『私たち、JKプロレスラーズ２ ～マリブ・プレスクール訴訟阻止事件編～』【こども食堂応援企画参加作品】

「潜入準備と新たな仲間」

「潜入準備と新たな仲間」

　翌日、アグネスの携帯電話にセシルからメールがあった。「放課後、マチルダと一緒にデイリーＬＡに来れるか？」、「夜中は外出することができるか？」という内容だけで詳細は全く不明だった。「大丈夫。」との返事を送り返すと「放課後、校門前に迎えに行く」とだけ送られてきた。
　授業が終わり、ＬＡＬＷＥに電話をすると、偶然にもラマダが出た。
「あんたたち、ここんとこ練習に来ないけど、また変なことに頭突っ込んでんじゃないでしょうね！？」
と言われ、ギクッとしたが、
「試験の成績が悪く補習授業が続いているんです。しばらく、練習には出れそうにありませんので。」
とうそをついてごまかした。
「基礎運動だけはしっかりとやっとくんだよ！あと、危ないことはしないように！セシルによろしくね！」
と優しく声をかけてもらい電話を切った。
「バレてたね。」
「ラマダの勘にはかなわないね。」
とアグネスとマチルダは校門に向かった。

　校門の先に、セシルは車を停めて待っていた。
「まずは、デイリーＬＡに行くぞ。そこで、概要を話す。俺の仲間も来る。で、日が暮れたら、マリブ・プレスクールに潜入だ。」
とだけ言って車を走らせた。車内は、重苦しい雰囲気で会話は無かった。
会議室には、デイリーＬＡの編集長と２人の大柄な男がいた。セシルから
「こいつら昔からの俺の相棒。ＬＡＬＷＡで一緒にマスクマンやってる仲間で、こっちがデビッド・マッキャンベル。大きい声では言えないが、ロス市警の監察医だ。で、こっちがユジン・バレンシア。整体師で体術マニアだ。」
「よろしく。」
とアグネスとマチルダは、デビッドとユジンと握手を交わした。

　セシルはホワイトボードの前に立ち、
「デビッドは、訴訟を起こした園児のカルテやレントゲンを確認してもらい、昨日、訴訟を起こした園児の身体を確認してもらった。ユジンは、整骨院の客にマリブの客がいて、情報を持ってきてくれた。何となくではあるが、事件の真相と背景の仮説は見えてきたが、どうも決め手に欠ける。そこでアグネスとマチルダに今晩の計画について切り出した。
今夜、マリブ・プレスクールに忍び込んで、警察には内緒で事務所でいろいろと調べものをするのに、お前さんたちに協力してもらいたいってわけだ。」
「えぇ、園長先生には、昨日許可をとってるから。園児たちのリストや出入り業者の名刺のある場所、パソコンのパスワードは聞いているわ。」
「セキュリティーの解除方法もね。」
とアグネスとマチルダが答えた。

「じゃあ、アグネスは園内と事務室の見取り図を描いて、ユジンに説明してやってくれ。マチルダは、リストや名刺の入っているロッカーと机の鍵の位置とパソコンのパスワードをデビッドに教えてやってくれ。」
「はい。よろしくお願いします。」
と２組のペアに別れようとしたところセシルが
「で、俺たち３人で話し合ったんだが・・・、今回の潜入調査は、非合法なものだ。お前さんたちは、園の中には入らず、帰れ。後は、俺たちでやる。」
とふたりの顔を見ず、背中を向けたまま言った。
「嫌です！最後まで一緒にやらせてください！」
「邪魔はしません！私たちの手で先生たちの無実を証明したいんです！」
「それがだめというなら、もうこれからは私たちだけで動きます。」
「今更、私たちだけ安全なところで見ているなんてできません！」
「デビッドさんやユジンさんだってリスクを背負って手伝ってくれてるのに。園長先生・・・、マリー先生・・・。」
とマチルダが泣き出してしまった。

「おい、セシル、彼女らも連れて行ってやれよ。」
とデビッドがマチルダの背中に手を添え、つぶやいた。
「そうだよ、ここまで来たら、みんな仲間だろ。彼女らの先生たちへの思いを一緒に届けてやろうじゃないか。」
とユジンが続けた。
「仕方ねえな。あくまで、今回俺たちがやろうとしてることは、非合法だ！捕まりゃ、犯罪だ！それでも行くか？」
と振り返り、アグネスとマチルダの目を見て、セシルが確認する。
「はい！行きます！私たちも連れていってください。」
ふたりは同時に答えた。