異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第1章<鋼の体>編

23話「知る世界」

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    俺が本を読み始めてもう3時間ぐらいになるかな。
    でもちっとも疲れや飽きを感じない。
    それほど異世界の資料は魅力的なものだった。
 
    先ずは世界の本。
    俺の今いるこの王国アストレアとその周りの4つの王国からなる大陸の事は「スワロウ大陸」と言うらしい。
    この地球にはその大陸の他にオーウール大陸、カスラ大陸、ガルダン大陸、キキッツ大陸、計4つの大陸があるそうだ。
    その本には各地域の特色が記されていた。
    この本を読んだ事で、俺はこの世界の
知識が増えた気がする。 

    次に料理の本を読んでみた。流石に料理の本にはイブさん探しの手がかりは無いだろうと思ったけど、この世界にはどんな食べ物があるのかと気になり、これを読んでみた。 

    この世界には沢山のモンスターが
いて、調理次第では食べられるモンスターもいるそうだ。
    俺がこの前遭遇したバーサークウルフや、スライムも調理法によっては美味しく食べる事が可能だと、この本には書かれている。
    骨だけになったモンスターの死骸が怨念によって骨の姿で蘇るという骸骨モンスター、スケルトンの骨から出汁を取ったスープがある地域では食べられているという事を知った時は流石に驚いたけど……。

    次は小説を手に取った。
   その物語の名前は「転生因果」。
   不作が続くある村で1人の少女が山の生贄にされ、少女は死んでしまったが異世界に転生し、第2の人生を歩む……というあらすじだ。
    少女は自分に秘められた不思議な力で異世界の人々を助けるが、最後にはその世界で起きた厄災を止める為にまたもや命を落としてしまう。

    ストーリーの作りが丁寧で、少女の悲劇を感動できる物語として仕上げている。
    でも俺は1つ気になる事がある。
    この少女の名前が「イブ」である事だ。
    単なる偶然かもしれない、そう思ったけどこの本には変わった所がある。
    この本のどこにも、この本の著者が記されていない事だ。

    俺が今読み漁ったどの本にも著者は記されていた。
    しかし、この小説「転生因果」にはそれが無い。
    この本には何か裏があるように感じる……。この本は何か手がかりになるかもしれないから他の本とは別の所に置いておこう。

「次はどれを読もう……。」

    俺は次にどの本を読むか選んでいた時、本の中にあるものを見つけた。

「これは……イブさんの日記?」

   「イブ活動記」と表紙に書かれた本……   
    それが俺の目に止まった。
    これほどイブさんの居所を探るのに適した物は無いと思い、直ぐにそれを
読もうとしたけど……ていうかこの本、さっき本棚から色々な本を取り出した時はあったっけ__

「ただいま~!」

    その時、用事を終えたマリーネが家に帰ってきた。
    王都の人達への聞き込みを終えて家に
帰ってきたのだ。
    その時初めて外の景色を見てもう夕方になってる事に気づいた。

「何か収穫はあった?」

「あまり良い情報は聞けなかったわ。」

「リョータロー君の方は?」

「それが、実はかなりイブさん探しに役立ちそうなものを見つけたんだ。これなんだけど……。」

「これは……お師匠様の日記?こんなの家にあったかしら……。どこにこれがあったの?」  

    え、どこにって……マリーネはこの日記の存在を知らなかったのか? 

「俺もよく分からない……気がついたら本の山の中に紛れていたんだ。」

「そう……見つけてくれてありがとうね。」

    マリーネはそう言って日記を本の山の1番上に置いた。



    王都での聞き込みを終えた私は、リョータロー君のいる家に帰り彼の成果を聞いた後まずお風呂に入る事にする。
   ……ふぅ、お湯を沸かす魔道具で暖かくされたシャワーが身に染みるわね。 

    その後、私は夜ご飯を食べて眠りにつく事にした。
    夜ご飯は東の王国ミズノエで取れた魚料理。
    ミズノエは漁業が盛んな国で、そこで取れた魚は他国に輸入されるのよね。
    ミズノエの魚はとても美味しいわ。
    そして夜ご飯を食べ終えた私は歯を磨いて、眠る準備をする。

「リョータロー君、おやすみ。」

「うん、おやすみ。」

    私はリョータロー君の胸から核を取り出し、近くの棚の上に置いた。
    核を抜かれたリョータロー君は魂が抜けたように動きも喋りもしなくなり、私も彼のようにベッドの上で眠りについた。
 


    俺はまた夢を見た。中学生の頃、俺の今の友達、一真と花菜に会った時の夢だ。

「なぁ、あの噂本当なのかよ?お前が___ってやつ。」

    教室の席で、特撮作品原作の小説を読んでいた俺に、前の席の一真は話しかけてきた。
    明るい性格で友達も多く、いわゆる陽キャという部類に入る人物だった。

「本当だよ。だから皆俺の事怖がって近寄らないんだ。」

そう呟く俺。

「それじゃあ貴方友達がいないんじゃない?友達や頼れる人はいた方が良いわよ?困った時にその人が自分の事を助けてくれるかもしれないじゃない。」

    次は隣の席の花菜が話しかけてきた。
    なんていうかこう……クールビューティー、的な?人だった。
     黒髪ロングヘアーでスタイルが良いし、モデルとかやっててもおかしくないぐらいの美人ではあった。

「……友達かぁ。いたら楽しいだろうなぁ。」

    そう、当時友達のいなかった俺だったけど、好きでぼっちでいた訳じゃない。
    手に入れられるのなら友達が欲しかったのだ手……でも……。

「じゃあ俺達が友達になってやるよ。な、花菜?」

「ええ。」

    また卑屈な考えを拗らせる俺に対して、一真と花菜、2人は突然俺と友達になる
と言ってくれた。

「……2人の名前は?」

「俺は大鷲一真!一真で良いぜ!よろしくな良太郎!」

「天海花菜。花菜って呼んで。」

    俺は2人に名前を聞き、2人は自分の名前を名乗った。
    これが俺の人生で、2人目、3人目の
友達だった。
    あの頃の「友達が出来た」という喜びを、俺は今でも覚えている__

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