異世界起動兵器ゴーレム

ヒカリ

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第1章<鋼の体>編

5話「出会う友達」

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    俺とマリーネは、バーサークウルフとさらに強力なモンスター、タイラントウルフを倒すことに成功した。

「コネクトゲート!」

    マリーネがコネクトゲートという魔術を使うと、彼女の側に黒い大穴が現れた。
    マリーネはその大穴に手を突っ込んで、あるものを取り出す。

「よいしょっと……!」

    何この魔術……便利そう、と思う俺。
    マリーネが取り出したのは、小さな荷車だった。

「マリーネ、それは……?」

「これにモンスターの死体を乗せて王都まで運ぶの。悪いけどこの荷車にモンスターの死体を乗せるのを手伝ってくれるかしら?」

「うん、いいよ。」

    俺はマリーネと共に荷車にモンスターを乗せる作業に取り掛かった。
    まぁ、ゴーレムの馬力のお陰モンスターの死体を軽々と持ち上げ、荷車に乗せる事ができたからあっという間に終わったけど。

「マリーネ、バーサークウルフはクエストで討伐する事を指定されたモンスターだけど、タイラントウルフは……乱入モンスター、的なものだよね?そのモンスターの死体をギルドに持っていくとどうなるの?」

「クエストの指定外のモンスターでも、ティアマトの子なら引き受けてくれるわよ。ティアマトの子であるモンスターはギルドに解析されてティアマトの謎の解明の足がかりにするの。そして、ティアマトの子のモンスターをギルドに提供するとお金が貰えるのよ。」

「お金が貰える?それじゃあ、普通のモンスターをティアマトの子のモンスターと偽ってギルドに持っていく人とかいないの?」

「そんな事しても偽物だってすぐにバレるわ。だって、ティアマトの子のモンスターはね、赤い瞳をしているの。通常のモンスターで赤い瞳のモンスターはほぼいないのよね。だからティアマトの子のモンスターとそうじゃないモンスターの違いは一目瞭然なの。」

「なるほど……。」

    それなら悪い人がギルドを騙してお金を取るなんて事はできないな、と俺は納得した。
 
「さて、モンスターの死体をギルドに持っていくわよ。」

「うん。」
 
    そうして、俺とマリーネはルスタ村周辺の森から王都レガーへと、荷車を引いて帰っていった。荷車はパワーのある俺が引いて歩いた。 

「それでは、バーサークウルフ4匹と、タイラントウルフ1匹、確かに受け取りました。バーサークウルフ討伐クエスト達成の報酬金、3300ラルクと、ティアマトの子であるタイラントウルフの提供金、4800
ラルクをお渡しします。」

    ギルドで早速受付嬢さんにバーサークウルフとタイラントウルフの死体を渡すと、クエストの報酬金、そしてティアマトの子提供金を貰う事ができた。 
    モンスターの死体はギルドの職員さんが、モンスター保管庫へと持っていった。

「リョータロー君、これからどうしたい?」

    ギルドでの用事を終え、ギルドを出た俺とマリーネだけど、マリーネは俺に「何かしたい事は無いか」と聞いてきた。
    したい事、か……。

「ゴーレムの手足を別の物に換装できたら、ロボットみたいでカッコイイと思う……とか?」

    と思って言ってみたけど、ロボットって言ってマリーネ、いやこの世界の人に通じるだろうか……?

「ロボ……ット……?っていうのは分からないけど、手足の換装ならできるわよ!」  

本当!?

「じ、じゃあ強くてカッコイイ手足が欲しいな!……そういうのってお店で売ってたりしない?」

「売ってるお店ならあるわ。
早速行ってみる?」

    ゴーレムの装備を売ってるお店……とても行ってみたい!  

「うん、行こう!」

    俺がマリーネにそのお店に行きたいと答えると、彼女は俺をそのお店まで案内してくれた。
  
「この街で武器や防具、ゴーレムの武装を買うならここ!ドワーフの鍛冶屋!」

    マリーネはその場所にたどり着くと、手をバッと広げて声高らかにその場所の名を「ドワーフの鍛冶屋」と呼んだ。
    ドワーフかぁ……アニメで見たことあるな。
     武器とかを作るのが得意な亜人、だよね?そのドワーフが経営するお店って事かな?

    そのお店はレンガで作られた建物で、屋根から伸びる煙突からは煙がモクモクと空へ上がっている。

「さ、入りましょう!」

    マリーネは俺の手を引いて建物の中へと足を踏み入れた。
    そして、鍛冶屋に入った俺達を待っていたのは……。

「こ、これは……!」

    建物の中は武器、防具、ゴーレムの装備で埋め尽くされていた。
    鉄の剣や木の盾、銅の鎧などが壁に掛けられてたり、棚に置かれてたり、様々な形で部屋の至る所に置かれている。
    お客さんも2人程いるな……あ、ゴーレムの手足もある!

「さぁ、好きな装備を選んで!」

「いいの?高くないのかな、こういう装備って……。」

    装備はモンスターと戦う為の大事な物だ。
    かなり高いに違いない……と思った俺はマリーネにそう聞いた。

「大丈夫!私は15歳の頃から冒険者やってて、いざと言う時の為にずっと貯金してきたの!だから遠慮しなくていいわよ!あ、ちなみに私は今18歳よ。3年間冒険者やってるわ。」

マリーネ18歳なのか……。俺より
3歳年上だな。



「俺は、生きてれば来月16歳になる予定……だった。」

「じゃあ、私の方がお姉さんって事ね!」

    そう俺に言ったマリーネはなんだか嬉しそうだった。

「そ、そうだね……。」

「マリ~ネ~?」
 
    その時、店の中のお客さん2人がマリーネの元に近づき、2人のうちの小柄な女の子が彼女に声をかけた。

「リコ!」

「そのゴーレム、完成したのか?」

「そうよトーゴ。リョータロー君、この2人は私の友達のリコ・クロスホーンとトーゴ・クロスホーン。姉弟なの。」  

    最初に声をかけて来た小柄な女性がリコさんで、その隣の大柄な男性がトーゴさん、2人は兄妹なのか……。
    トーゴさんが大きくてリコさんが小さいからきっとトーゴさんがお兄ちゃんなんだろうな。

「一応言っておくけど、私が姉でトーゴが弟よ~。」

    リコは俺の考えを見透かしてたかのように、自分が姉でトーゴさんが弟だと言った。
    そうか、兄妹(きょうだい)じゃなく姉弟(きょうだい)なのか……。

「宜しくね~、ゴーレムさ~ん。」

「宜しくな、ゴーレム。」

    リコさんとトーゴさんは俺に挨拶をし、トーゴさんが俺に右手を出した。
    握手をしたい……のかな?

「宜しくお願いします、トーゴさん。俺リョータローって言います。」

    俺は右手を差し 出して、トーゴの手を握りしめた。
    ……トーゴの手を握ったような感覚がしない。
    ゴーレムには神経が通ってないからかな。

「そう固くならないで~。リコ、トーゴって気安く呼んで良いわよ~。」

「さん付けも敬語もいらん。ていうか、リョータロー?ゴーレムにしては変わった名前だな。」

    リコもトーゴも俺の挨拶に対してそう返した。
    あ、敬語とさん付けしなくてもいいのか……トーゴさんは身体が大きいし、その姉のリコさんも年上かと思ったけど、俺とは同世代なのかな。
    それと、トーゴは俺の名前を不思議な名前だと言った。
    まぁゴーレムにこんな名前付ける人あんまりいないはずだよね。

「俺、異世界から来たんだ。」

「「い、異世界から……来た!?」」

    俺の言葉を聞いて、リコもトーゴも驚いている……。
    あ、言っちゃいけない事なのかなこれ……言ったら何かされるとか……無いよね?お願いします……何か酷い事されませんように……!


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