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二章
32話
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「うわぁ、真っ白でモコモコで可愛いですねぇ」
開口一番リコラは俺の使い魔を見てそう言った。
昨日、使い魔の卵から出てきたのは、バラットという種族の魔物だった。
いや、正確にはバラットに似た人工魔物だ。魔法屋さんの店長が言うには、素体を核にして俺の魔力で身体を構成しているらしい。
難しい事は良く分からないけど、使い魔を創った事で、俺の最大魔力量が少し減ってしまった。
まぁ、変身するには支障が無さそうなので問題ないだろう。
見た目は蝙蝠の羽根を生やしたハムスターと言ったところかな。ハムスターより毛足が長めなので、羽根は畳むと見えなくなる。
リコラが眼を輝かせて可愛いを連呼するのも不思議じゃないくらいには可愛い。
「名前、名前はもうつけたんですか?」
「あ、あぁ。ローズってつけたよ」
「ローズちゃん!名前も可愛いですね!」
「お、おぉ。ありがとう」
バラットの「バラ」から適当に付けたけど、リコラには大好評みたいだ。俺の肩に乗っているローズに、今にも掴みかからんばかりだ。
手をわきわきさせているのを見ると、撫でたいのを必死に我慢しているんだろうなと思う。
「とりあえず出発しようか」
今いるのが北側の門前広場だ。時間的なものか、交通量がけっこう多い。
道行く人の何人かがこっちをチラチラ見ている気がするので、リコラに出発を促した。こんなことで注目を浴びるのは、やっぱり恥ずかしいからね。
「え、あ、そうですね。出発しましょう」
領都まではウマコの牽く馬車で行く事になっている。
二人して御者台に乗り込むと、リコラが手綱を取って馬車を進める。
馬車は一見簡素な木製の箱車だけど、リコラが錬金術で色々と手を入れているそうだ。
「これって何?」
御者台から張り出すように設えてある画面を指差す。
「これですか?周辺の情報を映し出す魔道具ですよ。こっちの光点が私達で、こっちが人、後、いまは映っていませんが、赤い光点は魔物なんで注意してくださいね」
レーダーかと思ったらレーダーだった。どうやら魔力を探知して映し出すものみたいだ。
ただ、それなりに普及しているもののようで、対抗手段もあるらしく油断は禁物だ。
その他にもある魔道具の説明を受けつつ、馬車は門を抜け街道を走り始めるのだった。
開口一番リコラは俺の使い魔を見てそう言った。
昨日、使い魔の卵から出てきたのは、バラットという種族の魔物だった。
いや、正確にはバラットに似た人工魔物だ。魔法屋さんの店長が言うには、素体を核にして俺の魔力で身体を構成しているらしい。
難しい事は良く分からないけど、使い魔を創った事で、俺の最大魔力量が少し減ってしまった。
まぁ、変身するには支障が無さそうなので問題ないだろう。
見た目は蝙蝠の羽根を生やしたハムスターと言ったところかな。ハムスターより毛足が長めなので、羽根は畳むと見えなくなる。
リコラが眼を輝かせて可愛いを連呼するのも不思議じゃないくらいには可愛い。
「名前、名前はもうつけたんですか?」
「あ、あぁ。ローズってつけたよ」
「ローズちゃん!名前も可愛いですね!」
「お、おぉ。ありがとう」
バラットの「バラ」から適当に付けたけど、リコラには大好評みたいだ。俺の肩に乗っているローズに、今にも掴みかからんばかりだ。
手をわきわきさせているのを見ると、撫でたいのを必死に我慢しているんだろうなと思う。
「とりあえず出発しようか」
今いるのが北側の門前広場だ。時間的なものか、交通量がけっこう多い。
道行く人の何人かがこっちをチラチラ見ている気がするので、リコラに出発を促した。こんなことで注目を浴びるのは、やっぱり恥ずかしいからね。
「え、あ、そうですね。出発しましょう」
領都まではウマコの牽く馬車で行く事になっている。
二人して御者台に乗り込むと、リコラが手綱を取って馬車を進める。
馬車は一見簡素な木製の箱車だけど、リコラが錬金術で色々と手を入れているそうだ。
「これって何?」
御者台から張り出すように設えてある画面を指差す。
「これですか?周辺の情報を映し出す魔道具ですよ。こっちの光点が私達で、こっちが人、後、いまは映っていませんが、赤い光点は魔物なんで注意してくださいね」
レーダーかと思ったらレーダーだった。どうやら魔力を探知して映し出すものみたいだ。
ただ、それなりに普及しているもののようで、対抗手段もあるらしく油断は禁物だ。
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