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「そういえば、あれ、出来上がったぞ」

今私に声を掛けているこの男のせいで、指一本動かすのも億劫でぐったりとしている私に、いつもこの部屋の前に置かれている謎のドリンクを、手ずから飲ませながらふと思いだしたように言う。

今日もいつものように、計、十二回出してやっとスッキリとしたランスは、ツヤツヤと若さ漲る顔をしている。

対する私は、ミイラの様に干からびる寸前です。

「え、何??」

その顔に恨めしそうな視線を投げつつ、ややぶっきらぼうに答える。

 なんでそんなにツヤツヤ生き生きしてるんだ……。私の生気を吸い取って、る??

「ほら、これだろ?」

 何処から出したのか、渡されたものを見れば、その瞬間、疲労感がどこかへと吹き飛んでいった。


「えっ!? もう出来上がったの?!」

 指一本ですら動かすのも億劫だったのに、ガバリと起き上がってその包を恐る恐る受け取る。

 いつも思うんだけど、あのドリンク何が入っているんだろ?
 疲れが一瞬で吹き飛ぶほどの威力って凄すぎる。あんなに干からびていたのに、もう潤っている。
 
 でも中に入っている成分を聞いて、二度と飲めなくなっても困るから、未だに聞かないでいる。

 だってあのドリンクがないと、私、三百六十五日ベッドの人になること確実だし。


世の中知らないままでいるほうが幸せなことってあるよね!
私は気にしない、気にしない。




 それにしても、これ、すっごく欲しかったんだよね!!


 月に一回訪れる女性特有のあれの日に、使うものが日本で使っていたものとは形状も質も全然違っていて、慣れない私は使うたびにストレスを感じていた。
酷い時は一週間まるまる部屋から出られなくなってしまっていたので、それならば自分で作ってしまおう! とストレスフリーな肌触りで、吸収力抜群な形状を事細かく伝えて、試行錯誤で作っていてもらっていたもの。


 それがやっと完成した。


 恐る恐る袋を開けて、手に取りその出来を確認する。


 うん、これよこれ!! 私が求めていたものは!!


 あまりの嬉しさにそれを抱きしめたまま、つい部屋中に響き渡るほどの大きな声をあげてしまった。


「きゃ~~!!」

 だけどそれがまずかったらしい。


 せめて「ひゃっほう!!」とかにすればよかったと今更ながらに思う。


 「ねえランス、ありが……」

 『とう』と言い終える前に、突然この部屋のドアがバーン!! と蹴破る勢いで開けられ”侵入者か!? 暗殺者か!?”といつぞやを思いだす緊迫感にに包まれることになった。

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