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第3章<怪物と少女>編
97話「腹、唸る」
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俺は今、マリーネ、イブさん、ヒトミさん、ソレイユさんら4人と共に、ヒトミさんが運転する馬車に乗り王都アストレアから北の王国アトラの王都レイドに向かっている。
これはイブさんから聞いた話だけど、王国アトラの国王、アンドレイ・クーラーンさんは「ビャッコ国王がこの国に野放しにしている巨大ゴーレムは今後使う予定が無いのなら我が国の所有物とし、客寄せの為の見世物にする他なくなる」と宣言しているらしく、そのアンドレイ国王から巨大ゴーレムを使う許可を得る必要があるらしい。
元々は土地の開拓を目的として、ビャッコ国王の先々代の国王によって作られた巨大ゴーレムだったが、色々と機能を搭載しすぎて神獣レベルのモンスターとも戦える化け物のような性能に仕上がってしまったらしく、その危険性を鑑みて国王は人目のつかない山の中に放棄された……との事だ。
俺達はそれを手に入れて、対影の一味の戦力とする……。
にしても巨大ゴーレムか~……一体どんなものなのか気になる……早くこの目で見てみたいな~!
「リョータロー君、何か嬉しい事でもあったのか?」
「え?あ、いや、その……何でもない、です……。」
「良太郎だって男なんだから、女の子がたくさんいてムフフ……とか思ってるんだろ。」
「違いますよお師匠様!リョータロー君は真面目で優しい性格だからそんな訳……ヒトミさんもそう思いますよね?」
「マリーネさんの言う通り、良太郎さんは良い人ですよ。下心とか無いはず!……多分。」
俺が変な顔をしているのをソレイユさんに指摘されてから、馬車の中の人達のムードが変な方向に行ってしまって……。
み、皆なんて事を言い合ってるんだ……!
「良太郎は年頃の男なんだぞ?色々と抱えてる時期なんだよ、例えば女の子とセッ_」
「ぎゃー!!お師匠様何言おうとしてるんですか!!ソレイユさんだってヒトミさんだっているんですよ!?」
「わ、私はイブさんとはしばらく一緒にいたので大丈夫ですが……。」
「お師匠様……まさかヒトミさんにもそんないやらしい発言を!?」
「2人とも落ち着け。私は大丈夫だから。」
「ソレイユさんが大丈夫でも私は大丈夫じゃないんですよー!!」
「あば……あばば……。」
女の人の会話……着いていけない……。
まぁでも、ギスギスしてる訳じゃなく楽しそう?……だから良いのかなこれで__
__ダイショウ、ヲ__
「!?」
「リョータロー君?」
「いや……何でもない……。」
今、鬼人の本能さんの声が聞こえたような……代償、って言ってたのか___
__オレノチカラヲ、ツカッタダイショウヲ__
また聞こえた……やっぱり代償って言ったんだ……!
力を使った代償……だって?それって……シャナとの戦いで鬼人の本能さんの力を借りて鬼力オートガードをした事……だよね?
代償って何を……ッ!?
「ゔぅ……!!」
「リョータロー君!?大丈夫!?」
「馬車酔いか?」
鬼人の本能さんが言っている「代償」とは何なのか、それがどれほど恐ろしいものなのかと身構えていた俺だったが、その直後お腹を抑えて蹲ってしまう。
それを心配するマリーネ達。
そして俺のお腹から……
グルルルルル……!
と、まるで獣の呻き声のような重たい音が鳴り響く……これは……これは……!
「コヒュー……コヒュー……お腹が空いた……!」
「え……?」
俺の言葉を聞いた途端に冷静になるマリーネ達。
そりゃそうだよね……。
「お腹が空いたのか……。」
「それだけなら良かったです。」
「マリーネ、良太郎に何か食べさせる物を出してやれ。」
「はい。コネクトゲート。」
マリーネは魔術、コネクトゲートを発動して空に黒い穴を出現させ、そこに手を突っ込んで穴の中から瓶に入ったトマトの酢漬けを取り出した。
「これ食べる?」
「あ、ありがとう……!」
まるでゾンビのように頬が痩せこけた顔の俺は、すぐさまフォークで瓶の中のトマトの酢漬けを取り出して食らいつく。
さらに2つ、3つとガツガツと食べていき……トマトの酢漬けを1瓶分、普段の俺だったら食べられない程の量を数分で食べ切ってしまった……。
「ふぅ……。」
「お腹いっぱいになった?」
「うん、もう大丈……ゔっ!」
「何!?どうしたの!?」
「……」
グルルルルル……!
「なんだ……!?またお腹が空いて……!!」
まるで先程まで食べた分が一瞬のうちに消化され体外へ排出されたのかと勘違いするレベルで、酢漬けトマト1瓶分食べた事など無かったかように俺のお腹は轟音を鳴らす。
「コヒュー……コヒュー……食べ足りない……もっト……トマトヲ……!!」
「トマトの酢漬けはまだあるわ!」
マリーネは即座にコネクトゲートからトマトの酢漬けを3瓶取り出し、俺はそれをたったの10分でたいらげてしまった。
そうしているうちに空腹感は消え、再び空腹感が俺を襲う事は無かった……。
「……なんか眠たくなってきた……。」
「食べた後すぐ寝るのは健康に良くないわよ。ちゃんと歯磨きをしないと。」
「う……うん……歯ブラシ出してくれないかな、マリーネ……。」
「まるで赤子だな……何かあったのか?リョータロー君。」
「いや、何て言うか……鬼人はたくさん戦った分だけ栄養補給と休眠を必要とする、というか……そんな感じです。」
「なるほど……それは大変だな。」
俺はソレイユさんの質問に適当な返答をして、マリーネから手渡された歯ブラシで歯を磨き、それが終わったらものの数秒で眠りについてしまった……。
◇
眠りについた俺は、夢の中で鬼人の本能さんと話をしていた。
「鬼人の本能さん……あれが「力を使った代償」……なの?」
「アア……キジンゾクハ、ヒトヲクラウ、ガ……ソレハ、ヒトノサイボウヤ、ホネ、ゾウモツ……ソレラヲ、セッシュスルタメナンダ……。」
「なるほど……じゃあトマトは……鉄分?」
「ソンナトコロ、ダ……コレバカリハ、ハナヒコノジュツ、デモ……ドウシヨウモ、ナイ……。」
「大丈夫。トマトとかの食べられる物で良いなら……人を食べずに済むなら……それに越した事は無いんじゃないかな。」
「……モシモマタ、チカラヲツカウ、トキガキタラ……オレヲタヨッテクレ。ダイショウハ、カカルガナ……。」
「……うん。その時は頼らせてもらうよ。よろしくね。」
俺は鬼人の本能さんとそう約束した直後、精神世界にだんだんモヤがかかっていく……夢から覚める時のあの感じだ……今はどの辺だろうか。
もう王国アトラに着いたのか、それともまだ王国アストレア__
◇
「リョータロー君!!起きろ!!」
「!!」
「モンスターに襲われてる!!」
「え……?」
目覚めた俺の目の前に広がっていた光景は……。
「アイスバレット!!」
「グオァァァァ!!」
馬車から身を乗り出して外を見てみると、そこではマリーネとイブさん、そしてヒトミさんがモンスターと戦っていたのだ。
モンスターは、緑色の皮膚で体型は人型に近いモンスター……あれは確か、ゴブリンっていうやつだっけ?
いや、身体を鍛えてる成人男性のように体格ががっしりしてる……という事はオーク……かな?
「マリーネ!!イブさん!!俺も戦う!!血起変動!!」
俺は即座にマリーネ達に加勢すると決意し、変身ポーズをとってゴーレムへと変身する。
俺達はこの予想外のアクシデントを切り抜けられるか……!?
これはイブさんから聞いた話だけど、王国アトラの国王、アンドレイ・クーラーンさんは「ビャッコ国王がこの国に野放しにしている巨大ゴーレムは今後使う予定が無いのなら我が国の所有物とし、客寄せの為の見世物にする他なくなる」と宣言しているらしく、そのアンドレイ国王から巨大ゴーレムを使う許可を得る必要があるらしい。
元々は土地の開拓を目的として、ビャッコ国王の先々代の国王によって作られた巨大ゴーレムだったが、色々と機能を搭載しすぎて神獣レベルのモンスターとも戦える化け物のような性能に仕上がってしまったらしく、その危険性を鑑みて国王は人目のつかない山の中に放棄された……との事だ。
俺達はそれを手に入れて、対影の一味の戦力とする……。
にしても巨大ゴーレムか~……一体どんなものなのか気になる……早くこの目で見てみたいな~!
「リョータロー君、何か嬉しい事でもあったのか?」
「え?あ、いや、その……何でもない、です……。」
「良太郎だって男なんだから、女の子がたくさんいてムフフ……とか思ってるんだろ。」
「違いますよお師匠様!リョータロー君は真面目で優しい性格だからそんな訳……ヒトミさんもそう思いますよね?」
「マリーネさんの言う通り、良太郎さんは良い人ですよ。下心とか無いはず!……多分。」
俺が変な顔をしているのをソレイユさんに指摘されてから、馬車の中の人達のムードが変な方向に行ってしまって……。
み、皆なんて事を言い合ってるんだ……!
「良太郎は年頃の男なんだぞ?色々と抱えてる時期なんだよ、例えば女の子とセッ_」
「ぎゃー!!お師匠様何言おうとしてるんですか!!ソレイユさんだってヒトミさんだっているんですよ!?」
「わ、私はイブさんとはしばらく一緒にいたので大丈夫ですが……。」
「お師匠様……まさかヒトミさんにもそんないやらしい発言を!?」
「2人とも落ち着け。私は大丈夫だから。」
「ソレイユさんが大丈夫でも私は大丈夫じゃないんですよー!!」
「あば……あばば……。」
女の人の会話……着いていけない……。
まぁでも、ギスギスしてる訳じゃなく楽しそう?……だから良いのかなこれで__
__ダイショウ、ヲ__
「!?」
「リョータロー君?」
「いや……何でもない……。」
今、鬼人の本能さんの声が聞こえたような……代償、って言ってたのか___
__オレノチカラヲ、ツカッタダイショウヲ__
また聞こえた……やっぱり代償って言ったんだ……!
力を使った代償……だって?それって……シャナとの戦いで鬼人の本能さんの力を借りて鬼力オートガードをした事……だよね?
代償って何を……ッ!?
「ゔぅ……!!」
「リョータロー君!?大丈夫!?」
「馬車酔いか?」
鬼人の本能さんが言っている「代償」とは何なのか、それがどれほど恐ろしいものなのかと身構えていた俺だったが、その直後お腹を抑えて蹲ってしまう。
それを心配するマリーネ達。
そして俺のお腹から……
グルルルルル……!
と、まるで獣の呻き声のような重たい音が鳴り響く……これは……これは……!
「コヒュー……コヒュー……お腹が空いた……!」
「え……?」
俺の言葉を聞いた途端に冷静になるマリーネ達。
そりゃそうだよね……。
「お腹が空いたのか……。」
「それだけなら良かったです。」
「マリーネ、良太郎に何か食べさせる物を出してやれ。」
「はい。コネクトゲート。」
マリーネは魔術、コネクトゲートを発動して空に黒い穴を出現させ、そこに手を突っ込んで穴の中から瓶に入ったトマトの酢漬けを取り出した。
「これ食べる?」
「あ、ありがとう……!」
まるでゾンビのように頬が痩せこけた顔の俺は、すぐさまフォークで瓶の中のトマトの酢漬けを取り出して食らいつく。
さらに2つ、3つとガツガツと食べていき……トマトの酢漬けを1瓶分、普段の俺だったら食べられない程の量を数分で食べ切ってしまった……。
「ふぅ……。」
「お腹いっぱいになった?」
「うん、もう大丈……ゔっ!」
「何!?どうしたの!?」
「……」
グルルルルル……!
「なんだ……!?またお腹が空いて……!!」
まるで先程まで食べた分が一瞬のうちに消化され体外へ排出されたのかと勘違いするレベルで、酢漬けトマト1瓶分食べた事など無かったかように俺のお腹は轟音を鳴らす。
「コヒュー……コヒュー……食べ足りない……もっト……トマトヲ……!!」
「トマトの酢漬けはまだあるわ!」
マリーネは即座にコネクトゲートからトマトの酢漬けを3瓶取り出し、俺はそれをたったの10分でたいらげてしまった。
そうしているうちに空腹感は消え、再び空腹感が俺を襲う事は無かった……。
「……なんか眠たくなってきた……。」
「食べた後すぐ寝るのは健康に良くないわよ。ちゃんと歯磨きをしないと。」
「う……うん……歯ブラシ出してくれないかな、マリーネ……。」
「まるで赤子だな……何かあったのか?リョータロー君。」
「いや、何て言うか……鬼人はたくさん戦った分だけ栄養補給と休眠を必要とする、というか……そんな感じです。」
「なるほど……それは大変だな。」
俺はソレイユさんの質問に適当な返答をして、マリーネから手渡された歯ブラシで歯を磨き、それが終わったらものの数秒で眠りについてしまった……。
◇
眠りについた俺は、夢の中で鬼人の本能さんと話をしていた。
「鬼人の本能さん……あれが「力を使った代償」……なの?」
「アア……キジンゾクハ、ヒトヲクラウ、ガ……ソレハ、ヒトノサイボウヤ、ホネ、ゾウモツ……ソレラヲ、セッシュスルタメナンダ……。」
「なるほど……じゃあトマトは……鉄分?」
「ソンナトコロ、ダ……コレバカリハ、ハナヒコノジュツ、デモ……ドウシヨウモ、ナイ……。」
「大丈夫。トマトとかの食べられる物で良いなら……人を食べずに済むなら……それに越した事は無いんじゃないかな。」
「……モシモマタ、チカラヲツカウ、トキガキタラ……オレヲタヨッテクレ。ダイショウハ、カカルガナ……。」
「……うん。その時は頼らせてもらうよ。よろしくね。」
俺は鬼人の本能さんとそう約束した直後、精神世界にだんだんモヤがかかっていく……夢から覚める時のあの感じだ……今はどの辺だろうか。
もう王国アトラに着いたのか、それともまだ王国アストレア__
◇
「リョータロー君!!起きろ!!」
「!!」
「モンスターに襲われてる!!」
「え……?」
目覚めた俺の目の前に広がっていた光景は……。
「アイスバレット!!」
「グオァァァァ!!」
馬車から身を乗り出して外を見てみると、そこではマリーネとイブさん、そしてヒトミさんがモンスターと戦っていたのだ。
モンスターは、緑色の皮膚で体型は人型に近いモンスター……あれは確か、ゴブリンっていうやつだっけ?
いや、身体を鍛えてる成人男性のように体格ががっしりしてる……という事はオーク……かな?
「マリーネ!!イブさん!!俺も戦う!!血起変動!!」
俺は即座にマリーネ達に加勢すると決意し、変身ポーズをとってゴーレムへと変身する。
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