その花びらが光るとき

もちごめ

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コンコン。
「お連れしました」
「入れ」

 ガチャッとドアが開き、中へと入る。

「失礼します」

 ドアを開けてくれたジークさんに続き、私、ミルリーさんと順に中へと入る。

 執務室の応接セットではローランス王子と、エルストさん。
 それに私と、一緒に付いてきたジークさんとミルリーさんが静かにお茶を飲んでいる。

 ……なんだか奇妙なメンツ。……いいのかな、これ。


「ユナさん、昨日、我の弟のレネットと接触したようだね。弟が何か気に障ることをしたのではないかい? 申し訳なかったね」

 カップを置き、申し訳なさそうにその綺麗な顔を曇らせている。

「いえ、そんなことないです。ただ自己紹介をし合っただけですので」
「本当にそれだけですか? 報告によると、レネット王子に誘われたそうではないですか」
 エルストさんが長い足を組み換え、疑うような目を私に向ける。


 ……何だろ、前に座る二人、何をしても優雅で、すごい絵になる……。


「あ、はい。そんな事もあったかもしれないですけれど、ちゃんと断ったので」

 二人に見とれていたため、返事が遅くなってしまった。
 やだな、欲求不満にみられてないよね。


「ユナさんには申し訳ないけれど、今後はあまりレネットとは接触しないで欲しいんだ。この王宮は今とっても複雑な状況にあってね。いつこちらが不利な状況に陥るかわからない。なるべく不安要素は作りたくないんだ」

 そう言った王子は顔を曇らせている。
 だから、それでも絵になってます……。
 イケメン、恐るべし。


 やはり、昨日会った第三王子とは後継者争いで対立しているということだろう。
 迂闊にいろいろと喋らなくて良かった。
 あの王子、胡散臭かったし。


「あなたには申し訳ないですが、あなたの後見が第一王子のローランス王子である以上、こちらの陣営ということになります。ここにいる者たち以外にあまり接触をしないようにしていただきたい。こちらの情報がいつ、どこから漏れるかわかりませんので」

「あ、はい。もちろんわかっていますし。むしろ、ローランス王子に後見になっていただいて感謝しています」

 昨日のレネット王子を思いだすと鳥肌が立つ。
 かわいい顔をしていたが、アレはダメだ。何かよからぬ感じがする。
 本能が危険だ! と告げているから絶対に関わりたくない。

 そういえば、と気になったことを聞いてみる。


「ジークさんたちもこちら(ローランス)側だったんですね。嬉しいです」

 じっと成り行きを見守って、静かに私の右側に座っているジークさんに声を掛けた。

「はい。今後ユナ様には第三王子派と接触することがないよう、しっかり守らせていただきますので安心してください」
 
 いつものキラキラの笑顔に自信をみなぎらせ、力強く感じた姿に、胸がキュンとした。

「昨日は私たちが付いていながら本当に申し訳ありませんでした」
 みんなにお茶のお代わりを配っていたミルリーさんが、突然、申し訳なさげに謝って来た。

「ミルリーさんが悪いわけではないです」

 むしろ、あの王子相手に対抗できる人は同じ王族以外にいないだろう。
 それなのに昨日は、不敬を覚悟で助けてくれた二人の勇気にとても感謝している。

「ジークとミルリーは今以上に女神の周囲に気を配るように」
『「はい」』

「あなたも、何かあればすぐに言ってください」

 エルストさんが、心底心配そうな顔を私に向けた。
 本気で心配してくれていることに嬉しく感じる。
 安心させるため出来得る精一杯の笑顔でニッコリと笑った。

「はい、ありがとうございます」
 

 執務室を出て、三人で廊下を歩く。


 前を歩くジークを見ながら、さっき部屋で話してたことをぼんやりと思い出してみる。


 やっぱり、ここは私が住んでいた国とは全然違うな。
 王宮、王子、女神、魔法なんて本の中の空想の事物だと思っていた。

 窓の外をみると、自分が今まで見ていた日本の景色とは違う。
 ファンタジーな世界観に、どうしても今この場所にいることに現実味が湧いてこない。
 本当は、もしかしたら夢の中にいるんじゃないかって思う。

 だけど、今、私はここにいて、これが実際に身に起こっている現実なんだよな……。


 なんだか未だ夢の中にいるように実感が湧かないけれど、これからは気を引き締めてしっかりとこの現実を見ていこうと思う。

 
 だって、よくわからない後継者争いとかに巻き込まれて散々な目に合うのとか嫌だし。

 異世界でバッドエンドとか迎えたくないし……。

 まずは、あの第三王子には絶対に会わないように気を付けようと思う。

「うん、良し! 頑張る!!」

 気合のポーズが決まったところで自分の部屋に着いた。






***

 「あああっ、いいっ! はぁんっ、はぁ……んっ」

 腰をくねらせ、光悦とした表情で媚びるような甘ったるい声を上げている女を、冷めた目で見降ろし、己の肉棒を最奥に何度も激しく穿つ。

 「あっ、あっ、あんっ!!」

 耳障りな声を聴くのが嫌になり、女の腕を引き、乱暴にうつぶせにさせて、シーツに顔を押し付けるようにして後ろから何度も激しく打ち付けた。

「ん―――――っつ!!!」

 くぐもった女の声が一瞬高く響き、全身が痙攣して達した瞬間、女の中が全てを搾り取ろうときつく締め付ける。

「くっ……」

 埋め込んでいた己の肉棒をズルリと引き抜き、いまだひくついている女の背中に白濁をぶちまけた。


「はぁ、はぁ……。おい、いつまで寝てるつもりだ。お前にもう用はない。早く出ていけ」

 シーツに顔を埋め、余韻に浸っていた女は告げられた言葉に焦りを浮かべて、今さっきまで睦み合っていた男に縋り付こうとする。

「レ、レネットさま……」

「寄るな、汚らわしい」

「きゃっ!!」

 近寄って来た女に侮蔑の目を浴びせて跳ねのけ、ドアの外に控えている男を呼んだ。

「リンド、この女を連れてけ」

「はい」

 リンドと呼ばれた男は情事の跡が残る様子に眉一つ動かすことなく、唖然としている裸の女を引きずるように部屋の外へと連れて行った。

 一人残ったベッドの上で、自身の放った白濁を眺め口元を歪ませる。

「あの純粋そうな女神を汚したら天罰が下るかな。くくっ、早く滅茶苦茶に汚してやりたい」

 白濁を指に摂り、女神を凌辱する姿を想像しながら、光悦とした表情を浮かべた――。
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