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第4章<最終戦線>編
153話「心に、希望を」
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狂死郎が良太郎に突きつけた真実は、彼の心を深く抉った。
良太郎に隠された彼の固有異能……それは、「あらゆる記憶に干渉する異能」だっだ。
「う……嘘だ……。」
「嘘よ!リョータロー君を傷つける為の嘘なんでしょ!!」
「嘘じゃないさ。」
「何を証拠にそんな事!!」
狂死郎に怒りの矛先を向けるマリーネ。
そんな彼女と、そして良太郎に狂死郎は度し難い真実を伝える。
「良太郎君……君が記憶干渉の力で無意識のうちに行ってきた記憶改竄の中で最も君のエゴが滲み出ていたものが……野原林檎ちゃんに対する記憶改竄だ。」
「林檎の……記憶を……?」
良太郎は恐る恐る顔をあげ、狂死郎の顔を見上げる。
「君は10歳の頃鬼人の本能が外的要因によって暴走し、野原林檎の内蔵を喰らった。それはガイ・アステラによるものだっていうのは置いといて……あんな凄惨な目にあった林檎が君と再会した時、彼女は自分をそんな目に合わせた君に対してどう接したかな?」
「……」
「君への好意を変えることなく、優しく接してくれたよね?」
「それはリンゴちゃんが優しい子だったから……!」
狂死郎の言おうとしている事をなんとか否定しようとするマリーネ。
「そうとも考えられるけど、現実はそう甘くないんだよね。良太郎君……君は林檎ちゃんに記憶改竄を行いあの凄惨な事件の「痛み」の記憶を消したんだよ。それによって林檎ちゃんには「良太郎君によって深い傷を負わされた」という事実だけが残り、それに至るまでの身の毛もよだつ激痛の記憶を消し去られたのさ。」
「そんなの……嘘に決まってるじゃない!」
「マリーネ……君も林檎ちゃんみたいに純粋無垢な子だね。自分自身も良太郎君による記憶改竄によって良太郎君に都合のいい存在になってるってのにさ。」
「ふざけた事言うのも大概にしなさいよ!!私はちっとも記憶を弄られてなんかいないわ!!リョータロー君に対する私の気持ちは嘘なんかじゃない……私自身が他の何者でもない私自身の心で感じた本当の気持ちなんだから!!」
狂死郎の言葉がマリーネの逆鱗に触れ、彼女は狂死郎の言葉を全力で否定しようとした。
「そうか……ならもう1つ教えてあげるよ__」
狂死郎がそう言いかけたその時、マリーネは彼に杖を向け魔術を行使する。
パキパキパキパキ……!!
「アイスクライシス……これ以上は喋らせないわ!リョータロー君を苦しめるような言葉は……!」
狂死郎を取り囲むように無数のアイスバレットが展開された。
全方位からアイスバレットによって徹底的に攻撃する強力な魔術「アイスクライシス」……これによってマリーネは彼に脅しをかけた。
「ふぅん……。」
だが狂死郎は全く動じる事無く1つのアイスバレットに指先で触れ、それを一瞬で破壊してみせた。
パキィンッ!パキパキパキパキッ!
すると他のアイスバレットも連鎖的に砕け散っていき、狂死郎はいとも容易くマリーネの魔術を破ってみせたのだ。
「くっ……!!」
「林檎ちゃんの話したついでに彼女の「家系」についても話しておこうと思ってね。」
「……」
そう言って語り出す狂死郎をマリーネも、ましてや良太郎にも止める事はできなかった。
「僕達鬼人族が人間狩りを初めて40年程の時間が経過した頃かなぁ……とある鬼人がある人間を食べたら、なんとその鬼人は食人本能を無くしてしまったんだよ。その結果彼は鬼人でも人間でもない中途半端な状態になってしまってね……僕らはやむなく彼を棲家から追い出したんだ。そんな者とは一緒に生活できないという事でね。それはそうと、僕は彼が食した人間の血や臓器を使ってちょっとした研究をしてみたんだけど……その結果、人間の中に稀に「鬼人の本能を抑制する細胞を持った人間」がいる事が判明したんだ……しかもその体質は脈々と子孫へと引き継がれるみたいなんだ。」
「……!!」
狂死郎の言葉を聞いて、彼が言いたい事を察した良太郎とマリーネ。
「そう、林檎ちゃんの一族がまさにそういうものだったらしい。そこからは色々あったものさ……その血統を「忌み血」と呼び見つけ次第一族皆殺しにしようとする過激な鬼人が出てきたり、その情報が人間側にもバレちゃってその一族を利用してやろうとする人間が出てきたりね……。」
「……」
「そして鬼人による混沌の時代を生き抜いた忌み血の一族は現代まで生き延びた……林檎ちゃんもその1人という訳さ。どうだい?中々面白い話だろう?」
「面白い……?そんな訳ないじゃない!貴方は……どれだけリョータロー君を苦しめれば気が済むの……ッ!!」
良太郎を嘲笑う狂死郎にマリーネは尚魔杖を向け攻撃を仕掛けようとする。
たとえ自分の攻撃が狂死郎に通用しないとしても……それでもマリーネは良太郎が侮辱されるのが我慢ならなかったからだ。
「ふふふ、だって楽しいじゃない?良太郎君はとても弄り甲斐があって楽しいんだから。」
「フレイムバレット!サンダーバレット!」
マリーネは調子に乗っている狂死郎にお灸を据えてやるべくフレイムバレットとサンダーバレットを繰り出す。
2つの弾丸が狂死郎目掛けて飛んでいくが……。
「無駄無駄。」
ババシュッ!
どちらの攻撃も、狂死郎の背後から伸びる影の手によって払い除けられ不発に終わった。
そして尚も狂死郎は人の心を弄ぼうと言葉を繰り出す。
「良太郎君を守ろうとするマリーネだって……自分の弟の影に縋ってゴーレムを作ったっていうのに、よく良太郎君を支える良き存在という体裁を保とうとできるね。」
「黙りなさい!」
ゴォッ!
さらにマリーネはウインドバレットとアクアバレットを放ち狂死郎を攻撃しようとするも、どんな攻撃であっても狂死郎の影による防御を突破する事はできずにいた。
「……」
失意の良太郎は、戦うマリーネの背中をただ見ている事しかできなかった。
「マリーネ……君1人の力じゃ僕には勝てないよ?良太郎君の力を借りれば、あるいは……でも傷心の彼をどう立ち直らせるのかな?」
「くっ……!」
マリーネを挑発するかのような狂死郎に怒りを覚えるマリーネだったが、それでは彼の思う壷だと考え直し、一先ず深呼吸をする。
雑念を捨て去り、今自分ができる最適の選択を考える為に。
「すぅ……はぁ……」
「冷静だね……僕達が狩ってきた愚かな人間達とは違って。」
「……」
マリーネは今自分がやるべき事を理解し、それを行動に移す決意を固めた。
それは……狂死郎の言う通り、良太郎を奮い立たせる事だ。
だが無理やりにではない……彼の心に寄り添い、狂死郎に真実を突きつけられ暗闇を彷徨う彼の心に光を……希望を灯すのだ。
「リョータロー君……聞いて。」
「……。」
「真偽は分からないけど、キョーシローは貴方の心を弄ぶ為に的確なカードを利用してきた。貴方の心を弄ぶという……最低な事の為に。アイツは人を喰らいながら生きてきて、それを自由にできるようにする為に世界を支配しようとしてる……最低な奴。」
「……。」
「でもね……実は私も最低な奴なの。」
「……え?」
思わずそう零す良太郎。
「だって……もしも……リョータロー君がキョーシローの子孫じゃなかったら……鬼人族じゃなかったら……私とリョータロー君は出会えなかったかもしれないって思ってしまったの。この目で見た訳じゃないけど……貴方の世界では鬼人族によって数え切れない程の人間が命を奪われてきたのでしょう?それなのに……そんな最低な事考えちゃったの、私……。」
「マリー……ネ……。」
「それに、さっきのキョーシローの言葉聞いてた?私は弟への……お師匠様への……家族への未練からゴーレムを作ったの……家族の代わりを求めてゴーレムを作ったの。私は弱い人間なのよ……。」
「……」
「でも……私は世界を守りたい。もうこれ以上……世界を影の一味の好きなようにさせたくないから……もうこれ以上、家族を失う子供が増えてほしくないから。私はどれだけ最低な奴でも……戦い続けるわ。平和な世界の為に。その世界ではね……皆が何に遠慮する事もなく笑ってるの。普通の人も、冒険者も、私も……リョータロー君も。リョータロー君が鬼人族だろうと、無意識の内に人の心を改竄していようと……平和になった世界で貴方にも笑っててほしいの。これは改竄された心なんかじゃない、私自身の本音よ。私の心は何の影響も受けてないんだから。だから__」
「最終段階だ。」
ゾァァァァァァ……!!
その時、狂死郎が背後から禍々しい巨大な影を出現させ邪悪なオーラを放った。
「な……!」
「良太郎君……君は僕らの試練を乗り越えなくてはならない……選ばれし存在になる為に……ここからは「最終段階」さ。」
ゴァァァァァァッ!!
「ッ……!!」
狂死郎の影が良太郎とマリーネに牙を剥く。
良太郎は絶望を乗り越えられるのか……。
良太郎に隠された彼の固有異能……それは、「あらゆる記憶に干渉する異能」だっだ。
「う……嘘だ……。」
「嘘よ!リョータロー君を傷つける為の嘘なんでしょ!!」
「嘘じゃないさ。」
「何を証拠にそんな事!!」
狂死郎に怒りの矛先を向けるマリーネ。
そんな彼女と、そして良太郎に狂死郎は度し難い真実を伝える。
「良太郎君……君が記憶干渉の力で無意識のうちに行ってきた記憶改竄の中で最も君のエゴが滲み出ていたものが……野原林檎ちゃんに対する記憶改竄だ。」
「林檎の……記憶を……?」
良太郎は恐る恐る顔をあげ、狂死郎の顔を見上げる。
「君は10歳の頃鬼人の本能が外的要因によって暴走し、野原林檎の内蔵を喰らった。それはガイ・アステラによるものだっていうのは置いといて……あんな凄惨な目にあった林檎が君と再会した時、彼女は自分をそんな目に合わせた君に対してどう接したかな?」
「……」
「君への好意を変えることなく、優しく接してくれたよね?」
「それはリンゴちゃんが優しい子だったから……!」
狂死郎の言おうとしている事をなんとか否定しようとするマリーネ。
「そうとも考えられるけど、現実はそう甘くないんだよね。良太郎君……君は林檎ちゃんに記憶改竄を行いあの凄惨な事件の「痛み」の記憶を消したんだよ。それによって林檎ちゃんには「良太郎君によって深い傷を負わされた」という事実だけが残り、それに至るまでの身の毛もよだつ激痛の記憶を消し去られたのさ。」
「そんなの……嘘に決まってるじゃない!」
「マリーネ……君も林檎ちゃんみたいに純粋無垢な子だね。自分自身も良太郎君による記憶改竄によって良太郎君に都合のいい存在になってるってのにさ。」
「ふざけた事言うのも大概にしなさいよ!!私はちっとも記憶を弄られてなんかいないわ!!リョータロー君に対する私の気持ちは嘘なんかじゃない……私自身が他の何者でもない私自身の心で感じた本当の気持ちなんだから!!」
狂死郎の言葉がマリーネの逆鱗に触れ、彼女は狂死郎の言葉を全力で否定しようとした。
「そうか……ならもう1つ教えてあげるよ__」
狂死郎がそう言いかけたその時、マリーネは彼に杖を向け魔術を行使する。
パキパキパキパキ……!!
「アイスクライシス……これ以上は喋らせないわ!リョータロー君を苦しめるような言葉は……!」
狂死郎を取り囲むように無数のアイスバレットが展開された。
全方位からアイスバレットによって徹底的に攻撃する強力な魔術「アイスクライシス」……これによってマリーネは彼に脅しをかけた。
「ふぅん……。」
だが狂死郎は全く動じる事無く1つのアイスバレットに指先で触れ、それを一瞬で破壊してみせた。
パキィンッ!パキパキパキパキッ!
すると他のアイスバレットも連鎖的に砕け散っていき、狂死郎はいとも容易くマリーネの魔術を破ってみせたのだ。
「くっ……!!」
「林檎ちゃんの話したついでに彼女の「家系」についても話しておこうと思ってね。」
「……」
そう言って語り出す狂死郎をマリーネも、ましてや良太郎にも止める事はできなかった。
「僕達鬼人族が人間狩りを初めて40年程の時間が経過した頃かなぁ……とある鬼人がある人間を食べたら、なんとその鬼人は食人本能を無くしてしまったんだよ。その結果彼は鬼人でも人間でもない中途半端な状態になってしまってね……僕らはやむなく彼を棲家から追い出したんだ。そんな者とは一緒に生活できないという事でね。それはそうと、僕は彼が食した人間の血や臓器を使ってちょっとした研究をしてみたんだけど……その結果、人間の中に稀に「鬼人の本能を抑制する細胞を持った人間」がいる事が判明したんだ……しかもその体質は脈々と子孫へと引き継がれるみたいなんだ。」
「……!!」
狂死郎の言葉を聞いて、彼が言いたい事を察した良太郎とマリーネ。
「そう、林檎ちゃんの一族がまさにそういうものだったらしい。そこからは色々あったものさ……その血統を「忌み血」と呼び見つけ次第一族皆殺しにしようとする過激な鬼人が出てきたり、その情報が人間側にもバレちゃってその一族を利用してやろうとする人間が出てきたりね……。」
「……」
「そして鬼人による混沌の時代を生き抜いた忌み血の一族は現代まで生き延びた……林檎ちゃんもその1人という訳さ。どうだい?中々面白い話だろう?」
「面白い……?そんな訳ないじゃない!貴方は……どれだけリョータロー君を苦しめれば気が済むの……ッ!!」
良太郎を嘲笑う狂死郎にマリーネは尚魔杖を向け攻撃を仕掛けようとする。
たとえ自分の攻撃が狂死郎に通用しないとしても……それでもマリーネは良太郎が侮辱されるのが我慢ならなかったからだ。
「ふふふ、だって楽しいじゃない?良太郎君はとても弄り甲斐があって楽しいんだから。」
「フレイムバレット!サンダーバレット!」
マリーネは調子に乗っている狂死郎にお灸を据えてやるべくフレイムバレットとサンダーバレットを繰り出す。
2つの弾丸が狂死郎目掛けて飛んでいくが……。
「無駄無駄。」
ババシュッ!
どちらの攻撃も、狂死郎の背後から伸びる影の手によって払い除けられ不発に終わった。
そして尚も狂死郎は人の心を弄ぼうと言葉を繰り出す。
「良太郎君を守ろうとするマリーネだって……自分の弟の影に縋ってゴーレムを作ったっていうのに、よく良太郎君を支える良き存在という体裁を保とうとできるね。」
「黙りなさい!」
ゴォッ!
さらにマリーネはウインドバレットとアクアバレットを放ち狂死郎を攻撃しようとするも、どんな攻撃であっても狂死郎の影による防御を突破する事はできずにいた。
「……」
失意の良太郎は、戦うマリーネの背中をただ見ている事しかできなかった。
「マリーネ……君1人の力じゃ僕には勝てないよ?良太郎君の力を借りれば、あるいは……でも傷心の彼をどう立ち直らせるのかな?」
「くっ……!」
マリーネを挑発するかのような狂死郎に怒りを覚えるマリーネだったが、それでは彼の思う壷だと考え直し、一先ず深呼吸をする。
雑念を捨て去り、今自分ができる最適の選択を考える為に。
「すぅ……はぁ……」
「冷静だね……僕達が狩ってきた愚かな人間達とは違って。」
「……」
マリーネは今自分がやるべき事を理解し、それを行動に移す決意を固めた。
それは……狂死郎の言う通り、良太郎を奮い立たせる事だ。
だが無理やりにではない……彼の心に寄り添い、狂死郎に真実を突きつけられ暗闇を彷徨う彼の心に光を……希望を灯すのだ。
「リョータロー君……聞いて。」
「……。」
「真偽は分からないけど、キョーシローは貴方の心を弄ぶ為に的確なカードを利用してきた。貴方の心を弄ぶという……最低な事の為に。アイツは人を喰らいながら生きてきて、それを自由にできるようにする為に世界を支配しようとしてる……最低な奴。」
「……。」
「でもね……実は私も最低な奴なの。」
「……え?」
思わずそう零す良太郎。
「だって……もしも……リョータロー君がキョーシローの子孫じゃなかったら……鬼人族じゃなかったら……私とリョータロー君は出会えなかったかもしれないって思ってしまったの。この目で見た訳じゃないけど……貴方の世界では鬼人族によって数え切れない程の人間が命を奪われてきたのでしょう?それなのに……そんな最低な事考えちゃったの、私……。」
「マリー……ネ……。」
「それに、さっきのキョーシローの言葉聞いてた?私は弟への……お師匠様への……家族への未練からゴーレムを作ったの……家族の代わりを求めてゴーレムを作ったの。私は弱い人間なのよ……。」
「……」
「でも……私は世界を守りたい。もうこれ以上……世界を影の一味の好きなようにさせたくないから……もうこれ以上、家族を失う子供が増えてほしくないから。私はどれだけ最低な奴でも……戦い続けるわ。平和な世界の為に。その世界ではね……皆が何に遠慮する事もなく笑ってるの。普通の人も、冒険者も、私も……リョータロー君も。リョータロー君が鬼人族だろうと、無意識の内に人の心を改竄していようと……平和になった世界で貴方にも笑っててほしいの。これは改竄された心なんかじゃない、私自身の本音よ。私の心は何の影響も受けてないんだから。だから__」
「最終段階だ。」
ゾァァァァァァ……!!
その時、狂死郎が背後から禍々しい巨大な影を出現させ邪悪なオーラを放った。
「な……!」
「良太郎君……君は僕らの試練を乗り越えなくてはならない……選ばれし存在になる為に……ここからは「最終段階」さ。」
ゴァァァァァァッ!!
「ッ……!!」
狂死郎の影が良太郎とマリーネに牙を剥く。
良太郎は絶望を乗り越えられるのか……。
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