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第2章<鋼の心>編
47話「明かされる真実」
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「マリーネ、竜嵐って何?」
「竜嵐はね、無数の竜が大群となって人の住む街や村を襲撃する現象の事よ。繁殖期に入った竜はストレスで破壊衝動に駆られて、数匹の竜が人や街を襲いに来る事は年に1回ぐらいあるんだけど……。
数十年に1回ぐらいの確率で、竜が数十匹と連なり……まるで竜が嵐のように陣形を取って襲ってくる現象が起こる……その現象に人は「竜嵐」と名付けたの。」
リコに連れられて、王都に向かう道中で、リコの言う「竜嵐とはなんだ?」と思った俺はマリーネにその事について聞くと、マリーネはそう答えてくれた。
その竜嵐が、南の王国アダンから、この王都に真っ直ぐ進行しているらしい。それはまずい事だ……早くそれを迎え撃つ作戦を立てなくちゃな。
「竜嵐も重要な事だけど……その前に話したい事があるとギルドマスターが言ってたそうなの。竜嵐迎撃作戦を立てるのはその後よ。」
「ギルドマスターが……?」
「セリエさんから手紙が来たわ。ティアマトへと至る道しるべについての……。」
え……?その事は皆には隠してたんじゃないの?それとも、セリエさんには何か意図があって皆にその事を公表する気になったのか……?
そう考えながら歩き続けて、俺達はギルドにたどり着いた。中に入ると、既に冒険者数名が集められていた。トーゴ、タウラス、ベル、ドラコ、ソレイユさん、ガオレオ……俺の知っている人達だ。
この世界では、遠く離れた人同士でコミュニケーションをとる方法は無いのかと俺は思っていたが、この世界には「転移装置」なる魔道具があるみたいで、その装置の上に生き物以外の物を置くと、それが遠くの転移装置の上に転移されるそうだ。
この魔道具によって、セリエのいるミズノエのギルドからアストレアのギルドまで、セリエの手紙が送られてきたとギルドマスターは言う。
「これは、セリエから届いた彼女の手紙だ。これには……王国ミズノエで守られ続けていたティアマトへと至る道しるべの存在が記されている。リョータロー君、マリーネ君、君達は先日ミズノエに行ったとこの手紙に書かれていた。そこで君達は……このティアマトへと至る道しるべを見たのかい?」
「はい……でも、セリエさんがそれは秘密の物だと言ってたので……皆には隠しておこうと思ってました。」
ギルドマスターの問いかけに、マリーネはそう返す。
「そうか……少なくともその時点ではセリエはこの存在を隠し通そうとしてたと。だが……今日こうしてティアマトへと至る道しるべの事が記された手紙がここに送られてきた。自分の村の掟を破ってまでセリエはこの事を我々に伝えてくれたのだ……この事を有効活用して欲しいとのセリエからのメッセージだと、私は受け取った。」
「手紙にはなんて書かれてたんですか?」
リコがギルドマスターにそう聞くと、彼はセリエの手紙の文面を読み上げた。
「この手紙にはこう書かれている……私の住む村では代々ティアマトへと至る道しるべという物を守り続けてきた。それは、人をティアマトの元へと案内する為に作られた人間界と神界の狭間に置かれた門である。
そしてこれに書かれていた謎の文字をリョータローが解読してくれた。ティアマトに会いに行くには死あるのみである。死によってティアマトへの道は開かれる。それが道しるべに書かれていた事だ。」
「……道しるべに書かれていた通りです。」
手紙を読み終えたギルドマスター、俺はセリエが嘘をついてないと証明する為にギルドマスターにそう言う。
「あぁ、君の事もセリエの事も信じよう……彼女も村の掟に従っていただけだとは理解した。人類の誰もが知り得なかった謎に我々は1歩近づいたのだと考えると、この手紙は我々にとっての良い収穫だね。」
ギルドマスターはセリエの手紙を今後の武器になると考えているようだ。
セリエがせっかく明かしてくれた真実だ……影の一味にそれを悪用される前に俺達も何かしないとな。
「この件は一旦終わりだ。君達全員知ってるだろう……竜嵐がこの街に向かっている事を。」
ギルドマスターのその一言で冒険者達の間に緊張が走る。俺はそんな体験初めてだけど、そんなにヤバい物なんだな、竜嵐って……。
「今すぐにでも対策会議を立てるべきです。この街の冒険者達を全員かき集めましょう。」
「竜の飛行スピードは半端じゃねぇぞ。迅速に対策を練らなくちゃな。」
ギルドマスターにそう提案するソレイユとガオレオに、彼はこう返す。
「もちろんそのつもりだ。ギルド職員総出で街の冒険者達に竜嵐迎撃作戦に参加する事を呼びかけている。そして……ある人が我々に檄を飛ばしたいと言っていてね、今から行う竜嵐対策会議にこの人が来てくれた。」
ギルドマスターがそう言っている頃には既に、ギルドの奥の部屋から現れたフードを被った男がギルドマスターの隣に来ていた。
「貴方は一体……?」
「この国の将来を担う若き冒険者達よ……この国の王直々に応援をしに来たぞ。」
「王……?まさか……。」
マリーネがフードの男に正体を尋ねると、彼はずっしりとした重みのある声で自分の事を「この国の王」と名乗った。
聞き覚えのある声だ。まさか……ギルドに国王が……!?俺がそう考えていると、彼はフードを下ろして自分の顔を皆に晒した。
「私が……君達を応援しに来た!」
「国王陛下……!」
俺達を応援しに来たというその人は、この王国アストレアの国王、ケン・アストラルその人だった。
皆驚いている……もちろん俺も驚いてるけど……なんというか、国王がギルドにいるというギャップが凄い!
「竜嵐はね、無数の竜が大群となって人の住む街や村を襲撃する現象の事よ。繁殖期に入った竜はストレスで破壊衝動に駆られて、数匹の竜が人や街を襲いに来る事は年に1回ぐらいあるんだけど……。
数十年に1回ぐらいの確率で、竜が数十匹と連なり……まるで竜が嵐のように陣形を取って襲ってくる現象が起こる……その現象に人は「竜嵐」と名付けたの。」
リコに連れられて、王都に向かう道中で、リコの言う「竜嵐とはなんだ?」と思った俺はマリーネにその事について聞くと、マリーネはそう答えてくれた。
その竜嵐が、南の王国アダンから、この王都に真っ直ぐ進行しているらしい。それはまずい事だ……早くそれを迎え撃つ作戦を立てなくちゃな。
「竜嵐も重要な事だけど……その前に話したい事があるとギルドマスターが言ってたそうなの。竜嵐迎撃作戦を立てるのはその後よ。」
「ギルドマスターが……?」
「セリエさんから手紙が来たわ。ティアマトへと至る道しるべについての……。」
え……?その事は皆には隠してたんじゃないの?それとも、セリエさんには何か意図があって皆にその事を公表する気になったのか……?
そう考えながら歩き続けて、俺達はギルドにたどり着いた。中に入ると、既に冒険者数名が集められていた。トーゴ、タウラス、ベル、ドラコ、ソレイユさん、ガオレオ……俺の知っている人達だ。
この世界では、遠く離れた人同士でコミュニケーションをとる方法は無いのかと俺は思っていたが、この世界には「転移装置」なる魔道具があるみたいで、その装置の上に生き物以外の物を置くと、それが遠くの転移装置の上に転移されるそうだ。
この魔道具によって、セリエのいるミズノエのギルドからアストレアのギルドまで、セリエの手紙が送られてきたとギルドマスターは言う。
「これは、セリエから届いた彼女の手紙だ。これには……王国ミズノエで守られ続けていたティアマトへと至る道しるべの存在が記されている。リョータロー君、マリーネ君、君達は先日ミズノエに行ったとこの手紙に書かれていた。そこで君達は……このティアマトへと至る道しるべを見たのかい?」
「はい……でも、セリエさんがそれは秘密の物だと言ってたので……皆には隠しておこうと思ってました。」
ギルドマスターの問いかけに、マリーネはそう返す。
「そうか……少なくともその時点ではセリエはこの存在を隠し通そうとしてたと。だが……今日こうしてティアマトへと至る道しるべの事が記された手紙がここに送られてきた。自分の村の掟を破ってまでセリエはこの事を我々に伝えてくれたのだ……この事を有効活用して欲しいとのセリエからのメッセージだと、私は受け取った。」
「手紙にはなんて書かれてたんですか?」
リコがギルドマスターにそう聞くと、彼はセリエの手紙の文面を読み上げた。
「この手紙にはこう書かれている……私の住む村では代々ティアマトへと至る道しるべという物を守り続けてきた。それは、人をティアマトの元へと案内する為に作られた人間界と神界の狭間に置かれた門である。
そしてこれに書かれていた謎の文字をリョータローが解読してくれた。ティアマトに会いに行くには死あるのみである。死によってティアマトへの道は開かれる。それが道しるべに書かれていた事だ。」
「……道しるべに書かれていた通りです。」
手紙を読み終えたギルドマスター、俺はセリエが嘘をついてないと証明する為にギルドマスターにそう言う。
「あぁ、君の事もセリエの事も信じよう……彼女も村の掟に従っていただけだとは理解した。人類の誰もが知り得なかった謎に我々は1歩近づいたのだと考えると、この手紙は我々にとっての良い収穫だね。」
ギルドマスターはセリエの手紙を今後の武器になると考えているようだ。
セリエがせっかく明かしてくれた真実だ……影の一味にそれを悪用される前に俺達も何かしないとな。
「この件は一旦終わりだ。君達全員知ってるだろう……竜嵐がこの街に向かっている事を。」
ギルドマスターのその一言で冒険者達の間に緊張が走る。俺はそんな体験初めてだけど、そんなにヤバい物なんだな、竜嵐って……。
「今すぐにでも対策会議を立てるべきです。この街の冒険者達を全員かき集めましょう。」
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ギルドマスターにそう提案するソレイユとガオレオに、彼はこう返す。
「もちろんそのつもりだ。ギルド職員総出で街の冒険者達に竜嵐迎撃作戦に参加する事を呼びかけている。そして……ある人が我々に檄を飛ばしたいと言っていてね、今から行う竜嵐対策会議にこの人が来てくれた。」
ギルドマスターがそう言っている頃には既に、ギルドの奥の部屋から現れたフードを被った男がギルドマスターの隣に来ていた。
「貴方は一体……?」
「この国の将来を担う若き冒険者達よ……この国の王直々に応援をしに来たぞ。」
「王……?まさか……。」
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聞き覚えのある声だ。まさか……ギルドに国王が……!?俺がそう考えていると、彼はフードを下ろして自分の顔を皆に晒した。
「私が……君達を応援しに来た!」
「国王陛下……!」
俺達を応援しに来たというその人は、この王国アストレアの国王、ケン・アストラルその人だった。
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