199 / 207
修道女、獣に噛みつく
1
しおりを挟む
大笑いされた。
尖った喉ぼとけをむき出しにして、腹を抱えて爆笑された。
「貴様っ!!」
メイラよりもぞんざいに、肩に担がれて崖を降りてきたマローが、なりふり構わず駆け寄ってこようとする。
その襟首を、一回り巨漢の男が背後から掴んだ。
彼女は騎士であり、腕利きの剣士だ。男顔負けの力量を誇り、常にメイラを守ってきた。
しかしそんな彼女を、顔に真一文字の切り傷のある男は軽々とその場に引きとどめた。
崖を落ちるときに剣を手放し、武装していなかったというのもあるだろう。いや、赤い服の男に背後から抱え込まれたメイラを見て、頭に血がのぼってしまったというのが正解か。
「……あっ」
メイラの目の前で、マローの首筋に手刀が入った。
いくら頑丈な彼女でも、急所への一撃は防ぎようがなかった。
岩の上に崩れ落ちるマローに、両手を伸ばして駆け付けようとする。しかし所詮はメイラだ、一歩踏み出したところで躓き、派手に顔からこけそうになった。
「おっと」
背後から、腹部に腕を回された。ぶらりと足が宙に浮き、同時に煙草の匂いが鼻をつく。
「あぶねぇなぁ」
「お、降ろしてください!」
「うーん、ちょっとまずいことになってるから、お前人質。おとなしくしてなよ」
そして、ひょいと身体の向きを変えられて、膝の裏にも腕を差し込まれた。
「いくぞー、臨時依頼は済んだろう?」
「この女はどうしますか」
「ほっとけほっとけ」
「了解」
「マロー! 待って、ねぇ待って! マロー!!」
メイラの抗議など、小さな子供の抵抗程度でしかなかった。暴れても、叫んでも、男の手から逃れることはできない。
岩浜に着けられた小舟に乗せられ、そのまま連れ去られそうになり、ますます顔面から血の気が引いた。
メイラには使命がある。
時間がないのだ。こんなところで攫われている場合ではないのだ。
脳裏に、陛下の穏やかな微笑みと、後宮に入る前に一度だけ見た帝都の街並みが過った。
とっさに、目の前にある黒い肌に噛みついていた。遠慮なく、固い干し肉を噛むときのように思いっきり。
「ってぇ!!」
一度歯を立てただけでは足りず、更にギリリと食いしばった。
噛んだ場所は親指の付け根。口を塞ごうとしてか、丁度目の前にあったからだ。
噛んだ瞬間、場所を間違えたと思った。男の手は骨ばっていて非常に硬く、噛みちぎるより先に歯が砕けてしまいそうだ。
それでも、食い込ませた歯を緩めずにいると、耐えかねた男が手を振った。要するに、メイラを拘束する腕が緩んだのだ。
「……おおっと」
すかさず海に飛び込もうとしたが、叶わなかった。
「あっぶねぇな。ここの海にはサメがうようよしてるんだ。あっという間に食われるぞ」
改めて自身の非力さに絶望し、それでもなお男の腕から逃れようと身をよじる。
「猫みてぇだな、お前」
じたばたと、抱え込まれたまま抵抗を繰り返すメイラを見下ろして、噛まれたことなどまったく意に介していない男が笑う。
「おとなしそうな顔してるのにやるじゃねぇか」
「離してください! 船を戻して!」
「やっぱ美味そうなんだよなぁ」
「わ、わたくしは!!」
「うんうん、ちょっと肉付きが悪いけど、あのお綺麗な姫さんよりよっぽどタイプだわ」
ずい、と顔を寄せられて、同じだけ下がろうとしたができなかった。
「ベッドで寝首かきかねない女より、子猫ちゃんのほうがいい」
身体に巻き付いた腕が、明確に違う意図で動き……
「どう? 俺に食われてみない?」
「……っ、わたくしには夫がおります!!」
「ははは、俺海賊。奪うのが仕事だ」
大きな手が胸の上に置かれ、そのささやかなふくらみを包み込んだ。
眩暈がした。
おそらくはちょっと毛色の違う女に食指を伸ばしただけなのだろうが、そもそもその相手が自分だという事が信じられない。
平凡な顔立ちで、貧相な体格の女だということを自覚している。
どうして夫が愛し気に微笑みかけてくださるのか、その理由さえはっきりとわからないでいるのに……
陛下の顔を思い出した瞬間に、すうっと冷静さを取り戻した。
「……手を、離しなさい」
「お」
「無礼な真似は許しません」
「……いいねぇ」
気を持ち直したメイラを見下ろして、黒墨色の男はにたりと笑った。
逃れようとしても無駄だという事はわかっている。何しろ船は小さくて、大柄な男が五人も乗り込めば沈みそうなサイズなのだ。
船頭を入れてすでに三人、メイラを含めれば四人だが、逃げる場所すらないというのが実情だった。
「なぁ、あんたの旦那は、海賊に攫われた奥さんを受け入れてくれるのか?」
見知らぬ男の膝の上……というなんとも居心地が悪い場所に留め置かれたまま、ぐいと顔を寄せられた。
「野郎どもにあーんなことやこーんなことされても、愛してくれるって?」
この男、無意味に距離が近い。目が悪いようには見えないのに、本を読みすぎて目を悪くした知人と同じような態度を取る。
近すぎるその距離感に腹が立ってきて、メイラはその真っ黒な顔を両手て突っぱねた。
あまりにも勢いが良すぎて、バチンと派手な音がした。
「近い。不作法な真似はやめてください」
スカーと同郷の男は無表情のままだが、褪せた茶色の髪の船頭はあからさまにぎょっとした顔になった。
「わたくしが夫にどう思われようと、あなたに何の関係が?」
「……こんな状況でよくそんな口が利けるな」
大きな手でぎゅっと胸を掴まれた。ささやかなサイズとはいえ、女性の胸はデリケートだ。乱暴に掴まれれば痛い。
「ぐちゃぐちゃにして野郎どもに下げ渡して、最後は娼館に売りつけてやろうか」
「子供ですか」
「なんだと」
「女性の扱いがなっていません」
至近距離で見る男の顔は、意外と若そうだった。肌の色と、東方人の容貌とが年齢不詳に見せているが、実際はメイラとそれほど年が離れていないのではないだろうか。
「手を離しなさい」
ぎゅうぎゅうと胸を掴んでいる大きな手を、パシリと叩いた。
「わたくしにそれ以上触れることは許しません」
「……なぁあんた。状況がわかってるのか?」
ちょっとより目になった男が、困惑したように船頭たちと視線を交わした。
その視線がそれた瞬間に、もう一度胸を鷲掴みにしたままの手を叩く。
メイラは貧しい修道院で育ったので、下町の事も良く知っている。場末の娼婦がどのような生き方をしているのか、もしかしたら目の前の黒墨の男よりも身近で見てきたかもしれない。
だからこそ、誇りを捨ててはならないと知っている。何が起ころうとも、まっすぐ前を見て生きていく事が正しいと知っている。
「手を、離しなさい」
胸を張れ。決して怯むな。
まっすぐに相手の目を見て、逸らしてはならない。
尖った喉ぼとけをむき出しにして、腹を抱えて爆笑された。
「貴様っ!!」
メイラよりもぞんざいに、肩に担がれて崖を降りてきたマローが、なりふり構わず駆け寄ってこようとする。
その襟首を、一回り巨漢の男が背後から掴んだ。
彼女は騎士であり、腕利きの剣士だ。男顔負けの力量を誇り、常にメイラを守ってきた。
しかしそんな彼女を、顔に真一文字の切り傷のある男は軽々とその場に引きとどめた。
崖を落ちるときに剣を手放し、武装していなかったというのもあるだろう。いや、赤い服の男に背後から抱え込まれたメイラを見て、頭に血がのぼってしまったというのが正解か。
「……あっ」
メイラの目の前で、マローの首筋に手刀が入った。
いくら頑丈な彼女でも、急所への一撃は防ぎようがなかった。
岩の上に崩れ落ちるマローに、両手を伸ばして駆け付けようとする。しかし所詮はメイラだ、一歩踏み出したところで躓き、派手に顔からこけそうになった。
「おっと」
背後から、腹部に腕を回された。ぶらりと足が宙に浮き、同時に煙草の匂いが鼻をつく。
「あぶねぇなぁ」
「お、降ろしてください!」
「うーん、ちょっとまずいことになってるから、お前人質。おとなしくしてなよ」
そして、ひょいと身体の向きを変えられて、膝の裏にも腕を差し込まれた。
「いくぞー、臨時依頼は済んだろう?」
「この女はどうしますか」
「ほっとけほっとけ」
「了解」
「マロー! 待って、ねぇ待って! マロー!!」
メイラの抗議など、小さな子供の抵抗程度でしかなかった。暴れても、叫んでも、男の手から逃れることはできない。
岩浜に着けられた小舟に乗せられ、そのまま連れ去られそうになり、ますます顔面から血の気が引いた。
メイラには使命がある。
時間がないのだ。こんなところで攫われている場合ではないのだ。
脳裏に、陛下の穏やかな微笑みと、後宮に入る前に一度だけ見た帝都の街並みが過った。
とっさに、目の前にある黒い肌に噛みついていた。遠慮なく、固い干し肉を噛むときのように思いっきり。
「ってぇ!!」
一度歯を立てただけでは足りず、更にギリリと食いしばった。
噛んだ場所は親指の付け根。口を塞ごうとしてか、丁度目の前にあったからだ。
噛んだ瞬間、場所を間違えたと思った。男の手は骨ばっていて非常に硬く、噛みちぎるより先に歯が砕けてしまいそうだ。
それでも、食い込ませた歯を緩めずにいると、耐えかねた男が手を振った。要するに、メイラを拘束する腕が緩んだのだ。
「……おおっと」
すかさず海に飛び込もうとしたが、叶わなかった。
「あっぶねぇな。ここの海にはサメがうようよしてるんだ。あっという間に食われるぞ」
改めて自身の非力さに絶望し、それでもなお男の腕から逃れようと身をよじる。
「猫みてぇだな、お前」
じたばたと、抱え込まれたまま抵抗を繰り返すメイラを見下ろして、噛まれたことなどまったく意に介していない男が笑う。
「おとなしそうな顔してるのにやるじゃねぇか」
「離してください! 船を戻して!」
「やっぱ美味そうなんだよなぁ」
「わ、わたくしは!!」
「うんうん、ちょっと肉付きが悪いけど、あのお綺麗な姫さんよりよっぽどタイプだわ」
ずい、と顔を寄せられて、同じだけ下がろうとしたができなかった。
「ベッドで寝首かきかねない女より、子猫ちゃんのほうがいい」
身体に巻き付いた腕が、明確に違う意図で動き……
「どう? 俺に食われてみない?」
「……っ、わたくしには夫がおります!!」
「ははは、俺海賊。奪うのが仕事だ」
大きな手が胸の上に置かれ、そのささやかなふくらみを包み込んだ。
眩暈がした。
おそらくはちょっと毛色の違う女に食指を伸ばしただけなのだろうが、そもそもその相手が自分だという事が信じられない。
平凡な顔立ちで、貧相な体格の女だということを自覚している。
どうして夫が愛し気に微笑みかけてくださるのか、その理由さえはっきりとわからないでいるのに……
陛下の顔を思い出した瞬間に、すうっと冷静さを取り戻した。
「……手を、離しなさい」
「お」
「無礼な真似は許しません」
「……いいねぇ」
気を持ち直したメイラを見下ろして、黒墨色の男はにたりと笑った。
逃れようとしても無駄だという事はわかっている。何しろ船は小さくて、大柄な男が五人も乗り込めば沈みそうなサイズなのだ。
船頭を入れてすでに三人、メイラを含めれば四人だが、逃げる場所すらないというのが実情だった。
「なぁ、あんたの旦那は、海賊に攫われた奥さんを受け入れてくれるのか?」
見知らぬ男の膝の上……というなんとも居心地が悪い場所に留め置かれたまま、ぐいと顔を寄せられた。
「野郎どもにあーんなことやこーんなことされても、愛してくれるって?」
この男、無意味に距離が近い。目が悪いようには見えないのに、本を読みすぎて目を悪くした知人と同じような態度を取る。
近すぎるその距離感に腹が立ってきて、メイラはその真っ黒な顔を両手て突っぱねた。
あまりにも勢いが良すぎて、バチンと派手な音がした。
「近い。不作法な真似はやめてください」
スカーと同郷の男は無表情のままだが、褪せた茶色の髪の船頭はあからさまにぎょっとした顔になった。
「わたくしが夫にどう思われようと、あなたに何の関係が?」
「……こんな状況でよくそんな口が利けるな」
大きな手でぎゅっと胸を掴まれた。ささやかなサイズとはいえ、女性の胸はデリケートだ。乱暴に掴まれれば痛い。
「ぐちゃぐちゃにして野郎どもに下げ渡して、最後は娼館に売りつけてやろうか」
「子供ですか」
「なんだと」
「女性の扱いがなっていません」
至近距離で見る男の顔は、意外と若そうだった。肌の色と、東方人の容貌とが年齢不詳に見せているが、実際はメイラとそれほど年が離れていないのではないだろうか。
「手を離しなさい」
ぎゅうぎゅうと胸を掴んでいる大きな手を、パシリと叩いた。
「わたくしにそれ以上触れることは許しません」
「……なぁあんた。状況がわかってるのか?」
ちょっとより目になった男が、困惑したように船頭たちと視線を交わした。
その視線がそれた瞬間に、もう一度胸を鷲掴みにしたままの手を叩く。
メイラは貧しい修道院で育ったので、下町の事も良く知っている。場末の娼婦がどのような生き方をしているのか、もしかしたら目の前の黒墨の男よりも身近で見てきたかもしれない。
だからこそ、誇りを捨ててはならないと知っている。何が起ころうとも、まっすぐ前を見て生きていく事が正しいと知っている。
「手を、離しなさい」
胸を張れ。決して怯むな。
まっすぐに相手の目を見て、逸らしてはならない。
0
お気に入りに追加
657
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる