156 / 211
聖剣の鞘の行方
第144話 呪法対光魔法
しおりを挟む
月の魔女と聖剣
第144話 呪法対光魔法
黒い甲冑の男とミリアの戦いは、力と速度の対決でほぼ互角の戦いを繰り広げることになった。そこに、黒頭巾の男達が現れたことから、水を差す格好になってしまった。
「なぜ、ここに来た?」
「光魔法の使い手を潰すためだ。貴様とは違う」
黒い甲冑の男と黒頭巾の男達はどうやら思惑が違うらしいと沙更は察する。光魔法の使い手は大体教会にいるのが普通だが、黒頭巾の男たちにとっては教会にいる光魔法の使い手は問題視するほどの物ではないようだ。使えても中級魔法が限度。だが、沙更は最上級魔法まで光魔法を扱えるだけに、脅威でしかなかったのだ。
闇とも違う呪法は、異世界の神の力を借りる邪法。光魔法でなければ対抗できない。月女神が目覚めるまではこの世界最高峰の力であり、それが誇りであった。
だが、今となっては呪法に対抗出来る人間がいる。それが彼らにとっては目障りだったらしい。
「辺境伯カタリーナを始末するはずが、阻止された。呪法を解いたのは貴様だな」
黒頭巾の男たちの問いに沙更は答えない。答えを知っているからこそ仕掛けて来ているのだと気づいたからだ。沙更は神の器を持つからこそ、呪法に対して嫌悪感しか抱けない。その時点で対立するのは決定されていた。
「異世界の神の力で人を呪う時点で相容れない。人の命をもて遊ぶ貴方たちに負けるわけにはいきません」
「ふっ、それが答えになると分かっているようだ」
黒頭巾の男たちと沙更、双方に瘴気と魔力が集まる。元々対照的なものであるだけに、沙更の膨大な魔力に瘴気がかき消されていく。それに気づいた黒頭巾の男たちはさらに警戒することになる。
「くそっ、瘴気をかき消すだと!?」
「魔力は、瘴気とは相容れないものなのは貴方たちも知っているはず。何を驚いているのですか?」
「瘴気が足りないが呪いの力、思い知るが良い」
瘴気が少ないがそれでも悪あがきで呪法を使う黒頭巾の男。しかし、少ない瘴気のためか完全な状態でない。弱体化している呪法では沙更の光魔法ディバインベールを貫通するには足りなかった。そもそも、呪法は瘴気と媒体が必要で焦ったあまりに基本を忘れていたようだ。
「なっ、不完全とは言え呪法を防ぐだと!?」
呪法を防ぐ魔法は沙更が操るディバインベール以外は存在していない。そもそも、光魔法の上級以上を扱えるのが沙更だけなのだから相手が驚くのも無理はない。
呪法を防がれ、瘴気が足りない状態では黒頭巾の男達も近接戦に移らざるを得ない。暗器を手に沙更に向かって動くが、そこはガレムが立ちはだかる。
「ここから先は俺が相手だ。相棒で真っ二つになりたいやつから来な」
聖鋼の斧を持ち、前に出る。その圧はかなりのものだった。
申し訳ありません。9/2613:28に若干書き直しと書き足しをしています。その前に読んだ方は読み直してください。
第144話 呪法対光魔法
黒い甲冑の男とミリアの戦いは、力と速度の対決でほぼ互角の戦いを繰り広げることになった。そこに、黒頭巾の男達が現れたことから、水を差す格好になってしまった。
「なぜ、ここに来た?」
「光魔法の使い手を潰すためだ。貴様とは違う」
黒い甲冑の男と黒頭巾の男達はどうやら思惑が違うらしいと沙更は察する。光魔法の使い手は大体教会にいるのが普通だが、黒頭巾の男たちにとっては教会にいる光魔法の使い手は問題視するほどの物ではないようだ。使えても中級魔法が限度。だが、沙更は最上級魔法まで光魔法を扱えるだけに、脅威でしかなかったのだ。
闇とも違う呪法は、異世界の神の力を借りる邪法。光魔法でなければ対抗できない。月女神が目覚めるまではこの世界最高峰の力であり、それが誇りであった。
だが、今となっては呪法に対抗出来る人間がいる。それが彼らにとっては目障りだったらしい。
「辺境伯カタリーナを始末するはずが、阻止された。呪法を解いたのは貴様だな」
黒頭巾の男たちの問いに沙更は答えない。答えを知っているからこそ仕掛けて来ているのだと気づいたからだ。沙更は神の器を持つからこそ、呪法に対して嫌悪感しか抱けない。その時点で対立するのは決定されていた。
「異世界の神の力で人を呪う時点で相容れない。人の命をもて遊ぶ貴方たちに負けるわけにはいきません」
「ふっ、それが答えになると分かっているようだ」
黒頭巾の男たちと沙更、双方に瘴気と魔力が集まる。元々対照的なものであるだけに、沙更の膨大な魔力に瘴気がかき消されていく。それに気づいた黒頭巾の男たちはさらに警戒することになる。
「くそっ、瘴気をかき消すだと!?」
「魔力は、瘴気とは相容れないものなのは貴方たちも知っているはず。何を驚いているのですか?」
「瘴気が足りないが呪いの力、思い知るが良い」
瘴気が少ないがそれでも悪あがきで呪法を使う黒頭巾の男。しかし、少ない瘴気のためか完全な状態でない。弱体化している呪法では沙更の光魔法ディバインベールを貫通するには足りなかった。そもそも、呪法は瘴気と媒体が必要で焦ったあまりに基本を忘れていたようだ。
「なっ、不完全とは言え呪法を防ぐだと!?」
呪法を防ぐ魔法は沙更が操るディバインベール以外は存在していない。そもそも、光魔法の上級以上を扱えるのが沙更だけなのだから相手が驚くのも無理はない。
呪法を防がれ、瘴気が足りない状態では黒頭巾の男達も近接戦に移らざるを得ない。暗器を手に沙更に向かって動くが、そこはガレムが立ちはだかる。
「ここから先は俺が相手だ。相棒で真っ二つになりたいやつから来な」
聖鋼の斧を持ち、前に出る。その圧はかなりのものだった。
申し訳ありません。9/2613:28に若干書き直しと書き足しをしています。その前に読んだ方は読み直してください。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!
甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・
眠り姫な私は王女の地位を剥奪されました。実は眠りながらこの国を護っていたのですけれどね
たつき
ファンタジー
「おまえは王族に相応しくない!今日限りで追放する!」
「お父様!何故ですの!」
「分かり切ってるだろ!おまえがいつも寝ているからだ!」
「お兄様!それは!」
「もういい!今すぐ出て行け!王族の権威を傷つけるな!」
こうして私は王女の身分を剥奪されました。
眠りの世界でこの国を魔物とかから護っていただけですのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる