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第4章<最終戦線>編
123話「怒り、爆ぜる」
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「獄炎斬!」
「……」
炎の斬撃と影の刃が飛び交う戦場。
その中心にいるのは、特級冒険者ソレイユと影の一味のリュウカだ。
新たなる武器、双炎刃「陽天(ひてん)」「獄地(ごくち)」を両手に携え、自身の得意とする炎の攻撃でリュウカに攻撃を仕掛けるソレイユだが、敵はその攻撃を影の刃を鞭のようにしならせ振り回し、容易く防御する。
「蛍火!」
さらにソレイユは手の甲を前に突き出し、そこから炎の球を発射、それをリュウカの目の前で爆発させる攻撃を繰り出すが、それに対してリュウカはドーム状の影で身を包み防御する。
「以前戦った時とはまるで違う……やはり洗脳されてるか。」
ソレイユは以前リュウカと戦った時の事を思い出していた。
ルスタ村の村人が突然いなくなった事件を早馬から聞いた彼女は即座にその村に駆けつけ、その場にいたリュウカと対峙した。
その時はなんとか撃退する事に成功したが、その時のリュウカと今のリュウカは違う。
影の一味を裏切ろうとしたリュウカは狂死郎によって洗脳されいるのだ。
二度と裏切れないように……影の一味の手駒として生み出されたリュウカだったが、彼女は争いを好まない優しい性格だった。
リュウカは心の底では狂死郎の行いに疑問を抱いていたが、彼に逆らえばどうなるかは明白だったので逆らえずにいたに過ぎない。
「リュウカ!君は以前、自ら王都の憲兵に捕まりこの場所が自分達の根城だと自白したそうだな!それは君の意思か?」
「……」
「センジュとリュウカは王国アストレアの村人達を惨殺し、キョーシローは鬼人族として人間を食糧にしようと言っているが、君だけは……人攫いはしたが人殺しはやっていない。違うか?」
「……」
「君は本当は世界を支配する事なんて望んでないんじゃないのか?そう思ってるのなら、王都レガーに入る事ができた時点で街や人々に攻撃を仕掛けていたはずだ!」
「……」
「なんとか言ったらどうだ__」
ビュンッ!
ソレイユの呼びかけに対して何も答えず何も反応しないリュウカ。
それどころか彼女は影の刃を伸ばしソレイユへの攻撃を止めようとしない。
「ッ……!」
ソレイユは間一髪でその攻撃を回避する。
(話が通じないのならどうすれば……!ダメージを与えれば洗脳が解けるか?それとも……!)
意を決したソレイユは右脚に魔力を込め、そして一気に魔力を解き放ち地面を強く蹴り跳躍する。
ダンッ!
「はぁっ!」
そしてリュウカとの距離を一気縮め、右手に持った陽天を逆手に持ち替え、高火力の一撃を繰り出す。
「真紅・獄炎斬!!」
燃えたぎる炎を纏った刃から繰り出される超高熱の斬撃がリュウカに直撃する……かに思われたのだが、リュウカは瞬時に無数の細い影の刃を形成し、それらを編み合わせて強靭な刃へと変え、それによってソレイユの一撃を受け止める。
ガキィィィィンッ……!!
「何ッ……!?」
神獣レベルのモンスターをも倒す渾身の一撃が防がれた事に驚くソレイユ。
その隙が命取りとなり、リュウカはさらに影の鞭をソレイユの四方から張り巡らせ、その鞭で彼女の四肢を縛り付けソレイユを拘束してしまった。
「ぐ……ッ!」
「……」
拘束されて手も足も出ないソレイユを前にしたリュウカはゆっくりと彼女に近づき、そして彼女の顔に自分の顔を近づける。
「何を……!」
「にへへ……このまま股から引き裂こうか、それとも影の刃で滅多刺しにしようか……いや、首を絞めてへし折ってやろうか……悩むねぇ。」
「な……!?」
それまで無言で戦っていたリュウカが突然喋りだした事に戸惑うソレイユ。
だが彼女の声とは違う……女性ではなく男性の声……それも聞いてると身の毛がよだつような冷たい声。
「貴様が……何者かは知らんが、貴様がリュウカを洗脳しているのか!」
「にへへ~、そうだよ?僕は闇のティアマトに生み出された~、うーん……寄生植物ってやつかな!寄生する植物だから寄生植物ってね!名前は~寄生植物のキーちゃんで!(笑)リュウカは僕をごっくんってして僕はリュウカの意識を乗っ取ったって訳さ!面白いだろ~?」
「洗脳とは、そういう類の物を植え付ける事だったのか……下劣なやつだ……!」
「うんうん卑劣卑劣!じゃあ死のうね!」
拘束された状態のソレイユに容赦なく攻撃を繰り出すキー。
だが、そうはさせまいとソレイユは全身から高温の熱波を放つ魔術でキーを近づけさせないようにする。
「暑っ!近づかないで~ってか?」
「リュウカ……そんな下劣なやつにいいようにされていいのか!貴様が影の一味を裏切り、足を洗うというのなら私達はお前を殺しはしない!だから……!」
「無駄無駄~!(笑)リュウカちゃんの心は僕が今徹底的に嬲ってやってるから!リュウカちゃんに声は届かないよ。」
「貴様が……?」
「そうそう!イメージ像的には……リュウカちゃんの心に僕が根付いて、リュウカちゃんに無理やり過去のトラウマを見せて精神攻撃してるって所かな?僕って酷い事するでしょ~?」
「……」
「怒った?怒っちゃった~?この可哀想な敵の女の子に同情なんかしちゃった~?君達人類の平和を脅かしたこの極悪人の女の子にぃ~?(笑)」
「……貴様が品のない悪漢だと言う事はよく分かった。」
ソレイユは熱波の奥でキーに対する怒りを滲ませた表情でそう呟き、そして勢いよく熱波を吹き出し、その奥から自分の姿をキーに晒し、そして影の鞭を力に任せて引きちぎる。
その姿なら……彼女が全力を解放した獄焔態ならそれぐらい容易いのだ。
「私がやるべき事が決まった……貴様を倒し、リュウカの洗脳を解く事だ!」
「へぇ~、やってみろよ熱血脳筋お姉さん(笑)」
獄焔態と化したソレイユとリュウカの意識を乗っ取り熱り立つキーの戦いが始まる……。
「……」
炎の斬撃と影の刃が飛び交う戦場。
その中心にいるのは、特級冒険者ソレイユと影の一味のリュウカだ。
新たなる武器、双炎刃「陽天(ひてん)」「獄地(ごくち)」を両手に携え、自身の得意とする炎の攻撃でリュウカに攻撃を仕掛けるソレイユだが、敵はその攻撃を影の刃を鞭のようにしならせ振り回し、容易く防御する。
「蛍火!」
さらにソレイユは手の甲を前に突き出し、そこから炎の球を発射、それをリュウカの目の前で爆発させる攻撃を繰り出すが、それに対してリュウカはドーム状の影で身を包み防御する。
「以前戦った時とはまるで違う……やはり洗脳されてるか。」
ソレイユは以前リュウカと戦った時の事を思い出していた。
ルスタ村の村人が突然いなくなった事件を早馬から聞いた彼女は即座にその村に駆けつけ、その場にいたリュウカと対峙した。
その時はなんとか撃退する事に成功したが、その時のリュウカと今のリュウカは違う。
影の一味を裏切ろうとしたリュウカは狂死郎によって洗脳されいるのだ。
二度と裏切れないように……影の一味の手駒として生み出されたリュウカだったが、彼女は争いを好まない優しい性格だった。
リュウカは心の底では狂死郎の行いに疑問を抱いていたが、彼に逆らえばどうなるかは明白だったので逆らえずにいたに過ぎない。
「リュウカ!君は以前、自ら王都の憲兵に捕まりこの場所が自分達の根城だと自白したそうだな!それは君の意思か?」
「……」
「センジュとリュウカは王国アストレアの村人達を惨殺し、キョーシローは鬼人族として人間を食糧にしようと言っているが、君だけは……人攫いはしたが人殺しはやっていない。違うか?」
「……」
「君は本当は世界を支配する事なんて望んでないんじゃないのか?そう思ってるのなら、王都レガーに入る事ができた時点で街や人々に攻撃を仕掛けていたはずだ!」
「……」
「なんとか言ったらどうだ__」
ビュンッ!
ソレイユの呼びかけに対して何も答えず何も反応しないリュウカ。
それどころか彼女は影の刃を伸ばしソレイユへの攻撃を止めようとしない。
「ッ……!」
ソレイユは間一髪でその攻撃を回避する。
(話が通じないのならどうすれば……!ダメージを与えれば洗脳が解けるか?それとも……!)
意を決したソレイユは右脚に魔力を込め、そして一気に魔力を解き放ち地面を強く蹴り跳躍する。
ダンッ!
「はぁっ!」
そしてリュウカとの距離を一気縮め、右手に持った陽天を逆手に持ち替え、高火力の一撃を繰り出す。
「真紅・獄炎斬!!」
燃えたぎる炎を纏った刃から繰り出される超高熱の斬撃がリュウカに直撃する……かに思われたのだが、リュウカは瞬時に無数の細い影の刃を形成し、それらを編み合わせて強靭な刃へと変え、それによってソレイユの一撃を受け止める。
ガキィィィィンッ……!!
「何ッ……!?」
神獣レベルのモンスターをも倒す渾身の一撃が防がれた事に驚くソレイユ。
その隙が命取りとなり、リュウカはさらに影の鞭をソレイユの四方から張り巡らせ、その鞭で彼女の四肢を縛り付けソレイユを拘束してしまった。
「ぐ……ッ!」
「……」
拘束されて手も足も出ないソレイユを前にしたリュウカはゆっくりと彼女に近づき、そして彼女の顔に自分の顔を近づける。
「何を……!」
「にへへ……このまま股から引き裂こうか、それとも影の刃で滅多刺しにしようか……いや、首を絞めてへし折ってやろうか……悩むねぇ。」
「な……!?」
それまで無言で戦っていたリュウカが突然喋りだした事に戸惑うソレイユ。
だが彼女の声とは違う……女性ではなく男性の声……それも聞いてると身の毛がよだつような冷たい声。
「貴様が……何者かは知らんが、貴様がリュウカを洗脳しているのか!」
「にへへ~、そうだよ?僕は闇のティアマトに生み出された~、うーん……寄生植物ってやつかな!寄生する植物だから寄生植物ってね!名前は~寄生植物のキーちゃんで!(笑)リュウカは僕をごっくんってして僕はリュウカの意識を乗っ取ったって訳さ!面白いだろ~?」
「洗脳とは、そういう類の物を植え付ける事だったのか……下劣なやつだ……!」
「うんうん卑劣卑劣!じゃあ死のうね!」
拘束された状態のソレイユに容赦なく攻撃を繰り出すキー。
だが、そうはさせまいとソレイユは全身から高温の熱波を放つ魔術でキーを近づけさせないようにする。
「暑っ!近づかないで~ってか?」
「リュウカ……そんな下劣なやつにいいようにされていいのか!貴様が影の一味を裏切り、足を洗うというのなら私達はお前を殺しはしない!だから……!」
「無駄無駄~!(笑)リュウカちゃんの心は僕が今徹底的に嬲ってやってるから!リュウカちゃんに声は届かないよ。」
「貴様が……?」
「そうそう!イメージ像的には……リュウカちゃんの心に僕が根付いて、リュウカちゃんに無理やり過去のトラウマを見せて精神攻撃してるって所かな?僕って酷い事するでしょ~?」
「……」
「怒った?怒っちゃった~?この可哀想な敵の女の子に同情なんかしちゃった~?君達人類の平和を脅かしたこの極悪人の女の子にぃ~?(笑)」
「……貴様が品のない悪漢だと言う事はよく分かった。」
ソレイユは熱波の奥でキーに対する怒りを滲ませた表情でそう呟き、そして勢いよく熱波を吹き出し、その奥から自分の姿をキーに晒し、そして影の鞭を力に任せて引きちぎる。
その姿なら……彼女が全力を解放した獄焔態ならそれぐらい容易いのだ。
「私がやるべき事が決まった……貴様を倒し、リュウカの洗脳を解く事だ!」
「へぇ~、やってみろよ熱血脳筋お姉さん(笑)」
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