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第4章<最終戦線>編
131話「男の、後悔」
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俺は昔から何者かになりたいと思ってた。
何者かになってこの世界にデッケェ爪痕を残してぇと思ってた。
そんな俺だから、冒険者という仕事を知るなり胸が踊ったぜ。
「冒険者に?」
「あぁ。」
「危険な仕事だが……それでもやるのか?」
「もちろんだぜ。俺は生まれつき魔術が使える特異体質だからな。しかも体の部位をモンスターの部位に変形させるっつーイカした魔術だ。」
「うーん、まぁ強力な魔術ではあるが……。」
「やっぱり親としては心配だわ……。」
「それでも俺は__」
両親を説得するのには少し時間がかかったが、なんとか説得する事ができたので俺は15歳になったのを機に冒険者となり家を出た。
「シェルタートルの甲羅!」
「ダッシュラプトルの脚!」
「ハンターラビットの耳!」
俺は魔術「百獣変化」を自由自在に駆使して冒険者活動をスムーズに進めていき、22歳の頃にはそこらの冒険者よりも遥かに早いスピードで1級冒険者に上り詰めていた。
「タウラスはスゲェな!大竜レベルのモンスターを1人で倒したんだって?」
「ま、俺ならこんなもんよ!」
「天才ってやつじゃねーのかお前?」
「そーだよ!俺は天才なんだ!」
「この調子で行けばあっという間に特級冒険者になれるんじゃねぇのか!?」
「当たり前だろ!最短で特級に行ってやるよ!モンスター狩りまくって報酬金ガッポリ稼いでやる!そしたらお前らにも酒奢ってやるよ!」
「調子いいなぁこいつ~!」
周りの冒険者達も俺をもてはやし、俺は調子に乗ってしまった……だから慢心し、油断し、たかが手負いの雑魚モンスター一匹見逃したぐらい……と思ってしまったが為に、そのモンスターによって1つの村が壊滅状態に追いやられた。
◇
「ひでぇな……西の森からやってきたレッドドラゴンのせいで一晩でこの有様だ。」
「生き残ったの、村長の奥さんとガキ2人の3人だけだとよ。」
「タウラス、お前昨日西の森に行ってたんだろ?レッドドラゴンの群れを討伐しに行くって……。」
「あ、あぁ!だけど、その……あれ、レッドドラゴン、全部倒したはずなんだけどな……。」
仲間達と共にその村に駆けつけた俺は、仲間になんとか上手い言い訳を取り繕おうとするも、言葉が詰まってしまった……。
「とりあえず俺達の今日のクエストはこの村の死体整理だ。さぁ、とりかかるぞ。」
「あ、あぁ……。」
俺は仲間達と共に計95個の死体を整理、顔と名前の確認をし、村人95人の死を確認した後、教会のシスターに死体を清めてもらい焼却した。
◇
その日はずっとモヤモヤとした気持ちのまま宿に篭って1日を過ごした。
俺が悪いのか?……きっとそうに違いない……ちょっと油断しただけだろ?……その油断で人が大勢死んだ……こんなのよくある事故じゃねぇか?……そんな言い訳して逃げるのか?……俺は俺なりに頑張ったさ!……仲間達にもそう吹聴するのか?
頭の中でずっと自問自答し続けた。
そしてそれから逃げるように邪な考えを抱いてしまった。
「……だぁー!考えても埒が明かねぇ!そうだ!俺もう成人してるんだし……スッキリしたい時は……女だ!女抱きに行こう!もう7時だし、店開いてんだろ!そうしよう!初めてだから緊張するが……まぁ俺はタウラス様だし?顔はそこそこ良い!抱いた子の方から迫ってきたりなんて……ぐへへ……」
そう思い立った直後には足は素早く動いており、その足で目的の場所、風俗……にたどり着くと思ってたのに……
「……」
結局俺はバカだった。
俺がたどり着いたのは壊滅した村のガキ2人が保護されていた病院だった。
心の奥底で、その2人の様子が気になってたんだと思う……名前も知らないガキ2人の様子が。
とりあえず病院の扉を開け、係員さんのいる窓口に向かった。
「あのー、今朝ここに子供2人連れてこられませんでしたか?」
「あぁ、ドラコ君とベルちゃんですか。」
「その2人って、今どうなって……ますかね?その、怪我とかしてないかとか、精神的に大丈夫か、とか気になってて……。」
「……両親が亡くなってとても悲しそうにしています。今はそっとしておくのが1番かと……あ、貴方の名前は?」
「た、タウラス・トレス……です。」
「も、もしかして1級冒険者のタウラスさんですか?」
病院の係員さんは驚いたかのように俺の名前を再確認する。
「は、はい。そうですが?」
「そうですか……では、ドラコ君とベルちゃんが心身共に良好になったら貴方に合わせたいと思うのですが……よろしいですか?」
「え、どうしてですか……?」
「あの2人、冒険者という職業に憧れてるみたいで……まるでヒーローのようだと言ってました。この王都……いえ、王国アダン最高の冒険者と出会えればきっと2人は喜ぶと思いますよ。」
「そ、そうっすか……分かりました。」
そんなこんなで俺は病院の係員さんとそう約束し、俺は自分の元に病院からの手紙が来るのを待った。
そしてその日から半月が経とうとしてたある日、病院から手紙が来た……ドラコとベルの調子がだいぶ回復してきたとの事だ……。
俺は早速病院に向かい、2人がいる部屋の扉を叩いた。
コンコン
それから3秒もせずに病院の係員さんが部屋の中から扉を開いてくれた……この前俺と話した女の人だ。
「き、来ましたよ。」
「こんにちは。さぁこちらへ……ドラコ君、ベルちゃん、冒険者のタウラスさんだよ。」
「ぼーけんしゃのにーたん!」
「こ、こんにちは……。」
その日、俺は自分の人生においてかけがえのない出会いを果たした。
ドラコとベル、その後俺が面倒を見る事になる2人の弟分だ……。
何者かになってこの世界にデッケェ爪痕を残してぇと思ってた。
そんな俺だから、冒険者という仕事を知るなり胸が踊ったぜ。
「冒険者に?」
「あぁ。」
「危険な仕事だが……それでもやるのか?」
「もちろんだぜ。俺は生まれつき魔術が使える特異体質だからな。しかも体の部位をモンスターの部位に変形させるっつーイカした魔術だ。」
「うーん、まぁ強力な魔術ではあるが……。」
「やっぱり親としては心配だわ……。」
「それでも俺は__」
両親を説得するのには少し時間がかかったが、なんとか説得する事ができたので俺は15歳になったのを機に冒険者となり家を出た。
「シェルタートルの甲羅!」
「ダッシュラプトルの脚!」
「ハンターラビットの耳!」
俺は魔術「百獣変化」を自由自在に駆使して冒険者活動をスムーズに進めていき、22歳の頃にはそこらの冒険者よりも遥かに早いスピードで1級冒険者に上り詰めていた。
「タウラスはスゲェな!大竜レベルのモンスターを1人で倒したんだって?」
「ま、俺ならこんなもんよ!」
「天才ってやつじゃねーのかお前?」
「そーだよ!俺は天才なんだ!」
「この調子で行けばあっという間に特級冒険者になれるんじゃねぇのか!?」
「当たり前だろ!最短で特級に行ってやるよ!モンスター狩りまくって報酬金ガッポリ稼いでやる!そしたらお前らにも酒奢ってやるよ!」
「調子いいなぁこいつ~!」
周りの冒険者達も俺をもてはやし、俺は調子に乗ってしまった……だから慢心し、油断し、たかが手負いの雑魚モンスター一匹見逃したぐらい……と思ってしまったが為に、そのモンスターによって1つの村が壊滅状態に追いやられた。
◇
「ひでぇな……西の森からやってきたレッドドラゴンのせいで一晩でこの有様だ。」
「生き残ったの、村長の奥さんとガキ2人の3人だけだとよ。」
「タウラス、お前昨日西の森に行ってたんだろ?レッドドラゴンの群れを討伐しに行くって……。」
「あ、あぁ!だけど、その……あれ、レッドドラゴン、全部倒したはずなんだけどな……。」
仲間達と共にその村に駆けつけた俺は、仲間になんとか上手い言い訳を取り繕おうとするも、言葉が詰まってしまった……。
「とりあえず俺達の今日のクエストはこの村の死体整理だ。さぁ、とりかかるぞ。」
「あ、あぁ……。」
俺は仲間達と共に計95個の死体を整理、顔と名前の確認をし、村人95人の死を確認した後、教会のシスターに死体を清めてもらい焼却した。
◇
その日はずっとモヤモヤとした気持ちのまま宿に篭って1日を過ごした。
俺が悪いのか?……きっとそうに違いない……ちょっと油断しただけだろ?……その油断で人が大勢死んだ……こんなのよくある事故じゃねぇか?……そんな言い訳して逃げるのか?……俺は俺なりに頑張ったさ!……仲間達にもそう吹聴するのか?
頭の中でずっと自問自答し続けた。
そしてそれから逃げるように邪な考えを抱いてしまった。
「……だぁー!考えても埒が明かねぇ!そうだ!俺もう成人してるんだし……スッキリしたい時は……女だ!女抱きに行こう!もう7時だし、店開いてんだろ!そうしよう!初めてだから緊張するが……まぁ俺はタウラス様だし?顔はそこそこ良い!抱いた子の方から迫ってきたりなんて……ぐへへ……」
そう思い立った直後には足は素早く動いており、その足で目的の場所、風俗……にたどり着くと思ってたのに……
「……」
結局俺はバカだった。
俺がたどり着いたのは壊滅した村のガキ2人が保護されていた病院だった。
心の奥底で、その2人の様子が気になってたんだと思う……名前も知らないガキ2人の様子が。
とりあえず病院の扉を開け、係員さんのいる窓口に向かった。
「あのー、今朝ここに子供2人連れてこられませんでしたか?」
「あぁ、ドラコ君とベルちゃんですか。」
「その2人って、今どうなって……ますかね?その、怪我とかしてないかとか、精神的に大丈夫か、とか気になってて……。」
「……両親が亡くなってとても悲しそうにしています。今はそっとしておくのが1番かと……あ、貴方の名前は?」
「た、タウラス・トレス……です。」
「も、もしかして1級冒険者のタウラスさんですか?」
病院の係員さんは驚いたかのように俺の名前を再確認する。
「は、はい。そうですが?」
「そうですか……では、ドラコ君とベルちゃんが心身共に良好になったら貴方に合わせたいと思うのですが……よろしいですか?」
「え、どうしてですか……?」
「あの2人、冒険者という職業に憧れてるみたいで……まるでヒーローのようだと言ってました。この王都……いえ、王国アダン最高の冒険者と出会えればきっと2人は喜ぶと思いますよ。」
「そ、そうっすか……分かりました。」
そんなこんなで俺は病院の係員さんとそう約束し、俺は自分の元に病院からの手紙が来るのを待った。
そしてその日から半月が経とうとしてたある日、病院から手紙が来た……ドラコとベルの調子がだいぶ回復してきたとの事だ……。
俺は早速病院に向かい、2人がいる部屋の扉を叩いた。
コンコン
それから3秒もせずに病院の係員さんが部屋の中から扉を開いてくれた……この前俺と話した女の人だ。
「き、来ましたよ。」
「こんにちは。さぁこちらへ……ドラコ君、ベルちゃん、冒険者のタウラスさんだよ。」
「ぼーけんしゃのにーたん!」
「こ、こんにちは……。」
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