ひとしづくの、愛。

秋野

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「ぅん…もう朝、?」

目が覚めるとベッドの中だった。
隣の温もりは、既に無くなっていた。

晴人はなんとなく起きたくなくなり、そのままもう1度布団を頭まで被って目を閉じた。



「ただいまー。」

蒼斗の声がして布団から顔を出すと、外はもう暗くなっていた。
しばらくして、寝室のドアが開き蒼斗が顔を覗かせた。

「おかえりなさい。」

そう声をかけると、蒼斗が近くまで来て頭を撫でてくれた。
それが心地よくて、しばらくそのままにしていると少し怒ったような口調で尋ねられた。

「お前、今日も食べていないのか?」

確かに、蒼斗が出かけてから布団から出ていなかった為用意されていた事も知らなかったのだ。

「ごめんなさい。」

しゅんとして謝ると、腕を掴み抱き起こされる。

「蒼斗…?」

急な事にバランスを崩しそうになっていると
そのままキツく抱き締められた。

「不安にさせて、ごめん。でもせめて1食ぐらいは食べてくれないと心配するよ。」

また痩せたね…と背中を撫でる蒼斗の手の感触に、なぜか涙が少しこぼれ落ちた。
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