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「プロローグ」
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『私たち、JKプロレスラーズ2 ~マリブ・プレスクール訴訟阻止事件編~』
「プロローグ」
LAの高校に通うアグネス・リッケンバッカーとマチルダ・ルークは、家がお隣同士の幼馴染みの17歳。アグネスは空手、マチルダは柔道の達人。現在は学校に内緒で「LALWEに所属する人気者のマスクレスラーだ。アグネスの視力は5.0、マチルダの聴力は犬並みと特殊な身体能力を持っている。
入門して半年、アグネスとマチルダは、すっかり準レギュラーレスラーとして活躍中だ。先輩レスラーたちに混ざり、リングでのファイト技術もあがってきている。
練習場で団体のエースレスラーのラマダ・ペックが、
「アグネス、マチルダ、あんたたち、春休みは興行に参加できるのかい?できるなら、あんたらペアでの出場を考えてるから、新しい技でも覚えときな!」
「はい、出たいです。でも、新しい技ってなると何から覚えたらいいのか?ねぇ、マチルダ。」
「そうよね、夢は大きく「ジャーマンスープレックス」や「ブレンバスター」だけど、今の私たちの力じゃ、とても持ち上げたり、たたきつけたりするのは無理ね。アグネス、もっともっと力をつけなきゃね!ラマダさんは、何がいいと思いますか?」
「そうだねぇ、見た目が派手で、覚えやすい技でいいから、いろいろ試してみな。やりたい技が決まったら、稽古つけてやるよ!」
デビュー戦でのファイト中にアグネスが発見したスリの現行犯逮捕事件の後、CATVや地元メディアに取り上げられ「アグネス仮面」、「マチルダ仮面」は、ロス市警の犯罪防止キャンペーンでCATVで放送されている。「悪い事する奴は、私らふたりがゆるさない!と悪者をマチルダ仮面が背負い投げして、アグネス仮面が飛び蹴りでやっつける」というCMのおかげで子供達にも大人気だ。
ある小春日和の日曜日、LALWEでのロサンゼルスの西部にあるマリブでのマリブ・プレスクールの園児達を招待しての興行が行われた。試合後、控え室にマリブプレスクールの園児達30名と園長先生とその長女のマリーがあいさつに訪れた。子供達と写真を撮ったり、抱っこしたりと、暫しの楽しい時間を過ごした。
園長先生とその長女マリーからリーダーのラマダ・ベックに幼児達に護身術の講習の依頼があり、アグネスとマチルダがその担当を任せられる事になった。
週に1回、マリブ・プレスクールでの園児向けの護身術教室が開催された。マスクレスラーとして通い始めたアグネスとマチルダも週に1回の園児たちとの時間を楽しみにしている。園児達に混じってマリー先生も講習を受けている。
ある日、アグネスとマチルダが下校中に「ちょっと待って!マリー先生の声だ!」とマチルダが気づいた。マチルダは犬並みの聴力を持っている。アグネスが500メートル先にマリブプレスクールの送迎バスを見つける。アグネスの視力は5.0ある。スクールゾーンのバス停に違法駐車した2人の若者と何やらもめているようだ。
ひとりの男に胸ぐらをつかまれるマリーを守る為、2人の男の子と1人の女の子の園児が男たちに挑みかかるが、男達に突き飛ばされ、蹴られ、放り投げられる。
「子供たちに何をする!」
怒ったマリーが男の手をアームロックで背中に搾り上げる。
「痛え!」
叫ぶ男の声に反応し、もうひとりの男がマリーの右脇を蹴り飛ばす。マリーは3メートルほど吹っ飛ばされ、うずくまった。
「お前ら、男のくせに女子供に暴力振るいやがって!」
「許さねえぞ!」
とダッシュで駆け付けたアグネスとマチルダ。ロス市警のCMと同じように、背負い投げと飛び蹴りで2人の男たちをやっつけた。
「覚えてやがれ!」
とお決まりのセリフを残し男たちは車で逃げて去った。アグネスの5.0の視力で車に貼ってある社名であろう「U&Kエステート」のステッカーと車のナンバーのメモを取った。
マチルダが歩道にうずくまるマリーを助け起こしに行くと左腕が良からぬ方向に向いている。
「左腕が折れてる。マリー先生、大丈夫?」
「子供達は?子供達は大丈夫なの?」
と弱々しい声でマリーがふたりに聞く。男たちに立ち向かった3人の園児も不安そうにマリーを覗き込む。園児たちの状態を確認し
「はい、擦り傷ぐらいです。それよりもマリー先生の方が大けがですよ!救急車呼びますね。アグネス、あんたはバスの送迎手伝ってやって、私は先生を病院につれて行くから!」
治療室から出てくるマリーとマチルダを園長先生とアグネスが出入り口で待っていた。マリーの左腕は肩からかかる三角巾に吊り下げられ、ウエストにはコルセットがまかれている。
「左腕と右わきの肋骨2本折れてるって・・・。でも子供たちの怪我が大事無くてよかったわ。まさか、助けてくれたのがアグネスさんとマチルダさんだったなんてびっくり。本当にありがとう。」
とマリーがふたりに頭を下げた。
「私からもお礼を言うわ。マリーを助けてくれてありがとう。それにしてもあなた達、ロス市警のCMそのままなのね」
と園長先生が感心して言った。
「いやあ。頭より体が先に動くだけで・・・」
「照れくさいんで頭上げてください。」
「それにしてもマリー先生こそ、あんなごっつい男相手にアームロックってなかなかできないですよ。ねえマチルダ!?」
「そうですよ、普通なら竦んじゃって何もできないですよ。すごいですよマリー先生!ねえアグネス!?」
とアグネスとマチルダは顔を見合わせ、笑った。
「いやあ、私を助けようとしてくれた子供たちに手を出されて、私もあなた達と一緒で先に手がでちゃって・・・。でもあなた達と違って私はヨワヨワだから・・・。あなた達に迷惑かけちゃったわね。」
「いやあ、ノープロブレムですよ!「義を見て為さざるは勇無きなり」ってやつですね。」
「警察にはふたりの身なりと車のナンバーと「U&Kエステート」ってステッカーの貼ってる黒いステーションワゴンだったって伝えてますのですぐに犯人は捕まるでしょう。」
「まあ、アグネスさんとマチルダさんのおかげで、これぐらいで済んでよかったわ。こんなところで立ち話も何だから、お礼ってわけじゃないけど、そこのカフェでケーキでも食べて帰りましょう。」
と園長先生がその場をまとめた。
「プロローグ」
LAの高校に通うアグネス・リッケンバッカーとマチルダ・ルークは、家がお隣同士の幼馴染みの17歳。アグネスは空手、マチルダは柔道の達人。現在は学校に内緒で「LALWEに所属する人気者のマスクレスラーだ。アグネスの視力は5.0、マチルダの聴力は犬並みと特殊な身体能力を持っている。
入門して半年、アグネスとマチルダは、すっかり準レギュラーレスラーとして活躍中だ。先輩レスラーたちに混ざり、リングでのファイト技術もあがってきている。
練習場で団体のエースレスラーのラマダ・ペックが、
「アグネス、マチルダ、あんたたち、春休みは興行に参加できるのかい?できるなら、あんたらペアでの出場を考えてるから、新しい技でも覚えときな!」
「はい、出たいです。でも、新しい技ってなると何から覚えたらいいのか?ねぇ、マチルダ。」
「そうよね、夢は大きく「ジャーマンスープレックス」や「ブレンバスター」だけど、今の私たちの力じゃ、とても持ち上げたり、たたきつけたりするのは無理ね。アグネス、もっともっと力をつけなきゃね!ラマダさんは、何がいいと思いますか?」
「そうだねぇ、見た目が派手で、覚えやすい技でいいから、いろいろ試してみな。やりたい技が決まったら、稽古つけてやるよ!」
デビュー戦でのファイト中にアグネスが発見したスリの現行犯逮捕事件の後、CATVや地元メディアに取り上げられ「アグネス仮面」、「マチルダ仮面」は、ロス市警の犯罪防止キャンペーンでCATVで放送されている。「悪い事する奴は、私らふたりがゆるさない!と悪者をマチルダ仮面が背負い投げして、アグネス仮面が飛び蹴りでやっつける」というCMのおかげで子供達にも大人気だ。
ある小春日和の日曜日、LALWEでのロサンゼルスの西部にあるマリブでのマリブ・プレスクールの園児達を招待しての興行が行われた。試合後、控え室にマリブプレスクールの園児達30名と園長先生とその長女のマリーがあいさつに訪れた。子供達と写真を撮ったり、抱っこしたりと、暫しの楽しい時間を過ごした。
園長先生とその長女マリーからリーダーのラマダ・ベックに幼児達に護身術の講習の依頼があり、アグネスとマチルダがその担当を任せられる事になった。
週に1回、マリブ・プレスクールでの園児向けの護身術教室が開催された。マスクレスラーとして通い始めたアグネスとマチルダも週に1回の園児たちとの時間を楽しみにしている。園児達に混じってマリー先生も講習を受けている。
ある日、アグネスとマチルダが下校中に「ちょっと待って!マリー先生の声だ!」とマチルダが気づいた。マチルダは犬並みの聴力を持っている。アグネスが500メートル先にマリブプレスクールの送迎バスを見つける。アグネスの視力は5.0ある。スクールゾーンのバス停に違法駐車した2人の若者と何やらもめているようだ。
ひとりの男に胸ぐらをつかまれるマリーを守る為、2人の男の子と1人の女の子の園児が男たちに挑みかかるが、男達に突き飛ばされ、蹴られ、放り投げられる。
「子供たちに何をする!」
怒ったマリーが男の手をアームロックで背中に搾り上げる。
「痛え!」
叫ぶ男の声に反応し、もうひとりの男がマリーの右脇を蹴り飛ばす。マリーは3メートルほど吹っ飛ばされ、うずくまった。
「お前ら、男のくせに女子供に暴力振るいやがって!」
「許さねえぞ!」
とダッシュで駆け付けたアグネスとマチルダ。ロス市警のCMと同じように、背負い投げと飛び蹴りで2人の男たちをやっつけた。
「覚えてやがれ!」
とお決まりのセリフを残し男たちは車で逃げて去った。アグネスの5.0の視力で車に貼ってある社名であろう「U&Kエステート」のステッカーと車のナンバーのメモを取った。
マチルダが歩道にうずくまるマリーを助け起こしに行くと左腕が良からぬ方向に向いている。
「左腕が折れてる。マリー先生、大丈夫?」
「子供達は?子供達は大丈夫なの?」
と弱々しい声でマリーがふたりに聞く。男たちに立ち向かった3人の園児も不安そうにマリーを覗き込む。園児たちの状態を確認し
「はい、擦り傷ぐらいです。それよりもマリー先生の方が大けがですよ!救急車呼びますね。アグネス、あんたはバスの送迎手伝ってやって、私は先生を病院につれて行くから!」
治療室から出てくるマリーとマチルダを園長先生とアグネスが出入り口で待っていた。マリーの左腕は肩からかかる三角巾に吊り下げられ、ウエストにはコルセットがまかれている。
「左腕と右わきの肋骨2本折れてるって・・・。でも子供たちの怪我が大事無くてよかったわ。まさか、助けてくれたのがアグネスさんとマチルダさんだったなんてびっくり。本当にありがとう。」
とマリーがふたりに頭を下げた。
「私からもお礼を言うわ。マリーを助けてくれてありがとう。それにしてもあなた達、ロス市警のCMそのままなのね」
と園長先生が感心して言った。
「いやあ。頭より体が先に動くだけで・・・」
「照れくさいんで頭上げてください。」
「それにしてもマリー先生こそ、あんなごっつい男相手にアームロックってなかなかできないですよ。ねえマチルダ!?」
「そうですよ、普通なら竦んじゃって何もできないですよ。すごいですよマリー先生!ねえアグネス!?」
とアグネスとマチルダは顔を見合わせ、笑った。
「いやあ、私を助けようとしてくれた子供たちに手を出されて、私もあなた達と一緒で先に手がでちゃって・・・。でもあなた達と違って私はヨワヨワだから・・・。あなた達に迷惑かけちゃったわね。」
「いやあ、ノープロブレムですよ!「義を見て為さざるは勇無きなり」ってやつですね。」
「警察にはふたりの身なりと車のナンバーと「U&Kエステート」ってステッカーの貼ってる黒いステーションワゴンだったって伝えてますのですぐに犯人は捕まるでしょう。」
「まあ、アグネスさんとマチルダさんのおかげで、これぐらいで済んでよかったわ。こんなところで立ち話も何だから、お礼ってわけじゃないけど、そこのカフェでケーキでも食べて帰りましょう。」
と園長先生がその場をまとめた。
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