異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第3章<怪物と少女>編

81話「王、謁見す」

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    西の王国ディアーガの王都へ向けて、馬車で進み続ける事2時間ぐらいで俺達の前に巨大な壁が現れた。
    王国アストレアの王都、レガーを覆う壁もかなり大きかったけど、その3倍ぐらいの大きさだと思う。
   
    そして、その壁に設けられた王都への入口は……なんと言うか、中華風?の装飾が施されている。
    そういうお国柄なのか……。

「身分証を。」

「マリーネ。王国アストレアの冒険者に所属する2級冒険者です。」 

    マリーネはそう言いながらポーチから冒険者カードを取り出してそう言うけど、言葉が通じてる……言語は同じなのかな?
    俺にはマリーネの言葉も門番さんの言葉も日本語に聞こえるけど……この肉体を作ったであろう闇のティアマトがそう設定したのかな。

「そちらのお2人は?」

「友人です。これが2人の身分証です。」

    マリーネは門番さんに俺とイブさんの事を説明して、今度は俺とイブさんの身分証を取り出して……って、イブさんはともかくいつの間に俺の身分証なんて作ってたのだろう。
    
「ふむふむ……ありがとうございます。マリーネ殿、イブ殿、リョータロー殿。王都インヨウへ入る事を許可します。」

「ありがとうございます!」

    そうして俺達は王都インヨウに入る事を許可され、馬車で王都の中へと入っていった。

「マリーネ、俺の身分証なんていつの間に作ったの?」

「昨日の夜、この国に入国するのに必要だと思ってお師匠様のワープゲートで王都まで行って役所で作ってもらったの。」

    俺が気になっていた疑問に対して、マリーネはそう答える。
    それはそうと……。

「これが王国ディアーガの王都か……。」

    俺の目に飛び込んできた王都インヨウの風景はまさに中華といった雰囲気だった。
    色も形もとにかく派手さが前面に押し出されている。
    街の住人もほとんどの人が民族衣装っぽいものを着ているし……。

    そんな事を考えながら馬車に揺られる事数十分で馬車は停車し、馬車の運転手さんに代金を渡して、そこからは俺達の足で動く事になる。

「まず国王様に会いに行くのですよね?」

「あぁ。ここから少し歩いた所に宮殿がある。そこに行くぞ。」

「はい!」

    イブさんの言ったように、俺達はこれからこの国の国王に会いにいく事になる。
    イブさんの友人らしいこの国の国王は、果たしてどんな人なのだろうか……楽しみなような不安なような……まぁ会ってみない事には何も分からないよな。
 
    そう考えながらイブさんに案内され俺とマリーネは宮殿へと向かった。
    宮殿に着いた俺達……正確にはイブさんを見た置いた兵士が驚いたような表情を浮かべたかと思ったら、彼は即座に俺達を国王の元へと案内した。

「お師匠様、どういう事でしょうか……?」

「死んだとでも思ってたんじゃないか?」

「実際死んでたみたいなものじゃないですか……。」

「確かにな。アイツが私を見た時に、驚いて腰を抜かさないといいんだけどな。」

「イ、イブさん……。」

    俺達はそんな会話をしながら兵士の後をついて行き、国王のいる玉座へと招き入れられた。
    兵士は焦った様子で扉を開け、そこにいる国王様に声をかける。

「ビャッコ様!!イブ殿が!!イブ殿が……!!」

「騒がしいな。なんだ___」

    その言葉を聞いた国王様は、書類から手を離してこちらに目を向ける。
    そして、イブさんの顔を見た瞬間……。

「ウゲヤァーーーーーーッ!!!!!」

「国王様ァァァッ!!!!」

「……え?」



    あれから10分ぐらいの時が経っただろうか、先程突然気絶した国王様は兵士が介抱した事で目覚め、彼は今俺達を長椅子に座らせ、自分は俺達と向かい合う位置の長椅子に座っている。
    って言うか、この人国王って言う割に結構見た目が若々しいな……。

「……お、俺も年貢の納め時かなぁ。死者の幻影が見えるとは……!!」

「死んでない、ちょっと寝てただけだ。」

「嘘をつくな!!アストレアに派遣した俺の部下……さっきの老兵士は確かに貴様の死を確認した、と言っていたぞ!」

「相変わらず騒がしい奴だなビャッコ。だが今のお前は普段とは別ベクトルで騒がしい。」

「……あぁ。冷静さを取り戻そう。とりあえず聞かせてくれ。何しにこの国に来た?」

    ビャッコと呼ばれたその国王様はイブさんにそう聞き、彼女はこう答える。

「ティアマトがこの現世に現れる。そいつを私達は仲間に迎え入れ、影の一味とそのバックに控えてる闇のティアマトを倒す。」

「……今世間を騒がせている影の一味、か……やはりそいつらは天祖神と繋がっていたのか。」

    天祖神……?ティアマトの事はこの国ではそう言われてる、的なことなのかな。
    次にビャッコさんはイブさんにこんな質問をする。

「イブ、その2人は弟子か何かか?」

「まぁそんな所だな。男が良太郎、女がマリーネだ。」

「そうか……君達が影の一味、そして闇の天祖神と戦い、その首を討ち取る、と?」

    ビャッコさんは俺とマリーネの目を見てそう質問してくる。
    威厳を感じる鋭い視線だ……ちょっと怖いけど、こんなのに慄いてるようじゃ敵とは戦えない……!

「はい!俺はなんとしても影の一味と闇のティアマトを止めます!この世界を守る為に……そして、ヒーローになる為に!」

「私もリョータロー君と同じです!皆を守る為、その為に私は冒険者になったんです!」

「いい目をしているな……。」

    俺とマリーネの言葉を聞いたビャッコさんはそう呟き、椅子から立ち上がりイブに質問をする。

「お前達の望みはなんだ?」

「この国が保有する秘密兵器が借りたい。それもこの国に来た理由だ。」

「秘密……兵器?」

「そうだ。闇のティアマトは生命を生み出す力によって神獣レベルのモンスターを生み出し人間に牙を剥くだろう。それを払い除ける力が欲しい。」

    俺がイブさんの言う「秘密兵器」という言葉に戸惑う一方、彼女はそれが欲しくてここに来た、という旨の要望を答える。

「いいだろう!!先程は予想外の事に醜態を晒してしまったが……このビャッコ・ツインファング!!貴様らの意志に答えてみせよう!!」

「助かる。」

「秘密兵器を動かすのには「コアゴーレム」が必要だ。それはこの王都より南の砦、レイキ城にある!!だがそこが影の一味の一人……センジュによって占拠されて閉まっているのだ。センジュを払い除けてくれると言うなら、我々はこの国に生まれ落ちるという天祖神の保護と、秘密兵器を貴様達に貸してやる事を約束しよう!!」

    ビャッコさんは荘厳な声で俺達そう宣言してくれた。
    影の一味の魔の手はこの国にまで及んでたのか……多分、イブさんの言う秘密兵器とやらが影の一味の害になると分かった上での行動だろう……だったらこっちだって、やるしかないよな!

「任せてくださいビャッコさん!センジュは俺達が追い払います!」

「私とリョータロー君が影の一味に負けない力を持っているって、証明してみせます!」

    俺とマリーネは席を立ち上がり、ビャッコさんにまた自分達の意志をアピールする。
    こうして、ディアーガの地でもまた、俺達と影の一味の戦いが始まろうとしていた……。



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