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四章 二体目ですよ
六十六話
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ボス部屋を周回した翌日、俺達斥候科はまたもやチェックポイント巡りをしていた。一学期の間はずっとやるらしい。
今は一通りスタンプを押したので、ちょっと休憩している最中だ。
樹の枝に座り、ツクモに魔石をあげているんだけど、相変わらず勢いよく食べているな。
「ボスの周回駆除も良いけど、ツクモの食べる魔石を回収しようと思ったら森ゾーンをうろうろしてた方が効率良いんだよなぁ」
昨日の収穫は一回目が蛇皮の肩当てと中級ポーション、二回目が蛇皮と中級ポーションだった。
肩当ては特別な効果こそ無いものの、防御力が10でそれなりの硬さがある上に、今つけている飛蝗胴鎧と一緒に装備出来るので、売らずに自分で使うことにした。
中級ポーションは1本だけ手元に置いて、もう1本は蛇皮と一緒に買い取ってもらった。これで日曜日に買ったプラモデルの代金が賄えた。
ポーションはとりあえず初級と中級を1本ずつと解毒剤を持ち歩くようにした。たまにブッシュスネークの変異種で毒を持ってるヤツがいるって聞いたから、万が一の為にね。
「さて、ボスは最後に行くとして今日はそれまで何してようか」
「ちぅ」
俺は地図を取り出して、ツクモと一緒に見ることにした。
今いるのは、林ゾーンの右端に近い場所だ。この辺はあまり来ることが無いので、ちょっと新鮮ではある。
「そう言えば、端っこって行ったこと無かったよね」
「ちぅ」
一番奥には行ったけど、左右の壁がどうなっているのか見たことなかったのに気が付いた。
一度考えるとどうなってるか確かめたくなるな。
「ちょっと行ってみようか?」
「ちぅ!」
そうと決まれば話は早い。地図をしまい、ツクモを肩に乗せて走り始めた。
最初は枝と枝の間をピョンピョン跳んでいたけど、段々樹が少なくなってきて、岩がゴロゴロと目立つようになってきた。
たまに出てくるエネミーを駆除しながら走ること10分。約1kmでダンジョンの端にたどり着いた。
「断崖絶壁って感じだね」
「ちぅ」
今までそれほど意識してなかったけど、すぐ近くから見上げると、圧迫感があるな。ゴツゴツしていて取っ掛かりはありそうだから、登ろうと思ったら登れるだろうけど、やってみる気にはならないな。
壁の周辺は岩場で足場が悪い。出てくるエネミーはイグアーノとブッシュスネークだな。
壁に沿って奥に向かうと、壁面にぽっかりと大きな穴が開いていた。
「洞窟?」
「ちぅ?」
横1m、高さ2mの穴は、奥行きも5mほどあり、洞窟というよりは洞穴と言った方が近いかも。雰囲気としてはアイテムがポップする樹の虚って感じだ。
「何かアイテムがあるかもね」
「ちぅ」
「ちょっと入ってみようか」
「ちぅ」
軽く入口をチェックしてみるけど、罠らしき物は見当たらなかった。【危険察知】にも反応は無いし、多分入っても大丈夫だと思う。
入ってみると、外からは分からなかったけど、奥の方が右へ曲がっていた。
どうせなら一番奥まで行ってみようと進んでみる。洞穴の中は暗くなっているので、ライトで足下を照らしながら歩いていく。
「なんだ、何もないのか」
「ちぅ」
曲がってすぐに行き止まりだった。宝箱があるのを期待していただけにがっかりだ。ツクモの鳴き声もちょっとしょんぼりしているな。
周囲を照らして確かめてみたけど、やっぱり何も無かった。
「仕方ない。戻ろうか」
「ちぅ」
諦めて戻ろうと後ろを振り返った瞬間、俺とツクモは眩い光に照らされたのだった。
今は一通りスタンプを押したので、ちょっと休憩している最中だ。
樹の枝に座り、ツクモに魔石をあげているんだけど、相変わらず勢いよく食べているな。
「ボスの周回駆除も良いけど、ツクモの食べる魔石を回収しようと思ったら森ゾーンをうろうろしてた方が効率良いんだよなぁ」
昨日の収穫は一回目が蛇皮の肩当てと中級ポーション、二回目が蛇皮と中級ポーションだった。
肩当ては特別な効果こそ無いものの、防御力が10でそれなりの硬さがある上に、今つけている飛蝗胴鎧と一緒に装備出来るので、売らずに自分で使うことにした。
中級ポーションは1本だけ手元に置いて、もう1本は蛇皮と一緒に買い取ってもらった。これで日曜日に買ったプラモデルの代金が賄えた。
ポーションはとりあえず初級と中級を1本ずつと解毒剤を持ち歩くようにした。たまにブッシュスネークの変異種で毒を持ってるヤツがいるって聞いたから、万が一の為にね。
「さて、ボスは最後に行くとして今日はそれまで何してようか」
「ちぅ」
俺は地図を取り出して、ツクモと一緒に見ることにした。
今いるのは、林ゾーンの右端に近い場所だ。この辺はあまり来ることが無いので、ちょっと新鮮ではある。
「そう言えば、端っこって行ったこと無かったよね」
「ちぅ」
一番奥には行ったけど、左右の壁がどうなっているのか見たことなかったのに気が付いた。
一度考えるとどうなってるか確かめたくなるな。
「ちょっと行ってみようか?」
「ちぅ!」
そうと決まれば話は早い。地図をしまい、ツクモを肩に乗せて走り始めた。
最初は枝と枝の間をピョンピョン跳んでいたけど、段々樹が少なくなってきて、岩がゴロゴロと目立つようになってきた。
たまに出てくるエネミーを駆除しながら走ること10分。約1kmでダンジョンの端にたどり着いた。
「断崖絶壁って感じだね」
「ちぅ」
今までそれほど意識してなかったけど、すぐ近くから見上げると、圧迫感があるな。ゴツゴツしていて取っ掛かりはありそうだから、登ろうと思ったら登れるだろうけど、やってみる気にはならないな。
壁の周辺は岩場で足場が悪い。出てくるエネミーはイグアーノとブッシュスネークだな。
壁に沿って奥に向かうと、壁面にぽっかりと大きな穴が開いていた。
「洞窟?」
「ちぅ?」
横1m、高さ2mの穴は、奥行きも5mほどあり、洞窟というよりは洞穴と言った方が近いかも。雰囲気としてはアイテムがポップする樹の虚って感じだ。
「何かアイテムがあるかもね」
「ちぅ」
「ちょっと入ってみようか」
「ちぅ」
軽く入口をチェックしてみるけど、罠らしき物は見当たらなかった。【危険察知】にも反応は無いし、多分入っても大丈夫だと思う。
入ってみると、外からは分からなかったけど、奥の方が右へ曲がっていた。
どうせなら一番奥まで行ってみようと進んでみる。洞穴の中は暗くなっているので、ライトで足下を照らしながら歩いていく。
「なんだ、何もないのか」
「ちぅ」
曲がってすぐに行き止まりだった。宝箱があるのを期待していただけにがっかりだ。ツクモの鳴き声もちょっとしょんぼりしているな。
周囲を照らして確かめてみたけど、やっぱり何も無かった。
「仕方ない。戻ろうか」
「ちぅ」
諦めて戻ろうと後ろを振り返った瞬間、俺とツクモは眩い光に照らされたのだった。
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