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「おい、起きろ! いつまで寝ているつもりなんだ!」

 ゆさゆさと身体を揺すられる。

(ん――、起きる時間……? でも……ムリ……気持ちいい……) 

弱くもなく強くもない、絶妙な揺れ具合に一度は浮上しかけた意識がまた心地よく微睡んでいった。


「ちっ」

近くで誰かの舌打ちが聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。
それよりも、このふかふかの布団にサラッサラのシーツ、すごく気持ちいい。

抱き枕のように布団に抱き着いて寝返りを打つ。

 
 ……。

 ……。

 まって……、
 ふかふかの布団??
 サラッサラのシーツ??
 えっ、それ、誰の布団!?

ガバリと布団を持ち上げ起き上がった。


「ここどこ!?」

「俺の部屋だよ」

声のした方を振り向くと黄金の髪に群青の目が私に呆れたような視線を送っていた。

「えっ!! 誰!?」
「お前、まだ寝ぼけてんの? それなら起きるのに協力してやるよ」

「は?? えっ、ちょっ、待っ……んっ」
 
唇が触れたと思ったらそのままシーツに押し倒され、手を縫い付けられるように押さえられる。
唇にぴったりと合わさり、角度を変え何度も何度も呼吸ごと奪われた。
呼吸が苦しくなり酸素を求めて口を開けば、待ってましたとばかりにぬるりと熱い舌が中を掻きまわすように入って来た。執拗に私の舌を追い回し、吸い取られれば正常な考えは保てなくなる。
熱に浮かされたようにふわふわと揺らめいていき、快感に支配されてしまえば、『もっと』と欲を求めてしまう。
自然と太ももをこすり合わせ、腰が浮き上がってしまうが、頭の片隅では「何かおかしくないか」と考えが浮かび上がっている。しかし、このキスがうますぎる男から与えられる気持ちよさに抗うのがなかなかの至難の業ではある。
認めたくはないが、誰だか知らないこの男はキスが上手い。つい流されてしまいそうになるが、残された理性で「ちょっとまて」と赤信号を灯らせることに成功した。
震える手で、必死に男の肩を押せば、唇が離れ、光る糸が私とこの男との唇を繋いでいるのが霞む視界に映った。

「はっ、ん……、はぁ、はぁ、んっ……ちょっと待って、も、わかったから! 起きたから!! だから、」
「起きたんならいいな。あぁ……もうぐちょぐちょに濡れて準備万端だな」

”だからちょっと待って” と続くはずだった言葉は掻き消された。

 呼吸すらも全部持って行かれるのではと思うほどの激しい口づけを受けながらも理性で堪え、「待て」と必死に訴えたのだが、呼吸を整えていた一瞬の間に、手早くに服を脱がされていた。
そして「起きているのならばよかった。忘れずにしっかりと刻めよ」と、耳元で囁かれ、足の間の秘められた場所を、さっきとは違って優しくさする様に触れられた。

耳元のいい声と、緩急のギャップに先ほどからキュンキュンとしてしまい、もうすでに自分でもかなり濡れてしまっていることに気づいている。
そしてそれはきっとこの男にも気づかれているのだろう。いとも簡単に秘められた場所を暴かれ、一気に入れられた二本の指で熱く濡れ傍った中をグチュグチュと掻きまわされた。

「はあっ、ああんっ、あっあっ、あ――っ!!」

すでに敏感になっていた場所に刺激が与えられ限界を感じていたのに、小さな突起も一緒にこね回されて、すぐにイッてしまった。

 イった後の余韻が収まらないうちにクルっと後ろにひっくり返され、そのまま後ろから伸し掛かるようにして熱い楔を打ち込まれた。

「いゃぁ……!! おっきぃ!!」
「はっ……しまるっ」

逞しい腰の動き、衰えることのない打ち込むスピードで喉が枯れるまでイかされ続けた。



――そして再び目覚めたのは、夕方を過ぎたころだった。
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