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三章 平和って良いですね

三十一話

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 午前中は部室で楽しいヤスリがけをしていた。繋ぎ目が分からなくなるまで磨き、ディテールをスジボリしていく。

 元々、18㍍の巨大兵器だと意識しながらも、模型としての見栄えも大事にしなきゃいけない。なにごともバランスが大切だと俺は思う。

 ほどほどのところで切り上げ、模型部のみんなとそのまま学食で昼食。揚げ物はあじフライにかぎるな。

 相変わらず吉根はよく食べる。日替り定食四つと味変だとか言ってカレーライスを食べていた。

「さて、張り切って行こうか」
「おう!」
「ちぅ」

 昼食を食べ終わり、先輩たちと別れて管理室へ。そこで他のパーティーメンバーと待ち合わせしていたんだ。


「お待たせしたっス」
「お待たせ」
「あ、私も今きたとこだから」


 約束の10分前に来たら、既に天子田さんが待っていた。大きなリュックを背負ってるのを見ると、やはり申し訳ない気持ちになるな。


「悪い、またせたな」


 三人で少し話していると言い出しっぺの市場君と泉ヶ丘さんが到着。時計を見たら五分前だ。


「まだ時間前だから大丈夫だよ」


 集まったところで管理室で昨日の精算。

 ドロップアイテムの鑑定も終わっていて、予想通りのアイテムだった。

 決めた通りに分けていく。俺はツクモ用に魔石10個も買い取った。これは昨日申請した時とはちょっと意味合いが違ってきたけどね。

 管理室で受け取った飛蝗長靴を装備する。ウエストポーチにはいつもの道具を入れてあり、それは自分で持って行くが、水筒や軽食なんかは天子田さんに預けた。


「じゃあ、とりあえず昨日の休憩場所まで行くっスよ」
「おう」
「分かった」
「うん」
「はい」


 今日も昨日と同じ場所を中心にレベル上げの予定だ。俺としてはジョブを付けたり、ステータスを割り振った事で、どれだけツクモが強くなったのか確かめたい。

 その他にも二つほど確かめたい事があるから、またどっかで一人になるタイミングを作らなきゃな。


「右手からエネミー接近。注意して」
「了解っス」
「おう!」

 俺が警告をした直後、三匹のビッグホッパーが茂みから飛び出してきた。

 吉根たちは既に得物を構えて迎撃態勢を整えている。


「ツクモ、風魔法だ」
「ちぅ!」


 ツクモが翼をはばたかさせると、そこからなかなかの勢いで風がビッグホッパーに向かって吹く。

 明らかに昨日より強くなってるな。三匹ともバタバタと落ちていく。それぞれ踏みつけたりして止めを刺して終了。


「ちぅ!?」


 ツクモがかじって止めを刺したビッグホッパーから魔石と鎧がドロップした。ツクモがまたびっくりしてるのが可愛いな。

 それにしても、明らかにビッグホッパーよりこの鎧の方が大きいけど、どんな理屈でドロップするんだろうな。


「最初からアイテムがドロップするなんて幸先良いっスね」
「ああ、これは多分飛蝗胴鎧ホッパーキュイラスだろうな。城南がドロップしたって言ってたヤツと一緒だろ」
「へぇ、そういえば何人か装備してるの見たことあるな。天子田さん、悪いけどこれお願いします」
「あ、はい。分かりました」


 魔石ともども天子田さんに持ってもらう。リュックの中が一気にパンパンになった。


「重くないっスか?」
「大丈夫です」


 吉根が天子田さんを気遣ってる。パーティーリーダーって事もあるけど、なんだかんだ優しいヤツだからな。

 肩に駆け上ってきたツクモの頭を撫でながら、昨日より若干打ち解けた雰囲気のパーティーの様子を見ていた。
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