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第4章<最終戦線>編
124話「覚悟、届けて」
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「……」
「くっ!」
影の一味の1人、リュウカは寄生植物、自称キーちゃんによって自我を乗っ取られた状態にあり、ソレイユはその状態から彼女を解放する事を決意する。
しかしそう上手くはいかず、自身やソレイユの影から物質を生成しそれによって標的を攻撃するキーの戦法に、ソレイユは苦戦を強いられていた。
「……」
キシャアァァァァ!!
「ぐっ!」
蛇のような形の影を飛ばしてソレイユを攻撃するキー。
彼女はそれを剣で弾き飛ばして身を守るが、敵は怒涛の勢いで蛇影(じゃえい)を連射し、ついに1発の蛇影がソレイユの脇腹に直撃してしまう。
ザシュッ!
「っあ……!」
苦痛に顔を歪め地面に膝を着くソレイユ。
その様子を見たキーは先程のようにソレイユを挑発する。
「にひゃひゃひゃひゃ!当たっちゃったね~!せっかく本気モードみたいになったのにね!(笑)このままじわじわと攻撃を当てていくよ~!ちょっとずつ、ちょっとず~つ体力を削っていくんだよ?怖いねぇ__」
「獄炎弾!」
勝ち誇ったような態度でソレイユを挑発するキーだったが、彼女も負けじと敵の不意をついて灼熱の炎の弾丸、獄炎弾を繰り出し敵に攻撃を仕掛ける。
「……」
だがそれをキーは軽々と回避し、再び無言になって獣の前足のような形の影、獣影(じゅうえい)でソレイユを叩き潰そうとし、それをソレイユは双剣で受け止める。
今にも押しつぶされそうになっているソレイユは、そんな中ある事を考えていた。
(あのキーとやら……突然喋りだしたかと思えば戦いの時だけは静かになり、その直後私を挑発する時だけは喋りだした……どういう事だ……?何かからくりでもあるのか?例えば、自我を出す事は極力したくない、とか……自我を出している時、この時何かキーにとって良くない事でもあるのか?なら……!)
ドゴォォォォン!
「ぐぁぁーっ!」
次の瞬間、ソレイユは獣影の力に耐えられず叫び声と共に押しつぶされてしまった。
そしてソレイユを倒したと確信したキーはソレイユの死に様を笑ってやろうと自我を出す。
「にひゃひゃひゃひゃ!やった~!倒しちゃったよ~!僕を倒してリュウカちゃんを解放するだぁ~?あめー事言うなよ女ぁ!お前ら人間は大人しく狂死郎と闇のティアマト様の支配を受け入れていればいいんだよ__うっ!?」
その時、突如キーが頭を抱えて苦しみだし地面に蹲る。
自我を出しすぎた事が影響し、キーは今キー自身にとって良くない状況に陥ってしまっているのだ。
「くっ……出てくるんじゃねぇ!リュウカ……ッ!」
「……私は、お前みたいなやつに良いようにされるぐらいなら……良いようにされて誰かを傷つけるくらいなら……死んだ方が……ソレイユに殺される方がマシだ!」
自身の身体の主導権を一時的に取り戻し、自分の口で自分の意思を吐き出すリュウカ。
そう、キーが自我を出す事のデメリットは……
「何言って__」
「やはりそういう事だったか!」
「な……っ!?」
なんとかリュウカの身体を奪い返したキーは、次の瞬間背後からソレイユの声が聞こえたかと思い、振り返った時には炎の斬撃、獄炎斬をその身に受けていた。
「ぐぁぁ!熱……痛っあぁ……!」
炎の斬撃……それは斬り裂いた部分を炎で焼く事が強みである。
炎で焼く事で斬撃による出血は止まってしまうが、顕になった肉を焼かれる痛みは想像を絶する物なのだ。
「今ので確信を得た。貴様……自我を出す事は良くない事なのだな?」
「何ぃ……?」
「恐らく、自我を出さないセーブ状態の時はリュウカの意思を抑え込む事ができるが……自我を出す事でリュウカの自我も出てきてしまう、といった所か?もしも戦闘中にリュウカの自我が出てきて戦闘を妨害されたら……敗北に繋がりかねないからな。」
「くそ……っ!」
ソレイユの見立ては当たったらしく、キーは表情に悔しさを滲ませる。
そしてその隙にリュウカが表に出てきてソレイユにこううったえる。
「ソレイユ!私を殺してください!」
「リュウカなのか……?」
「私は、私は__」
リュウカは自分のやるべき事をソレイユにうったえる為になんとか自我を保とうとするが、それをキーが許さなかった。
「クソッ!出てくるんじゃねぇ!」
「貴様……!」
キーはなんとかリュウカの自我を押さえ込み、再び彼女に恐怖の記憶を見せ彼女の自我を押さえ込もうとするが……
「ソレイユ!私を殺して……こいつを殺してください!」
「リュウカ……!」
リュウカはキーに屈する事のない強い意志でソレイユに自分を殺してとうったえる。
だがソレイユは、なんとかしてキーだけを殺し、リュウカは生かす算段を立てていた。
(「あの魔術」ならキーだけを殺し、リュウカは助けられるかもしれないが、しくじれば……だがこのままでは埒が明かない……こうなったら、やるしかない!)
覚悟を決めたソレイユは双剣を構え、それぞれの刃に炎の魔力を纏わせる。
「待ってろリュウカ……今楽にしてやる……!」
ソレイユは意を決して地面を強く蹴りリュウカに接近し、双剣を振りかざす。
その刃が、リュウカを斬り裂き__
「くっ!」
影の一味の1人、リュウカは寄生植物、自称キーちゃんによって自我を乗っ取られた状態にあり、ソレイユはその状態から彼女を解放する事を決意する。
しかしそう上手くはいかず、自身やソレイユの影から物質を生成しそれによって標的を攻撃するキーの戦法に、ソレイユは苦戦を強いられていた。
「……」
キシャアァァァァ!!
「ぐっ!」
蛇のような形の影を飛ばしてソレイユを攻撃するキー。
彼女はそれを剣で弾き飛ばして身を守るが、敵は怒涛の勢いで蛇影(じゃえい)を連射し、ついに1発の蛇影がソレイユの脇腹に直撃してしまう。
ザシュッ!
「っあ……!」
苦痛に顔を歪め地面に膝を着くソレイユ。
その様子を見たキーは先程のようにソレイユを挑発する。
「にひゃひゃひゃひゃ!当たっちゃったね~!せっかく本気モードみたいになったのにね!(笑)このままじわじわと攻撃を当てていくよ~!ちょっとずつ、ちょっとず~つ体力を削っていくんだよ?怖いねぇ__」
「獄炎弾!」
勝ち誇ったような態度でソレイユを挑発するキーだったが、彼女も負けじと敵の不意をついて灼熱の炎の弾丸、獄炎弾を繰り出し敵に攻撃を仕掛ける。
「……」
だがそれをキーは軽々と回避し、再び無言になって獣の前足のような形の影、獣影(じゅうえい)でソレイユを叩き潰そうとし、それをソレイユは双剣で受け止める。
今にも押しつぶされそうになっているソレイユは、そんな中ある事を考えていた。
(あのキーとやら……突然喋りだしたかと思えば戦いの時だけは静かになり、その直後私を挑発する時だけは喋りだした……どういう事だ……?何かからくりでもあるのか?例えば、自我を出す事は極力したくない、とか……自我を出している時、この時何かキーにとって良くない事でもあるのか?なら……!)
ドゴォォォォン!
「ぐぁぁーっ!」
次の瞬間、ソレイユは獣影の力に耐えられず叫び声と共に押しつぶされてしまった。
そしてソレイユを倒したと確信したキーはソレイユの死に様を笑ってやろうと自我を出す。
「にひゃひゃひゃひゃ!やった~!倒しちゃったよ~!僕を倒してリュウカちゃんを解放するだぁ~?あめー事言うなよ女ぁ!お前ら人間は大人しく狂死郎と闇のティアマト様の支配を受け入れていればいいんだよ__うっ!?」
その時、突如キーが頭を抱えて苦しみだし地面に蹲る。
自我を出しすぎた事が影響し、キーは今キー自身にとって良くない状況に陥ってしまっているのだ。
「くっ……出てくるんじゃねぇ!リュウカ……ッ!」
「……私は、お前みたいなやつに良いようにされるぐらいなら……良いようにされて誰かを傷つけるくらいなら……死んだ方が……ソレイユに殺される方がマシだ!」
自身の身体の主導権を一時的に取り戻し、自分の口で自分の意思を吐き出すリュウカ。
そう、キーが自我を出す事のデメリットは……
「何言って__」
「やはりそういう事だったか!」
「な……っ!?」
なんとかリュウカの身体を奪い返したキーは、次の瞬間背後からソレイユの声が聞こえたかと思い、振り返った時には炎の斬撃、獄炎斬をその身に受けていた。
「ぐぁぁ!熱……痛っあぁ……!」
炎の斬撃……それは斬り裂いた部分を炎で焼く事が強みである。
炎で焼く事で斬撃による出血は止まってしまうが、顕になった肉を焼かれる痛みは想像を絶する物なのだ。
「今ので確信を得た。貴様……自我を出す事は良くない事なのだな?」
「何ぃ……?」
「恐らく、自我を出さないセーブ状態の時はリュウカの意思を抑え込む事ができるが……自我を出す事でリュウカの自我も出てきてしまう、といった所か?もしも戦闘中にリュウカの自我が出てきて戦闘を妨害されたら……敗北に繋がりかねないからな。」
「くそ……っ!」
ソレイユの見立ては当たったらしく、キーは表情に悔しさを滲ませる。
そしてその隙にリュウカが表に出てきてソレイユにこううったえる。
「ソレイユ!私を殺してください!」
「リュウカなのか……?」
「私は、私は__」
リュウカは自分のやるべき事をソレイユにうったえる為になんとか自我を保とうとするが、それをキーが許さなかった。
「クソッ!出てくるんじゃねぇ!」
「貴様……!」
キーはなんとかリュウカの自我を押さえ込み、再び彼女に恐怖の記憶を見せ彼女の自我を押さえ込もうとするが……
「ソレイユ!私を殺して……こいつを殺してください!」
「リュウカ……!」
リュウカはキーに屈する事のない強い意志でソレイユに自分を殺してとうったえる。
だがソレイユは、なんとかしてキーだけを殺し、リュウカは生かす算段を立てていた。
(「あの魔術」ならキーだけを殺し、リュウカは助けられるかもしれないが、しくじれば……だがこのままでは埒が明かない……こうなったら、やるしかない!)
覚悟を決めたソレイユは双剣を構え、それぞれの刃に炎の魔力を纏わせる。
「待ってろリュウカ……今楽にしてやる……!」
ソレイユは意を決して地面を強く蹴りリュウカに接近し、双剣を振りかざす。
その刃が、リュウカを斬り裂き__
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