異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第3章<怪物と少女>編

83話「鬼人、奮迅」

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    ……タ
    
    ……ッタ

    _____ハラガヘッタ



「!!」

    俺はその謎の声に目を覚まされ、ベッドから飛び起きた。
    とても禍々しい声だった……あれは一体なんだったんだろう、そう思いながら魔術で動く冷蔵庫の中から、昨日の夜宿の1階にある売店で買ったトマトソースのかかったサラダとパンを食べ、持ってきていた替えの服に着替えてから宿の1階でマリーネ、イブさんと合流する。

「お待たせ、2人とも。」

「私達もついさっき来た所だわ。」

「準備は良いか?良太郎、マリーネ。」

    イブさんは俺達にそう聞き、2人揃って首を縦にふる。

「じゃあ行くぞ。南のレイキ城へ。」

「「はい!」」

    そうして俺達は、昨日この国に来る為に利用した馬車に乗って、この国の南にあるレイキ城へと向かう。
    そこは先日、影の一味の1人、センジュに占拠されてしまったのだけど……その城には影の一味と戦うのに役立つ「秘密兵器」の鍵が保管されてるそうだ。

    なのでその鍵を城ごと取り返して欲しいと、国王ビャッコさんからのお願いだ。
    その代わりにビャッコさんはこの国に生まれ落ちるヒトミさんの捜索を手伝うと約束してくれた。
    
「頑張りましょう!リョータロー君!」

「うん!」

「新しい武器の使い方は覚えているか?」

「はい!俺の新たな力の事……ですよね?」

    イブさんの質問に俺はそう答える。
    その時改めて自分の新たな力についての事を俺は思い出していた。



「これは……ゴーレム?」

「そうだ。お前にはこれに変身し、影の一味やそいつらが生み出すモンスターと戦ってもらう。」
 
    俺がこの世界に復活した日、眠りにつく前にイブさんが俺にそのゴーレムを見せてくれた。
    メリハリの効いたボディライン、白を基調としてトリコロールカラーと黒の差し色が使われているヒロイックなカラー、何より背中の背負い物……それを見た俺は、このゴーレム好きな要素しかないデザインだな、と内心思っていた。

「俺がこのゴーレムに……なんと言うか、前のゴーレムは無骨なデザインでそれはそれで良かったんですけど、こっちはスタイリッシュなデザインで個人的にはこういうデザインの方が燃えるというか、やっぱり慣れ親しんだこういうタイプのデザインの方が良いと言うか……」

「お前の好みの話はしてねぇよ。」
 
「あ……すみません。」

「それと……あっちからお前の事は見てたんだが……戦う覚悟はできたか?影の一味と。」

「……俺が戦わなかったとして、そのせいで誰かが傷つくなら……俺はやります!」

「そうか、良かった。お前の意志1つでお前の身体はこのゴーレムへと変化する。お前が好きな「変身」って奴だ。」

「へ、変身……!」



「あれがレイキ城かしら?」

「そうだな。」

    俺が以前の事を思い出している内に南の方にレイキ城が見えてきて、いよいよ戦いが始まるのか……と言う緊張が俺を襲う。
    だけど影の一味、そして闇のティアマトから世界を救う為に……やらなくちゃ!
 
「ここで下ろしてくれ。」

「え?ここで?」

「早くしろ。お代はこれで足りるよな?」

「は、はい!」

    だがその時、イブさんは城から100メートルぐらい離れてそうな所で降りると言い、お代を置いて俺達共々馬車から降り、馬車は王都インヨウへと帰っていった。

「本当にここで良いんですか?レイキ城からは少し離れてますけど……。」

「馬車の運転手の安全優先だ。すぐ近くまで行ってセンジュに気取られたら、馬車の運転手にも危険が及びかねない。ここからワープゲートで城のすぐ前に行く。」

「最初からワープゲートを使えば良かったのでは?」

「金を回さないと国が回らない……そう言う事だ。」

    イブさんはマリーネの疑問にこう答えた後、ワープゲートを出現させて自分が先にゲートの向こうへと行く。

「こっちは問題無い。お前達も来い。」

「はい!行きましょう。」

「うん。」

    そして俺達はワープゲートを潜り、レイキ城の中に来た。
    そこは既に屋敷内で、目と鼻の先に白の中に入る為であろう扉があるのだけど……センジュは一体どこに__

「リョータロー君!!」

「!!」

    その時、突如落雷によって俺達は攻撃され、その衝撃によって俺は吹き飛ばされ、マリーネとイブさんはギリギリの所で回避する。

「っ……!!」

「出たわね……センジュ!!」

    マリーネの言葉を聞いて俺がそちらに目をやると、そこにはセンジュが仁王立ちしていた。
    いよいよ俺達はセンジュと会敵した……!

「クヒヒヒ!!来たなマリーネちゃん!!それとリョータローとイブとやら!!」

「影の一味……今一度聞かせてもらうわ!!貴方達の目的は!?」

「いいぜ。3度目は無いけどな……世界征服!!私達のリーダーにして人食い族のキョーシローが世界を支配し、人類は彼の食糧に成り下がる!!それが私達の目的だ!!そして私はそれを邪魔しようとする奴らとの戦いに興じる!!最高だぜ!!フォォォォ!!」

    センジュは相変わらずの荒々しいテンションで俺達にそう話す。
    こいつらは絶対に止めなくては……俺はそう決意し、深呼吸をする。

「スゥゥゥ……ハァ……。」

「なんだぁ?」

「お前がこの城を占拠した目的は、秘密兵器の鍵なのか?」

「そうだ。それが無ければアレは起動しないんだろ?見させてもらったぜ、アレはいいもんだ……キョーシローだってワンチャン殺せる……かもな。」

「場所はもう知ってるのか……やろうと思えば壊す事もできるって事だな?」

「そうじゃね?まぁそんな事よりも今は楽しもうぜ!!戦いをよぉ!!」

「楽しまないわ……貴方はすぐにでも倒す!!」

    マリーネはそう言って杖を構えて戦闘態勢に入り、俺も目の前の敵を倒す為に拳を握りしめ、「変身」の構えをとる。

「リョータロー君……?」

「……」

    それを見たマリーネは戸惑うがまぁ仕方ない。今とっさに考えた事だから。
    それをする事で気合いを入れてまた買いに挑む……的なやつだ。
    そしてこう叫ぶ。「変身」とか「○○チェンジ」的なヒーローっぽい言葉は必要だから。

「血起変動!!」

     そう叫んだ直後、俺の体は光を放ち、その光が弾け飛びその中から俺の新たな姿……ゴーレムの姿が現れる。

「覚悟しろ……影の一味!!」

「クヒヒヒ……来い!!リョータロー!!」

    強敵センジュとの戦いが今始まる……!!






    
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