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第1章<鋼の体>編
17話「集う特級」
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王国アストレアは謎の敵による襲撃を4度も受けてしまった。
この事件を引き起こした敵勢力に対する対抗策を練るべく、この日王国アストレアのギルドでは、特級冒険者達によって行われる特級冒険者会議が開かれようとしていた。
______
時刻は5時半、俺とマリーネは王都のギルド本部へと到着した。
「もう皆来てるわね……。」
そこには、5人の特級冒険者、トーゴ・クロスホーン、タウラス・トレス、それと初めて見る顔の3人の冒険者がギルドで会議の時間を待っていて、トーゴは俺達に声をかけてきた。
「リョータローにマリーネじゃないか。なんで2人がここに?」
「私たちは今朝、サータニャ村にいて、謎の敵と戦ったの。」
「うん、今朝は大変だった……。」
その質問にはマリーネが理由を答え、俺もそれに付け加えて大変だったと呟く。
「なるほど、それでここにいる訳なんだな。」
この日はトーゴの隣に姉のリコは
いない……特級冒険者ではないからかな。
今度は俺達の方にタウラスがよってきて声をかける。
「おっ!マリーネちゃんじゃねぇか、この会議が終わったら、今夜は俺とバーにでも、行くかい?」
「あはは……遠慮しときます。」
タウラスのナンパをやんわりと断るマリーネ。
ベルがいたらすかさず鋭いツッコミを入れてそうな発言だ……。
「そっかー、ゴーレムとは酒飲めないからリョータローは……。」
俺の顔をチラッと見てそう呟くタウラス、思いっきり聞こえてるんだけど……?
「お、俺はゴーレムでなくとも17だし、酒は無理だよ!」
「あ、そうなのね。少年、酒が似合う良い男に、いやゴーレムになれよ!」
俺がビシッと言ってやった言葉にタウラスは俺の肩をバンバンと叩いてそう返す。
自由な人だなこの人は……と俺が思っていたその時。
「オッス!見ねぇ顔だな!このゴーレム、そこの女魔術師のゴーレムか?」
3人の特級冒険者の内の1人がいきなり俺の肩を組んで無邪気な笑顔で絡んでくる。
俺の体は結構大きいはずなんだけど、その俺と肩を組めるなんて、背高いな……。
性格はかなりの陽キャだ……上手くコミュニケーションできるだろうか……いや、俺はこういう友達がいたから大丈夫なはず!
「ガオレオ……怖がらせちゃ……ダメよ……。」
俺に絡んできたガオレオに、知らない女の人が変わった喋り方でガオレオさん?
にそう言った。
3人の特級冒険者の内の1人かな……こっちはどこかミステリアスな雰囲気が特徴的だ…強いに違いない。
「おっと悪ぃな!俺はガオレオ・レクス!特級冒険者の1人にして、ティアマトの子だ!こっちのセリエとソレイユもティアマトの子だぜ!気軽にガオレオって呼んでくれ!」
ガオレオと名乗るその人物は俺に自己紹介をする。
この人と、ガオレオにセリエと呼ばれたこのセリエさん、そしてソレイユさんなる人物がティアマトの子の特級冒険者……。
「リョータロー君は私が作ったゴーレムに、異世界人の魂が宿ったゴーレムなんです。仲良くしてあげてください。」
「おう、よろしくなゴーレムの旦那!」
マリーネはガオレオさん達に俺の事を説明して、仲良くしてあげてとお願いし、それを聞いたガオレオは笑顔で俺によろしくと言い、握手を求めてきた。
俺は右手を出して彼と握手をする。
そして今度はソレイユさんが挨拶をしてきた。
「私はソレイユ・サジタリウス。剣士をやってる。よろしく頼む。」
「よろしくお願いします、ソレイユさん。」
俺は赤い髪が特徴のソレイユさんとも挨拶を交わした。
「私は……セリエ・ミカヅキ……。東の国から……来たの……好きな……食べ物は……煮魚……。」
続けて俺に自己紹介をした青い瞳が特徴のセリエさん。
彼女は杖を持っている……つまりマリーネと同じ魔術師かな?
それに好きな食べ物まで教えてくれるとは……なら俺も答えよう。
「こちらこそよろしくお願いしますセリエさん。あ、俺の好きな食べ物はラーメンです!」
俺はセリエさんにこちらこそよろしく、と返した。
あ、この世界にラーメンってあるのかな?
「知らない食べ物ね……異世界の食べ物かしら……?」
「はい!美味しいですよ!」
本当はラーメン以外にも、ギョーザにカレーに牛丼に色々好きな食べ物あるけど……。
「そう……敬語と……さん付けは……いいわ……仲良く……しましょうね……。」
彼女はさん付けしなくても良いと言ったので、俺はそれを受け入れた。
俺より年上のように見えるけど、そうでもないのか……?
「は……うん、よろしくセリエ。」
これで3人との挨拶は終わった。それにしても、今この場には数人の冒険者がいる訳だけど……正直言って美男美女ばかりだ……顔面偏差値が高すぎる……。
それはそうともうすぐ6時だ。
会議まであと少しだな……そう考えていると、ギルドの扉を開けてギルドマスターが現れた。
「皆揃ってるね。それじゃあ、特級冒険者会議を始めるとしよう……この国を襲う謎の敵を討つ為に、今すぐにでも対策を練るべきだ。」
ギルドマスターは朝会った時と変わらない落ち着いた表情で会議の幕を上げた。
……これから始まる特級冒険者会議において、事件の当事者である俺にもきっといる意味はあるんだよね?
◇
王国アストレアとそれを囲む4つの王国からなる大陸、そのどこかで、邪悪な野望は、ゆっくりと、しかし確実に歩を進めていた。
「人間と私達の戦い、その中でたーっくさんの人の「カワイイ」を見る事ができる……そう考えると興奮が収まらないわ!」
良太郎達と戦った少女シャナ、彼女は自分の持つ魔術により、多くのゴーレムを製造していた。
そのゴーレム達を、人々の心に恐怖を刻み込む悪の兵器にするのが、人形使いシャナの目的である。
「あのゴーレムのお兄ちゃんともたくさん出会えるかも!もっとお兄ちゃんとお話したいなぁ!うふふ!お兄ちゃんのカワイイ顔も見てみたいわね!」
彼女は嬉しそうな顔で独り言を呟く。彼女1人しかいないその空間で。
Another World 1399.09.02
大いなる神ティアマトの存在するこの異世界は、激動の1ヶ月を迎える事となるのだった……。
この事件を引き起こした敵勢力に対する対抗策を練るべく、この日王国アストレアのギルドでは、特級冒険者達によって行われる特級冒険者会議が開かれようとしていた。
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時刻は5時半、俺とマリーネは王都のギルド本部へと到着した。
「もう皆来てるわね……。」
そこには、5人の特級冒険者、トーゴ・クロスホーン、タウラス・トレス、それと初めて見る顔の3人の冒険者がギルドで会議の時間を待っていて、トーゴは俺達に声をかけてきた。
「リョータローにマリーネじゃないか。なんで2人がここに?」
「私たちは今朝、サータニャ村にいて、謎の敵と戦ったの。」
「うん、今朝は大変だった……。」
その質問にはマリーネが理由を答え、俺もそれに付け加えて大変だったと呟く。
「なるほど、それでここにいる訳なんだな。」
この日はトーゴの隣に姉のリコは
いない……特級冒険者ではないからかな。
今度は俺達の方にタウラスがよってきて声をかける。
「おっ!マリーネちゃんじゃねぇか、この会議が終わったら、今夜は俺とバーにでも、行くかい?」
「あはは……遠慮しときます。」
タウラスのナンパをやんわりと断るマリーネ。
ベルがいたらすかさず鋭いツッコミを入れてそうな発言だ……。
「そっかー、ゴーレムとは酒飲めないからリョータローは……。」
俺の顔をチラッと見てそう呟くタウラス、思いっきり聞こえてるんだけど……?
「お、俺はゴーレムでなくとも17だし、酒は無理だよ!」
「あ、そうなのね。少年、酒が似合う良い男に、いやゴーレムになれよ!」
俺がビシッと言ってやった言葉にタウラスは俺の肩をバンバンと叩いてそう返す。
自由な人だなこの人は……と俺が思っていたその時。
「オッス!見ねぇ顔だな!このゴーレム、そこの女魔術師のゴーレムか?」
3人の特級冒険者の内の1人がいきなり俺の肩を組んで無邪気な笑顔で絡んでくる。
俺の体は結構大きいはずなんだけど、その俺と肩を組めるなんて、背高いな……。
性格はかなりの陽キャだ……上手くコミュニケーションできるだろうか……いや、俺はこういう友達がいたから大丈夫なはず!
「ガオレオ……怖がらせちゃ……ダメよ……。」
俺に絡んできたガオレオに、知らない女の人が変わった喋り方でガオレオさん?
にそう言った。
3人の特級冒険者の内の1人かな……こっちはどこかミステリアスな雰囲気が特徴的だ…強いに違いない。
「おっと悪ぃな!俺はガオレオ・レクス!特級冒険者の1人にして、ティアマトの子だ!こっちのセリエとソレイユもティアマトの子だぜ!気軽にガオレオって呼んでくれ!」
ガオレオと名乗るその人物は俺に自己紹介をする。
この人と、ガオレオにセリエと呼ばれたこのセリエさん、そしてソレイユさんなる人物がティアマトの子の特級冒険者……。
「リョータロー君は私が作ったゴーレムに、異世界人の魂が宿ったゴーレムなんです。仲良くしてあげてください。」
「おう、よろしくなゴーレムの旦那!」
マリーネはガオレオさん達に俺の事を説明して、仲良くしてあげてとお願いし、それを聞いたガオレオは笑顔で俺によろしくと言い、握手を求めてきた。
俺は右手を出して彼と握手をする。
そして今度はソレイユさんが挨拶をしてきた。
「私はソレイユ・サジタリウス。剣士をやってる。よろしく頼む。」
「よろしくお願いします、ソレイユさん。」
俺は赤い髪が特徴のソレイユさんとも挨拶を交わした。
「私は……セリエ・ミカヅキ……。東の国から……来たの……好きな……食べ物は……煮魚……。」
続けて俺に自己紹介をした青い瞳が特徴のセリエさん。
彼女は杖を持っている……つまりマリーネと同じ魔術師かな?
それに好きな食べ物まで教えてくれるとは……なら俺も答えよう。
「こちらこそよろしくお願いしますセリエさん。あ、俺の好きな食べ物はラーメンです!」
俺はセリエさんにこちらこそよろしく、と返した。
あ、この世界にラーメンってあるのかな?
「知らない食べ物ね……異世界の食べ物かしら……?」
「はい!美味しいですよ!」
本当はラーメン以外にも、ギョーザにカレーに牛丼に色々好きな食べ物あるけど……。
「そう……敬語と……さん付けは……いいわ……仲良く……しましょうね……。」
彼女はさん付けしなくても良いと言ったので、俺はそれを受け入れた。
俺より年上のように見えるけど、そうでもないのか……?
「は……うん、よろしくセリエ。」
これで3人との挨拶は終わった。それにしても、今この場には数人の冒険者がいる訳だけど……正直言って美男美女ばかりだ……顔面偏差値が高すぎる……。
それはそうともうすぐ6時だ。
会議まであと少しだな……そう考えていると、ギルドの扉を開けてギルドマスターが現れた。
「皆揃ってるね。それじゃあ、特級冒険者会議を始めるとしよう……この国を襲う謎の敵を討つ為に、今すぐにでも対策を練るべきだ。」
ギルドマスターは朝会った時と変わらない落ち着いた表情で会議の幕を上げた。
……これから始まる特級冒険者会議において、事件の当事者である俺にもきっといる意味はあるんだよね?
◇
王国アストレアとそれを囲む4つの王国からなる大陸、そのどこかで、邪悪な野望は、ゆっくりと、しかし確実に歩を進めていた。
「人間と私達の戦い、その中でたーっくさんの人の「カワイイ」を見る事ができる……そう考えると興奮が収まらないわ!」
良太郎達と戦った少女シャナ、彼女は自分の持つ魔術により、多くのゴーレムを製造していた。
そのゴーレム達を、人々の心に恐怖を刻み込む悪の兵器にするのが、人形使いシャナの目的である。
「あのゴーレムのお兄ちゃんともたくさん出会えるかも!もっとお兄ちゃんとお話したいなぁ!うふふ!お兄ちゃんのカワイイ顔も見てみたいわね!」
彼女は嬉しそうな顔で独り言を呟く。彼女1人しかいないその空間で。
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