99 / 170
第3章<怪物と少女>編
99話「悩み、その果てに…」
しおりを挟む
俺達の前に現れたのは、自らをティアマトの子と名乗る「ジェネラルオーク」……俺達は王国アトラへ行かなくてはならない……だから立ち塞がる敵は倒す!
「穿貫戟」
イブさんは即座に穿貫戟を発動し、ジェネラルオークの両腕に小さな穴を開ける。
けど、先程オークの群れにやったように腹部に大きな穴を開ければいいのでは……?
「イブさ__」
「この魔術は私が狙った場所に穴を開けられるような便利な魔術じゃないんだ。弱い奴になら弱点に穴を穿ってくれるが、ある程度強い奴にはどうも狙いが逸れる。」
「でも……ダメージを与えてくれるだけありがたいです!」
マリーネはそう言うと魔杖サバーニャの形状をアタックモード・クロスジャベリンへと変化させ、それによって敵に近接攻撃を仕掛けようと飛び出す。
「コシャクナ……!」
ジェネラルオークは腕が痛いはずなのに、それをものともせずマリーネに向けて戦斧を振り下ろす。
だがマリーネは敵から見て右側に回避してその強力な一撃を回避し、イブさんが敵に空けた腕の穴目掛けて攻撃を繰り出した。
「アイススラッシュ!!」
グサッ!
刃に氷のオーラを纏わせた一撃はジェネラルオークの腕に空いた穴に直撃し、それを喰らったジェネラルオークは危機を察知し後方に飛び退いた。
「ヌゥ……!!」
「どう!?今の一撃は!!」
「……マダマダァ!!」
だけど敵は即座に耐性を立て直して地面を強く蹴り、マリーネに急接近する。
マリーネは急接近してきたジェネラルオークに対応できないかもしれない……そう感じた俺はウイングユニットを呼び出し、それによってマリーネの身を守る事を決意する。
「ウイングユニット!!」
俺がそう叫ぶと空からウイングユニットが飛んできて、それが盾となってジェネラルオークがマリーネに接近する事を阻んでみせた。
そして次は反撃だ……!
「行け!!」
俺は右手を前に突き出しウイングユニットを動かし、その4つの砲口からレーザーを射出して敵に連撃を仕掛ける。
敵を確実に倒す為に容赦はしない……狂死郎と初めて出会い、彼がティアマトの力で呼び出したティアマトの子を倒す事を俺は躊躇ったけど……今度はそうは行かない!
あれが人の命の成れの果てと言うのなら……殺す事が魂の解放になるのなら……!
ドシュッ!ドシュッ!
「グゥゥ……!!」
何発ものレーザーを身体中に受けて呻き声をあげるジェネラルオーク。
そして俺はトドメを刺すべく必殺の一撃を敵に喰らわせる……!
「ボイジャーズ・ストライク__」
「__タスケテ__ダレカ__」
「!!」
この場にいる全員がその声を聞いて、驚きを隠せなかった。
先程までの猛々しいジェネラルオークの声じゃなく、まるで弱々しい男性の声で、俺達に助けを求めるように敵は語りかけてきた。
「今の声は……!」
「……闇のティアマトめ……。」
「あれが……ティアマトの所業なのか……?」
「ッ……ボイジャーズ・ストライク!!」
俺がいた世界に住む誰かが、闇のティアマトの力でジェネラルオークに変えられたんだろう……闇のティアマトは俺の心を揺さぶる為にこんな悪どい事を思いついたのか……いかにもあの男らしい事だ……。
それでも俺は、世界を守る為に戦う!相手がなんだろうと……!
俺はボイジャーズ・ストライクを発動し、4つのウイングユニットの中央から放たれる光線によってジェネラルオークの身体を1片残すこと無く焼き払った。
その場に残ったのはイブさんが倒したオーク達の死骸だけ……俺達はオークの襲撃をなんとか乗り切ったんだ。
そう確信した俺は変身を解除し、鬼人の姿に戻る。
「……」
「リョータロー君……その、私いつかリョータロー君と約束したわよね?リョータロー君はモンスターとゴーレムの相手をして、影の一味の相手は私達に任せてって。」
「……うん。」
「でもリョータロー君は、この前はセンジュと戦って……今回は……元々人間だったはずの命を……。」
「よせマリーネ。良太郎は良太郎なりに覚悟を決めたんだ。」
「でも……悲しいじゃない……人の命は……他の何にも変え難いものなのに……リョータロー君にそんな事やらせるぐらいなら__」
「心配してくれてありがとう、マリーネ。でもいいんだ。俺は何としても闇のティアマトと狂死郎を止めて、こんな事は続けさせないって決めたから。」
涙を流しながら俺の事を心配してくれたマリーネに、俺はそう言ってあげる事しかできなかった。
俺は子供の頃ヒーローに憧れて、人を助けたいと思って、今こうして世界を支配しようとする敵と戦っている。
マリーネ達もその敵と戦っているっていうのに、俺だけ違うとはいかないから……。
「うぅ……っ……」
「マリーネ……。」
「コイツはお前の代わりに泣いてやってるんだよ。」
「え?」
「お前、泣いてねぇだろ。」
イブさんは全てを見透かしたかのような表情で俺にそう言う。
……確かにそうかもしれない。
今の俺は……正義のヒーローを演じている今の俺は泣いてる暇なんか無いんだって、無意識の内に思っているのかもしれない。
これが、幼い頃から俺が夢見てたヒーローの姿か?
自分の胸に手を当ててそう考えた。
この疑問に対する答えは見つかるのだろうか……。
「リョータロー君。王国アトラの王都はだいぶ先だ。それまで馬車の中で私の話を聞いてくれないか?君の悩みに対する答えの足がかり……になるかは分からないが……。」
「ソレイユさん……?」
その時、ソレイユさんが俺にそう語りかけてきて、俺は彼女の顔を見つめる。
自分の話を聞いて欲しい、というソレイユさんのお願い……俺はそれを聞くべきだと思った。
「お……お願いします。」
そこから馬車は再び王国アトラへの道を進む事を再開し、俺は道中でソレイユさんの過去の話を聞く事になる……。
「穿貫戟」
イブさんは即座に穿貫戟を発動し、ジェネラルオークの両腕に小さな穴を開ける。
けど、先程オークの群れにやったように腹部に大きな穴を開ければいいのでは……?
「イブさ__」
「この魔術は私が狙った場所に穴を開けられるような便利な魔術じゃないんだ。弱い奴になら弱点に穴を穿ってくれるが、ある程度強い奴にはどうも狙いが逸れる。」
「でも……ダメージを与えてくれるだけありがたいです!」
マリーネはそう言うと魔杖サバーニャの形状をアタックモード・クロスジャベリンへと変化させ、それによって敵に近接攻撃を仕掛けようと飛び出す。
「コシャクナ……!」
ジェネラルオークは腕が痛いはずなのに、それをものともせずマリーネに向けて戦斧を振り下ろす。
だがマリーネは敵から見て右側に回避してその強力な一撃を回避し、イブさんが敵に空けた腕の穴目掛けて攻撃を繰り出した。
「アイススラッシュ!!」
グサッ!
刃に氷のオーラを纏わせた一撃はジェネラルオークの腕に空いた穴に直撃し、それを喰らったジェネラルオークは危機を察知し後方に飛び退いた。
「ヌゥ……!!」
「どう!?今の一撃は!!」
「……マダマダァ!!」
だけど敵は即座に耐性を立て直して地面を強く蹴り、マリーネに急接近する。
マリーネは急接近してきたジェネラルオークに対応できないかもしれない……そう感じた俺はウイングユニットを呼び出し、それによってマリーネの身を守る事を決意する。
「ウイングユニット!!」
俺がそう叫ぶと空からウイングユニットが飛んできて、それが盾となってジェネラルオークがマリーネに接近する事を阻んでみせた。
そして次は反撃だ……!
「行け!!」
俺は右手を前に突き出しウイングユニットを動かし、その4つの砲口からレーザーを射出して敵に連撃を仕掛ける。
敵を確実に倒す為に容赦はしない……狂死郎と初めて出会い、彼がティアマトの力で呼び出したティアマトの子を倒す事を俺は躊躇ったけど……今度はそうは行かない!
あれが人の命の成れの果てと言うのなら……殺す事が魂の解放になるのなら……!
ドシュッ!ドシュッ!
「グゥゥ……!!」
何発ものレーザーを身体中に受けて呻き声をあげるジェネラルオーク。
そして俺はトドメを刺すべく必殺の一撃を敵に喰らわせる……!
「ボイジャーズ・ストライク__」
「__タスケテ__ダレカ__」
「!!」
この場にいる全員がその声を聞いて、驚きを隠せなかった。
先程までの猛々しいジェネラルオークの声じゃなく、まるで弱々しい男性の声で、俺達に助けを求めるように敵は語りかけてきた。
「今の声は……!」
「……闇のティアマトめ……。」
「あれが……ティアマトの所業なのか……?」
「ッ……ボイジャーズ・ストライク!!」
俺がいた世界に住む誰かが、闇のティアマトの力でジェネラルオークに変えられたんだろう……闇のティアマトは俺の心を揺さぶる為にこんな悪どい事を思いついたのか……いかにもあの男らしい事だ……。
それでも俺は、世界を守る為に戦う!相手がなんだろうと……!
俺はボイジャーズ・ストライクを発動し、4つのウイングユニットの中央から放たれる光線によってジェネラルオークの身体を1片残すこと無く焼き払った。
その場に残ったのはイブさんが倒したオーク達の死骸だけ……俺達はオークの襲撃をなんとか乗り切ったんだ。
そう確信した俺は変身を解除し、鬼人の姿に戻る。
「……」
「リョータロー君……その、私いつかリョータロー君と約束したわよね?リョータロー君はモンスターとゴーレムの相手をして、影の一味の相手は私達に任せてって。」
「……うん。」
「でもリョータロー君は、この前はセンジュと戦って……今回は……元々人間だったはずの命を……。」
「よせマリーネ。良太郎は良太郎なりに覚悟を決めたんだ。」
「でも……悲しいじゃない……人の命は……他の何にも変え難いものなのに……リョータロー君にそんな事やらせるぐらいなら__」
「心配してくれてありがとう、マリーネ。でもいいんだ。俺は何としても闇のティアマトと狂死郎を止めて、こんな事は続けさせないって決めたから。」
涙を流しながら俺の事を心配してくれたマリーネに、俺はそう言ってあげる事しかできなかった。
俺は子供の頃ヒーローに憧れて、人を助けたいと思って、今こうして世界を支配しようとする敵と戦っている。
マリーネ達もその敵と戦っているっていうのに、俺だけ違うとはいかないから……。
「うぅ……っ……」
「マリーネ……。」
「コイツはお前の代わりに泣いてやってるんだよ。」
「え?」
「お前、泣いてねぇだろ。」
イブさんは全てを見透かしたかのような表情で俺にそう言う。
……確かにそうかもしれない。
今の俺は……正義のヒーローを演じている今の俺は泣いてる暇なんか無いんだって、無意識の内に思っているのかもしれない。
これが、幼い頃から俺が夢見てたヒーローの姿か?
自分の胸に手を当ててそう考えた。
この疑問に対する答えは見つかるのだろうか……。
「リョータロー君。王国アトラの王都はだいぶ先だ。それまで馬車の中で私の話を聞いてくれないか?君の悩みに対する答えの足がかり……になるかは分からないが……。」
「ソレイユさん……?」
その時、ソレイユさんが俺にそう語りかけてきて、俺は彼女の顔を見つめる。
自分の話を聞いて欲しい、というソレイユさんのお願い……俺はそれを聞くべきだと思った。
「お……お願いします。」
そこから馬車は再び王国アトラへの道を進む事を再開し、俺は道中でソレイユさんの過去の話を聞く事になる……。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛すべき『蟲』と迷宮での日常
熟練紳士
ファンタジー
生まれ落ちた世界は、剣と魔法のファンタジー溢れる世界。だが、現実は非情で夢や希望など存在しないシビアな世界だった。そんな世界で第二の人生を楽しむ転生者レイアは、長い年月をかけて超一流の冒険者にまで上り詰める事に成功した。
冒険者として成功した影には、レイアの扱う魔法が大きく関係している。成功の秘訣は、世界でも4つしか確認されていない特別な属性の1つである『蟲』と冒険者である紳士淑女達との絆。そんな一流の紳士に仲間入りを果たしたレイアが迷宮と呼ばれるモンスターの巣窟で過ごす物語。

ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

闇属性転移者の冒険録
三日月新
ファンタジー
異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。ところが、闇属性だからと草原へ強制転移されてしまう。
頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険がスタートした。
強力な魔物や敵国と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指していく。
※週に三話ほど投稿していきます。
(再確認や編集作業で一旦投稿を中断することもあります)
※一話3,000字〜4,000字となっています。

鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件
桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。
神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。
しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。
ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。
ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる