【第2話完結！】『２次元の彼R《リターンズ》～天才理系女子（りけじょ）「里景如志（さとかげ・しし）のAI恋愛事情～』

あらお☆ひろ

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第２話「２次元の彼R《リターンズ》」

⑨「襲撃」

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⑨「襲撃」

　午後８時、インターホンが鳴った。入浴の準備していた弾嗣が調理準備に入っていた如志に代わり、インターホンに出た。受信モニターには、佐山急便のユニフォームを着た男が小さな段ボール箱を持っている姿が映っている。その後ろにもう一人の男の影が映り込んでいるが、インターホン待ちの人だろうと思い、気にはならなかった。
「如志さん、宅配便屋さんですよ。」
「あぁ、電話で聞いてるから持ってきてもらって。」

　１分後、玄関前の呼び鈴が鳴った。「はーい、今でまーす！」と弾嗣が玄関のロックを開けた瞬間、ドアが思い切り引っ張られ、弾嗣はよろけた。
「乱暴なドアの開け方しないでくださいよ！」
と弾嗣が少し怒った言い方をしながら、前に視線を向けると大きなコンバットナイフを持った２人の男が立っていた。
　慌てて、ドアを閉めようとノブを引くが一人の男の靴が玄関に差し込まれているためにいくら頑張ってもドアは閉まらない。弾嗣はキッチンで料理中の如志に叫んだ。
「如志さん、逃げて！ナイフを持った男が来た！」

　宅配便のユニフォームを着た男が力任せにドアを表から引いたので、弾嗣の手からドアノブがすり抜けドアが思い切り開かれた。慌てて、弾嗣は廊下を部屋奥に走り、フライパンを持った如志を部屋の奥に逃がし、その前に立ちふさがった。
　２人の男は刃渡り３０センチ以上のナイフを手に玄関を入ると、ドアのロックをかけた。男達は、土足のまま部屋に上がり込んできた。（何か武器になるものは…。僕が如志さんを護らなきゃ！）と弾嗣は部屋中に視線を回したが、キッチンに置かれた包丁は、入り込んできた男たちの後ろになり取りに行ける状況ではない。（今、使えそうなのはこれだけか…。）と弾嗣はソファーテーブルの上に目をやった。

　２人の暴漢のうち一人が低く「ドス」の聞いた声で言った。
「里景如志さん…だっけか？あんたのせいでうちのグループは壊滅や。３年かかって作った組織が今や俺とこいつとあと1人しか残ってへん…。兄ちゃんが一緒に居るのは予想外やったけど、結果は同じや。
　兄ちゃんにはこの場で死んでもろて、里景さんには「死んだほうがましや」という「辱め」を受けながら、しっかりと失った俺らの利益を補填してもらう「報い」を受けてもらわなあかんからな。」
と言い、一歩ずつ距離を詰めてくる。

　「出ていってください。警察を呼びますよ！」
如志が震える声で、男たちに言ったが、一人の男が食卓の上に置かれた如志と弾嗣の２台のスマホにガンガンと二回ナイフを突き刺し、刃先で液晶画面を貫き串刺しになった２台のスマホを突き出して言った。「あーあ、これで１１０番も掛けられへんようになったな。どないする？」
（万事休す…）と如志が思った瞬間、弾嗣が叫んだ。
「AI快撥、強盗だ！救助を求めて！」

　部屋に会ったコンピュータのモニターに「ＡＩ快撥」が映し出されると同時に、カメラモニターに映るナイフを持った２人の暴漢を「ＡＩ快撥」は認識した。大型テレビに電源が入り、液晶画面の音量モニターのゲージがあがり、目いっぱいの「１００」を示すと「５０３号室に強盗です。近隣の住民の皆さん、今すぐ１１０番通報してください。」と耳をつんざく大音量でテレビのスピーカーが鳴り響いた。

　不意の状況に一瞬たじろいだ暴漢に弾嗣はソファーテーブルの上に置かれた父親の形見の古く分厚く重いタブレットをつかみ上げると思い切り投げつけた。旧式の重いタブレットはくるくると回転しながら後ろにいた男の鼻の付け根にあたり、男は後ろに倒れた。
　「如志さん、今や！逃げて！」と叫ぶと、そのまま、弾嗣は立っている男のみぞおちに頭からタックルした。男は一瞬たじろいだが倒されること無く「ふざけんな！」とナイフを振り上げると弾嗣の背中にためらうことなく振り下ろした。

　「弾嗣君！」如志が悲鳴を上げると同時に手に持っていた熱せられたポークソテーが乗ったフライパンを男の顔に向け叩きつけた！
「ぎゃおっ！」男は焼けた肉と油を顔に浴び、フライパンで横っ面を叩きつけられ、横に倒れた。
「如志さん、逃げるよ！」
　弾嗣は如志の手を引き、倒れた２人の暴漢を踏みつけ玄関へ走った。震える指で何とかロックを外し廊下に飛び出すと両隣の住民が何事かと顔を出していた。
「警察を呼んでください！お願いします！」
と弾嗣は叫び、エレベータホールに急いだ。急いで「下行き」のボタンをガチャガチャと繰り返し押すが、運悪くエレベーターは１階に降りており、なかなか上がってこない。

　廊下の向こうから「きゃーっ！」と女の悲鳴が聞こえると同時に、２人の暴漢がこちらに向かって駆けてくるのが見えた。（間に合ってくれ！）ようやく５階に着いたエレベーターに如志を放り込むと、弾嗣も飛び込み１階のボタンを押すと同時に、「閉じる」のボタンを押した。男たちの姿が５メートルの地点でドアは閉まり、エレベータは下に降りて行った。

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