32 / 91
三章 平和って良いですね
三十二話
しおりを挟む
「無事に着いたっスね。一旦ここで休憩にするっス。各自水分補給なんかするっスよ」
アクシデントも無く休憩場所に到着。泉ヶ丘さんもレベルが上がったからか、昨日より疲れてないようだ。
俺は一口羊羮で糖分補給。濃い目に淹れた緑茶が欲しくなるけど、持ってきたのは麦茶だ。緑茶は利尿作用があるはらしいからやめておいた。ダンジョンの中にトイレは無いからね。
「良いっスね、羊羮」
「いる?」
「ありがとうっス」
吉根に渡すついでに、皆にも聞いたら欲しいって言ったから配った。昨日はクッキーやスポーツドリンクもらったからお返しだね。
「なんだ、こんなとこまで来て優雅にお茶会か市場?アマチャンはやっぱやることがタルイな」
「八剣」
俺達が休憩していると、男性ばかり六人のパーティーがやってきた。リーダーっぽいロングソード持ちは市場君の知り合いみたいだな。仲は良くなさそうだけど。
まあ、俺もあんな嫌味っぽい奴は好きになれないけどな。
「なんっスか?羨ましいんスか?」
「吉根………。フン、行こうぜ」
「お、おう」
吉根が口を挟むと、八剣のパーティーは捨て台詞も残さずさっさと行ってしまった。
「なんなんだ、アレ?」
「変わり者っスよ」
「変わり者?」
「そっス。戦闘職しか要らないって斥候も支援もパーティー入れないって豪語している連中っス」
やっぱりいるんだ、そういう連中。
でもまあ、脅威度の低いこのダンジョンなら通用するかもね。その後はどうするか知らないけど。
「それにしても吉根の顔見てどっか行っちゃったけど、嫌われてるの?」
「え?オレ、嫌われてるっスか!?」
素朴な疑問をぶつけると、吉根は驚いた顔をする。クラスで孤立してないか心配だわ。
「八剣は模擬戦で吉根に勝てないから苦手意識があるんだよ」
「え?」
吉根はそんなに強かったのか?それとも、あの八剣ってのが口だけって感じなのか?
なんかちょっと吉根がドヤ顔してるのがムカつくな。
「吉根は対人戦が異常に強いんだよ。戦闘科の中でも上位に入るんじゃないのか」
「人を叩くのは得意なんスよ」
「え、なにそれ怖い。これからちょっと付き合い方を考えるようにするよ」
人を叩くのが得意って、ちょっとした異常者じゃないか。
「ちょ、ちょっと小幡君。オレ達ズッ友じゃなかったんスか!?」
「やめろ、くっつくな!」
「ちぅ!」
不意に抱き付かれ、バランスを崩す俺。巻き添えになって抗議の声をあげるツクモ。呆れた顔をする市場君と泉ヶ丘さんのカップル。そして、アホなじゃれあいを心配そうに見てる天子田さん。
八剣じゃないけど、ダンジョンでやることじゃないよな。
まあ、このユルい雰囲気は嫌いじゃないけどね。
「じゃあ、そろそろレベル上げしていくっスよ!」
闖入者のおかげで休んだ気がしないけど、時間になったので休憩を切り上げた俺達は、エネミーを求めて移動を再開したのだった。
アクシデントも無く休憩場所に到着。泉ヶ丘さんもレベルが上がったからか、昨日より疲れてないようだ。
俺は一口羊羮で糖分補給。濃い目に淹れた緑茶が欲しくなるけど、持ってきたのは麦茶だ。緑茶は利尿作用があるはらしいからやめておいた。ダンジョンの中にトイレは無いからね。
「良いっスね、羊羮」
「いる?」
「ありがとうっス」
吉根に渡すついでに、皆にも聞いたら欲しいって言ったから配った。昨日はクッキーやスポーツドリンクもらったからお返しだね。
「なんだ、こんなとこまで来て優雅にお茶会か市場?アマチャンはやっぱやることがタルイな」
「八剣」
俺達が休憩していると、男性ばかり六人のパーティーがやってきた。リーダーっぽいロングソード持ちは市場君の知り合いみたいだな。仲は良くなさそうだけど。
まあ、俺もあんな嫌味っぽい奴は好きになれないけどな。
「なんっスか?羨ましいんスか?」
「吉根………。フン、行こうぜ」
「お、おう」
吉根が口を挟むと、八剣のパーティーは捨て台詞も残さずさっさと行ってしまった。
「なんなんだ、アレ?」
「変わり者っスよ」
「変わり者?」
「そっス。戦闘職しか要らないって斥候も支援もパーティー入れないって豪語している連中っス」
やっぱりいるんだ、そういう連中。
でもまあ、脅威度の低いこのダンジョンなら通用するかもね。その後はどうするか知らないけど。
「それにしても吉根の顔見てどっか行っちゃったけど、嫌われてるの?」
「え?オレ、嫌われてるっスか!?」
素朴な疑問をぶつけると、吉根は驚いた顔をする。クラスで孤立してないか心配だわ。
「八剣は模擬戦で吉根に勝てないから苦手意識があるんだよ」
「え?」
吉根はそんなに強かったのか?それとも、あの八剣ってのが口だけって感じなのか?
なんかちょっと吉根がドヤ顔してるのがムカつくな。
「吉根は対人戦が異常に強いんだよ。戦闘科の中でも上位に入るんじゃないのか」
「人を叩くのは得意なんスよ」
「え、なにそれ怖い。これからちょっと付き合い方を考えるようにするよ」
人を叩くのが得意って、ちょっとした異常者じゃないか。
「ちょ、ちょっと小幡君。オレ達ズッ友じゃなかったんスか!?」
「やめろ、くっつくな!」
「ちぅ!」
不意に抱き付かれ、バランスを崩す俺。巻き添えになって抗議の声をあげるツクモ。呆れた顔をする市場君と泉ヶ丘さんのカップル。そして、アホなじゃれあいを心配そうに見てる天子田さん。
八剣じゃないけど、ダンジョンでやることじゃないよな。
まあ、このユルい雰囲気は嫌いじゃないけどね。
「じゃあ、そろそろレベル上げしていくっスよ!」
闖入者のおかげで休んだ気がしないけど、時間になったので休憩を切り上げた俺達は、エネミーを求めて移動を再開したのだった。
11
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
強制無人島生活
デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。
修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、
救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。
更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。
だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに……
果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか?
注意
この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。
1話あたり300~1000文字くらいです。
ご了承のほどよろしくお願いします。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
魔女の弾く鎮魂曲
結城芙由奈
ファンタジー
【魔女フィーネが姿を消して300年…その名は今も語り継がれる】
かつて親族と愛する婚約者に裏切られ、恐ろしい魔女と化したフィーネ。彼女はこの上ないほどの残虐非道な方法で城中の人間を殺害し…城を燃やし、その痕跡は何も残されてはいない。しかし今尚、血に塗れたアドラー城跡地は呪われた場所として人々に恐れられ、300年を隔てた今も…語り継がれている―。
『闇に捕らわれたアドラーの魔女』の続編です
※他サイトでも投稿中
※10話以内の短編です
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる