異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第1章<鋼の体>編

34話「迫り来る母」

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    王国ミズノエの漁村、カノト村で行われる対シーグール戦。
    俺とマリーネとセリエ、この3人で凶悪なモンスター、シーグールを迎え撃つ。
    まず初めに水中から3匹の標的が浜辺に上がってきた。

「ギャギャギャ!」

    一匹のシーグールが俺に狙いを定めると、俺を襲ってきて俺の首元に噛み付いてきた。
    砂の上でも、まるで普通の地面を走るように難なく走れる脚力は恐ろしいな……。
 
「うっ……だけどゴーレムだからなんて事は無い!」

    俺はそう考えながらシーグールを突き飛ばし、続けて腕の刃を展開し、その鋭い刃で敵の胸を切り裂いた。

「ギャ……!」

    呻き声をあげて倒れるシーグール。
    残る2体のシーグールは、俺を脅威だと感じたのか、狙いを後ろのマリーネとセリエに向けた。
    だけど、その2人は2級冒険者と特級冒険者だぞ!

「サンダーバレット!」

    魔術師2人は杖を構え、魔法を発動する。
    杖の先端から雷の弾丸サンダーバレットを放ち、それによって2体のシーグールを撃破した。

「マリーネ、リョータロー、次が来る……!」

「うん!」

「ええ!」

「ギャギャギャ!!」


    その後、シーグールは次々と陸上に上がってきて俺達に攻撃を仕掛けてくる。
    だけど同時に上がってくるのは2体~3体
ぐらいだ。これなら大丈夫!

「はぁっ!たぁっ!」

    俺は掛け声を発しながら前衛でシーグールを切り倒し、
    後衛のマリーネとセリエが俺が取り逃した敵を魔術で倒していく。
    俺はこの村の人達を、モンスターから守るって決めたんだ!
    絶対に勝ってやる……どんな奴でもかかってこい!

「「ギャギャギャギャギャ!!」」

    ……と思ってた時期が俺にもありました……次の瞬間、今まで2~3匹ぐらいしか同時に現れなかったシーグールが、なんと7匹同時に現れたのだ。

「謀ったな、シーグール!」

    思わずそう口に出してしまった。
    さっきまでの手薄な攻撃はこの時の為の布石だったのか……!

「リョータロー君避けて!」

「!?」

    その時後ろからマリーネの声がした。
    避けて……だって?と一瞬考えたが、とりあえず俺はシーグールから距離を取った。その直後……

「ファイブサンダーバレット!」
 
    セリエさんが7匹のシーグールに対して広範囲、高威力の攻撃を仕掛ける。
     5つのサンダーバレットを同時に撃つファイブサンダーバレット……強い魔術師
というのはそんな事もできるのか
……。
    5つのサンダーバレットはシーグール達目掛けて飛んでいき、前方の4匹のシーグールに直撃、その4匹のシーグールは吹き飛び、後ろにいた3匹のシーグールはその巻き添えを食らう形で吹っ飛んだ。

「リョータロー……今よ……!」

    セリエは俺にそう言ってきたので、俺は敵の隙をついて攻撃を仕掛けようとする。
    俺の使える魔術も、5発同時に撃てたりしないのかな……?

「ファイブスラッシュショット!」

    俺は自分の実力を信じて、刃のように鋭い弾丸を飛ばす魔術、スラッシュショットの上位互換的魔術、ファイブスラッシュ
ショットを発動した。

バシュシュシュシュッシュッ!

   結果は成功。
   俺の手の平から5つのスラッシュショットが飛び出し、その刃は風きり音を立てながら敵に向かって飛んでいき5匹のシーグールを仕留めた。

「やった……できた!」  

    俺は戦闘中だが初めての魔術を使えた事に喜びを顕にした。

「凄いわリョータロー君!」

    マリーネはそう言って俺を褒めてくれたけど、浮かれてる場合じゃない……何せまだ戦いは終わってないんだから!
 
「ギャ……ギャ……!」

     残っている2匹のシーグールは俺達に攻撃をしようという意思を行動に移す。
    だけど2匹の動きが鈍くなっている気がする……弱っているのか?
 
「とにかく今しかない!」

    俺はそう思い、カットスラッシャーの刃で2匹のシーグールを切り裂いた。

「……終わった……!」

     2匹のシーグールが倒れるのを見てそう呟くマリーネ。
    もうシーグールが海から来ないのか?だとしたら俺達は勝ったん……

「気をつけて……大きいのが来る……!」

    だが俺やマリーネと違い、セリエは全く気を緩めていなかった。
    彼女は海の向こうから大きな気配がここに近づいてきていると察知し、それを俺達に伝えた。

「何ですって……!?」

「何が来るっていうんだ……?」

「マザーシーグールが来る……!」

    セリエがそう言った次の瞬間、水面を割り大きなモンスターが浜辺に上がってきた。

「ギャギャギャギャギャギャギャ!!」

    それは先程のシーグールと似た魚人のような見た目をしていたが、その大きさはシーグールよりも大きく、大柄な体格の俺なんかよりもよっぽど大きかった。これが……マザーシーグール!?

「リョータロー……逃げて……!」

    セリエは俺に危ないから逃げろと
忠告する。
   だけどここまで来て逃げる訳には……と俺は一瞬思った、その一瞬が命取りだった。

「ブォッ!」

    マザーシーグールは口から体液のようなものを吹き出した。
    俺はハッとしてそれを回避しようとしたが、それが俺の脚に付着してしまう。

「……!?」

    俺はそれを見て驚いた。
    体液がかかった脚の一部が、強酸を浴びたかのように溶けだしたのだ。
    なんて恐ろしい力だ……!
    その時、マザーシーグールの前に、セリエが立ち塞がる。 

「リョータロー……マリーネ……このモンスターは……私がやる……カノト村の者として……諸悪の根源を……叩く……!」

    そう呟いて杖を構えるセリエ。
    セリエとマザーシーグールの戦い、この戦いによってカノト村の運命は左右される、俺はそんな気がした。
    勝ってくれセリエ……!





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