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対公爵 対邪神
第164話 一時の休息
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月の魔女と聖剣
第164話 一時の休息
荒野の狼はウエストエンドに戻ったが、夕刻を超えて夜となっていることから報告は明日にして、沙更とミリア、ガレム、ヘレナとパウエルに分かれて休むことにした。
孤児院と宿屋の差はあれど、やはり慣れた場所というのは精神的に落ち着くのと北方での強行軍の疲労が出ていたこともあり、ぐっすり眠ってしまった。聖剣の鞘も無事確保したことで、肩の荷が下りたのもあったのだろう。
戦の足音が近付いて来ている中、沙更とミリアに出来ることはあまり多くはない。冒険者ギルドでも中立を守ることにしていて、下手に介入するのを恐れているようだった。
なので、今回も荒野の狼としては辺境伯であるカタリーナに肩入れすることは決めてあった。ウエストエンドを戦火に焼かせない為に動くのは決定されていたから。
「明日、リエット様とウィリアム王子に聖剣の鞘を渡せば一連の事は終わりますが、それだけでは終わりそうもない気がしています」
「聖剣が完全になったとしても、それで異世界からの神は倒せないから結局は月女神様の力を借りなければ難しいのはわかるよ」
「神剣が無ければ異世界の神を倒すことは難しいですから、仕方がないことでしょう」
沙更もミリアも異世界の神と対峙した経験があるだけに、人間の武器では届かないことを知っている。聖剣が完全になったとしても厳しいだろうと理解してしまっていた。
もしかしたら聖剣も通すことが出来るかもしれないが、リエットもウィリアムも沙更たちからすれば弱い。それに、前線に立たせるわけにもいかなかった。大将として従軍してもらうとしても、矢面に立たせる時点で駄目だからだ。
軍略に関しては口出しすることはしないつもりであるけれど求められれば助言するつもりはある。
ガーゼルベルトが必要とするかは話が別になるが。そんなことを考えつつ夜は更けていった。
翌朝、孤児院に戻った時は朝食を沙更は手伝うことを決めている為、シスターヴァレリーがいるであろう厨房を覗く。
「おはよう、疲れているのに大丈夫?」
「シスターヴァレリー、おはようございます。野営と違ってゆっくり眠ることが出来ましたから大丈夫てす。それに、手伝うと約束しましたよね」
「ミリアもだけれど、貴女様にこの孤児院は救われたのです。そこまで考えなくても良いのですよ?」
「こればかりは私の自己満足ですから。それに、孤児たちにご飯は必要ですし、一人では辛いでしょうから」
シスターヴァレリーは沙更の思いを知っているから、それ以上は言わずに隣を空ける。虚空庫から自分用の包丁を取り出して、野菜を刻んでおく。そうやって作る料理の手伝いを慣れた感じでこなしていくとミリアも起きてきた。
ミリアが起きてくる時間ともなれば、孤児たちか起きるまでそんなに時間は無い。そこに、アレクと一緒にやってきたシスターや見習いシスターが顔を出した。そこから起き出すまでに、料理を終わらせるのだが一年前に比べて孤児たちも増えた。
どうしても経済的に捨て子は無くならないようで、一月あたり二人は増える形であった。それでも一年前より前に比べれば全然減っているのだと言う。
辺境に好景気の波が来て、領民に影響し始めている。それを感じられるだけ良くなったと言うことなのだろう。
第164話 一時の休息
荒野の狼はウエストエンドに戻ったが、夕刻を超えて夜となっていることから報告は明日にして、沙更とミリア、ガレム、ヘレナとパウエルに分かれて休むことにした。
孤児院と宿屋の差はあれど、やはり慣れた場所というのは精神的に落ち着くのと北方での強行軍の疲労が出ていたこともあり、ぐっすり眠ってしまった。聖剣の鞘も無事確保したことで、肩の荷が下りたのもあったのだろう。
戦の足音が近付いて来ている中、沙更とミリアに出来ることはあまり多くはない。冒険者ギルドでも中立を守ることにしていて、下手に介入するのを恐れているようだった。
なので、今回も荒野の狼としては辺境伯であるカタリーナに肩入れすることは決めてあった。ウエストエンドを戦火に焼かせない為に動くのは決定されていたから。
「明日、リエット様とウィリアム王子に聖剣の鞘を渡せば一連の事は終わりますが、それだけでは終わりそうもない気がしています」
「聖剣が完全になったとしても、それで異世界からの神は倒せないから結局は月女神様の力を借りなければ難しいのはわかるよ」
「神剣が無ければ異世界の神を倒すことは難しいですから、仕方がないことでしょう」
沙更もミリアも異世界の神と対峙した経験があるだけに、人間の武器では届かないことを知っている。聖剣が完全になったとしても厳しいだろうと理解してしまっていた。
もしかしたら聖剣も通すことが出来るかもしれないが、リエットもウィリアムも沙更たちからすれば弱い。それに、前線に立たせるわけにもいかなかった。大将として従軍してもらうとしても、矢面に立たせる時点で駄目だからだ。
軍略に関しては口出しすることはしないつもりであるけれど求められれば助言するつもりはある。
ガーゼルベルトが必要とするかは話が別になるが。そんなことを考えつつ夜は更けていった。
翌朝、孤児院に戻った時は朝食を沙更は手伝うことを決めている為、シスターヴァレリーがいるであろう厨房を覗く。
「おはよう、疲れているのに大丈夫?」
「シスターヴァレリー、おはようございます。野営と違ってゆっくり眠ることが出来ましたから大丈夫てす。それに、手伝うと約束しましたよね」
「ミリアもだけれど、貴女様にこの孤児院は救われたのです。そこまで考えなくても良いのですよ?」
「こればかりは私の自己満足ですから。それに、孤児たちにご飯は必要ですし、一人では辛いでしょうから」
シスターヴァレリーは沙更の思いを知っているから、それ以上は言わずに隣を空ける。虚空庫から自分用の包丁を取り出して、野菜を刻んでおく。そうやって作る料理の手伝いを慣れた感じでこなしていくとミリアも起きてきた。
ミリアが起きてくる時間ともなれば、孤児たちか起きるまでそんなに時間は無い。そこに、アレクと一緒にやってきたシスターや見習いシスターが顔を出した。そこから起き出すまでに、料理を終わらせるのだが一年前に比べて孤児たちも増えた。
どうしても経済的に捨て子は無くならないようで、一月あたり二人は増える形であった。それでも一年前より前に比べれば全然減っているのだと言う。
辺境に好景気の波が来て、領民に影響し始めている。それを感じられるだけ良くなったと言うことなのだろう。
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