2 / 10
第2話 お誘い
しおりを挟む
ボク、ユーリ。「炎と氷の料理店」のウエイトレス。人間じゃなくて氷妖精なんだ。
常連のお客さんのカイが珍しく朝早くに「炎と氷の料理店」にやってきた。
「カイ!いらっしゃーい!今日は早いね、仕事お休みなの?」
ボクはカイをカウンターに案内した。
「うん、今日は休み、明日からまた仕事。かき氷ちょうだい。」
「はーい!」
ボクは張り切ってかき氷を作る。まだお客さんが少なく余裕があったから、いつもより少し多めに氷を盛ってあげた。
「どうぞ!いつもよりちょっと多くしたよ」
「ふふ、ありがとう。うん、おいしい!」
カイはかき氷が大好きな常連さんだ。仕事は戦士で、黒髪で優しい目をしたお兄さん。
「あれ?今日はカイ一人?珍しいわね、リアは?」
カウンターにいたウエイトレスのアリスがカイに聞いた。
「リアは別件でちょっと街を出てるんだ。それもあって、ユーリにちょっと話があるんだ。」
「ん?ボク?なあに?」
「今ね、街の近くの遺跡のモンスター退治の依頼が来てるんだけど、遺跡の一部が氷魔法がないと進めないらしいんだ。だから、氷魔法が使える人を帯同したいんだけど、ユーリ、一緒に来てくれない?」
「え!?カイの仕事に付いていけるの?行きたい!」
ボクは喜んだ。カイのモンスター退治の話って面白いから、興味あった。
「よかった。じゃあ、決まりね。リアが別件の仕事に出てるから僕と二人になっちゃうけど、モンスターはたいしたことないから安心して、半日仕事だしね。」
「うん!りょーかい!」
ボクは明日、カイとモンスター退治に出かけることになった。
夜、店が閉まって、ウエイトレスたちも家路に着いた。ボクは、店の二階の一室に住んでいるから、自室で明日の準備をしていた。
「ユーリ、明日は何着てくんだい?」
店長で炎妖精のフレイがボクの部屋を覗きに来た。フレイもこの店に住んでいる。フレイは炎妖精なので肌も髪も赤色だ。胸が大きいお姉さんで、人間の旦那さんがいる。属性は違うけれど同じ亜人なので、なにかとボクの面倒を見てくれる。
「んー、モンスター退治だから、これかなって。」
明日着ていく予定のツナギをフレイに見せる。
「うーん、ちょっと色気なさすぎじゃないかい?」
「い、色気?モンスター退治に色気がいるの?」
フレイはにやーっとしてボクに耳打ちした。
「モンスター退治なんて、口実に決まってるだろ。カイはあんたとどこかに出かけたいだけさ。カイはあんたのこと好きなんだよ。」
「へっ!?そ、そうなの?」
「ああ、長年店やってりゃどの客がどの子目当てなのかなんてすぐわかるよ。カイはあんたしか見てないじゃないか。」
「そ、そう?」
ボクはすごくびっくりした。ウエイトレス達と戦士が恋愛しているという話は今までたくさん聞いてきたけど、ボクは亜人だったし、他人事だと思ってた。今までに、ボクのことが好きな戦士がいるなんて話も聞いたことがなかった。
「カイはあんたとお似合いだと思うけどねえ。あんたは?カイは嫌?」
「・・・ううん。ボクも、お客さんの中でカイが一番好き。」
カイは、ボクが作ったかき氷や料理を誰よりも喜んで食べてくれる。話も面白くて優しくて、最高のお客さんだ。
「ふふふ、あんたもとうとう嫁入りかしらね。」
「嫁入りって!もう結婚!?」
さすがに急すぎて頭がついていかないよ!
「亜人のことを好いてくれる人間なんて貴重だよ。カイに告白されたらちゃっちゃっと結婚しちゃった方がいいさ。これ逃したら人間と結婚するチャンスなんて10年は来ないよ。」
「・・・うん、もし、ほんとにほんとに告白されたらそうする。」
ボクは、自分の魔法をもっといろんなところで役立てたくて氷妖精の里から出てきた。そして今いるこの街とこのお店が大好きだ。ずっとここで暮らすなら、結婚相手は人間の方がいいと思う。
「よし、あたしの服貸してあげよう。モンスター退治にも行けて、かわいいやつよ。」
フレイがいそいそと部屋を出ていった。
ボクはその夜いろいろ考えちゃってなかなか眠れなかった。やっと眠れたと思ったら、カイと結婚生活を送っている夢を見てしまった。小さい家の中で、ボクがかき氷や冷たいスープやゼリー等、得意な料理をたくさん作っている。カイはそれをおいしいおいしいと言って食べていた。たしかに結婚したらこんな感じになりそう。もしカイと結婚したら、好きな食べ物たくさん作ってあげたいな、と思った。
常連のお客さんのカイが珍しく朝早くに「炎と氷の料理店」にやってきた。
「カイ!いらっしゃーい!今日は早いね、仕事お休みなの?」
ボクはカイをカウンターに案内した。
「うん、今日は休み、明日からまた仕事。かき氷ちょうだい。」
「はーい!」
ボクは張り切ってかき氷を作る。まだお客さんが少なく余裕があったから、いつもより少し多めに氷を盛ってあげた。
「どうぞ!いつもよりちょっと多くしたよ」
「ふふ、ありがとう。うん、おいしい!」
カイはかき氷が大好きな常連さんだ。仕事は戦士で、黒髪で優しい目をしたお兄さん。
「あれ?今日はカイ一人?珍しいわね、リアは?」
カウンターにいたウエイトレスのアリスがカイに聞いた。
「リアは別件でちょっと街を出てるんだ。それもあって、ユーリにちょっと話があるんだ。」
「ん?ボク?なあに?」
「今ね、街の近くの遺跡のモンスター退治の依頼が来てるんだけど、遺跡の一部が氷魔法がないと進めないらしいんだ。だから、氷魔法が使える人を帯同したいんだけど、ユーリ、一緒に来てくれない?」
「え!?カイの仕事に付いていけるの?行きたい!」
ボクは喜んだ。カイのモンスター退治の話って面白いから、興味あった。
「よかった。じゃあ、決まりね。リアが別件の仕事に出てるから僕と二人になっちゃうけど、モンスターはたいしたことないから安心して、半日仕事だしね。」
「うん!りょーかい!」
ボクは明日、カイとモンスター退治に出かけることになった。
夜、店が閉まって、ウエイトレスたちも家路に着いた。ボクは、店の二階の一室に住んでいるから、自室で明日の準備をしていた。
「ユーリ、明日は何着てくんだい?」
店長で炎妖精のフレイがボクの部屋を覗きに来た。フレイもこの店に住んでいる。フレイは炎妖精なので肌も髪も赤色だ。胸が大きいお姉さんで、人間の旦那さんがいる。属性は違うけれど同じ亜人なので、なにかとボクの面倒を見てくれる。
「んー、モンスター退治だから、これかなって。」
明日着ていく予定のツナギをフレイに見せる。
「うーん、ちょっと色気なさすぎじゃないかい?」
「い、色気?モンスター退治に色気がいるの?」
フレイはにやーっとしてボクに耳打ちした。
「モンスター退治なんて、口実に決まってるだろ。カイはあんたとどこかに出かけたいだけさ。カイはあんたのこと好きなんだよ。」
「へっ!?そ、そうなの?」
「ああ、長年店やってりゃどの客がどの子目当てなのかなんてすぐわかるよ。カイはあんたしか見てないじゃないか。」
「そ、そう?」
ボクはすごくびっくりした。ウエイトレス達と戦士が恋愛しているという話は今までたくさん聞いてきたけど、ボクは亜人だったし、他人事だと思ってた。今までに、ボクのことが好きな戦士がいるなんて話も聞いたことがなかった。
「カイはあんたとお似合いだと思うけどねえ。あんたは?カイは嫌?」
「・・・ううん。ボクも、お客さんの中でカイが一番好き。」
カイは、ボクが作ったかき氷や料理を誰よりも喜んで食べてくれる。話も面白くて優しくて、最高のお客さんだ。
「ふふふ、あんたもとうとう嫁入りかしらね。」
「嫁入りって!もう結婚!?」
さすがに急すぎて頭がついていかないよ!
「亜人のことを好いてくれる人間なんて貴重だよ。カイに告白されたらちゃっちゃっと結婚しちゃった方がいいさ。これ逃したら人間と結婚するチャンスなんて10年は来ないよ。」
「・・・うん、もし、ほんとにほんとに告白されたらそうする。」
ボクは、自分の魔法をもっといろんなところで役立てたくて氷妖精の里から出てきた。そして今いるこの街とこのお店が大好きだ。ずっとここで暮らすなら、結婚相手は人間の方がいいと思う。
「よし、あたしの服貸してあげよう。モンスター退治にも行けて、かわいいやつよ。」
フレイがいそいそと部屋を出ていった。
ボクはその夜いろいろ考えちゃってなかなか眠れなかった。やっと眠れたと思ったら、カイと結婚生活を送っている夢を見てしまった。小さい家の中で、ボクがかき氷や冷たいスープやゼリー等、得意な料理をたくさん作っている。カイはそれをおいしいおいしいと言って食べていた。たしかに結婚したらこんな感じになりそう。もしカイと結婚したら、好きな食べ物たくさん作ってあげたいな、と思った。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
【完結】レスだった私が異世界で美形な夫達と甘い日々を過ごす事になるなんて思わなかった
むい
恋愛
魔法のある世界に転移した割に特に冒険も事件もバトルもない引きこもり型エロライフ。
✳✳✳
夫に愛されず女としても見てもらえず子供もなく、寂しい結婚生活を送っていた璃子は、ある日酷い目眩を覚え意識を失う。
目覚めた場所は小さな泉の辺り。
転移して若返った?!と思いきやなんだか微妙に違うような…。まるで自分に似せた入れ物に自分の意識が入ってるみたい。
何故ここにいるかも分からないまま初対面の男性に会って5分で求婚されあれよあれよと結婚する事に?!
だいたいエロしかない異世界専業主婦ライフ。
本編完結済み。たまに番外編投稿します。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる