異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第1章<鋼の体>編

30話「新たなる力」

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   影の一味の1人、センジュとの戦いで脚を破壊された俺だったが、鍛冶師のグルさんが俺に新たな装備を持ってきてくれた。
 
「関節から壊れてると聞いたから関節パーツも持ってきたぞ!」

「ありがとうございます!」  

「先ずは脚からじゃな!ほれ!」

    グルさんはそう言いながら脚の装備を荷車から取り出す。
    これは……形がとてもホイールゴローダーに似てるけど、所々の造形とかディテールがちょっと違うような……。
 
「これは後部バーニアの可動をより柔軟にしたホイールゴローダーの強化版、言うなればホイールゴローダー改じゃ!」

「え、後ろのバーニアって動くんですか?」 

「おぅ、右に体重を傾ければ左に、左に体重を傾ければ右にバーニアが向くようになっておる。教えるのを忘れてすまんかったのぅ。」
 
    グルさんのその説明を聞いて初めて、俺はホイールゴローダーの後ろのバーニアがフレキシブルに可動する事を知った。
    それを早く知りたかった……。

「じゃあ今度はもっと上手く使えるように頑張ります!」  

「前のホイールゴローダーの使い心地はどうじゃった?」

「うーん、ああいう硬派なタイプの装備、俺は好きです!」

「新しい装備を手に入れられて良かったわね、リョータロー君!」

    俺とグルさん、そしてマリーネはそんなやり取りをして、グルさんは次の装備を荷車から取り出す。

「まだまだあるぞい!次はこれじゃ!」

    グルさんは今度は腕パーツを持ってきたのだけど……これは腕というより大砲なのでは?
    いや……大砲の形をした腕なのか?
    なんにせよ、武器腕はロマンだよな。

「これはゴーレムの体内の魔力をエネルギー源とし、強力なビーム砲を放つ遠距離戦特化型腕、ウォーリアパワーキャノンじゃ!」

    ウォーリアパワーキャノン、それがこの腕の名前だとグルさんは自慢げに名乗った。
    黒光りする外装、長い砲身、かなりカッコイイ外見でこれもまた男心をくすぐられる……!

「これは良いですね!これで俺もバンバン敵を撃ちまくる狙撃手に!なんちゃって……とにかくありがとうございます!これ、絶対使いこなしてみせます!」

    俺は嬉しそうな態度を示してグルさんに感謝する。
    そしてグルさんはまた荷車から装備を取り出した。
    次の装備で最後のようだ。

「最後はこれじゃ!中の属性石を取り替える事で様々な属性攻撃を扱える腕装備、エレメントナックルじゃ!」

「エレメント……ナックル……?」

    グルさんが取り出した腕は、赤、緑、青、黄、紫など、様々な色の彩色を施された派手な見た目の腕装備だった。

「属性石って、火炎石みたいなものの事ですか?」  

    俺がグルさんに質問すると、彼は属性石について説明を始めた。

「そうじゃ。火炎石の他にも様々な属性石があってのぅ、雷電石、流水石、疾風石、氷結石などがある。これも渡しておこう。」
 
    グルさんはそう言って赤い火炎石と、黄色い雷電石、青い流水石、緑色の疾風石に、白い氷結石を渡してくれた。

「それらを使い分けて戦うのがエレメントナックルの使い方じゃから、覚えておくのじゃぞ?」

    エレメントナックルの使い方を念押しに説明するグルさんに、マリーネは今回グルさんが作ってくれた装備をお代、合計10800ラルクを渡す。

「ありがとさん!ところで先日、王都でゴーレムが暴れておったじゃろ?」

「はい……。」

「そのゴーレムの死体は王宮が全部回収したんじゃがのぅ、ワシが交渉した結果、5つの死体をワシがもらう事となった。」

「そうなんですか?」
 
「その死体を改修して、新たなゴーレムを作ろうとしてるんじゃが……これを新たなゴーレムにするか、リョータローのあんちゃんの新たな身体にするかはまだ決めかねている。まぁ、いつか自分の身体が新たな物になるかもしれんという事を頭の隅に置いておいてくれ!」

    グルさんは今企画している、影の一味のゴーレムの亡骸を使った新装備の計画を俺に教えてくれて、要件を終えた彼はマリーネの家を後にした。
    俺は早速マリーネに新しい関節ごと脚パーツを付けてもらう。
    接続魔術「アタッチ」で脚の関節とホイールゴローダー改を付けてもらい、俺は再び大地に立った。
 
「ありがとうマリーネ。それで、これからどうする?」  

「うーん、前にもゴーレムの装備を買って、今回もまた装備を買ったからお金がね、だからギルドに行ってクエストを受注しましょう!お金稼ぎよ!あと、お師匠様の事を王様に聞きに行く!」

    俺の質問に彼女はそう答えた。
    確かに、ゴーレムの装備は高いみたいだから、マリーネは大変そうだな。
    俺も頑張ってマリーネの力にならないと!

「俺、マリーネの為に頑張るよ!遠慮せず俺を頼ってね!」

    俺はマリーネに胸を張ってそう言い、彼女は笑顔で「よろしく頼むわ! 」
と答える。
    俺とマリーネの戦いは、もう少し続きそうだ。



    その晩、マリーネが夕食を食べている頃、この大陸のどこかで影に潜む者達は、次の作戦を進行しようとしていた。

「クヒヒヒヒ!!これから楽しくなりそうだなぁ!!なぁ、お前もそう思うだろ!?リュウカ!!」

    楽しそうな表情を浮かべるセンジュの瞳の先には、影の一味の1人、リュウカが佇んでいた。
     新たな刺客が、良太郎達の行く手を阻む……。

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