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第4章<最終戦線>編
158話「守りし、護る者」
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良太郎の父、鬼島花彦は……生まれたばかりの良太郎の意識空間に入ってきた……その中にいる俺に会う為に。
「君が良太郎の中の鬼人の本能か。」
「あぁ。鬼人族1人につき一体存在している意識生命体。俺達の飢餓が宿主に影響し宿主は人を喰らう。それが人喰い怪物、鬼人族の正体だ。俺の宿主……お前の息子も人を喰らわなければ生きていけないぞ。戦国時代、世界大戦、あらゆる戦争を経て変わったこの時代で、だ。それができると思うか?」
「無理だな。だからこの術を使う。俺の息子……良太郎がこの世界で健やかに生きていけるように。」
花彦はそう言うと俺に「術」をかけ、俺という存在は「縛り」を受ける事になった。
ギュイイイン……
花彦の掌から放たれた光が鬼人の本能を包み込んだように見えた直後、彼は包帯と鎖によって拘束されている状態になっていた。
「う……ウ……チカラガ……」
「宿主が死ねば君も死ぬ。君だって長生きしたいはずだ。今はこんな縛りでしか君を……良太郎を生きながらえさせる事ができない事を許してほしい。」
「……シバリ、ダト?」
「良太郎の未来に必要な縛りだ。その時までお前は「鬼人の本能を抑制される」という縛りを受けながら生きなければならないが、その時が来たら縛りは解放される。」
「ソノトキ、トハ……?」
「俺は鬼人の中から稀に生まれる「固有異能」を持った存在だ。その異能は「未来を見る異能」。その異能によって良太郎の未来を見た。「その時」とは……良太郎が「この世全ての厄災の根源」と対峙し、危機に陥った時の事だ。その時お前は縛りが解放された際に与えられる俺の力で良太郎を守ってほしい。」
「……。」
花彦の淡々とした説明を俺はずっと聞いていた。
「俺は固有異能を持って生まれた上に鬼人の中から稀に生まれる、何百年もの時を生きる存在「永命種」でもある。俺は500年もの時を生きてきた……その中で愛する人と出会い、その愛によって良太郎が生まれた。そして、良太郎は……いや、良太郎達は厄災の根源である「彼」に人間の可能性を……愛を説き、彼をこの世から消し去る存在となる。彼の手によって2000年続いた悲劇を終わらせるのは良太郎達だ。」
「オレニ……リョウタロウヲ、マモレト?」
「良太郎もお前もこの世に生を授かった特別な存在だ。だから生きてほしい。その命を最後の最後まで全うしてほしい。何があっても。」
「……。」
「良太郎を頼む。」
◇
「……守るぞ、花彦。」
今まさに究極の一撃を放とうとしていたガイ・アステラを前に、良太郎から肉体の主導権を交代し表に出てきた彼の中の鬼人の本能。
「初めましてだな。貴様が、厄災の根源か……。」
「なんだぁ?お前……お呼びでないよ!失せろ!」
「そういう訳にはいかん。花彦との約束なのでな……良太郎を守れと。」
「花彦……あの男か!!コソコソと小癪な真似をして俺へのカウンターを考えてたみたいだが……無駄なんだよ!!神が生み出したものが神に逆らうなんてなぁ!!」
(何……?急にガイ・アステラが調子を損ねたみたいになって……。)
鬼人の本能を前にして急に荒々しい口調になったガイ・アステラを見て困惑するマリーネ。
「お前だってなぁ!!ちょっとした面白半分で生み出した存在に過ぎないんだからな!!それがノコノコ出てきて何をやるつもりだぁ!?」
「俺は良太郎を守る……それだけだ。さぁ撃て。お前の最高の一撃をな。」
「……どいつもこいつも、生み出された恩も知らないで……お前らはただ俺の思い通りになっとけばいいのにねぇ!!」
ゴォォォォォォ!!
ガイ・アステラが生成した巨大な禍々しい炎の塊がさらに激しく燃え盛る。
「ちょっと!?相手を挑発してどうするのよ!?」
「大丈夫だ。良太郎は絶対に守る。花彦との約束だからな。」
「ハナヒコ……?それってお師匠様が言ってたリョータロー君のお父様、だったかしら……?貴方は一体……」
「お前はじっとしてろ。お前の事も守ってやる。」
「でも、リョータロー君の力が覚醒?すればアイツに奪われて……私だってほら!魔術が使えないのよ!?こんな状況で一体どうするのよ!?」
「ジャマ虫が!!俺は良太郎クンが良かったのに!!お前はお呼びじゃねぇんだよ……消えろよ!!死原罪!!」
ゴォォォォォォ!!
その時、ガイ・アステラがついに最大威力の魔術を放った。
巨大な禍々しい炎の塊はゆっくりとマリーネと鬼人の本能に向かっていく。
一体この状況でどうするのかと焦るマリーネに対して鬼人の本能は落ち着いていた……絶対にこの攻撃を凌ぐという覚悟と自信があったからだ。
「……!!」
(鬼人の本能さん!!)
「良太郎……?」
(どうか……護ってください……!!)
「了解した!!」
自分の意識の中の良太郎と約束を交わした鬼人の本能は、この絶望的な状況をひっくり返す覚悟を決める。
彼は両手を突き出し、こう叫んだ。
「異力・90%!!天甲!!」
ギュイィィィィィィン!!
すると巨大な盾の形をしたエネルギーの塊が現れた。
死原罪と天甲がぶつかり、目を当てれない程の激しい光と耳の奥まで轟く轟音が辺り1面に飛び散る。
ギギギギギギギ!!
「っあ……何が……起こって……!!」
「っ……ぐぉぉ……!!」
余りにも激しい音による耳鳴りと激しい光による目眩で状況がよく理解できなかったマリーネに対して、鬼人の本能は果敢に死原罪を止めようと奮闘する。
「消えろ……僕の思い通りにならないものは全て!!」
「負けてたまるかぁ……ッ!!」
鬼人の本能とガイ・アステラの信念が互いの中心で激しくぶつかり合う。
世界を掌で弄ぶ神と、神に反逆する者、2人の想いが力となってぶつかり合っているのだ。
勝つのは護る覚悟か、それとも壊すエゴか__
ギギギギギギィ_______
「……」
「……?」
「ッ……!」
やがて光と音は鳴り止み、戦場に一時の静寂が訪れた。
鬼人の本能、マリーネ、ガイ・アステラは真っ先に今の自分と戦況を確認しようとし、3人とも即座にそれを理解した。
3人とも健在だ。
誰1人として倒れる事無く攻撃のぶつかり合いは終了した……即ち、鬼人の本能がガイ・アステラの死原罪を耐え凌いだのだ。
「この……ッ!」
「やったのね……!」
「なんとか……護ってみせたぞ……花彦……。」
「あのカスの鬼人……コソコソしながらこんな切り札を用意してやがったのか……今のは良太郎クンの力じゃない……良太郎クンの記憶干渉の力は目覚めてはいない……今の良太郎クンの記憶干渉の力じゃ世界の扉は開けられない……!!順当に行けば良太郎クンは世界統合計画のマスターピースになるはずだったのにぃ……!!」
悔しさを滲ませた声でそう呟くガイ・アステラ。
「そうだ。残念だったな。」
「こうなったら……ぬぅ!!」
「何!?」
それでも諦めきれなかった彼は掌を突き出し鬼人の本能に向ける。
「無理やりにでも……!!」
「しまった……!!」
「リョータロー君!!」
シュアァァァァァァ……
鬼人の本能の身体から溢れ出たエネルギーがガイ・アステラの掌へと吸い込まれていく。
このままでは良太郎の力がガイ・アステラの元に渡ってしまう……それを危惧した鬼人の本能は反撃に打って出た。
「異力30%!!斬裂弾!!」
ザシュッ!!
「ぐっ……」
斬裂弾……魔術名で言うとスラッシュショットによってガイ・アステラの肩は斬り裂かれ、彼は異能奪取を中断した。
「すまない良太郎。力を半分奪われてしまった……。」
(全部じゃないだけ助かりました。それに力が完全じゃないと世界を繋ぐ扉は開けないんでしょう?)
「いや……先程も奴が説明した通り、ガイ・アステラは自分の魂を3つに分けている状態だ。つまり力も3等分されているようなものだ。3つの魂が1つに戻り完全な状態になれば力も増す。」
良太郎にそう説明する鬼人の本能。
(で、でも記憶干渉の力は弱いままでは……?)
「記憶干渉の力も奴の力であるという判定になり力が増す、としたら?」
(そ、それはズル過ぎるのでは……?)
(さっきから2人は何を話しているのかしら……。)
良太郎と鬼人の本能による脳内会話についていけないマリーネ。
「……え?」
「ん?」
「何?」
その時、ガイ・アステラがボソリと呟いた言葉に反応する鬼人の本能とマリーネ。
「準備が出来た、ってさ。」
「何の……?」
「世界の扉を開く……準備が!!」
「その報告」を聞いたガイ・アステラは死原罪を止められる前までの調子を取り戻し声高らかにそう宣言する。
次の瞬間……
「!?」
「来たか……!!」
グォォォォォ……!!
ガイ・アステラの隣の空間がグニャリと歪み、ワープゲートのようなものが形成された。
そしてその中からゆっくりと歩いてくる人間が1人……
ダッダッダッダッダッ……
それとは別に物々しい金属音がこちらへと向かってくる音を鬼人の本能とマリーネは確認する。
この場所に向かって来た2つのものの正体、それは……
「やぁ。僕。」
「待ってたよ、俺。」
「待たせたわね……私よ。」
狂死郎の内に潜む第一の魂、闇のティアマトとして暗躍していた第二の魂、影の一味の一員、シャナとして動いていた第三の魂……ガイ・アステラの3つの魂がついにこの場所に合流してしまったのだ。
闇のティアマトはゆっくりとガイ・アステラの元に歩み寄り、シャナはゴーレムの腕の中から降りて小走りをして2人と合流した。
ガイ・アステラ、狂死郎、ティアマト、影の一味、そして2つの世界の人間達……あらゆるものを巻き込んだ陰謀が、今動き出す……。
「君が良太郎の中の鬼人の本能か。」
「あぁ。鬼人族1人につき一体存在している意識生命体。俺達の飢餓が宿主に影響し宿主は人を喰らう。それが人喰い怪物、鬼人族の正体だ。俺の宿主……お前の息子も人を喰らわなければ生きていけないぞ。戦国時代、世界大戦、あらゆる戦争を経て変わったこの時代で、だ。それができると思うか?」
「無理だな。だからこの術を使う。俺の息子……良太郎がこの世界で健やかに生きていけるように。」
花彦はそう言うと俺に「術」をかけ、俺という存在は「縛り」を受ける事になった。
ギュイイイン……
花彦の掌から放たれた光が鬼人の本能を包み込んだように見えた直後、彼は包帯と鎖によって拘束されている状態になっていた。
「う……ウ……チカラガ……」
「宿主が死ねば君も死ぬ。君だって長生きしたいはずだ。今はこんな縛りでしか君を……良太郎を生きながらえさせる事ができない事を許してほしい。」
「……シバリ、ダト?」
「良太郎の未来に必要な縛りだ。その時までお前は「鬼人の本能を抑制される」という縛りを受けながら生きなければならないが、その時が来たら縛りは解放される。」
「ソノトキ、トハ……?」
「俺は鬼人の中から稀に生まれる「固有異能」を持った存在だ。その異能は「未来を見る異能」。その異能によって良太郎の未来を見た。「その時」とは……良太郎が「この世全ての厄災の根源」と対峙し、危機に陥った時の事だ。その時お前は縛りが解放された際に与えられる俺の力で良太郎を守ってほしい。」
「……。」
花彦の淡々とした説明を俺はずっと聞いていた。
「俺は固有異能を持って生まれた上に鬼人の中から稀に生まれる、何百年もの時を生きる存在「永命種」でもある。俺は500年もの時を生きてきた……その中で愛する人と出会い、その愛によって良太郎が生まれた。そして、良太郎は……いや、良太郎達は厄災の根源である「彼」に人間の可能性を……愛を説き、彼をこの世から消し去る存在となる。彼の手によって2000年続いた悲劇を終わらせるのは良太郎達だ。」
「オレニ……リョウタロウヲ、マモレト?」
「良太郎もお前もこの世に生を授かった特別な存在だ。だから生きてほしい。その命を最後の最後まで全うしてほしい。何があっても。」
「……。」
「良太郎を頼む。」
◇
「……守るぞ、花彦。」
今まさに究極の一撃を放とうとしていたガイ・アステラを前に、良太郎から肉体の主導権を交代し表に出てきた彼の中の鬼人の本能。
「初めましてだな。貴様が、厄災の根源か……。」
「なんだぁ?お前……お呼びでないよ!失せろ!」
「そういう訳にはいかん。花彦との約束なのでな……良太郎を守れと。」
「花彦……あの男か!!コソコソと小癪な真似をして俺へのカウンターを考えてたみたいだが……無駄なんだよ!!神が生み出したものが神に逆らうなんてなぁ!!」
(何……?急にガイ・アステラが調子を損ねたみたいになって……。)
鬼人の本能を前にして急に荒々しい口調になったガイ・アステラを見て困惑するマリーネ。
「お前だってなぁ!!ちょっとした面白半分で生み出した存在に過ぎないんだからな!!それがノコノコ出てきて何をやるつもりだぁ!?」
「俺は良太郎を守る……それだけだ。さぁ撃て。お前の最高の一撃をな。」
「……どいつもこいつも、生み出された恩も知らないで……お前らはただ俺の思い通りになっとけばいいのにねぇ!!」
ゴォォォォォォ!!
ガイ・アステラが生成した巨大な禍々しい炎の塊がさらに激しく燃え盛る。
「ちょっと!?相手を挑発してどうするのよ!?」
「大丈夫だ。良太郎は絶対に守る。花彦との約束だからな。」
「ハナヒコ……?それってお師匠様が言ってたリョータロー君のお父様、だったかしら……?貴方は一体……」
「お前はじっとしてろ。お前の事も守ってやる。」
「でも、リョータロー君の力が覚醒?すればアイツに奪われて……私だってほら!魔術が使えないのよ!?こんな状況で一体どうするのよ!?」
「ジャマ虫が!!俺は良太郎クンが良かったのに!!お前はお呼びじゃねぇんだよ……消えろよ!!死原罪!!」
ゴォォォォォォ!!
その時、ガイ・アステラがついに最大威力の魔術を放った。
巨大な禍々しい炎の塊はゆっくりとマリーネと鬼人の本能に向かっていく。
一体この状況でどうするのかと焦るマリーネに対して鬼人の本能は落ち着いていた……絶対にこの攻撃を凌ぐという覚悟と自信があったからだ。
「……!!」
(鬼人の本能さん!!)
「良太郎……?」
(どうか……護ってください……!!)
「了解した!!」
自分の意識の中の良太郎と約束を交わした鬼人の本能は、この絶望的な状況をひっくり返す覚悟を決める。
彼は両手を突き出し、こう叫んだ。
「異力・90%!!天甲!!」
ギュイィィィィィィン!!
すると巨大な盾の形をしたエネルギーの塊が現れた。
死原罪と天甲がぶつかり、目を当てれない程の激しい光と耳の奥まで轟く轟音が辺り1面に飛び散る。
ギギギギギギギ!!
「っあ……何が……起こって……!!」
「っ……ぐぉぉ……!!」
余りにも激しい音による耳鳴りと激しい光による目眩で状況がよく理解できなかったマリーネに対して、鬼人の本能は果敢に死原罪を止めようと奮闘する。
「消えろ……僕の思い通りにならないものは全て!!」
「負けてたまるかぁ……ッ!!」
鬼人の本能とガイ・アステラの信念が互いの中心で激しくぶつかり合う。
世界を掌で弄ぶ神と、神に反逆する者、2人の想いが力となってぶつかり合っているのだ。
勝つのは護る覚悟か、それとも壊すエゴか__
ギギギギギギィ_______
「……」
「……?」
「ッ……!」
やがて光と音は鳴り止み、戦場に一時の静寂が訪れた。
鬼人の本能、マリーネ、ガイ・アステラは真っ先に今の自分と戦況を確認しようとし、3人とも即座にそれを理解した。
3人とも健在だ。
誰1人として倒れる事無く攻撃のぶつかり合いは終了した……即ち、鬼人の本能がガイ・アステラの死原罪を耐え凌いだのだ。
「この……ッ!」
「やったのね……!」
「なんとか……護ってみせたぞ……花彦……。」
「あのカスの鬼人……コソコソしながらこんな切り札を用意してやがったのか……今のは良太郎クンの力じゃない……良太郎クンの記憶干渉の力は目覚めてはいない……今の良太郎クンの記憶干渉の力じゃ世界の扉は開けられない……!!順当に行けば良太郎クンは世界統合計画のマスターピースになるはずだったのにぃ……!!」
悔しさを滲ませた声でそう呟くガイ・アステラ。
「そうだ。残念だったな。」
「こうなったら……ぬぅ!!」
「何!?」
それでも諦めきれなかった彼は掌を突き出し鬼人の本能に向ける。
「無理やりにでも……!!」
「しまった……!!」
「リョータロー君!!」
シュアァァァァァァ……
鬼人の本能の身体から溢れ出たエネルギーがガイ・アステラの掌へと吸い込まれていく。
このままでは良太郎の力がガイ・アステラの元に渡ってしまう……それを危惧した鬼人の本能は反撃に打って出た。
「異力30%!!斬裂弾!!」
ザシュッ!!
「ぐっ……」
斬裂弾……魔術名で言うとスラッシュショットによってガイ・アステラの肩は斬り裂かれ、彼は異能奪取を中断した。
「すまない良太郎。力を半分奪われてしまった……。」
(全部じゃないだけ助かりました。それに力が完全じゃないと世界を繋ぐ扉は開けないんでしょう?)
「いや……先程も奴が説明した通り、ガイ・アステラは自分の魂を3つに分けている状態だ。つまり力も3等分されているようなものだ。3つの魂が1つに戻り完全な状態になれば力も増す。」
良太郎にそう説明する鬼人の本能。
(で、でも記憶干渉の力は弱いままでは……?)
「記憶干渉の力も奴の力であるという判定になり力が増す、としたら?」
(そ、それはズル過ぎるのでは……?)
(さっきから2人は何を話しているのかしら……。)
良太郎と鬼人の本能による脳内会話についていけないマリーネ。
「……え?」
「ん?」
「何?」
その時、ガイ・アステラがボソリと呟いた言葉に反応する鬼人の本能とマリーネ。
「準備が出来た、ってさ。」
「何の……?」
「世界の扉を開く……準備が!!」
「その報告」を聞いたガイ・アステラは死原罪を止められる前までの調子を取り戻し声高らかにそう宣言する。
次の瞬間……
「!?」
「来たか……!!」
グォォォォォ……!!
ガイ・アステラの隣の空間がグニャリと歪み、ワープゲートのようなものが形成された。
そしてその中からゆっくりと歩いてくる人間が1人……
ダッダッダッダッダッ……
それとは別に物々しい金属音がこちらへと向かってくる音を鬼人の本能とマリーネは確認する。
この場所に向かって来た2つのものの正体、それは……
「やぁ。僕。」
「待ってたよ、俺。」
「待たせたわね……私よ。」
狂死郎の内に潜む第一の魂、闇のティアマトとして暗躍していた第二の魂、影の一味の一員、シャナとして動いていた第三の魂……ガイ・アステラの3つの魂がついにこの場所に合流してしまったのだ。
闇のティアマトはゆっくりとガイ・アステラの元に歩み寄り、シャナはゴーレムの腕の中から降りて小走りをして2人と合流した。
ガイ・アステラ、狂死郎、ティアマト、影の一味、そして2つの世界の人間達……あらゆるものを巻き込んだ陰謀が、今動き出す……。
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