異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第2章<鋼の心>編

51話「燃やす闘志」

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     3匹の龍と、3人の特級冒険者の戦いは熾烈を極めていた。
    神獣レベルと言う、モンスターの危険度の中で2番目に高い危険度の龍を相手にしても退くこと無く勇敢に立ち向かうソレイユ、ガオレオ、トーゴ、リコ。
    彼らは王都を守る為に必死に龍に立ち向かう……。



「グァァァァ!!」

「っ!!」

    空からソレイユ目掛けて後ろ足の鋭い爪を振り下ろす火炎魔龍。その攻撃を彼女は、勢いよく剣を振り上げて弾き身を守る。

「フレイムバレット!!」

    ソレイユは敵の攻撃後の隙をついて攻撃を仕掛ける。左手の平から炎の弾丸、フレイムバレットを放ち、火炎魔龍を攻撃しようとするが、それを火炎魔龍は前足で軽く弾き飛ばした。
    空中に弾き飛ばされたフレイムバレットは空中で爆発を起こして塵と化した。

「グァァ!!」

「なんのっ!!」

    ソレイユの攻撃を無効化した敵は、口から大きなフレイムバレットを放ち、ソレイユを攻撃しようとする。
    それに対して彼女は、剣に炎を纏わせて放つ斬撃、火炎斬を繰り出し、特大のフレイムバレットを真っ二つに斬り裂いた。
    かと思った次の瞬間……。

「コォォォォォォ」

「……来る!!」

     勢いよく空気を吸う火炎魔龍。それを見たソレイユは、敵が大きな攻撃をしてくる事を察知し、その攻撃をさせまいと、攻勢に打って出ようとする。

「獄炎……っ!?」

 「グァァァァァァ!!」

    必殺の魔術を繰り出す1歩手前のソレイユだったが、敵の方が先に攻撃を発動してしまった。
    火炎魔龍の口から放たれる放射状の火炎ブレス。攻撃の溜めに入っている今の自分ではその攻撃を食らってしまう……そう考えたソレイユは急遽防御の姿勢を取る。

「くっ……フレイムカーテン!!」

    咄嗟に防御魔術、フレイムカーテンを発動し、炎の幕によって身を守るソレイユ。
    ここから反撃するには、奥の手を使うしかないと決意した彼女は、敵のブレスが止んだら攻撃を仕掛けようとした。だが……。

「グァァァァァァ!!」

「攻撃が……止まらない……!!」

    火炎魔龍のブレスは止むどころか、勢いを増し続ける。火炎魔龍のブレスは出力がぐんと上昇し、そしてついに敵の攻撃に耐えきれず、フレイムカーテンが薄れだしてきた。

「フレイムカーテンが……やるなら今しかない!」

    ソレイユは覚悟を決めて奥の手を発動する。彼女は剣を地面に刺して、両手を前方で交差させ、その名を叫んだ。

「赤鬼灰放・儺鬼鎧!!(せっきかいほう・おにやらいおによろい)」

    その瞬間、ソレイユの身体を、半透明の赤い鎧が覆い、彼女は東洋の鎧武者のような姿へと変貌した。
    一方で火炎魔龍の火炎ブレスは最高出力に達し、フレイムカーテンは破られてしまう。
    
「来い!!」

「グァァァァ!!」

    フレイムカーテンを破った火炎魔龍の火炎ブレスがソレイユの身に降り注ぐ。普通の人間ではタダでは済まない火力のブレスだ。しかしソレイユは違った。
    儺鬼鎧はソレイユの身を炎から守るどころか、その炎を鎧に吸収していたのだった。

「グァァ……!?」

「今度はこっちの番だ!!」

    どれだけ火炎ブレスで攻撃しても炎を吸収するソレイユに驚く火炎魔龍は攻撃の手をついに止める。
    その隙を逃すまいと、彼女は全身の鎧に溜め込んだ炎を、右手で握る剣に流し込む。

    途端に赤い光と、燃えたぎるような炎を放つソレイユの剣。それを見た火炎魔龍はソレイユを警戒し、身構えた体勢を取る。
    そしてソレイユは、火炎魔龍にトドメを刺す為に、最後の攻撃を放つ。

「食らえ……獄炎斬!!」

    技の名前を叫び、剣を勢いよく振り下ろすソレイユ。それと同時に彼女は地面を勢いよく蹴って敵に飛びかかる。
    目にも止まらないスピードなので、火炎魔龍はその攻撃に対処できず、ただソレイユの攻撃を受けるしか無かった。

「グォォォォン……。」

    刀身に獄炎を纏わせたソレイユの斬撃。それを受けた火炎魔龍は傷口から血を吹き出し、地面に倒れ伏す。
    龍に打ち勝ち、この勝負を制したのは、人であるソレイユだった。



    一方で、雷電知龍と戦うガオレオ。彼は速度を極限まで強化した形態、大風雲猛怒(タイフーンモード)となり、雷電知龍の攻撃を尽く回避していた。

「ギェアァァァァァ!!」

「甘いな!!」

    雷電知龍の口から放たれる、標的をどこまでも追尾する雷球、それを高速で走って回避するガオレオ。
    それに加えて敵は落雷攻撃も仕掛けてくる。ガオレオの足元が青く光ったかと思った次の瞬間、地面に雷が落ちる。  
    だがそれでも高速で動くガオレオを仕留める事はできず、雷が落ちた頃には彼はすでにその場には留まってはいなかった。

「へへっ!こんなもんか!?」

「ギェアァァァァァァァァ!!」

    敵を煽る余裕すら見せるガオレオに、怒りを顕にする雷電知龍。雷電知龍は「雷の賢者」と言われる程に知性が高いと言われているが、その反面「怒り」という感情を持ち合わせており、挑発されれば頭に血が登り冷静な判断ができなくなる。
    その状態で倒せるレベルの相手なら雷電知龍にとっては問題無いが、今回の雷電知龍の相手は人間。頭の良さで負けているのだ。

「ギェアァァァァァ!!」

「あらよっと!!」

    尚も口から追尾雷球を放ち、ガオレオを追い詰めようとする雷電知龍だったが、その内の2つの操作を誤り、自身の身体に雷球が直撃してしまう。 
    
「ギェアァァァ!?」

「今だ!!」

    その隙を付いて敵に急接近するガオレオ。彼は剣を構えて攻撃を仕掛けようとする。
    突然敵に近づかれて驚く雷電知龍は、口から放射状の雷ブレスを放つが、それが地面に着弾する頃には彼の姿はそこには無かった。

「ここだよ!!」

    そして、混乱する雷電知龍を、背中から攻撃しようとするガオレオ。彼は剣に風を纏わせて鋭い斬撃を繰り出す。

「真風斬!!」

「ギェアァァァァァ!!」

    ガオレオの剣から放たれる斬撃、真風斬によって、雷電知龍の身体はバッサリと切り裂かれる。
    傷口から大量の血を吹き出した雷電知龍は、そのまま地面に倒れて力尽きた。

    冷静な時こそまさに賢者のような冷静さを持つ雷電知龍だったが、その冷静さをかき乱されれば後は呆気ない物だった。
    ガオレオの勝利によって、この戦いは決着が付けられた。

    残る神獣レベルの龍は氷河鬼龍一匹。トーゴとリコは、この強敵に勝てるのだろうか……。
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