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第1章<鋼の体>編
29話「また決意る兵器」
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俺達の前に突然現れて、俺達を酷く痛めつけて帰っていったセンジュ。
影の一味にあれほどのの強敵がいるなんて……。
「ダブルヒール!」
マリーネはリコとトーゴの2人に回復魔術ダブルヒールを使って、2人の傷を同時に癒していた。
リコとトーゴは相当のダメージを負っているようだけど、大丈夫かな……。
俺は脚が破壊されてしまったな。
膝関節がボロボロだ……鍛冶師のグルさんに直してもらわきゃいけないかな、これは。
「リョータロー君!」
その時、姉弟2人のヒールを終えたマリーネが俺の元に駆け寄ってきた。
そして俺の身体を起こし、俺と目が
会うと、彼女は笑顔を見せた。
「ボロボロだけど……完全に壊れないで良かった……!」
彼女は俺の無事を確認すると、ホッと一息ついた。
それはそうと、マリーネはさっきセンジュに……身体に異常は無いかと確かめないと。
「マリーネは大丈夫?マリーネさっきセンジュと……キ、キス……してたでしょ?あれで身体に異常は無いかな?あのキスの時に口から毒を移されたとか……ない?」
「……うーん、特に何も無いわね。私は平気よ。」
俺が不安に思っていた事は俺の考えすぎだったようで、マリーネは何ともないと答えた。
「とんだ災難だったな。」
「なんでリコとトーゴはセンジュに襲われていたの?」
傷が治ったリコとトーゴがマリーネの背後からやって来て、俺は気になっていた事を2人に質問した。
その質問に対してリコは俺に以下のように説明をしてくれた。
「私達はこの辺に現れた、人を襲う獰猛な蛇型モンスター、グランドスネークを討伐しに来たんだけど~、そのモンスターをトーゴと協力してなんとか倒した直後にね~、センジュが現れたの~。私達が名前とか、何が目的なのかを聞いても全然答えなくて、いきなり私達を攻撃してきたわ~。」
これがリコの明かした、今回の件のあらましだった。
「またあれが襲ってきたら……、いや、この国の村の村人を皆殺しにしたように、今度は王都の人々が狙われるかもしれないわ……。早い内に対策を練っておかないとね。あのバーサーカーは何をするか分からないんだもの。」
マリーネは、センジュがまた現れた時その標的が王都の住人になるかもしれない事を危惧した。
「それも大事なんだが、リョータローは脚が壊れちまってるじゃないか。グルのおっさんに直してもらった方が良いんじゃないか?」
一方トーゴは俺の脚の事を心配してくれて、確かにこのままでは俺は歩く事もままならないなと俺は考える。
「そうね、今回は関節から新調しないといけないわね。リコ、私にパワーブーストをかけてくれないかしら?」
「良いわよ~。パワーブースト!」
マリーネはリコに身体強化魔術パワーブーストをかけてもらい筋力を増強し、その腕で俺の身体を軽々と持ち上げた。
「今回の件は俺達がギルドに報告しておく。あと、グルのおっさんにリョータローの両脚の替えを用意するよう言っておくからな。」
トーゴはマリーネにそう伝え、リコは「またね~」と挨拶の言葉を言って俺達の前から立ち去っていった。
「うん、またね。」
マリーネもそれに応え、俺を1人で小屋まで運んでいってくれた。
小屋に到着すると、俺の体は俺がかつて目覚めた大きなテーブルの上に乗せられた。
「ふぅ……。」
俺の体を運ぶのを終え、一息ついたマリーネに俺は自分の胸の内を伝えようとする……さっきの戦いの中で感じた、どうしても言わなくちゃいけない事だ。
「マリーネ。俺はさっきセンジュに攻撃できなかった。なんでかって言うと……俺はヒーローに憧れているんだ。助けるべきものを助けるカッコイイヒーローに。俺の憧れのヒーローは、女の子に手を出したりしない。だから俺も……手を出せなかった。」
「そうなのね……。」
「マリーネ、俺は一体どうすればいいんだろう……?相手は女の子とは言え、人を襲う敵なんだよね。俺はこれからセンジュに、シャナに、彼女らに対してどうすれば……悪人とは言え、俺が彼女らを傷つけてしまったら……俺は身体だけじゃなく心も冷徹なゴーレムに……。」
「じゃあ、貴方と違って彼女らを傷つける私達は?」
「いや、そういうのが言いたいんじゃ……。」
「ごめん、意地悪な言い方をしたわね。なら……リョータロー君はシャナが操るゴーレムとか、モンスターの相手をすればいいのよ。シャナやセンジュの相手は私達冒険者がするわ。」
俺とマリーネはそういう問答をして、各々が戦うべき敵を決定づけた。
「分かった!モンスターとゴーレムの相手は俺に任せて!」
俺はマリーネに親指を立てた手を突き出した。
彼女もそれに応えるように右手の親指をグッと立てて笑顔を見せた。
「ええ、頼んだわよ!」
◇
翌日、マリーネの家にグルさんがやって来た。
彼は大きめの荷車を引いて俺達の元まで来たみたいだ。
「リョータロー!俺の作った脚を壊してくれたそうじゃのぅ。」
「すみません……。」
「なぁに、気にするな!形あるものはいずれ壊れる定めにある。遅かれ早かれゴーレムの体は壊れてしまうもんなのじゃ!」
グルさんがせっかく作ってくれたゴーレムの身体を壊してしまったのだが、彼は俺を攻めたりはしなかった。
「最近、曲者共によってこの国の平穏が犯されつつあるからのぅ、お主にはこの装備を使って頑張って欲しいのじゃ!」
グルさんはそう言うと、荷車の中から新たなゴーレムの装備を取り出した。
一体グルさんは、今回どんな装備を作ったのだろうか……?
影の一味にあれほどのの強敵がいるなんて……。
「ダブルヒール!」
マリーネはリコとトーゴの2人に回復魔術ダブルヒールを使って、2人の傷を同時に癒していた。
リコとトーゴは相当のダメージを負っているようだけど、大丈夫かな……。
俺は脚が破壊されてしまったな。
膝関節がボロボロだ……鍛冶師のグルさんに直してもらわきゃいけないかな、これは。
「リョータロー君!」
その時、姉弟2人のヒールを終えたマリーネが俺の元に駆け寄ってきた。
そして俺の身体を起こし、俺と目が
会うと、彼女は笑顔を見せた。
「ボロボロだけど……完全に壊れないで良かった……!」
彼女は俺の無事を確認すると、ホッと一息ついた。
それはそうと、マリーネはさっきセンジュに……身体に異常は無いかと確かめないと。
「マリーネは大丈夫?マリーネさっきセンジュと……キ、キス……してたでしょ?あれで身体に異常は無いかな?あのキスの時に口から毒を移されたとか……ない?」
「……うーん、特に何も無いわね。私は平気よ。」
俺が不安に思っていた事は俺の考えすぎだったようで、マリーネは何ともないと答えた。
「とんだ災難だったな。」
「なんでリコとトーゴはセンジュに襲われていたの?」
傷が治ったリコとトーゴがマリーネの背後からやって来て、俺は気になっていた事を2人に質問した。
その質問に対してリコは俺に以下のように説明をしてくれた。
「私達はこの辺に現れた、人を襲う獰猛な蛇型モンスター、グランドスネークを討伐しに来たんだけど~、そのモンスターをトーゴと協力してなんとか倒した直後にね~、センジュが現れたの~。私達が名前とか、何が目的なのかを聞いても全然答えなくて、いきなり私達を攻撃してきたわ~。」
これがリコの明かした、今回の件のあらましだった。
「またあれが襲ってきたら……、いや、この国の村の村人を皆殺しにしたように、今度は王都の人々が狙われるかもしれないわ……。早い内に対策を練っておかないとね。あのバーサーカーは何をするか分からないんだもの。」
マリーネは、センジュがまた現れた時その標的が王都の住人になるかもしれない事を危惧した。
「それも大事なんだが、リョータローは脚が壊れちまってるじゃないか。グルのおっさんに直してもらった方が良いんじゃないか?」
一方トーゴは俺の脚の事を心配してくれて、確かにこのままでは俺は歩く事もままならないなと俺は考える。
「そうね、今回は関節から新調しないといけないわね。リコ、私にパワーブーストをかけてくれないかしら?」
「良いわよ~。パワーブースト!」
マリーネはリコに身体強化魔術パワーブーストをかけてもらい筋力を増強し、その腕で俺の身体を軽々と持ち上げた。
「今回の件は俺達がギルドに報告しておく。あと、グルのおっさんにリョータローの両脚の替えを用意するよう言っておくからな。」
トーゴはマリーネにそう伝え、リコは「またね~」と挨拶の言葉を言って俺達の前から立ち去っていった。
「うん、またね。」
マリーネもそれに応え、俺を1人で小屋まで運んでいってくれた。
小屋に到着すると、俺の体は俺がかつて目覚めた大きなテーブルの上に乗せられた。
「ふぅ……。」
俺の体を運ぶのを終え、一息ついたマリーネに俺は自分の胸の内を伝えようとする……さっきの戦いの中で感じた、どうしても言わなくちゃいけない事だ。
「マリーネ。俺はさっきセンジュに攻撃できなかった。なんでかって言うと……俺はヒーローに憧れているんだ。助けるべきものを助けるカッコイイヒーローに。俺の憧れのヒーローは、女の子に手を出したりしない。だから俺も……手を出せなかった。」
「そうなのね……。」
「マリーネ、俺は一体どうすればいいんだろう……?相手は女の子とは言え、人を襲う敵なんだよね。俺はこれからセンジュに、シャナに、彼女らに対してどうすれば……悪人とは言え、俺が彼女らを傷つけてしまったら……俺は身体だけじゃなく心も冷徹なゴーレムに……。」
「じゃあ、貴方と違って彼女らを傷つける私達は?」
「いや、そういうのが言いたいんじゃ……。」
「ごめん、意地悪な言い方をしたわね。なら……リョータロー君はシャナが操るゴーレムとか、モンスターの相手をすればいいのよ。シャナやセンジュの相手は私達冒険者がするわ。」
俺とマリーネはそういう問答をして、各々が戦うべき敵を決定づけた。
「分かった!モンスターとゴーレムの相手は俺に任せて!」
俺はマリーネに親指を立てた手を突き出した。
彼女もそれに応えるように右手の親指をグッと立てて笑顔を見せた。
「ええ、頼んだわよ!」
◇
翌日、マリーネの家にグルさんがやって来た。
彼は大きめの荷車を引いて俺達の元まで来たみたいだ。
「リョータロー!俺の作った脚を壊してくれたそうじゃのぅ。」
「すみません……。」
「なぁに、気にするな!形あるものはいずれ壊れる定めにある。遅かれ早かれゴーレムの体は壊れてしまうもんなのじゃ!」
グルさんがせっかく作ってくれたゴーレムの身体を壊してしまったのだが、彼は俺を攻めたりはしなかった。
「最近、曲者共によってこの国の平穏が犯されつつあるからのぅ、お主にはこの装備を使って頑張って欲しいのじゃ!」
グルさんはそう言うと、荷車の中から新たなゴーレムの装備を取り出した。
一体グルさんは、今回どんな装備を作ったのだろうか……?
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