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第1章<鋼の体>編
31話「まだ見ぬ地へ」
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この日俺とマリーネはギルドに来ていた。
クエストを受注してそれを達成し、それで得た報酬金を日々の生活費にする為だ。
「ワイバーンの群れの討伐……解毒草の採取……回復のポーションの納品……雷電石の採掘……。」
クエストボードに貼られたクエスト依頼書を眺め、それらを1つずつ読み上げるマリーネ。
俺も何か良いクエストを探そうと思いクエストボードを見渡すが、その時俺はあるクエストを見つける。
「これは……。」
「どうしたの?」
俺はそのクエスト依頼書を指を差してマリーネに見せた。
「王国ミズノエに現れた水棲モンスター、シーグールの討伐?」
それが俺の見つけたクエスト依頼書だった。
シーグールなんて初めて聞いたな。
グールって確か……怪物の事だよね?
シーグール……つまり、海の怪物って事かな?
「ここから王国ミズノエまではどれぐらい掛かるの?」
「ここからだと、丸1日は掛かるわね。だからこの国の中でできるクエストをしましょう。」
俺の質問にマリーネはそう答えた。
それはそうと、なぜこの国に隣国でのクエスト依頼書があるのか、それが気になった。
「なんで隣国のクエスト依頼書が、このアストレアにあるの?」
「なんでかしらね……ミズノエの冒険者はアストレアの冒険者と同じぐらいいるから、冒険者が足りてなくてクエストを受ける人がいないっていうのは考えられないけど……。」
「シーグールってどんなモンスターなの?」
「シーグールはね、普段は水中にいるけど、ある時だけ陸に上がってくるのよ。それは……人を食べる時よ。」
なんだって……?俺は彼女の言葉を聞いて、人を食べるなんて酷い事をするそのモンスターを野放しにする訳にはいかないんじゃ……と感じた。
「だったら、早くシーグールを倒しにいかないと!ミズノエの人達が危ない……!」
「だけど、ここからじゃミズノエまでは遠いから……」
俺はミズノエに行き、そこに行ってモンスターから人々を守りたい、そう考えたが、マリーネはそれを拒否する。
「でも……!」
何かマリーネを納得させる言葉を言わないと……そう考え、その為の言葉を考える俺だったが、その時、俺達の前にある人が現れた。
「どうしたの……?」
それは、以前特級冒険者会議で出会った青い瞳と携えた杖が特徴の特級冒険者、セリエだった。
彼女もクエストを受注する為にギルドに来たのだろう。
「俺、ミズノエに行ってシーグールっていうモンスターから人々を守りたいんだ。でもここからミズノエまで行くにはかなり時間が掛かるってマリーネが……。」
「私なら……一瞬で……貴方達を……ミズノエまで……連れていけるわよ……。」
「本当に?」
俺が本当かと彼女に聞き返すと、セリエは首を縦に振った。
「その代わり……クエストの……報酬金の半分は……私が貰うわ……それで……いいわね……?」
「ええ、それでいいわ。」
セリエはマリーネにそう提案し、マリーネはそれを了承した。
「目的地は……ミズノエの漁村、
カノト村だって。」
俺はクエスト依頼書に書かれたクエストをする場所を確認する為に声に出して読み上げる。
カノト村っていう村なのかぁ。
「それじゃ、クエスト受注は私がするわ。」
「よろしく……。」
マリーネはクエストボードからクエスト依頼書を剥がし、それをカウンターへ持っていき、クエストを受注した。クエスト受注には、300ラルクの受注料が必要で、そのお金はマリーネが支払った。
「それじゃあ……行くわよ……。」
「それで、どうやってミズノエ
まで一瞬で行くの?」
ギルドを出た俺がセリエにそう聞くと、彼女は一言、「ついてきて」とだけ言って俺達を案内した。
歩くこと数分、俺達が来たのは、建物と建物の間の、人の気配のない空間だった。
ここに来て何をするつもりなんだろうか
……?
「私……この魔術を……使う時は……人目を……気にするタイプだから……。」
セリエは手短にそう説明すると持っていた魔杖を振りかざし、魔術を唱えた。
「ワープゲート……。」
ワープゲート……?それってドラコが使ってた魔術だよね?
と思ってると、俺達の前に人1人通れるぐらいの大きさの穴が現れた。
「ドラコは人のいる場所でこの魔術使ってたけど……?」
「まぁ……人の目を……気にしない人は……普通に……人前で……使うから……つまり……個人差よ……。」
個人差かぁ……。
「魔術ってものは人に見せびらかす物じゃないからね。」
セリエの言葉にマリーネはそう付け加える。
「さて……行きましょう……。」
セリエはそう言うと、穴を潜って穴の向こう側へと歩いていった。
「私達も行きますね!」
とマリーネが穴の向こう側にいるセリエに呼びかけると、向こうからセリエの声で「いいわよ」と聞こえたので俺もマリーネも穴を潜ってミズノエへと向かう。
◇
「ここが……ミズノエ。」
俺が穴を抜けると、目の前には海が広がっていた。
澄み切ったとても綺麗な海だ。
そして海の手前の方に村がある……あれがクエスト依頼書に書かれていたカノト村だろうか。
初めての場所に来たからか、俺は少しだけドキドキしていた。
クエストを受注してそれを達成し、それで得た報酬金を日々の生活費にする為だ。
「ワイバーンの群れの討伐……解毒草の採取……回復のポーションの納品……雷電石の採掘……。」
クエストボードに貼られたクエスト依頼書を眺め、それらを1つずつ読み上げるマリーネ。
俺も何か良いクエストを探そうと思いクエストボードを見渡すが、その時俺はあるクエストを見つける。
「これは……。」
「どうしたの?」
俺はそのクエスト依頼書を指を差してマリーネに見せた。
「王国ミズノエに現れた水棲モンスター、シーグールの討伐?」
それが俺の見つけたクエスト依頼書だった。
シーグールなんて初めて聞いたな。
グールって確か……怪物の事だよね?
シーグール……つまり、海の怪物って事かな?
「ここから王国ミズノエまではどれぐらい掛かるの?」
「ここからだと、丸1日は掛かるわね。だからこの国の中でできるクエストをしましょう。」
俺の質問にマリーネはそう答えた。
それはそうと、なぜこの国に隣国でのクエスト依頼書があるのか、それが気になった。
「なんで隣国のクエスト依頼書が、このアストレアにあるの?」
「なんでかしらね……ミズノエの冒険者はアストレアの冒険者と同じぐらいいるから、冒険者が足りてなくてクエストを受ける人がいないっていうのは考えられないけど……。」
「シーグールってどんなモンスターなの?」
「シーグールはね、普段は水中にいるけど、ある時だけ陸に上がってくるのよ。それは……人を食べる時よ。」
なんだって……?俺は彼女の言葉を聞いて、人を食べるなんて酷い事をするそのモンスターを野放しにする訳にはいかないんじゃ……と感じた。
「だったら、早くシーグールを倒しにいかないと!ミズノエの人達が危ない……!」
「だけど、ここからじゃミズノエまでは遠いから……」
俺はミズノエに行き、そこに行ってモンスターから人々を守りたい、そう考えたが、マリーネはそれを拒否する。
「でも……!」
何かマリーネを納得させる言葉を言わないと……そう考え、その為の言葉を考える俺だったが、その時、俺達の前にある人が現れた。
「どうしたの……?」
それは、以前特級冒険者会議で出会った青い瞳と携えた杖が特徴の特級冒険者、セリエだった。
彼女もクエストを受注する為にギルドに来たのだろう。
「俺、ミズノエに行ってシーグールっていうモンスターから人々を守りたいんだ。でもここからミズノエまで行くにはかなり時間が掛かるってマリーネが……。」
「私なら……一瞬で……貴方達を……ミズノエまで……連れていけるわよ……。」
「本当に?」
俺が本当かと彼女に聞き返すと、セリエは首を縦に振った。
「その代わり……クエストの……報酬金の半分は……私が貰うわ……それで……いいわね……?」
「ええ、それでいいわ。」
セリエはマリーネにそう提案し、マリーネはそれを了承した。
「目的地は……ミズノエの漁村、
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俺はクエスト依頼書に書かれたクエストをする場所を確認する為に声に出して読み上げる。
カノト村っていう村なのかぁ。
「それじゃ、クエスト受注は私がするわ。」
「よろしく……。」
マリーネはクエストボードからクエスト依頼書を剥がし、それをカウンターへ持っていき、クエストを受注した。クエスト受注には、300ラルクの受注料が必要で、そのお金はマリーネが支払った。
「それじゃあ……行くわよ……。」
「それで、どうやってミズノエ
まで一瞬で行くの?」
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歩くこと数分、俺達が来たのは、建物と建物の間の、人の気配のない空間だった。
ここに来て何をするつもりなんだろうか
……?
「私……この魔術を……使う時は……人目を……気にするタイプだから……。」
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「ワープゲート……。」
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と思ってると、俺達の前に人1人通れるぐらいの大きさの穴が現れた。
「ドラコは人のいる場所でこの魔術使ってたけど……?」
「まぁ……人の目を……気にしない人は……普通に……人前で……使うから……つまり……個人差よ……。」
個人差かぁ……。
「魔術ってものは人に見せびらかす物じゃないからね。」
セリエの言葉にマリーネはそう付け加える。
「さて……行きましょう……。」
セリエはそう言うと、穴を潜って穴の向こう側へと歩いていった。
「私達も行きますね!」
とマリーネが穴の向こう側にいるセリエに呼びかけると、向こうからセリエの声で「いいわよ」と聞こえたので俺もマリーネも穴を潜ってミズノエへと向かう。
◇
「ここが……ミズノエ。」
俺が穴を抜けると、目の前には海が広がっていた。
澄み切ったとても綺麗な海だ。
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初めての場所に来たからか、俺は少しだけドキドキしていた。
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