131 / 207
修道女、星に祈る
3
しおりを挟む
時刻もすでに深夜だし、このあたりで今日の話は終わると思うだろう?
違うのだ。
ティーナが気を持ち直した後、とりあえず今日はこの部屋に付随した予備の部屋(といっても広い)に泊める事になった。
何といっても今夜は夜会。宿泊客が多く、ただでさえ空き部屋が少ないうえに、そこが安全かどうかを判断する時間的余裕もない。
ここの続き部屋ならば調べてあるというルシエラの言葉に、何か企んでいる気はしたものの、疲労もピークに達していたメイラはつい同意してしまった。
メイラ自身が、ティーナがさらされているものとは比較にならない危険に付け狙われているのを忘れていたわけではない。巻き込む恐れがあるから駄目だと言うべきだった。すぐに父に責任を押し付け……もとい、一任しようとしてはみたのだが、とたんにまた涙ぐみ「やはりご迷惑ですわよね」と嘆かれてしまえば、一晩だけだと受け入れざるを得ない。
コンコン、と部屋の扉がノックされたのはそんな時だ。
こんな時刻に? といぶかしむメイラをよそに、マローが帯剣に手を置きながら来客を迎え入れる。
近衛の女性騎士にせっつかれ、入室してきたのは、見覚えのないくすんだ金髪の男だった。
……誰?
困惑したように室内を見回した男が、「ひっ」と怯えるティーナの姿に険しい表情になる。
それだけで、男の正体がわかってしまった。
おそらくは、何番目か分からないがティーナの義兄だ。
寝ていたところをベッドから強引に連れ出したのかもしれない。乱れた髪形と、着崩した服装……上着を着ていないどころか、シャツのボタンすら半分ほどしか止められていない。
「ティーナ! 一人で勝手にどこに行っていたんだ?!」
さも彼女が悪い、と言いたげな口ぶりに、メイラと同じタイミングでリオネル卿がイラッとしたのがわかった。
メイラは細かく震えているティーナの髪をひと撫でした。
彼女に辱めを与えようと計画していた一件に、この男がどこまで関わっているのかはわからない。がっつり主犯側の人間かもしれないし、逆に何も知らない可能性もある。
しかし、今の彼女の心底怯え憔悴した様子が見えているだろうに、心無い台詞を投げつける事自体が許しがたかった。
「……ルシエラ?」
男を部屋に招くのは感心しないと言っていたその口で、会いたくもない男を部屋に連れてきたのは間違いなく彼女の采配だ。
ジロリと睨むと、まだ気弱な女官の仮面を下ろす気がないルシエラが、怯えたように俯いた。
「御命令通りにお連れしました」
しおらしい白金髪のつむじを見ながら呼吸数回分の間をおいて、ようやくメイラの理解が追いついてきた。
確かに、ティーナを狼の群れに放り込んだ義兄を連れてこいとは言ったけれども!!
「わたくし、またなにか失敗してしまいましたでしょうか」
「……」
うるり、と濡れた瞳で見つめられ、言うべき言葉が頭から滑り落ちてしまった。
ここまでくれば、呆れも通り越して感心してしまう。
美しく嫋やかな女官であるルシエラは、誰が何をどう言おうが被害者の立場に立ち、相手を悪者にしてしまえるのだ。
意図的に作られたそのキャラクターに慄くべきか、怒るべきか。
迷いつつ、やはり釘を刺しておかねばなるまいと表情をけわしくすると、何を思ったか問題の義兄殿がいかつい顔を顰めながらメイラを睨み始めたではないか。
あっさりとルシエラの手管におちた男を、単純と言うべきか、人を疑わない気質だと言うべきか。
えてしてこういう人間は、自分が正しいと思う方が正義だと盲目的に信じて疑わない。
おそらく今彼の頭の中にあるのは、虐められている薄幸の女官と、当たりのキツイ尊大女とでもいったところだろうか。
メイラは、まったく興味はないとばかりに窓の外の方を向いて紅茶を飲んでいる父を恨みがましく一瞥してから、ため息交じりに首を振った。
「いい加減にしなさい」
「そんな、わたくしは精一杯っ」
ルシエラの、悲し気に俯けた顔は、非の打ちどころがないほどに美しい。繊細で、いまにも泣き崩れてしまうようなこの表情を見れば、男女違わずほとんどの人間が憐憫の情を抱くのだろう。
そして彼女を虐めるメイラは悪役で、きっと酷く嫌な女だと思われているのだ。
「……報告を」
「は、はい。御命令通りに、ハインズ伯爵家の御次男さまをお探ししましたところ、ファーン男爵未亡人の部屋に入られ、事に及ばれる寸前でございましたので、大急ぎで徴集致しました」
「……っ」
身もふたもない報告に真っ赤になったのは、当の本人と、聞きたくもないのに義兄の女性関係を聞かされた義妹だった。
「せっかくのお楽しみのところ、お邪魔するのは大変申し訳ないと思ったのですが……御方さまがお呼びでしたのでやむなく」
いや、こちらのせいにしないで欲しい。
それにしても、義理とはいえ妹の所在が不明なのに、よく女のベッドに潜り込もうとしたものだ。
「ああそう。ご苦労様」
急に、何もかもが面倒くさくなってきた。
疲れているのだ。すぐにもベッドに潜り込みたいのだ。
何の説明もせず、理解不能な行動を取るルシエラの御遊びに付き合ってあげる気力はないし、自身が正しいと信じ切っている男の相手もしたくない。
「夜も遅いので、手早く済ませましょう。……用件はひとつ。今夜貴方の義妹さんはわたくしが預かります。どうやら良からぬ輩に狙われているようで、それを貴方は守る気もなさそうですから」
「……はっ?」
「義理とはいえ妹、しかもパートナーの所在がわからなくなっているのに、探そうともせず楽しんでいらした方には何も言う資格はありません。彼女が無断外泊したなどという不名誉な噂が出ても困りますから、一応お知らせしただけです。……お引き取り頂いて」
「はい、御方さま」
呆然とするティーナの義兄の腕を、後ろから近衛の女性騎士が掴んだ。
彼の方もおそらくは騎士なのだろう、がっちりとしていて、体格的には背後の女性よりも恵まれている。とっさに腕を振り払おうとしたようだが、握る女性騎士の手にギリリと音が聞こえてくるほどの力が籠められ、それはかなわなかった。
「ま、待ってください!」
そこまで来てようやく、打ちひしがれ萎れている義妹の様子に気づいたのだろう。今更焦ったような顔をされても遅いのだ。
「いったい何がどう」
「化粧室で、使用人の男に乱暴されそうになっていました」
「はっ? どうしてそんな事に……。ティーナ、共もつれず化粧室に行ったのか? なんというはしたない!」
「……はしたない?」
メイラは、ビクリと肩を揺らし、再び全身で震えはじめたティーナの背中をそっと撫でた。
「ご自身が原因の一旦を担っているというのに、無事だったのかと気遣いもしないのですね」
「……わたしがですか?」
「そんな訳はないと胸を張るのはおやめなさい。腹立たしいだけです」
メイラはそっとティーナの頬に手を添えて、涙にぬれた顔を覗き込んだ。
デリカシーの欠片も見受けられないこの男は、実際の加害者ではないのかもしれないが、吐く言葉言葉で彼女を傷つけている。
「大丈夫よ、大丈夫」
今にも気絶してしまいそうなその様子に、不用意に彼を近づけてしまった事を悔やんだ。
「あとの事は……マロー、お願いできる?」
そう言ったきり、メイラは二度とティーナの義兄の方は見なかった。
そのかわりに、いまだ居座る気満々で紅茶のお代わりを所望する父と、対称的に落ち着かない様子のその孫とを、どうすればこの部屋から追い出せるか思案する。
まさか泊まるつもりでは……ないわよね?
もうこのまま男どものことは無視して、ティーナに休むように言ってもいいのではないだろうか。
不安そうに震えるウサギ……ではなく姪の、こげ茶色の髪をひたすらずっと撫でながら、長い長い一日がまだ終わってくれない事に軽い絶望感を抱いた。
足元が揺れたのは、そんな時だった。
違うのだ。
ティーナが気を持ち直した後、とりあえず今日はこの部屋に付随した予備の部屋(といっても広い)に泊める事になった。
何といっても今夜は夜会。宿泊客が多く、ただでさえ空き部屋が少ないうえに、そこが安全かどうかを判断する時間的余裕もない。
ここの続き部屋ならば調べてあるというルシエラの言葉に、何か企んでいる気はしたものの、疲労もピークに達していたメイラはつい同意してしまった。
メイラ自身が、ティーナがさらされているものとは比較にならない危険に付け狙われているのを忘れていたわけではない。巻き込む恐れがあるから駄目だと言うべきだった。すぐに父に責任を押し付け……もとい、一任しようとしてはみたのだが、とたんにまた涙ぐみ「やはりご迷惑ですわよね」と嘆かれてしまえば、一晩だけだと受け入れざるを得ない。
コンコン、と部屋の扉がノックされたのはそんな時だ。
こんな時刻に? といぶかしむメイラをよそに、マローが帯剣に手を置きながら来客を迎え入れる。
近衛の女性騎士にせっつかれ、入室してきたのは、見覚えのないくすんだ金髪の男だった。
……誰?
困惑したように室内を見回した男が、「ひっ」と怯えるティーナの姿に険しい表情になる。
それだけで、男の正体がわかってしまった。
おそらくは、何番目か分からないがティーナの義兄だ。
寝ていたところをベッドから強引に連れ出したのかもしれない。乱れた髪形と、着崩した服装……上着を着ていないどころか、シャツのボタンすら半分ほどしか止められていない。
「ティーナ! 一人で勝手にどこに行っていたんだ?!」
さも彼女が悪い、と言いたげな口ぶりに、メイラと同じタイミングでリオネル卿がイラッとしたのがわかった。
メイラは細かく震えているティーナの髪をひと撫でした。
彼女に辱めを与えようと計画していた一件に、この男がどこまで関わっているのかはわからない。がっつり主犯側の人間かもしれないし、逆に何も知らない可能性もある。
しかし、今の彼女の心底怯え憔悴した様子が見えているだろうに、心無い台詞を投げつける事自体が許しがたかった。
「……ルシエラ?」
男を部屋に招くのは感心しないと言っていたその口で、会いたくもない男を部屋に連れてきたのは間違いなく彼女の采配だ。
ジロリと睨むと、まだ気弱な女官の仮面を下ろす気がないルシエラが、怯えたように俯いた。
「御命令通りにお連れしました」
しおらしい白金髪のつむじを見ながら呼吸数回分の間をおいて、ようやくメイラの理解が追いついてきた。
確かに、ティーナを狼の群れに放り込んだ義兄を連れてこいとは言ったけれども!!
「わたくし、またなにか失敗してしまいましたでしょうか」
「……」
うるり、と濡れた瞳で見つめられ、言うべき言葉が頭から滑り落ちてしまった。
ここまでくれば、呆れも通り越して感心してしまう。
美しく嫋やかな女官であるルシエラは、誰が何をどう言おうが被害者の立場に立ち、相手を悪者にしてしまえるのだ。
意図的に作られたそのキャラクターに慄くべきか、怒るべきか。
迷いつつ、やはり釘を刺しておかねばなるまいと表情をけわしくすると、何を思ったか問題の義兄殿がいかつい顔を顰めながらメイラを睨み始めたではないか。
あっさりとルシエラの手管におちた男を、単純と言うべきか、人を疑わない気質だと言うべきか。
えてしてこういう人間は、自分が正しいと思う方が正義だと盲目的に信じて疑わない。
おそらく今彼の頭の中にあるのは、虐められている薄幸の女官と、当たりのキツイ尊大女とでもいったところだろうか。
メイラは、まったく興味はないとばかりに窓の外の方を向いて紅茶を飲んでいる父を恨みがましく一瞥してから、ため息交じりに首を振った。
「いい加減にしなさい」
「そんな、わたくしは精一杯っ」
ルシエラの、悲し気に俯けた顔は、非の打ちどころがないほどに美しい。繊細で、いまにも泣き崩れてしまうようなこの表情を見れば、男女違わずほとんどの人間が憐憫の情を抱くのだろう。
そして彼女を虐めるメイラは悪役で、きっと酷く嫌な女だと思われているのだ。
「……報告を」
「は、はい。御命令通りに、ハインズ伯爵家の御次男さまをお探ししましたところ、ファーン男爵未亡人の部屋に入られ、事に及ばれる寸前でございましたので、大急ぎで徴集致しました」
「……っ」
身もふたもない報告に真っ赤になったのは、当の本人と、聞きたくもないのに義兄の女性関係を聞かされた義妹だった。
「せっかくのお楽しみのところ、お邪魔するのは大変申し訳ないと思ったのですが……御方さまがお呼びでしたのでやむなく」
いや、こちらのせいにしないで欲しい。
それにしても、義理とはいえ妹の所在が不明なのに、よく女のベッドに潜り込もうとしたものだ。
「ああそう。ご苦労様」
急に、何もかもが面倒くさくなってきた。
疲れているのだ。すぐにもベッドに潜り込みたいのだ。
何の説明もせず、理解不能な行動を取るルシエラの御遊びに付き合ってあげる気力はないし、自身が正しいと信じ切っている男の相手もしたくない。
「夜も遅いので、手早く済ませましょう。……用件はひとつ。今夜貴方の義妹さんはわたくしが預かります。どうやら良からぬ輩に狙われているようで、それを貴方は守る気もなさそうですから」
「……はっ?」
「義理とはいえ妹、しかもパートナーの所在がわからなくなっているのに、探そうともせず楽しんでいらした方には何も言う資格はありません。彼女が無断外泊したなどという不名誉な噂が出ても困りますから、一応お知らせしただけです。……お引き取り頂いて」
「はい、御方さま」
呆然とするティーナの義兄の腕を、後ろから近衛の女性騎士が掴んだ。
彼の方もおそらくは騎士なのだろう、がっちりとしていて、体格的には背後の女性よりも恵まれている。とっさに腕を振り払おうとしたようだが、握る女性騎士の手にギリリと音が聞こえてくるほどの力が籠められ、それはかなわなかった。
「ま、待ってください!」
そこまで来てようやく、打ちひしがれ萎れている義妹の様子に気づいたのだろう。今更焦ったような顔をされても遅いのだ。
「いったい何がどう」
「化粧室で、使用人の男に乱暴されそうになっていました」
「はっ? どうしてそんな事に……。ティーナ、共もつれず化粧室に行ったのか? なんというはしたない!」
「……はしたない?」
メイラは、ビクリと肩を揺らし、再び全身で震えはじめたティーナの背中をそっと撫でた。
「ご自身が原因の一旦を担っているというのに、無事だったのかと気遣いもしないのですね」
「……わたしがですか?」
「そんな訳はないと胸を張るのはおやめなさい。腹立たしいだけです」
メイラはそっとティーナの頬に手を添えて、涙にぬれた顔を覗き込んだ。
デリカシーの欠片も見受けられないこの男は、実際の加害者ではないのかもしれないが、吐く言葉言葉で彼女を傷つけている。
「大丈夫よ、大丈夫」
今にも気絶してしまいそうなその様子に、不用意に彼を近づけてしまった事を悔やんだ。
「あとの事は……マロー、お願いできる?」
そう言ったきり、メイラは二度とティーナの義兄の方は見なかった。
そのかわりに、いまだ居座る気満々で紅茶のお代わりを所望する父と、対称的に落ち着かない様子のその孫とを、どうすればこの部屋から追い出せるか思案する。
まさか泊まるつもりでは……ないわよね?
もうこのまま男どものことは無視して、ティーナに休むように言ってもいいのではないだろうか。
不安そうに震えるウサギ……ではなく姪の、こげ茶色の髪をひたすらずっと撫でながら、長い長い一日がまだ終わってくれない事に軽い絶望感を抱いた。
足元が揺れたのは、そんな時だった。
0
お気に入りに追加
656
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる