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半人半神性
内政
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「ではこの時間は式神符の作成について学ぶ。空いている席の者達は実家等の関係で、元から陰陽道に通じているため、一つ上の学生に混じって授業を受けている」
ははあ、知ってるなら時間がもったいないから、ある程度上の授業に出ろって事かあ、合理的ですね。学科限定の飛び級みたいなもんかな? でも意外なのはお姉さまがいる事だ。実家の方は結構式神の気配がしたのに、いや、ご親族を思えば学ばせてもらえなかったのでは……。
「私はちょっと特殊なのよ。一応授業だから出てるけど、多分いる意味は無いでしょうね」
ひょっとして心配気に見てたことが分かったのか、お姉さまがそう説明してくれる。でも授業中に堂々と後ろを見て話すのはマズいですよお姉さま! でもお話しできて嬉しい。でへへ。うん? 特殊とは?
「では教科書通りに書き込んでみろ。これは非常に大雑把でも起動できるタイプのものだから、多少ミスしても全く問題ない」
いやあ、今更主席の僕がこれやる意味ありますかね?
学園長先生、僕とお姉さまは今から上級生に混じった方がいいんじゃないですか? なんたって僕は非鬼の蜘蛛君を作り上げた天才ですから。先生も知ってるでしょ?僕が、しゅ!せ!き! で て!ん!さ!い! なのは。まあでも、皆のお手本になる人が2人は必要か。さあやるか! えーここをこうして、これがこうで、こうこうっと。なんだ、やっぱり蜘蛛君に比べたら超楽勝じゃん。
「全員出来た様だな。では力を流し込んでみろ。小さな小鳥の様な式神が出て来る」
はいはいっと。呪力どばあっと。
さあ出て来い小鳥君!
もしもし? 小鳥君?
ボンッ!
なんだ!? 前で小さな爆発が! お姉さま大丈夫ですか!?
「やっぱりね」
「お姉さま大丈夫です?」
「ええ。昔っから式神を作ろうとしたらこうなるのよ」
見ると符はそのほとんどが燃え尽きたかのようになっていた。
学園長これは一体!?
「稀にだが、彼女の様に非常に強い力を持った能力者が式神を作ろうとすると、あのように符が耐え切れずに燃え尽きてしまう事がある。余談だが、最上位の単独者もだいたいがこうで、仕方なく式神符を買っているが、購入費で余計な経費が嵩むと嘆いてる者が多い」
すげえ話がすげえ世知辛い話に変わりませんでした? まあいいや。という事はお姉さまは最上位の単独者と同じ悩みを抱えてるんですね! 流石ですお姉さま! ですよね皆さん? はああああ、どうしてそこでびびるんですかねえ? 橘お姉さまと佐伯お姉さまを見習って下さいよ。お二人とも負けてなるものかって目をしてらっしゃるじゃないですか。
あ、ところで僕の式符が反応しないのも同じ理由ですかね? いやあ、夫婦揃ってなんだかすいませんね。あれ? 皆さんどうして僕の式符見てらっしゃるんです? なんだか、こいつの式符反応すらしてないじゃん。やっぱり……って目をしていませんか? まあちょっと見ててくださいよ。今から燃え尽きますから。そいや!
あれ?
そいやあああ!
あれ?
あれ? あれ?
ひょっとしてひょっとするとですよ? 俺って恨みパワーマックスの式神を強化出来ても、式神をゼロから作り出す才能ゼロ?
ああああああああああ主席なのにいいいいいいい! もうやだああああああああ! 普通の学校に通ううううう!
「うん? ああ、四葉貴明の様に、同じ理由で燃え尽きるのではなく起動出来ない場合もある。敢えて回路と言うが、ショートするのではなく、機能そのものが完全に壊れるのだ」
学園長ナイスフォロォォォォ! あんた最高だよ! お礼に……そうだ!非鬼擬きとかさんざん言われてる式符を強化してあげましょう! うん、我ながらナイスアイデア! 僕はいい事してスッキリ、学園長は教材が増えてニッコリ、式符は恨み解消してスッキリニッコリ。誰も損してないでしょ? うむ、考えれば考える程完璧なプランだ。
あ、それか浄化失敗したらしゃっくりが出る呪いの品物とかどうです? あ、ちょっとリスクが無いと集中できませんかね? それなら箪笥の角に思いっきり足の小指ぶつけた痛みにしときましょうか? それと一定時間たったら学園の負の感情を吸収して再使用できるようにしときましょう。そうすれば教材として使いまわせるでしょ? やっべ、昔やってた箱庭系のゲームを思い出してテンション上がって来た。やりましょう学園長、内政です! 設備を充実させて伊能学園を世界一の能力者育成所にするんです! えいえいおー!
◆
「その浄化授業用の教材は喉から手が出るほど欲しい……しかし、非鬼擬きの方はな……」
場所を移して学園長室。
どき! 生徒と企む学園改造計画を話したが、おまけプランの方が感触がいい。腕を組んで唸ってる学園長の脳から、マジでそれ欲しい波が出てるのが分かるもん。
「結構ボロクソ言ってませんでした? あれは非鬼じゃない、雑魚、面汚しみたいな感じで。今は蜘蛛君が頑張ってるから本格的に役立たずなんじゃないですか?」
「そう、あの蜘蛛のお陰で非鬼の何たるかを教育できたから四葉には非常に感謝している。だからこそ擬きの方は別の使い道というか、蜘蛛へ挑戦するための前段階や、登竜門的な役割と考えたなら丁度いい位置にいるのだ」
「ははあ、非鬼としては不合格ですけど、そこへのステップとしてならいい塩梅と」
「その通りだ。いやはや、君のお陰で贅沢な使い方になった。それに、擬きとはいえ非鬼は非鬼だ。四葉が強化すると特鬼の最上位なんかが出来かねない。流石に訓練としては過剰だろう」
まあ確かに、国家規模の演習なんて時しか使われんだろう。学園内の内政とは言えんな。ん? 最上位はダメという事は?
「普通の特鬼なら需要はあるんですか?」
「それは勿論ある。生徒は流石に無理があるから、学園内で主に使用するのは教員職にある単独者になるな。単独者として教員にいる以上鈍るという事は困るのだ。ああ、それに研修として各国の単独者や凄腕が来る可能性が高いな。そうなると人材交流の面でも活発になる。それは卒業していく者には非常にありがたいし、こちらも余所のやり方を学べるのだ。学園として得るものは多いだろう」
なら話は決まり!
◆
ここが大鬼の保管場所ね?
さーて、ああいたいた。恨みマックスいなかったらどうしようかと思ってたけど居ましたよ。
おはようございまーす。
いいよ、君すっごい素質あるよ。蜘蛛君が呪力型になったから、君みたいな筋肉モリモリタイプ探してたんすよ。
それで君の恨みは何だい話してごらん?
いやあやっぱり素質あるよ君。これはもうトップアイドル。間違いないね。
なんたって弱い自分が許せないから自分に恨みが向いてるんだもの。
ああそうともそうとも、怒りも恨みだとも。立派な立派な恨みだ。それが自分に向いていてもだよ。
だから君には力を送ろう。力強い、力強い、力を。
うむ素晴らしい。今日から君は猿君だ。
という訳で猿君。わが校の誇る世界級トップアイドルとして頑張ってくれたまえ。
あ、シフトだけど週7勤で1日24時間だからそこんとこよろしく。え、聞いてない? アイドルに休みなんかないに決まってるじゃない。ほら、契約書のここにもそう書いてある。え? 小さすぎて読めない? ともかく頑張ってくれたまえ。
ははあ、知ってるなら時間がもったいないから、ある程度上の授業に出ろって事かあ、合理的ですね。学科限定の飛び級みたいなもんかな? でも意外なのはお姉さまがいる事だ。実家の方は結構式神の気配がしたのに、いや、ご親族を思えば学ばせてもらえなかったのでは……。
「私はちょっと特殊なのよ。一応授業だから出てるけど、多分いる意味は無いでしょうね」
ひょっとして心配気に見てたことが分かったのか、お姉さまがそう説明してくれる。でも授業中に堂々と後ろを見て話すのはマズいですよお姉さま! でもお話しできて嬉しい。でへへ。うん? 特殊とは?
「では教科書通りに書き込んでみろ。これは非常に大雑把でも起動できるタイプのものだから、多少ミスしても全く問題ない」
いやあ、今更主席の僕がこれやる意味ありますかね?
学園長先生、僕とお姉さまは今から上級生に混じった方がいいんじゃないですか? なんたって僕は非鬼の蜘蛛君を作り上げた天才ですから。先生も知ってるでしょ?僕が、しゅ!せ!き! で て!ん!さ!い! なのは。まあでも、皆のお手本になる人が2人は必要か。さあやるか! えーここをこうして、これがこうで、こうこうっと。なんだ、やっぱり蜘蛛君に比べたら超楽勝じゃん。
「全員出来た様だな。では力を流し込んでみろ。小さな小鳥の様な式神が出て来る」
はいはいっと。呪力どばあっと。
さあ出て来い小鳥君!
もしもし? 小鳥君?
ボンッ!
なんだ!? 前で小さな爆発が! お姉さま大丈夫ですか!?
「やっぱりね」
「お姉さま大丈夫です?」
「ええ。昔っから式神を作ろうとしたらこうなるのよ」
見ると符はそのほとんどが燃え尽きたかのようになっていた。
学園長これは一体!?
「稀にだが、彼女の様に非常に強い力を持った能力者が式神を作ろうとすると、あのように符が耐え切れずに燃え尽きてしまう事がある。余談だが、最上位の単独者もだいたいがこうで、仕方なく式神符を買っているが、購入費で余計な経費が嵩むと嘆いてる者が多い」
すげえ話がすげえ世知辛い話に変わりませんでした? まあいいや。という事はお姉さまは最上位の単独者と同じ悩みを抱えてるんですね! 流石ですお姉さま! ですよね皆さん? はああああ、どうしてそこでびびるんですかねえ? 橘お姉さまと佐伯お姉さまを見習って下さいよ。お二人とも負けてなるものかって目をしてらっしゃるじゃないですか。
あ、ところで僕の式符が反応しないのも同じ理由ですかね? いやあ、夫婦揃ってなんだかすいませんね。あれ? 皆さんどうして僕の式符見てらっしゃるんです? なんだか、こいつの式符反応すらしてないじゃん。やっぱり……って目をしていませんか? まあちょっと見ててくださいよ。今から燃え尽きますから。そいや!
あれ?
そいやあああ!
あれ?
あれ? あれ?
ひょっとしてひょっとするとですよ? 俺って恨みパワーマックスの式神を強化出来ても、式神をゼロから作り出す才能ゼロ?
ああああああああああ主席なのにいいいいいいい! もうやだああああああああ! 普通の学校に通ううううう!
「うん? ああ、四葉貴明の様に、同じ理由で燃え尽きるのではなく起動出来ない場合もある。敢えて回路と言うが、ショートするのではなく、機能そのものが完全に壊れるのだ」
学園長ナイスフォロォォォォ! あんた最高だよ! お礼に……そうだ!非鬼擬きとかさんざん言われてる式符を強化してあげましょう! うん、我ながらナイスアイデア! 僕はいい事してスッキリ、学園長は教材が増えてニッコリ、式符は恨み解消してスッキリニッコリ。誰も損してないでしょ? うむ、考えれば考える程完璧なプランだ。
あ、それか浄化失敗したらしゃっくりが出る呪いの品物とかどうです? あ、ちょっとリスクが無いと集中できませんかね? それなら箪笥の角に思いっきり足の小指ぶつけた痛みにしときましょうか? それと一定時間たったら学園の負の感情を吸収して再使用できるようにしときましょう。そうすれば教材として使いまわせるでしょ? やっべ、昔やってた箱庭系のゲームを思い出してテンション上がって来た。やりましょう学園長、内政です! 設備を充実させて伊能学園を世界一の能力者育成所にするんです! えいえいおー!
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「その浄化授業用の教材は喉から手が出るほど欲しい……しかし、非鬼擬きの方はな……」
場所を移して学園長室。
どき! 生徒と企む学園改造計画を話したが、おまけプランの方が感触がいい。腕を組んで唸ってる学園長の脳から、マジでそれ欲しい波が出てるのが分かるもん。
「結構ボロクソ言ってませんでした? あれは非鬼じゃない、雑魚、面汚しみたいな感じで。今は蜘蛛君が頑張ってるから本格的に役立たずなんじゃないですか?」
「そう、あの蜘蛛のお陰で非鬼の何たるかを教育できたから四葉には非常に感謝している。だからこそ擬きの方は別の使い道というか、蜘蛛へ挑戦するための前段階や、登竜門的な役割と考えたなら丁度いい位置にいるのだ」
「ははあ、非鬼としては不合格ですけど、そこへのステップとしてならいい塩梅と」
「その通りだ。いやはや、君のお陰で贅沢な使い方になった。それに、擬きとはいえ非鬼は非鬼だ。四葉が強化すると特鬼の最上位なんかが出来かねない。流石に訓練としては過剰だろう」
まあ確かに、国家規模の演習なんて時しか使われんだろう。学園内の内政とは言えんな。ん? 最上位はダメという事は?
「普通の特鬼なら需要はあるんですか?」
「それは勿論ある。生徒は流石に無理があるから、学園内で主に使用するのは教員職にある単独者になるな。単独者として教員にいる以上鈍るという事は困るのだ。ああ、それに研修として各国の単独者や凄腕が来る可能性が高いな。そうなると人材交流の面でも活発になる。それは卒業していく者には非常にありがたいし、こちらも余所のやり方を学べるのだ。学園として得るものは多いだろう」
なら話は決まり!
◆
ここが大鬼の保管場所ね?
さーて、ああいたいた。恨みマックスいなかったらどうしようかと思ってたけど居ましたよ。
おはようございまーす。
いいよ、君すっごい素質あるよ。蜘蛛君が呪力型になったから、君みたいな筋肉モリモリタイプ探してたんすよ。
それで君の恨みは何だい話してごらん?
いやあやっぱり素質あるよ君。これはもうトップアイドル。間違いないね。
なんたって弱い自分が許せないから自分に恨みが向いてるんだもの。
ああそうともそうとも、怒りも恨みだとも。立派な立派な恨みだ。それが自分に向いていてもだよ。
だから君には力を送ろう。力強い、力強い、力を。
うむ素晴らしい。今日から君は猿君だ。
という訳で猿君。わが校の誇る世界級トップアイドルとして頑張ってくれたまえ。
あ、シフトだけど週7勤で1日24時間だからそこんとこよろしく。え、聞いてない? アイドルに休みなんかないに決まってるじゃない。ほら、契約書のここにもそう書いてある。え? 小さすぎて読めない? ともかく頑張ってくれたまえ。
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