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若気の至り編
03 若気の至り
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町から町への移動には護衛付きの馬車を利用する。途中に魔物避けがされている宿営地件休憩所があるので、概ね安全に移動できる。
だがアズルに直接向かう馬車便はなく、経由して向かうより歩いた方が早かった。セルジュは街道をひたすらアズルに向かって歩いていた。
街道は広く見通しもいい。スライムは森の日陰を好むし、襲って来る四つ足の豚などの魔物たちが森から出て来ることは滅多にない。
街道で見かけるのはゴブリンだけだった。ゴブリンを倒せないと道中掘られまくるが、セルジュには問題にならなかった。
故郷から旅を始めて三日目。後一日と半日程度でアズルに着く。その日は朝から風が強い日だった。
そしてどうにも朝からセルジュはムラムラしていた。故郷では好きな時に発散出来ていたからだろう。
故郷ではゴブリンに掘られてからネコなる人が多かった。経緯が経緯だからか、快感に貪欲で奔放に求めるネコが多かった。
だからセルジュは自慰はもう何年もしていない。性欲が強い自覚はあったが、まさか三日でムラムラするとは思わなかった。
旅を始めてから見た魔物はゴブリンだけ。だから浅ければ森に入っても大丈夫だと考えた。
この辺りにいる四つ足は、豚と牛だとじいさんから聞いている。どちらも狩ったことがあるので問題はない。
人がいた宿営地からはそれなりに離れてから街道を逸れて、セルジュは森の中に入った。
森に危険がないか確認しながら、人が来ない程度にまで森の奥に進む。
途中でスライムを殴って倒し、スライムを左手で温めながら見通しが良く日当たりの良い場所を探した。
スライムは冷たいのが玉に瑕だが、体温で温めれば独特な感触が陰茎用の自慰道具にもなる。
少し開けた場所を見付けるともう一度周囲に探索をかけ安全を確認し、セルジュは膝立ちになった。
立って剣を鞘から抜くより、すぐに手に取れる位置に抜き身の剣を置いておくことを選んだ。
音や気配でもすぐに反応出来る自信もあったし、豚や牛なら低い位置からの方が倒しやすい。
セルジュは腰布を捲り上げ、スライムで自身の陰茎を覆った。
「んっ、まだちょっと冷たいな」
手で覆って早く温まるようにしながらも、既に緩く立ち上がっている陰茎をしごいていく。
スライムはぬるぬるぷにぷにとした感触をしており、抵抗なくなめらかに手が上下する。
スライムが体温で温まってくると、集中する為に目を閉じる。
いくらこの辺りに魔物がいないとはいえ、時間をかけて自慰をしている場合ではないことはわかっている。
完全に陰茎が勃ち上がると、本格的な自慰の前にもう一度探索をかける。
慎重であることは、冒険者が生き残るために必要なことだと叩き込まれていた。
驕っていた為に、森の中で自慰をすること自体が慎重さに欠ける行動だという考えはすっかり抜け落ちていた。
それにセルジュの探索魔法の精度と範囲は故郷では一流でも、一般的な冒険者に比べれば劣っていた。
セルジュの探索では離れた日陰にスライムの気配があるだけ。飛びつかれてもすぐにはがせる。
問題がないと判断して、射精に向けて本格的に手を動かし始める。間もなく射精というタイミングで、お尻にチクリとした感触があった。
「えっ……」
セルジュはすぐさま体に力が入らなくなり、最初に尻が落ちた後そのまま前方に崩れ落ちた。
風で鳴る木の葉の音に紛れてはいたが、耳を澄ますとブゥゥゥンという聞き覚えのある羽音が聞こえる。
じいさんに連れて行ってもらった先で、狩ったことがあった。
(蜜壺蜂か……。油断した。)
驕っていた為にしたこの油断が、セルジュの人生を変えた。
蜜壺蜂は大柄な男の手ほどの大きさをした蜂で、移動速度が速い。セルジュの探索圏外から一気に距離を縮められたのだと考えられる。
通常は大きな羽音で接近に気付くが、風で鳴る葉の音とフィニッシュ直前の集中で、セルジュは音を聞き逃していた。
詳しい生態は判明していないが、蜜壺蜂最大の特徴は毒にある。
毒を注入されると力が入らなくなって、魔法が使えなくなる。
普通ならそれで命の危機になるのだろうが、蜜壺蜂は毒を注入した後に何かをする訳ではなかった。
ただ毒を注入してくるだけの大きな蜂の魔物。こちらから襲い掛かれば反撃に出るが、毒を注入した後に襲ってくることはない。
だから何のために毒を注入して来るのかがわからない魔物だった。
そんな蜜壺蜂だが、冒険者にはそこそこ人気の獲物だった。蜜壺蜂の毒には体を敏感にする効果もある。
捕獲も動きについていければ難しくはない為、媚薬としてスライム同様広く販売されている。
自分が油断していたせいと、この状況をセルジュは諦めるしかなかった。悔やんでも遅い。
思考を切り替え、教えられた知識を掘り起こしていく。おおよそ十分程度で体は動くようになる。
体が敏感になる効果は数時間続くらしいが、通常の行動では問題のない範囲でちゃんと戦える。
となるとある程度動けるようになるまでは、四つ足に見付からないことをただ願うのみ。
この辺りに今のセルジュを殺せるような四つ足の魔物はいない。それでも無抵抗な状態で突進されれば、怪我くらいはする。
蹲っている状態で視界はないが、急所を晒して仰向けに倒れるよりはマシだったかもしれないと思った。
だがアズルに直接向かう馬車便はなく、経由して向かうより歩いた方が早かった。セルジュは街道をひたすらアズルに向かって歩いていた。
街道は広く見通しもいい。スライムは森の日陰を好むし、襲って来る四つ足の豚などの魔物たちが森から出て来ることは滅多にない。
街道で見かけるのはゴブリンだけだった。ゴブリンを倒せないと道中掘られまくるが、セルジュには問題にならなかった。
故郷から旅を始めて三日目。後一日と半日程度でアズルに着く。その日は朝から風が強い日だった。
そしてどうにも朝からセルジュはムラムラしていた。故郷では好きな時に発散出来ていたからだろう。
故郷ではゴブリンに掘られてからネコなる人が多かった。経緯が経緯だからか、快感に貪欲で奔放に求めるネコが多かった。
だからセルジュは自慰はもう何年もしていない。性欲が強い自覚はあったが、まさか三日でムラムラするとは思わなかった。
旅を始めてから見た魔物はゴブリンだけ。だから浅ければ森に入っても大丈夫だと考えた。
この辺りにいる四つ足は、豚と牛だとじいさんから聞いている。どちらも狩ったことがあるので問題はない。
人がいた宿営地からはそれなりに離れてから街道を逸れて、セルジュは森の中に入った。
森に危険がないか確認しながら、人が来ない程度にまで森の奥に進む。
途中でスライムを殴って倒し、スライムを左手で温めながら見通しが良く日当たりの良い場所を探した。
スライムは冷たいのが玉に瑕だが、体温で温めれば独特な感触が陰茎用の自慰道具にもなる。
少し開けた場所を見付けるともう一度周囲に探索をかけ安全を確認し、セルジュは膝立ちになった。
立って剣を鞘から抜くより、すぐに手に取れる位置に抜き身の剣を置いておくことを選んだ。
音や気配でもすぐに反応出来る自信もあったし、豚や牛なら低い位置からの方が倒しやすい。
セルジュは腰布を捲り上げ、スライムで自身の陰茎を覆った。
「んっ、まだちょっと冷たいな」
手で覆って早く温まるようにしながらも、既に緩く立ち上がっている陰茎をしごいていく。
スライムはぬるぬるぷにぷにとした感触をしており、抵抗なくなめらかに手が上下する。
スライムが体温で温まってくると、集中する為に目を閉じる。
いくらこの辺りに魔物がいないとはいえ、時間をかけて自慰をしている場合ではないことはわかっている。
完全に陰茎が勃ち上がると、本格的な自慰の前にもう一度探索をかける。
慎重であることは、冒険者が生き残るために必要なことだと叩き込まれていた。
驕っていた為に、森の中で自慰をすること自体が慎重さに欠ける行動だという考えはすっかり抜け落ちていた。
それにセルジュの探索魔法の精度と範囲は故郷では一流でも、一般的な冒険者に比べれば劣っていた。
セルジュの探索では離れた日陰にスライムの気配があるだけ。飛びつかれてもすぐにはがせる。
問題がないと判断して、射精に向けて本格的に手を動かし始める。間もなく射精というタイミングで、お尻にチクリとした感触があった。
「えっ……」
セルジュはすぐさま体に力が入らなくなり、最初に尻が落ちた後そのまま前方に崩れ落ちた。
風で鳴る木の葉の音に紛れてはいたが、耳を澄ますとブゥゥゥンという聞き覚えのある羽音が聞こえる。
じいさんに連れて行ってもらった先で、狩ったことがあった。
(蜜壺蜂か……。油断した。)
驕っていた為にしたこの油断が、セルジュの人生を変えた。
蜜壺蜂は大柄な男の手ほどの大きさをした蜂で、移動速度が速い。セルジュの探索圏外から一気に距離を縮められたのだと考えられる。
通常は大きな羽音で接近に気付くが、風で鳴る葉の音とフィニッシュ直前の集中で、セルジュは音を聞き逃していた。
詳しい生態は判明していないが、蜜壺蜂最大の特徴は毒にある。
毒を注入されると力が入らなくなって、魔法が使えなくなる。
普通ならそれで命の危機になるのだろうが、蜜壺蜂は毒を注入した後に何かをする訳ではなかった。
ただ毒を注入してくるだけの大きな蜂の魔物。こちらから襲い掛かれば反撃に出るが、毒を注入した後に襲ってくることはない。
だから何のために毒を注入して来るのかがわからない魔物だった。
そんな蜜壺蜂だが、冒険者にはそこそこ人気の獲物だった。蜜壺蜂の毒には体を敏感にする効果もある。
捕獲も動きについていければ難しくはない為、媚薬としてスライム同様広く販売されている。
自分が油断していたせいと、この状況をセルジュは諦めるしかなかった。悔やんでも遅い。
思考を切り替え、教えられた知識を掘り起こしていく。おおよそ十分程度で体は動くようになる。
体が敏感になる効果は数時間続くらしいが、通常の行動では問題のない範囲でちゃんと戦える。
となるとある程度動けるようになるまでは、四つ足に見付からないことをただ願うのみ。
この辺りに今のセルジュを殺せるような四つ足の魔物はいない。それでも無抵抗な状態で突進されれば、怪我くらいはする。
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