【R18】女剣士と魔王

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「カトリーヌッ!!」

しばらく倒れていたら魔王の声が聞こえた。

「どうした!?」

「い...痛い...」

腹をおさえながらどうにか答えた。
魔王は、私の腹に手を当てると、目を見開いた。

「孕んだな。」

その言葉に私も驚きに目を見開いた。子を成すためにここにいるのは分かっていたが、実感はあまり持っていなかった。

浮遊感を感じたかと思うと抱き上げられていて、そのまま部屋のベッドに運ばれた。

「魔族は魔力の塊を核にして生まれる。カトリーヌに注いだ魔力がようやく実を結んだようだな。」

魔王が私の腹を撫でて、腹に向かって話し始めた。

「大人しくしていろ。腹を食い破ったら大きくなれないぞ。我の言うことを聞け。」

「...物騒だな...」

しばらく腹を撫でられているうちに、痛みが治まった。

「我の魔力を流してやった。まだ意識もない魔力の塊みたいなものだが、我の魔力に屈服したから当分は暴れないであろう。」

「まだ腹の中にいるのに屈服させるのか?」

「魔族であれば、赤子とて強いものには本能で服従する。」

「魔族とは、強いものに巻かれるのだな。」

「その言い草は気にいらぬが、それも事実であるな。ともかく今出てきては、外で生きて行けまい。まだお前の腹の中から出てこないよう、我も見張っておこう。」

「腹を食い破られるのは、想像したくないのだが...」

「人間の赤子と同じ道筋で出てくるよう善処してやる」

「善処...か......。」

「我が子も、母の腹を貫いて死なせたとあればのちのち後味が悪いだろう...大丈夫だ。いざとなれば、腹は縫い合わせてやろうぞ。」

「恐怖しかないのだが...。」

「フッ、女剣士ともあろうものが気弱であるな。」

魔王は鼻で笑った。剣を屈強な男達と合わせることはあっても、出産したことなどないのだ。しかも魔族との子ともあれば未知の怖さもあろうというものじゃないだろうか。

「怖いものは怖いのだ...。だが...」

自分でも腹に手を当ててみた。

「我が子か...。」

恐怖心はあるものの、淡い喜びのような気持ちも沸いてきて、腹をさすった。

「いい子にしていてくれよ。」

腹に向かって呟いた。
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