異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第1章<鋼の体>編

11話「忍び寄る脅威」

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    俺とマリーネの前に現れた謎の少女は、名前をシャナと名乗った。
    彼女が言うには、自分の作ったゴーレムで、この王国アストレアの村を破壊したと言う……。

「ちょっと!貴方には色々と聞くことが……!」
 
「知らな~い!私もう帰るから!バイバ~イ!」

    彼女の発言に怒るマリーネだが、シャナはその事実を言うと、俺達に別れの挨拶を告げた。
    その瞬間、彼女の足元から黒いモヤモヤした物体が現れ、それが彼女の全身を包んだかと思ったその瞬間、黒いものは弾け飛び、その場からシャナは姿を消していた……。

「……なんなのあの子……」

「ていうか、あのゴーレムで村を破壊したって、本当かな?この辺に村はあるの?」

    俺はマリーネにこの辺りに村はあるのかと聞き、彼女はそれに答えた。

「ええ。この国の南の村、サータニャ村があるわ。……とりあえず、その村の状況を確認しに行きましょう!」

「う、うん!」

    そうして、俺とマリーネは、村があのゴーレムに破壊されたのかを確かめる為にサータニャ村へと向かった。
    その道中で、マリーネは気になる事を俺に話した。

「本当にサータニャ村が壊滅状態なら、これで村が襲われるって事件は4度目ね……。」

「4度目?この国の村が他にも3回
襲われたの?」

「ええ。この国には東西南北、それぞれ1つずつ村があるのだけど、3日前、そのうち南のサータニャ村以外の3つの村が、謎の勢力による襲撃を受けたの。村人からは死者が出て、王国は兵士を、ギルドは冒険者をすぐに村へ向かわせたわ。

でも、向かった冒険者と兵士の全員が、村を襲ったとされる何者かによって返り討ちにあったの。ついにはギルドが特級冒険者を村へ向かわせたわ。それでも特級クラスの冒険者と敵はほぼ互角で、敵には逃げられてしまったの……。

何か嫌な事が起きる前触れだと、この事件を知る人々は感じているそうだわ……。」

    3つの村が襲われて、沢山の犠牲者が……許せない……シャナは村を襲った敵の仲間か?なんでそんな事を……敵の目的は……異世界だからかな……やっぱ魔王、的なのがいたりする……?
    俺はそう考えながらサータニャ村へと向かっていった。 
    そして歩く事10数分で、その村に到着した。

「……これは……!!」

    俺もマリーネも、その光景を見てかなりの衝撃を受けた。
    シャナの言った通り、サータニャ村は
壊滅状態だった……。
    破壊された建物、怪我を負った村人達、その光景は、遠目で見てもとても悲惨だった。

「……行きましょう、リョータロー君!」

「うん!」

    俺はマリーネと共に村の出入口まで近づいたのだけど、その時、出入口から村人(男性)が3人出てきて、声を上げた。

「そこで止まれ!何者だ!お前達は!」

「そのゴーレムは……あのゴーレムの仲間か!?」

   それに対してマリーネは自分は冒険者だという事を説明した。

「私はマリーネ!この国の住人です!冒険者をやってます!冒険者カードは、ここにあります!この村が襲われたって聞いて駆けつけてきました!」

    そう言いながら彼女はポーチから冒険者カードを取り出して、村人達にそれを見せた。

「確かに、冒険者だ……。」

「どうする?村に入れるか……?」

「でも……この村が襲われたのはついさっきだろ……?なんでそれをあの子は知ってるんだ……?」

    それを見てもマリーネと俺が悪い人では無いという確証を持ててなさそうな村人達。
    そこに、杖をついた老人が現れた。

「あまりお客人を無下にするでない。失礼したマリーネ殿。そこのゴーレムも、先程のゴーレムとは違うものに見える。一体何用かな?」

「この村が、謎の敵に襲われたとの知らせを聞いて、駆けつけました。」

マリーネはそう老人に伝えた。

「そうか、感謝します冒険者殿。どうぞ村へお入りください。」

    そうして、俺とマリーネはサータニャ村へ入る事を、その村長さんから許可された。
    村の中に入ると、その状況はより分かりやすく伝わってきた。
    家を破壊された人達は外に避難していたり、女性が怪我をした男性に包帯を巻いていたりする。
    これを本当にあのシャナがやったのなら……許せない……!
    俺達は村長に案内され、ある人達の元に連れてこられた。

「先程この村の周辺にいた冒険者様が騒ぎを聞きつけて来てくれたのです。たまたま近くに冒険者様がいて助かりました……。」

   村長はそう言いながらその冒険者2名に俺達を会わせた。

「ん?冒険者か?」

    その長身の男性冒険者はマリーネを
見てそう呟く。

「ええ、マリーネ・エリダヌスよ。こちらは私の使役するゴーレムのリョータロー君。貴方の事はアストレアの冒険者として当然知ってるわ……特級冒険者のタウラス・トレス、よね。」

「あぁ、ちゃんと話すのは初めてかな?よろしくな。」

    茶髪で軽装のタウラスさんはマリーネと挨拶の握手をした。特級冒険者……この人もその内の1人か……。

「で、お前らは誰からこの村が襲われたって聞いたんだ?それともたまたまこの村に寄っただけ?」

「……この村を襲ったと思われる本人に、そう聞いたわ。近くの森で……。」

「なんだって……?そいつはどんな奴だった!?」

「シャナっていう……女の子だった。」

「そうか……それでその女の子は……可愛かったか?歳はどれくらい?20代ぐらいだと俺的には良いんだが……。」

「アホ」

    マリーネとタウラスさんがやり取りをする最中、タウラスの後ろから若い女の子が近寄ってきて、私欲全開の質問をする彼の頭にチョップをお見舞いした。

「って~!何すんだよベル!」

「こんな時に何て事言ってんの。……そんな事よりも、犯人がこの辺に現れたなんて……気をつけなきゃまたこの村を襲いに来るかもしれないわね。しばらくここでこの村を守る事にしましょう。」

    紺色のロングヘアが特徴の女冒険者、ベルさんはまたこの村がシャナに襲われるかもしれないと考え、仲間のタウラスさんと共にこの村に居座ると言い、マリーネもそれに賛成する

「ええ、私達もそうするわ。」

「あの……色々大変な事になりそうだね……。」

「ん?このゴーレム、自分の意思で喋るのか?」

   その時、俺がマリーネに話をしているのを聞いたタウラスさんがそう聞いてきたので、それにマリーネが答えた。

「このゴーレムはね、人の魂が宿ったゴーレムなの。それも異世界人のね。」

「マジか!?そいつは珍しいな。よろしくな、リョータロー!」

「私もよろしく、あ、名前はベル・イスナーニって言うの。」

   それを聞いたタウラスさんは俺によろしく、と挨拶をし、ベルさん続けても挨拶をした。

「よろしくお願いします、タウラス
さん。」

「タメ口でいいぞ。俺もこっちのベルもな。気軽にタウラスって呼べよ。」

「は……うん、分かったタウラス。」

    タウラスは、自分には敬語を使わなくていいと言ってくれたので、それからはタウラスとは友達のように接しようと決めた。
    タウラスとベル、この日俺に2人の仲間ができた。そしてこの後、もう1人の仲間も……。



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