りたいのは、危険な人や場所についてだった。
大森林があるのでオイデンに入るルートは南、東、西の三つしかない。ラウリーは南側からオイデンに来た。
オイデンは儲かるので西部中の冒険者の憧れの場所。だから放っておけば無限に冒険者が集まってしまうからだろう。
オイデンで冒険者活動をするには、南、東、西にある指定ギルドから実力を証明する紹介状が必要だった。
南の指定ギルドはロット。そこは職員が率先して冒険者を煽っていくスタイルで、常にギスギスしていた。
だから自分の実力がオイデンには足りずむしゃくしゃしてか、森の中で他者を傷つける輩が多くいた。
森の中での怪我などは余程力のある善良な目撃者でもいない限り、職員に訴えても自己責任で放置される。
幸いラウリーはロットでそれらの被害に遭って心が折れた冒険者から、そういう情報を事前に得ていた。
ラウリーはその冒険者が望む報酬を支払い、代わりにロットでやっていくのに必要なことを学んだ。
その冒険者には気に入られたのか、最後まで行くなと言われたがラウリーに止まる気はなかった。
ロットで最初に話しかけた職員にも、「その顔では絶対に狙われるから気を付けろ」と忠告された。
何を気を付けてどうしろととは思ったが、狙われやすいと知らないよりは知っていた方がいい。
忠告には一応感謝はしている。魔法だけならロットでも上澄みに近いと思うという評価はもらっていた。
実際には出る魔物も違うので完璧に同等とは言えないし、結局大した対策もないまま森に入るしかなかった。
ロットを避けるなら他の紹介状をもらえる西と東のギルドに移動する手もあるが、行くなら大森林を大きく迂回しなければならない。
もしくはオイデンの冒険者がロットに立ち寄った時に便乗させてもらい、オイデンからそちらに移るか。
どちらも金がかかるし、迂回すれば時間も相当にかかる。
オイデン経由なら時間の節約にはなるが、ここ最近はオイデンから冒険者が来ていなかった。
オイデンの冒険者にロットに来てもらう為には、ギルド経由で護衛依頼を出さなければならない。
料金は当然高額で、ロットで数年貯金に励まなければならない額。今のラウリーに払える額ではなかった。
流石に今のラウリーではオイデンまで無事に辿り着けるかは運次第。紹介状があれば、途中で迎えが来る。
迂回した先のギルドがロットと違うかもここではわからず、ラウリーにはある意味選択肢は一つしかなかった。
結果。待ち伏せをされていたが、探索で事前に気が付いていたので魔法で罠を張り返り討ちにした。
解決策がそれしか思い付かなかったから、二度と手出しされないようにかなり徹底的にボッコボコにした。
全員が気付かずに引っかかるのもどうかと思ったが、魔法で足止めして動けない奴を一人ずつ殴った。
町には戻れるが追いかけて来られない程度に足も傷つけ、相手の心が折れるまでそれらを続けた。
徒党を組む奴らほど小物だと聞いていた通り、簡単に折れた。
またラウリーに手を出したらどうなるかを匂わせて、被害をギルドや他の冒険者へ訴えないようにもした。
初見の強い魔物をけしかけられていたら危なかっただろうが、対人戦だけだったので何とかなった。
きっちり事前準備をしておいて良かったと思う。
全員を無力化した後、寄って来たオークを横目にその場を離れた。悲鳴と助けを呼ぶ声は聞こえたが放置した。
どうなるかはわかっていたが、襲って来た奴らを助ける義理はない。ラウリーがされていたかも知れないのだ。
彼らは自力で町には戻ってきたが、全員そのまま治療院送りになったらしい。ラウリーは致命傷は与えていないので、数日で退院するはずだった。
何をしたのかと職員に聞かれたが、この現状を放置していた職員に何か言うつもりはなかった。
そもそもラウリーに聞くと言うことは、彼らの待ち伏せを知っていて放置していたということに他ならない。
入院が長引いていたようなので、スライムを入れていなくて裂けたのだろうと想像が出来た。
他にいた人を甚振る趣味の奴らも多分同じ想像に辿り着き、ラウリーがヤバい奴だという話だけが流れた。
狙い通りではあったのでそのまま放置した。こいつは狙っても割に合わないと思わせる方がいいと思ったのだ。
いきなり強者を引けば危険はあったし、魔物をけしかけられる可能性もあったがラウリーは運が良かった。
後で知ったが彼らは中堅で頭打ちとなって燻り、人を甚振るのに夢中になっていた奴らだったらしい。
オイデンは西部で一番大きな町で、強くて金になる魔物が多いので西部中から冒険者が集まって来る。
ラウリーもそんな冒険者の一人。ギルドの資料室で魔物の特性や地域性を覚え、ソロでも行ける場所で自分の適性に合った場所を探した。
ギルド職員も積極的に協力してくれたが、冒険者は自己責任の職業で自分の腕で稼ぐもの。
だから冒険者だけが持っている情報というものがある。いい狩り場を教えてくれることはまずない。
けれどラウリーが知りたいのは、危険な人や場所についてだった。
大森林があるのでオイデンに入るルートは南、東、西の三つしかない。ラウリーは南側からオイデンに来た。
オイデンは儲かるので西部中の冒険者の憧れの場所。だから放っておけば無限に冒険者が集まってしまうからだろう。
オイデンで冒険者活動をするには、南、東、西にある指定ギルドから実力を証明する紹介状が必要だった。
南の指定ギルドはロット。そこは職員が率先して冒険者を煽っていくスタイルで、常にギスギスしていた。
だから自分の実力がオイデンには足りずむしゃくしゃしてか、森の中で他者を傷つける輩が多くいた。
森の中での怪我などは余程力のある善良な目撃者でもいない限り、職員に訴えても自己責任で放置される。
幸いラウリーはロットでそれらの被害に遭って心が折れた冒険者から、そういう情報を事前に得ていた。
ラウリーはその冒険者が望む報酬を支払い、代わりにロットでやっていくのに必要なことを学んだ。
その冒険者には気に入られたのか、最後まで行くなと言われたがラウリーに止まる気はなかった。
ロットで最初に話しかけた職員にも、「その顔では絶対に狙われるから気を付けろ」と忠告された。
何を気を付けてどうしろととは思ったが、狙われやすいと知らないよりは知っていた方がいい。
忠告には一応感謝はしている。魔法だけならロットでも上澄みに近いと思うという評価はもらっていた。
実際には出る魔物も違うので完璧に同等とは言えないし、結局大した対策もないまま森に入るしかなかった。
ロットを避けるなら他の紹介状をもらえる西と東のギルドに移動する手もあるが、行くなら大森林を大きく迂回しなければならない。
もしくはオイデンの冒険者がロットに立ち寄った時に便乗させてもらい、オイデンからそちらに移るか。
どちらも金がかかるし、迂回すれば時間も相当にかかる。
オイデン経由なら時間の節約にはなるが、ここ最近はオイデンから冒険者が来ていなかった。
オイデンの冒険者にロットに来てもらう為には、ギルド経由で護衛依頼を出さなければならない。
料金は当然高額で、ロットで数年貯金に励まなければならない額。今のラウリーに払える額ではなかった。
流石に今のラウリーではオイデンまで無事に辿り着けるかは運次第。紹介状があれば、途中で迎えが来る。
迂回した先のギルドがロットと違うかもここではわからず、ラウリーにはある意味選択肢は一つしかなかった。
結果。待ち伏せをされていたが、探索で事前に気が付いていたので魔法で罠を張り返り討ちにした。
解決策がそれしか思い付かなかったから、二度と手出しされないようにかなり徹底的にボッコボコにした。
全員が気付かずに引っかかるのもどうかと思ったが、魔法で足止めして動けない奴を一人ずつ殴った。
町には戻れるが追いかけて来られない程度に足も傷つけ、相手の心が折れるまでそれらを続けた。
徒党を組む奴らほど小物だと聞いていた通り、簡単に折れた。
またラウリーに手を出したらどうなるかを匂わせて、被害をギルドや他の冒険者へ訴えないようにもした。
初見の強い魔物をけしかけられていたら危なかっただろうが、対人戦だけだったので何とかなった。
きっちり事前準備をしておいて良かったと思う。
全員を無力化した後、寄って来たオークを横目にその場を離れた。悲鳴と助けを呼ぶ声は聞こえたが放置した。
どうなるかはわかっていたが、襲って来た奴らを助ける義理はない。ラウリーがされていたかも知れないのだ。
彼らは自力で町には戻ってきたが、全員そのまま治療院送りになったらしい。ラウリーは致命傷は与えていないので、数日で退院するはずだった。
何をしたのかと職員に聞かれたが、この現状を放置していた職員に何か言うつもりはなかった。
そもそもラウリーに聞くと言うことは、彼らの待ち伏せを知っていて放置していたということに他ならない。
入院が長引いていたようなので、スライムを入れていなくて裂けたのだろうと想像が出来た。
他にいた人を甚振る趣味の奴らも多分同じ想像に辿り着き、ラウリーがヤバい奴だという話だけが流れた。
狙い通りではあったのでそのまま放置した。こいつは狙っても割に合わないと思わせる方がいいと思ったのだ。
いきなり強者を引けば危険はあったし、魔物をけしかけられる可能性もあったがラウリーは運が良かった。
後で知ったが彼らは中堅で頭打ちとなって燻り、人を甚振るのに夢中になっていた奴らだったらしい。
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