『2次元の彼R《リターンズ》~天才理系女子(りけじょ)「里景如志(さとかげ・しし)のAI恋愛事情~』

あらお☆ひろ

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① 「プロローグ ニューヨークタイムスの記事」

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『2次元の彼~天才理系女子りけじょ「|里景如志さとかげ・しし」のAI恋愛事情~』

① 「プロローグ ニューヨークタイムスの記事」

 「世界の大地を作ったのは神」であるというのは、清教徒にとっては常識であり、世界の真理であると多くのキリスト教信者の人々は口にする。しかし、「神は我が街を3分の1しか作っていない。」と言い切るのは、アメリカの東海岸北部にあるマサチューセッツ州の大都会「ボストン」の住人である。
 マサチューセッツ州は面積的には全米第44位の27,336平方キロしかないが、全米15位の700万人余りの人口が暮らしている。州の面積の4分の1におよぶ約7,000平方キロは水域であり、陸地は2万平方キロほどである。
 1670年9月7日にイングランドから来た清教徒たちによって貿易港として発達したマサチューセッツ州は臨海地区にあった湿地、沼地、波止場の切れ込み内を埋め立て、1890年までに陸地の面積は3倍に広げた為、「ボストンの街は「自分たちの先祖がった」と言われるのである。

 貿易で栄えたマサチューセッツの街は、恵まれた財力により経済だけでなく文化・学術面でも繁栄した。ボストンは「アメリカのアテネ」と評されるように「ボストン大学」、「ハーバード大学」、「マサチューセッツ大学」と数多くの大学が存在し、その学生人口は25万人を超える。
 ボストン中心部のファミリー用アパートメントに住む「里景如志さとかげ・しし」は、世界のトップ5大学と言われる「ケンブリッジ」、「オックスフォード」、「ハーバード」、「スタンフォード」と並ぶマサチューセッツ州ケンブリッジにある「マサチューセッツ工科大学」の修士課程を2022年6月1日に「飛び級」で20歳の若さで3日前に卒業したところであった。
 朝食のサンドイッチとアメリカのメジャー新聞の「USAトゥデイ」の朝刊を買いにアパートの向かいのコンビニに出かけると「如志しし、MITの卒業おめでとう!就職はこっちに残るのかい?それとも日本に帰るのかい?」となじみの店長が声をかけてきた。
「うん、急にお父さんが帰国することになったんで、私も家族と一緒に日本に帰ることにするわ。この街にいる「意味・・」も無くなっちゃったんでね。今まで、ありがとう…。」
と呟き8ドルを払うとアパートに戻った。

 テレビをつけ、「本場イングランド産」の紅茶を入れるとサンドイッチを頬張りながら「USAトゥデイ」を開いた。昨日はこれといった事件は無く、テレビは地元スポーツチームの試合結果のテロップをキャスターが読み上げ、地元の天気予報に切り替わっていた。
 如志は、新聞に視線を移し書かれている文字を目で追うものの全く頭に入ってこない。(あぁ、何のためにMITを首席で卒業したんだろう…。「人生最高の日」の翌日に「人生最悪な日」を迎えることになるなんてね…。あぁ、私は世界一不幸な女の子かもしれないな…。センチメンタルジャーニーでもしようと思ってたけど、お父さんが急遽帰国だもんね…。ボストンの街にいる必要もなくなったところだから、いいけどね…。はぁ…。)とため息をついた瞬間、一つの小さな記事に目を奪われた。
 心拍数は一気に上がり、新聞を持つ手が震えた。「日本人コンピューター技師のミスター「ソフト」自殺。」との見出しだった。
「えっ、祖父斗そふと先生が!一昨日あったばかりじゃない。しかも、デートの後「僕には大事な妻と子供がいるんだ。如志ちゃんも「良い人」が見つかるといいね!」って思いっきりの笑顔で私を「ふった」ばかりじゃない。なんで自殺なんか?」
思わず声を出して記事の続きを読んだ。

 新聞記事は、アメリカの生成AIの対話型チャットシステムとの技術特許裁判で敗訴した50歳の日本人コンピュータ技師「タケトシ・ソフト」が大阪府門真市で自殺したとの記事だった。
 記事の内容は「自殺」したとのセンテンスの後、「「タケトシ・ソフト」の死去に伴い、「タケトシ・ソフト」が作成したとされる生成AI対話型プログラム「CGTT(コンピューター・ゲネレーティブプログラム・トーキング・トランスフォーマー)」はアメリカのコンピュータメーカーが開発した生成AIチャットシステムの模倣品として扱われ、アメリカ企業の権利が守られた。」という内容だった。
 (あー、びっくりした。「祖父斗先生」と全然関係ないじゃない。日本の門真の別人なのね。「祖父斗先生」も「プログラミングドクター(博士)」だけど、この日本の「ソフト」って苗字でプログラマーだったんのね。偶然とはいえびっくりさせられちゃった…。まあ、けちょんけちょんにふられた私にはもうどうだっていい話だけどね。くすん。)

 如志は、「USAトゥデイ」を折りたたむと、残ったサンドイッチを口に放り込むとすっかり冷めた紅茶で一気に喉奥に流し込んだ。
「さあ、6日には10年ぶりの日本に帰国ね。ちゃちゃっと荷物整理しないとね。10年分の思い出も、私の「初恋」もこの街に置いていくとするか。まあ、「2次元の彼」は私がどこに行こうとついて来てくれるから寂しくはないけどね…。」
と強がりを呟きつつ部屋に戻り、荷物の整理を始めた。




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