異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

文字の大きさ
上 下
156 / 170
第4章<最終戦線>編

155話「神が、嗤う」

しおりを挟む
     ガイ・アステラはついに、良太郎とマリーネに自分達の真の目的「世界統合計画」の全容を話すのだった……。

「僕達の目的、世界統合計画は主に3つの段階を踏み行われる。1つ目は……「異世界と現世を扉によって繋ぐ」!」

「な……」

「んですって……!?」
 
「言葉通りさ。この異世界と良太郎クンの世界を扉によって繋げるんだよ。僕と、闇のティアマト、そしてシャナの中に潜む僕の片割れ2人……合わせて3人が揃えばガイ・アステラは真の力を取り戻す。それによって2つの世界を繋ぐ扉を作るのさ!」

「嘘でしょ……」

「なんでそんな……!!」

    いきなり予想だにしなかった事を言い出したガイ・アステラに驚きを隠せない良太郎とマリーネ。

「なんでそんな事を、って?それは……異世界のモンスターや魔術使いを扉からあちらの世界に送り込む為さ。」

「そんな事をしたら俺の世界は__」

「未曾有の大混乱って所かな?異世界の既得権益者達が現世の資源や技術を知れば喉から手が出るほど欲しくなるだろうさ。」

「そうなったら戦争が起きるじゃない!それも……魔術を使える人間とそうじゃない人間同士で……!」

    ガイ・アステラの行為によって最悪の状況が起こるはずだと想像したマリーネは顔を歪ませる。

「そう……僕はその戦争を起こしたいんだ。その果てに人は進化し……新人類となる!」

「ふざけるな!そんな事の為に沢山の人が死ぬ事になるんだぞ!そんな事させるか!!」
 
「そうよ!!人類の進化……?世迷言も大概にしなさい!!一体貴方にどんな権利があってそんなくだらない事を……!!」

    良太郎とマリーネに問い詰められたガイ・アステラは少し俯いた後表情を一変させてこう答える。

「良太郎クゥン……僕は君の世界について勉強してねぇ、今の僕がやろうとしている事を表現するに相応しい言葉を勉強したんだ……その名はズバリ……

最強の人類をキミの手で作り出せ!!最強人類育成ゲェェェェェムッッッ!!イェイイェーイ!!」

「__」

「「は?」」

    良太郎もマリーネも、ただひたすら唖然とした。
    ガイ・アステラの思想の影響を受けていた狂死郎や闇のティアマトとこれまで対峙してきたが……そのガイ・アステラが最も狂っていたのだ。
    
「僕は狂死郎クンの「世界支配計画」をお名目とし異世界に恐怖と憎悪の渦を巻き起こした。その異世界が現世と繋がり、2つの人類が出会う!!そうすれば後は簡単さ!!ただ一言……「影の一味はこの世界から来た侵略者だ」って噂を流布すればいいだけだもんね!!」

「……ッ!!」

「そこまで考えた上で……!!」

「そうして戦争が起こる……人類最後にして最大の戦争「終末戦争(ラグナロク)」がねぇ!!」
 
    今にも舞い上がりそうな程高揚しているガイ・アステラは両手をバッと広げて声高らかにそう宣言した。

「そうして争いの中で人は新たな次元に達する!それこそが新人類!新人類が暮らす新時代は互いが互いを理解しあい肯定しあう……嘘偽りのない真実のみの世界さ!その時初めて僕は……醜い時代を繰り返してきた愚かな人類をずぅーっと、愛情込めて育成してきた僕の努力は報われ、満足できるだろうさ。ま、育成って言ってもちょっとした願いを叶える為の花を使っただけだけど。全ては僕が願う結末にたどり着く為の2000年の壮大なシナリオだった……という訳なんだよぉ!!」

「……そんな事、俺達が……」

「私達が……」

「「許すと思っているのか!!!!」」

    意を決した良太郎とマリーネはその言葉を踏ん切りにガイ・アステラを止める為の戦いを始めようとする。

「血鬼変動!!」

    変身ポーズをとり、眩い光に身を包みゴーレムの姿に変身する良太郎と、聖杖ラファエルを構えるマリーネ。
    
「ウイングユニット!!」

    さらに良太郎が声高らかに叫び右手を天に掲げると、遙か彼方から4つのウイングユニットが飛来し2つが彼の背部に装着され、もう2つが両腕に装着される。

「パワーブーストレイズ!ハイアクセルレイズ!」

    さらにマリーネも筋力強化魔術「パワーブースト」と速力強化魔術「ハイアクセル」の上位魔術にして、3分の時間制限と引き換えに強力な能力強化を施す「パワーブーストレイズ」「ハイアクセルレイズ」で自らにバフをかけた。

「さぁ……」

「行くぞ、ガイ・アステラ!!」

「くくく……来たまえ!!盤上の駒よ!!」

「うぉぉぉっ!!」

ギュンッ!ギュンッ!

    右手を前に突き出し、鋭い弾丸「スパイクレールガン」を連射しながらガイ・アステラに近づく良太郎。

「ふっ!」

    ガキキキン!

    ガイ・アステラは影の膜を張りそれによって良太郎の牽制射撃から自分を守った。
    だがその間に良太郎はガイ・アステラに彼に攻撃を、繰り出すかに思われたが……
 
「マリーネ!」  

「セブンウインドバレット!」

    攻撃を繰り出してきたのはマリーネだった。
    風の弾丸「ウインドバレット」を7つ同時に放つ「セブンウインドバレット」を繰り出し、中距離からガイ・アステラを攻撃しようとするマリーネ。

「はっ!」

    良太郎はそれに合わせてウイングユニットによる飛行能力で空中に舞い上がり、空中でアクロバティックに身を捻ってガイ・アステラの反対側に着地した。

「はぁっ!!」

ギュインッ!!

    さらに両手に装備したウイングユニットの先端から光の刃を展開する。
    良太郎とマリーネはガイ・アステラを挟み撃ちにするつもりなのだ。

「無駄無駄ぁ……!!」

    だが、自分に攻撃が迫っているその瞬間も余裕を崩さないガイ・アステラ。
    次の瞬間……彼が地面に手を触れたと思った刹那、彼の影が大きく広がりそこから鋭い影の刃が無数に伸び良太郎とマリーネを襲った。

「なんの……!」

「必勝機動!!エモーショナル・ハイマニューバ!!」

    この攻撃を、2人は身体強化によって強化された速力でかろやかに回避し敵の激しい攻撃に隙ができないかと伺う。

「くっ……!」
 
    だが敵の攻撃は止まることを知らないかのように連続し、回避だけでは間に合わず防御も使ってなんとか身を守る事に徹する。
    攻撃の中心にいるガイ・アステラは余裕綽々といった態度で次々に影の刃を伸ばしていく。

「(こうなったら……)こっちだ!!ここまでは届くか!?」

「へぇ……!」

    ビュンッ!ビュンッ!

    ある作戦を思いついた良太郎は飛行能力で空高く飛翔しガイ・アステラを挑発する。
    ガイ・アステラの注意を引いている間にマリーネにガイ・アステラへの攻撃を任せる……それが良太郎の次の作戦だった。
    そんな単純な作戦はすぐに悟られてしまうだろう……というのは良太郎自身も分かっており、もっと高度な陽動にする為に両手のウイングユニットも切り離して宙を飛行させ、それも使っての陽動を試みる。

「いいよ……黒影魔術……冥壊死手(めいかいししゅ)!!」

    ガイ・アステラがそう唱えると、複数の鋭い影の刃が絡み合い4つの巨大な腕の形を成し、それが良太郎を襲う。

 ゴゥゥゥッ!!

「くっ……!!」

    影の腕は良太郎の想像よりも俊敏に動き彼を捕まえようとする。
    ウイングユニットから放つスパイクレールガンによる牽制も試みるが、影の腕から逃げながら2つのウイングユニットを操作するというのは良太郎にかなりの負担を要した。

「ぐっ……頭が……いや、俺が隙を作らないと……!!」

    それでもやらなければならないと無理をして自分の身体と2つのウイングユニットを同時に操りガイ・アステラに陽動を仕掛ける良太郎。

「ははっ、ちょこまかと……。」

「リョータロー君……あれ?私への影の攻撃の精度が少し落ちてるような……ガイ・アステラの意識がリョータロー君に向いてるから……!?」

    良太郎の狙い通り、ガイ・アステラは彼への攻撃に意識を集中させた結果マリーネへの攻撃が粗雑になっていた。
    先程まで的確にマリーネを狙い伸びていた影の刃がほとんど当たらなくなったのだ。

    マリーネは良太郎の意思を即座に汲み取り、この期を逃すまいと杖を構え標的を見据える。

(やるなら、この一撃で……!!)

    防御魔術メタルシールドで稀に自分の方に伸びてくる影の刃を防ぎつつ、杖の先端をガイ・アステラに向け、敵の心臓を的確に射抜けるように心を落ち着かせる。 
    ただひたすらその時が来るのを待ち続け……そして……

(頼む……マリーネ……!)

(ここだ!)

「フレイムランス!!」

    聖杖ラファエルの先端から炎の槍、フレイムランスが勢いよく放たれる。
    果たしてマリーネの攻撃は、ガイ・アステラを貫くに至るのか……。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。

ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。 折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。 ・・と、思っていたんだけど。 そう上手くはいかないもんだね。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。 神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。 しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。 ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。 ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

闇属性転移者の冒険録

三日月新
ファンタジー
 異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。ところが、闇属性だからと草原へ強制転移されてしまう。  頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険がスタートした。  強力な魔物や敵国と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指していく。 ※週に三話ほど投稿していきます。 (再確認や編集作業で一旦投稿を中断することもあります) ※一話3,000字〜4,000字となっています。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...