手折られる花

しりうすさん〈しりかぴ工房〉

文字の大きさ
11 / 59

第9話 生徒会室にて

しおりを挟む



「くそっ、どおいうことだよ…。」


放課後、学校の掲示板に貼られた新生徒会役員に信任投票の結果を見て怒りに震える俺。

底辺クズ高校なので、生徒会など入りたがるものはいない。夏休み明け早々に生徒会の顧問の先生に会長になってくれと頼み込まれた。悪いようにしないからと言われ引き受け、対抗馬も無く信任投票になったのだが、その結果がすこぶる悪い。

全校生徒の半数以上の信任で当選なのだが、俺の結果は半数を若干上回った程度。

当選なことは当選なのだが、信任投票って何も考えずに『信任する』に丸を付けて出すものじゃないのかな?

誰もなり手がいないのに不信任にあえて票を投じたヤツらは俺の事が嫌いなのか?

イラついている俺の後ろから遼太が声を掛けて来た。


「気にすんなって、半分と少しは友也でいいって言ってるんだからさ。」

「ちっ!!俺より遼太が会長になればよかったのに。」

「俺には会長は出来ないよ、頭良くないし。」

「お前の信任結果は100%じゃないかっ!!」


遼太は書記に当選していて信任投票の結果は信任率100%!!

人当たりがいいし、男にも女にもモテるし、かっこいいし当然の結果かもしれないが腹が立つ。

遼太を書記に推薦したのは俺で、会長を引き受ける条件として顧問に要求した。遼太には事後報告だったけど嫌がりもしなかったから別にいいんだろう。

生徒会なんて用は先生の雑用係り、従順に行事をこなすだけで大した仕事ではない。俺一人で出来ない仕事は遼太を使おうと思った。他のメンバーは全然知らないヤツばっかりだし、仲良くなるのも面倒くさい。

遼太が信任率100%になるのも頷ける人懐っこい笑顔で聞いてきた。


「今日は仕事あるの?」

「特にないけど、前生徒会役員が生徒会室を溜まり場にしてたからゴミだらけ、片付ける。」

「結城会長!!お供しますっ!!」

「三田書記、こき使ってやる。」


二階の美術室の隣にある六畳ほどの広さの生徒会室は荒れ果てていた。資料棚には普通に漫画雑誌が詰め込まれてるし、もう絶対使わない看板とか何年も前の余った配布物とかが積み重ねられている。

会長に就任した時、絶対片付けようと思っていた。バカ共の痕跡を消さなくては…。

今日は、俺より頑丈で大きい遼太に重いものを全部運び出してもらって小ざっぱりさせて貰おうじゃないか。

鼻息荒く鍵を開けて、室内に入った瞬間に後ろから抱き着かれて、首と肩に遼太の頭が埋まりスッポリと包まれてしまった。

「俺を書記にしたのは、こういうことか…。」と耳元で囁かれた。

放課後の荒れ果てた生徒会室に二人きり、何か勘違いさせている?

遼太を生徒会に入れたのは小間使いにする為で、二人きりになりたかったワケではない。

結構酷い態度をとってたのに…。

夏休みに一泊旅行に行ってからは気恥ずかしくて、「会いたいな」とか「遊ぼうよ」とかメールとかラインとか電話とかがガンガン来てたけど全部無視していた。

新学期に入っても、顔を見ると赤くなるし挙動不審になっちゃうから本当に気まずくて学校行くの辞めようかと思ったけど遼太は普通に優しかった。照れ隠しで不機嫌な態度しか取れない俺に優しいなんて遼太はМの気でもあるんだろうか。

やっと俺から連絡が出来た返事が「お前を生徒会の書記に推薦した、これは決定だ。」で、「いいけど、どおゆうこと?」と連打されたけど…。俺の小間使いにしようと思っただけで…。

まあ…違和感なく合法的な接点を持つには良い方法かとは思ったけど。

夏休み明け後に久々に見た遼太は日焼けしてて、なんかまた背も伸びてて…。

ああっ、でも学校で抱き着くなっ!!!

あちこち触るなっ!!

するすると服の中に遼太の手が侵入し、肌を直に触れられて、巻き付く腕を振りほどいた。

キョトンとする遼太に吠えた。


「いきなりサカるなぁぁぁあっ!!片付けにきたんだぁぁっ!!」

「サカるって何?」

「ムラムラするって事!!」

「そういうことか、俺は今すごいムラムラしているっ!!」


なんか聞き覚えのある会話、その時この後にした事を思い出したら当然のように赤くなるし、俺の好きな遼太の人懐っこい笑顔を久しぶりに間近で見て狼狽えた。

「なんかもうイロイロしてるのに、かわいいな友也は。」とか言って懐いた犬みたいに擦り寄って来て、気づくと床に座られせられていて遼太の口か俺の口にガッツリハマっていて流されそうになったけど、「見つかると嫌。」と言うと「見つからなければ、いいっていうこと?」と聞いてきた。

「まあ、そうかな」と答えると、すくっと立ち上がって、カーテン閉めて、ドアの内鍵を閉めて、さらにその前に捨てようと思ってた使わない看板を何枚か置いて戻ってきた。

また、ガンガンと手際よく外堀を埋められていく、「ちょっと待って、ここでするなんて…」と言ったら今度はスクールバッグの中をゴソゴソしだして先日使った通販で買ったというモノを見せられる。

学校に何持って来てるんだコイツはっ!!
なんでこんなに準備いいんだ、チャンス狙ってた?

恥ずかしさと怒りでプルプル震える俺に垂れ気味の目を余裕気に細めて聞いてきた。


「後は何をクリアしたらいいの?」

「…声っ…声でゃちゃうから、しない。」

「それなっ、気づいてたんだ。真面目なのに友也はドえろい声出すタイプだよなっ。」

「言うなっバカ!!絶対しないっ!!」

「でもかわいいよマジで、声が出そうになったら塞いであげるから、しよ?」

「塞ぐって!!手でっ?」

「それもエロくていいな…でもうるさい口を塞ぐって言ったら…。」


日焼けした遼太の手が俺の両の頬に伸びてきて、俺の好きな顔が近づいてくる。

「口は口で塞ぐ」とか言うから「ドえろいのは、お前じゃあ!!」と叫ぶ前に遼太の口で塞がれた。

なんか外堀も埋められまくって抵抗する気も失せてきた俺、脱力気味になった。

にこにこと人懐っこい笑顔を向け「これで大丈夫?」と聞かれ無視していたら、タオルを渡された。

キョトンとする俺に人のよさそうな顔を向けて「手が離せない時はタオルでも噛んでてよ」と言われ「最初から渡せぇぇ!!」と叫ぶ口を口で塞がれた。


見つかったら、只じゃ済まないのに学校でするなんて、どうかしている。

まあ、本気で逃げようともしなかった俺も俺だけどと思った。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...