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半人半神性
邪神第一形態
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いやあ、蜘蛛君が最後になんか言いたかったみたいだけど、きっと今日もいい労働したなあとかそんなのだろう。人間だったら仕事終わりのウォッカでも一杯やってる位の満足感だったに違いない。
アメリカとソ連のいいトコ取りをしてよかった。当然だがブラックタール帝国は労働者の幸福に気を使っていて、働けば働くほど満足感が得られるのだ。
「そ、それでは手を繋がさせてもらいます!」
「ふふ、両手で握ったらどうやって歩くの?」
「あ!?」
地下労働所からお姉さまと手を繋いで帰ろうとしたら、間違って両手で可愛らしい手を握ってしまった! でへへ。でもお姉さま、僕このまま蟹歩きでも後ろ歩きでも大丈夫です!
「ほっほっほ。中々面白いものが見れたわい」
「あら、てっきりもう帰るかと思ったわ」
「今取り込み中って見たら分かるだろ爺! とっとと晩飯食って寝ろ!」
今頃蜘蛛君の中でたっぷり反省してるであろう5人組が現れてから、ずーっとこっちを見てた視線の持ち主のお出ましだ。だがこの爺、妙に欲が摑み取り難い。しかも姿がまさにザ・仙人と言える杖に髭だ。なら名前は決まりだな。今からお前の名前は爺だ。
「いやはや、非鬼の式符はどう戦うのかと奴等をけしかけてみればまさか牛鬼とはのう」
「あら、じゃあもうお休みなさいお爺ちゃん。ちゃんと朝ごはん食べるのよ」
「そうだそうだ! 学生は朝早いんだからとっとと帰らせろ!」
全く。若者に自分の生活時間を合わさせようなんてとんでもない爺だ。
「そうはいかんな娘よ。お前はこの摩訶仙人の興味を引いたのだ。ただの人が持ち得るとは思えぬ霊力の謎、是非突き止めたい」
「ふふふ。蜘蛛ちゃんよりよっぽど楽しめそうね」
「なあにが摩訶だよ! その歳で何をハッスルするつもりだこの爺!」
「うるさい餓鬼じゃのう。生憎お前の方は要らん。さて、仙術紫金紅葫蘆」
ちょっ!? おまっ!? それあのヒョウタンじゃねえか!? ぬおおおおおおお吸い込まれ、ない!
「その瓢箪、私には狭すぎるみたい」
「なんと!?」
いやあ、急に表れた瓢箪がこれまた急に木っ端微塵に。どうやらお姉さまの霊力に耐え切れず爆散してしまったようだ。これには爺も苦笑いを通り越し隙ありい! 食らえ昼夜逆転の呪いと飯食べたか忘れる呪い! 完璧に決まった!
「そっちの餓鬼は呪術か。まあ珍しくない訳ではないが大して興味は湧かんの」
「馬鹿な!? 何故呪いが効かない!?」
「仙人に呪いなぞ効く訳が無かろう。不老不死となり神に近づいた者ぞ」
「こ、この爺いいいいい! したり顔で説教垂れてんじゃねええええ! こんな俗世に興味持ってるなんざ、天仙に至ってない地仙如きだろうがああ!」
「こ、この糞餓鬼があ!」
「あら、私の事はいいのかしら?」
「むっ!?」
図星当てられて顔真っ赤にした爺だったが、お姉さまが発した霊力の衝撃波に慌てて防御の術を展開した。
「うむ! やはり人が扱える霊力ではない! 是非とも知りたい!」
「爺いいいい! 知識欲は欲じゃないって自分に言い訳しても、天仙に成れてないのが何よりの証拠だろうがああ! 欲を捨てれないからお前は地仙なんだよおおおおおおお!」
「糞餓鬼があああああああ!」
あぶねっ!? なんかよく分からんビームが飛んできた! 当たったら蛙にでもなりそうだ!
だがこいつの掴み処のない欲の正体が分かったぞ! 仙人の最上位、天仙に成るために欲を捨てるのではなく誤魔化している! それが戦いにはなんも関係ないけど! あぶねっまた飛んできた!
「もう、つれないわね。ねえあなた、このお爺ちゃん私の遊び相手なのよ?」
「すいませんでしたお姉さま! 僕大人しく待ってます!」
「餓鬼どもが!」
お姉さまに怒られちゃった。えへ。
「うふふ。そうそう」
あ、爺の力が上がっていく。言うなれば仙力か。だがそれに応じるように、お姉さまの霊力も爆発的に圧を増していく。
な、なんて力なんだ! 立ち入る隙が無い!
「仙術、魔訶大究無見!」
「ふふ」
あ、あの爺なんて力だあああ! それにあの技! 恐らくあれは相手の力を解明して最適な力、最適な角度、最適な速度で繰り出す光線に違いない!
お、お姉さまあああああああああああああ!
そいつ電子顕微鏡でお姉さまの全身を何とか見ようとしてます! ぷぷ。ぷぷぷぷぷ。
「は?」
一瞬で打ち消された光線に爺が呆然とした声を上げているが、こっちがは? だよこの爺! なにお姉さまの小指をじろじろ見てんだよ! てめえどこ中だ!? 仙中かコラ!?
「ふふ。そんなにジロジロ小指を見ないで頂戴な。恥ずかしいわ」
「な、なにが……」
「分かりやすく言ってやるよお爺ちゃん! 単にお前の力が足りないから、いくら最適解でぶっ放しても意味ねえんだよ! 火力が足りんよ火力が! だーはっはっはっ!」
「やっぱり期待外れね。さてどうして……」
あ、お姉さまの笑顔だ。でへへ。
ってお姉さまが倒れてしまった!? お姉さま!?
「助けてあなた。あの仙人、私を拉致してきっとあんな事やこんな事を……!」
な、な、なんですとおおおおおおおおおおお!?
おのれくそ爺いいいいいいいい! 絶対に許さあああああああああん!
見せてやる俺様の第一形態を!
光栄に思うがいい! この姿を見るのはお袋と親父、見間違いで済んだお隣の村田さんとお姉さまに続いて5人目だ!
はあああああああああああああああああああ!
「ふ、ふはは。急に呪力を高めてどうした餓鬼め。儂が殺した者達の恨みでも集めるか? いればいいのう!」
そそそそんんんんんなななななこここここととと
そんなこと分かっとるわ。
お前さん、ぶつぶつうるさいからって無理やり祓っただろ。
でもな?
『こいつに生きたまま体を……』『こいつに配合した子はどうなるかと……』『こいつにこの状態でどれほど生きられるか……』『こいつが私の苦痛に対する耐性を調べ……』『』『』『』『』『』『』『』『』『』『』
その寿命の中で何人犠牲にして来た!
姿は無いけど声は残ってるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!
俺が決め俺が決める
第一形態
変身
◆
何か蒸気が出たり、光った訳ではない。
ただいきなり姿が変わったのだ。
「し、注連縄?」
仙人の言う通り、左捻り、三筋・五筋・七筋に捻り放して垂れた藁の茎、まさに注連縄であった。
ただし、人型、のである。
そして邪なるものを追い払うとされる紙垂は、まるで何かを封印しているかのように出鱈目に張られていた。
「ぐぼっ!?」
そして一瞬。瞬く間の間に、注連縄の腕らしき場所から伸びた縄に首を掴まれ宙吊りにされる仙人。
「今日も艶がいいわね」
『お前が殺した者達は最早この世にいない。恨む者がいない。だからこそ、俺が恨み俺が呪う』
「ひっひっ」
この地下だけに吹き上がる人智を超えた呪力の大瀑布。
仙人は自分の頭に響く超越者の声なき声に悲鳴を漏らし、その注連縄の隙間から薄っすら覗く赤い目を見てついには失禁してしまう。
『お前は永遠に全てを欲し、全てを手に入れられない。食べ物は朽ち、水は枯れ、金は消え失せ、夜眠れることがない。なに、欲に濡れて仙力は失われようと不老不死のままなのだ。56億7千万年後に解除されるだろうさ』
白目を向いて泡を吹き完全に気絶した仙人、いや、元仙人をどこか遠くへと転移で飛ばして貴明は元の姿に戻る。
「じゃあ帰りましょうかお姉さま!」
「ええそうね。ふふふ」
今度こそ手を繋いで地下訓練場から出て行く貴明と小夜子。そんな2人を見ていたある式符は、頭に浮かんでいた5文字を断念するのであった。
アメリカとソ連のいいトコ取りをしてよかった。当然だがブラックタール帝国は労働者の幸福に気を使っていて、働けば働くほど満足感が得られるのだ。
「そ、それでは手を繋がさせてもらいます!」
「ふふ、両手で握ったらどうやって歩くの?」
「あ!?」
地下労働所からお姉さまと手を繋いで帰ろうとしたら、間違って両手で可愛らしい手を握ってしまった! でへへ。でもお姉さま、僕このまま蟹歩きでも後ろ歩きでも大丈夫です!
「ほっほっほ。中々面白いものが見れたわい」
「あら、てっきりもう帰るかと思ったわ」
「今取り込み中って見たら分かるだろ爺! とっとと晩飯食って寝ろ!」
今頃蜘蛛君の中でたっぷり反省してるであろう5人組が現れてから、ずーっとこっちを見てた視線の持ち主のお出ましだ。だがこの爺、妙に欲が摑み取り難い。しかも姿がまさにザ・仙人と言える杖に髭だ。なら名前は決まりだな。今からお前の名前は爺だ。
「いやはや、非鬼の式符はどう戦うのかと奴等をけしかけてみればまさか牛鬼とはのう」
「あら、じゃあもうお休みなさいお爺ちゃん。ちゃんと朝ごはん食べるのよ」
「そうだそうだ! 学生は朝早いんだからとっとと帰らせろ!」
全く。若者に自分の生活時間を合わさせようなんてとんでもない爺だ。
「そうはいかんな娘よ。お前はこの摩訶仙人の興味を引いたのだ。ただの人が持ち得るとは思えぬ霊力の謎、是非突き止めたい」
「ふふふ。蜘蛛ちゃんよりよっぽど楽しめそうね」
「なあにが摩訶だよ! その歳で何をハッスルするつもりだこの爺!」
「うるさい餓鬼じゃのう。生憎お前の方は要らん。さて、仙術紫金紅葫蘆」
ちょっ!? おまっ!? それあのヒョウタンじゃねえか!? ぬおおおおおおお吸い込まれ、ない!
「その瓢箪、私には狭すぎるみたい」
「なんと!?」
いやあ、急に表れた瓢箪がこれまた急に木っ端微塵に。どうやらお姉さまの霊力に耐え切れず爆散してしまったようだ。これには爺も苦笑いを通り越し隙ありい! 食らえ昼夜逆転の呪いと飯食べたか忘れる呪い! 完璧に決まった!
「そっちの餓鬼は呪術か。まあ珍しくない訳ではないが大して興味は湧かんの」
「馬鹿な!? 何故呪いが効かない!?」
「仙人に呪いなぞ効く訳が無かろう。不老不死となり神に近づいた者ぞ」
「こ、この爺いいいいい! したり顔で説教垂れてんじゃねええええ! こんな俗世に興味持ってるなんざ、天仙に至ってない地仙如きだろうがああ!」
「こ、この糞餓鬼があ!」
「あら、私の事はいいのかしら?」
「むっ!?」
図星当てられて顔真っ赤にした爺だったが、お姉さまが発した霊力の衝撃波に慌てて防御の術を展開した。
「うむ! やはり人が扱える霊力ではない! 是非とも知りたい!」
「爺いいいい! 知識欲は欲じゃないって自分に言い訳しても、天仙に成れてないのが何よりの証拠だろうがああ! 欲を捨てれないからお前は地仙なんだよおおおおおおお!」
「糞餓鬼があああああああ!」
あぶねっ!? なんかよく分からんビームが飛んできた! 当たったら蛙にでもなりそうだ!
だがこいつの掴み処のない欲の正体が分かったぞ! 仙人の最上位、天仙に成るために欲を捨てるのではなく誤魔化している! それが戦いにはなんも関係ないけど! あぶねっまた飛んできた!
「もう、つれないわね。ねえあなた、このお爺ちゃん私の遊び相手なのよ?」
「すいませんでしたお姉さま! 僕大人しく待ってます!」
「餓鬼どもが!」
お姉さまに怒られちゃった。えへ。
「うふふ。そうそう」
あ、爺の力が上がっていく。言うなれば仙力か。だがそれに応じるように、お姉さまの霊力も爆発的に圧を増していく。
な、なんて力なんだ! 立ち入る隙が無い!
「仙術、魔訶大究無見!」
「ふふ」
あ、あの爺なんて力だあああ! それにあの技! 恐らくあれは相手の力を解明して最適な力、最適な角度、最適な速度で繰り出す光線に違いない!
お、お姉さまあああああああああああああ!
そいつ電子顕微鏡でお姉さまの全身を何とか見ようとしてます! ぷぷ。ぷぷぷぷぷ。
「は?」
一瞬で打ち消された光線に爺が呆然とした声を上げているが、こっちがは? だよこの爺! なにお姉さまの小指をじろじろ見てんだよ! てめえどこ中だ!? 仙中かコラ!?
「ふふ。そんなにジロジロ小指を見ないで頂戴な。恥ずかしいわ」
「な、なにが……」
「分かりやすく言ってやるよお爺ちゃん! 単にお前の力が足りないから、いくら最適解でぶっ放しても意味ねえんだよ! 火力が足りんよ火力が! だーはっはっはっ!」
「やっぱり期待外れね。さてどうして……」
あ、お姉さまの笑顔だ。でへへ。
ってお姉さまが倒れてしまった!? お姉さま!?
「助けてあなた。あの仙人、私を拉致してきっとあんな事やこんな事を……!」
な、な、なんですとおおおおおおおおおおお!?
おのれくそ爺いいいいいいいい! 絶対に許さあああああああああん!
見せてやる俺様の第一形態を!
光栄に思うがいい! この姿を見るのはお袋と親父、見間違いで済んだお隣の村田さんとお姉さまに続いて5人目だ!
はあああああああああああああああああああ!
「ふ、ふはは。急に呪力を高めてどうした餓鬼め。儂が殺した者達の恨みでも集めるか? いればいいのう!」
そそそそんんんんんなななななこここここととと
そんなこと分かっとるわ。
お前さん、ぶつぶつうるさいからって無理やり祓っただろ。
でもな?
『こいつに生きたまま体を……』『こいつに配合した子はどうなるかと……』『こいつにこの状態でどれほど生きられるか……』『こいつが私の苦痛に対する耐性を調べ……』『』『』『』『』『』『』『』『』『』『』
その寿命の中で何人犠牲にして来た!
姿は無いけど声は残ってるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!
俺が決め俺が決める
第一形態
変身
◆
何か蒸気が出たり、光った訳ではない。
ただいきなり姿が変わったのだ。
「し、注連縄?」
仙人の言う通り、左捻り、三筋・五筋・七筋に捻り放して垂れた藁の茎、まさに注連縄であった。
ただし、人型、のである。
そして邪なるものを追い払うとされる紙垂は、まるで何かを封印しているかのように出鱈目に張られていた。
「ぐぼっ!?」
そして一瞬。瞬く間の間に、注連縄の腕らしき場所から伸びた縄に首を掴まれ宙吊りにされる仙人。
「今日も艶がいいわね」
『お前が殺した者達は最早この世にいない。恨む者がいない。だからこそ、俺が恨み俺が呪う』
「ひっひっ」
この地下だけに吹き上がる人智を超えた呪力の大瀑布。
仙人は自分の頭に響く超越者の声なき声に悲鳴を漏らし、その注連縄の隙間から薄っすら覗く赤い目を見てついには失禁してしまう。
『お前は永遠に全てを欲し、全てを手に入れられない。食べ物は朽ち、水は枯れ、金は消え失せ、夜眠れることがない。なに、欲に濡れて仙力は失われようと不老不死のままなのだ。56億7千万年後に解除されるだろうさ』
白目を向いて泡を吹き完全に気絶した仙人、いや、元仙人をどこか遠くへと転移で飛ばして貴明は元の姿に戻る。
「じゃあ帰りましょうかお姉さま!」
「ええそうね。ふふふ」
今度こそ手を繋いで地下訓練場から出て行く貴明と小夜子。そんな2人を見ていたある式符は、頭に浮かんでいた5文字を断念するのであった。
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