66 / 77
66
しおりを挟む
そんなことを考えながら目の前の様子を微笑ましく眺めていたら、ふと隣から私に向けられている視線を感じた。
振り向けばエルストさんと目が合う。
「これ、いただけますか?」
お守りを乗せた手のひらを私に向ける。
「え、それを? いえ、また新しいのを作ります!」
「いいえ、これがいいんです。もともと私のために作ってくれたものですよね? そして、あなたの命を救ったもの。このお守りを私が持っていたいんです。だから、私にくれますか?」
そうだった。それは、エルストさんにあげるために作ったことをさっき私が喋ったのだった。
「はい。エルストさんのために作ったものです。それでよかったらどうぞ貰ってください。でも、今度また新しいのも作るので、それも貰って欲しいです」
「ありがとうございます」
凄く嬉しそうに、そして今まで見たこともないキラキラしい満面の笑みを向ける。
その笑顔にドキッとした。
赤くなる顔をちょっと下に向けながらも、エルストさんをよくよく見ると、今日もまたあの時と同じ白い騎士服を着ている。
実は今日ここに集まった時に聞いたのだが、エルストさんは宰相であるお父さんの仕事を覚えるために補佐をやっているのであって、本当は騎士団の団長が本職? だったのだ。
騎士団の団長。
それであの強さだったんだ。納得。
それにしても昨日は月明かりの下だったから妖艶さの漂うの格好良さだったけれど、今、太陽の下で見るエルストさんは銀の髪と白い騎士服が太陽の光を受けて明るくキラキラと光っている。また柔らかい表情で佇んでいるのもすごくマッチしていて、格好良さが際立っている。
ものすごく格好いい。
その姿を見たら余計に顔に熱がこもるのを感じる。
チラリと顔を見たら、私をずっと見ていたらしいエルストさんとまた目が合う。
「どうしました?」
若干、性格まで変わっているように思う。
今までだったら、クールに意地悪く笑うことが多かったのに、さっきから爽やかさ全開でなんだか、赤くなるのが止まらなくて非常に困るのだが。
エルストさんってこんな人だったんだ。
赤い顔をまじまじと見られるのが恥ずかしくて手で覆いながら隠していたのだが、ふとあることを思いだして、口を開く。
「そういえば、あの、おそくなりましたが、助けに来てくださりありがとうございました。それと、もう一度王家の森に連れて行っては貰えませんか? もう一度やらせてください」
次は絶対に失敗しないと思う。
だって、私の心はここにあるのだから。
私の言葉にさっきと同じに朗らかに笑ってくれている。
「わかりました。ローランス王太子殿下に聞いてみて、明日にでも行きましょうか」
「はい」
ローランス王子は正式に王太子になって、時期国王に決まった。
あの人なら、この国を良い方向へと導いてくれると思う。
明日。
明日私はこの国で私の運命と向き合うーー。
振り向けばエルストさんと目が合う。
「これ、いただけますか?」
お守りを乗せた手のひらを私に向ける。
「え、それを? いえ、また新しいのを作ります!」
「いいえ、これがいいんです。もともと私のために作ってくれたものですよね? そして、あなたの命を救ったもの。このお守りを私が持っていたいんです。だから、私にくれますか?」
そうだった。それは、エルストさんにあげるために作ったことをさっき私が喋ったのだった。
「はい。エルストさんのために作ったものです。それでよかったらどうぞ貰ってください。でも、今度また新しいのも作るので、それも貰って欲しいです」
「ありがとうございます」
凄く嬉しそうに、そして今まで見たこともないキラキラしい満面の笑みを向ける。
その笑顔にドキッとした。
赤くなる顔をちょっと下に向けながらも、エルストさんをよくよく見ると、今日もまたあの時と同じ白い騎士服を着ている。
実は今日ここに集まった時に聞いたのだが、エルストさんは宰相であるお父さんの仕事を覚えるために補佐をやっているのであって、本当は騎士団の団長が本職? だったのだ。
騎士団の団長。
それであの強さだったんだ。納得。
それにしても昨日は月明かりの下だったから妖艶さの漂うの格好良さだったけれど、今、太陽の下で見るエルストさんは銀の髪と白い騎士服が太陽の光を受けて明るくキラキラと光っている。また柔らかい表情で佇んでいるのもすごくマッチしていて、格好良さが際立っている。
ものすごく格好いい。
その姿を見たら余計に顔に熱がこもるのを感じる。
チラリと顔を見たら、私をずっと見ていたらしいエルストさんとまた目が合う。
「どうしました?」
若干、性格まで変わっているように思う。
今までだったら、クールに意地悪く笑うことが多かったのに、さっきから爽やかさ全開でなんだか、赤くなるのが止まらなくて非常に困るのだが。
エルストさんってこんな人だったんだ。
赤い顔をまじまじと見られるのが恥ずかしくて手で覆いながら隠していたのだが、ふとあることを思いだして、口を開く。
「そういえば、あの、おそくなりましたが、助けに来てくださりありがとうございました。それと、もう一度王家の森に連れて行っては貰えませんか? もう一度やらせてください」
次は絶対に失敗しないと思う。
だって、私の心はここにあるのだから。
私の言葉にさっきと同じに朗らかに笑ってくれている。
「わかりました。ローランス王太子殿下に聞いてみて、明日にでも行きましょうか」
「はい」
ローランス王子は正式に王太子になって、時期国王に決まった。
あの人なら、この国を良い方向へと導いてくれると思う。
明日。
明日私はこの国で私の運命と向き合うーー。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話
象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。
ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。
ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ハズレ令嬢の私を腹黒貴公子が毎夜求めて離さない
扇 レンナ
恋愛
旧題:買われた娘は毎晩飛ぶほど愛されています!?
セレニアは由緒あるライアンズ侯爵家の次女。
姉アビゲイルは才色兼備と称され、周囲からの期待を一身に受けてきたものの、セレニアは実の両親からも放置気味。将来に期待されることなどなかった。
だが、そんな日々が変わったのは父親が投資詐欺に引っ掛かり多額の借金を作ってきたことがきっかけだった。
――このままでは、アビゲイルの将来が危うい。
そう思った父はセレニアに「成金男爵家に嫁いで来い」と命じた。曰く、相手の男爵家は爵位が上の貴族とのつながりを求めていると。コネをつなぐ代わりに借金を肩代わりしてもらうと。
その結果、セレニアは新進気鋭の男爵家メイウェザー家の若き当主ジュードと結婚することになる。
ジュードは一代で巨大な富を築き爵位を買った男性。セレニアは彼を仕事人間だとイメージしたものの、実際のジュードはほんわかとした真逆のタイプ。しかし、彼が求めているのは所詮コネ。
そう決めつけ、セレニアはジュードとかかわる際は一線を引こうとしていたのだが、彼はセレニアを強く求め毎日のように抱いてくる。
しかも、彼との行為はいつも一度では済まず、セレニアは毎晩のように意識が飛ぶほど愛されてしまって――……!?
おっとりとした絶倫実業家と見放されてきた令嬢の新婚ラブ!
◇hotランキング 3位ありがとうございます!
――
◇掲載先→アルファポリス(先行公開)、ムーンライトノベルズ
冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!
仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。
18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。
噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。
「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」
しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。
途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。
危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。
エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。
そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。
エルネストの弟、ジェレミーだ。
ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。
心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――
【R-18】逃げた転生ヒロインは辺境伯に溺愛される
吉川一巳
恋愛
気が付いたら男性向けエロゲ『王宮淫虐物語~鬼畜王子の後宮ハーレム~』のヒロインに転生していた。このままでは山賊に輪姦された後に、主人公のハーレム皇太子の寵姫にされてしまう。自分に散々な未来が待っていることを知った男爵令嬢レスリーは、どうにかシナリオから逃げ出すことに成功する。しかし、逃げ出した先で次期辺境伯のお兄さんに捕まってしまい……、というお話。ヒーローは白い結婚ですがお話の中で一度別の女性と結婚しますのでご注意下さい。
皇帝陛下は皇妃を可愛がる~俺の可愛いお嫁さん、今日もいっぱい乱れてね?~
一ノ瀬 彩音
恋愛
ある国の皇帝である主人公は、とある理由から妻となったヒロインに毎日のように夜伽を命じる。
だが、彼女は恥ずかしいのか、いつも顔を真っ赤にして拒むのだ。
そんなある日、彼女はついに自分から求めるようになるのだが……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
義兄様に弄ばれる私は溺愛され、その愛に堕ちる
一ノ瀬 彩音
恋愛
国王である義兄様に弄ばれる悪役令嬢の私は彼に溺れていく。
そして彼から与えられる快楽と愛情で心も身体も満たされていく……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる