異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第1章<鋼の体>編

20話「鎮まる火」

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「はぁっ!!」 

    俺は拳による打撃でゴーレムを殴り飛ばし、その隙をついてマリーネが杖を構えて魔術による攻撃を仕掛ける。

「アイスランス!!」

    マリーネの杖の先から放たれたアイスランスはゴーレムの核を貫通し、これにより一体のゴーレムを撃破した。

「リョータロー君、これでこの辺のゴーレムは掃討したわね。」

「うん。」

    マリーネの言う通り、先程までこの辺りにうじゃうじゃいたゴーレムは全滅した。    
    俺達の力でなんとか全滅させる事に成功したのだ。

「私はもう魔力が残ってないわ。」

「もう1時間ぐらい戦ったもんね。ゴーレムだけど、凄く疲れた気がする……。」

    突如王都に現れたゴーレムの軍団。
    彼らは何の目的の為にこの街に現れたのだろうか。
    首謀者は誰なのか……まぁ十中八九影の一味の仕業なんだろうけど……。
    とにかく俺達はこの戦いをなんとか乗り切った……。

「君達、大丈夫かい?」

    この声は、ギルドマスター?と思って声のする方を見ると、そこには予想通りギルドマスターがいた。
    特級冒険者会議をしてた時は整っていた服がかなりくたびれている。
    この人もゴーレムと戦っていたのだろう
か……。

「リョータロー!マリーネ!」

    そして王都の各方角に散らばった冒険者達が次々に俺達の元へ駆けつけてきた。
    皆ゴーレムを倒し終えたんだろう。

「いや~疲れたぜ!あのゴーレム共、一体何体いたんだろうな?いい迷惑だっつーの!」  

    タウラスは突如現れたゴーレムに
対してかなり怒りが募っているようだ。
    まぁ彼の意見は至極真っ当なものだと
俺は思う。  

「リョータロー君、破損は無いか?」

    その時ソレイユさんが俺の元に近づいてきて、怪我……というか破損してないかと俺の心配をしてくれた。
    会ったばかりの俺を心配してくれるなんて……この人はきっと良い人に違いない。

「だ、大丈夫です!この通り!」

    俺はソレイユさんに自分が無事である事をアピールする。
    ゴーレムと戦ってた時は勢い余って「腕の1本ぐらいくれてやる!」とか言っちゃったけど、ゴーレムの身体を作るにはきっと時間とコストが掛かる筈だから、やっぱり身体は大事にしないとな。
    そう考えているとギルドマスターが集まった皆に話を始める。

「私は王宮付近でゴーレムの群れと戦ってたのだが、戦いが終わった後、国王が私の前に姿を現して、明日君達を王宮に呼びたいと言っていた。」

    との事だ。
    国王様が俺達を呼ぶなんて……何をするんだろう?

「きっと王様は俺達にお礼をしたいんだろうな!国王に褒められるなんて嬉しいぜ!」

    ドラコは嬉しそうに明日王宮で何をするのか予想している。
    お礼か……俺達王都を頑張って守ったんだし、その可能性もあるよな……。

「明日朝9時までに王宮に集まって欲しいとの事だ。ここにいる君達と、ゴーレムと戦った上級冒険者7名が王宮に呼ばれる事になっている。さぁ、明日に控えて今日はもう家に帰って休むといい。」

    そうして、今日は一旦俺達は解散する事となった。
    朝はシャナと戦って、夜はゴーレムと戦う事になるなんて……大変な1日だったな。



    俺とマリーネは家についた。
    マリーネはすぐにシャワーを浴びにお風呂場へ向かい、俺は家の前で土埃をはたいて家に入った。
    その後、マリーネが夜ご飯を食べる側で俺はある事を考えていた。
    俺は現世に帰れるのか、という事を考えていたのだ。
    俺はあの世界で死んで、この世界に転生してきたって事で良いんだよね?
    じゃあ俺の遺体はもうあっちの世界には無い筈……じゃあ万が一にも現世に帰れる可能性があって、それが実現したとしたらこの体で帰らなくちゃいけないのか?

    俺がこんなゴーレムの姿になったって知ったら、お母さんもおじいちゃんも、林檎も一真も花菜も驚くだろうな……いや、そもそもこの身体の俺の事を「鬼島良太郎」だと認識してくれるのかも怪しい
気がする……。
    ていうか現世に帰るにはどうすれば良いんだろうか……もう1回死んでみる?この世界のどこかに現世と異世界を繋ぐ場所があるとか?
    ……そもそも……俺はあの世界に帰っていいのか……?  

「リョータロー君。」

「え?何?」

   その時、マリーネの声によって俺の思考は遮られ俺はマリーネの顔を見つめる。

「さっきから私が声をかけても微動だにしてなかったけど、どうかしたの?」  

    さ、さっきから声を掛けられてたのか……。

「いや、なんでもない。」

「そう、明日は王宮に呼ばれてるから、今日は早く寝なくちゃね。」

    そうだった、明日は国王に呼ばれてる
んだ。
    俺は身体に核を入れればすぐに目覚められるけど、マリーネは人間だもんな……。 

「うん、そうしよう。」  

    俺は彼女の言葉にそう返した。
    その後マリーネは歯磨きをし、その日はすぐに眠りについた……俺もマリーネも、明日は誰にも襲われない、平和な一日になる事を祈って。


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