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極星騎士団と王都冒険者ギルド
第52話 オーク大発生の後始末
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月の魔女と聖剣
第52話 オーク大発生の後始末
オークエンペラーを討ち取り、オークの軍団を壊滅させた後パウエル達はそのまま騎士達の弔いをしていく。沙更がホワイトフレイムで亡骸を聖なる炎で燃やすと魂が天に還っていった。
流石に今回はヘブンズゲートが開くことはなかった。沙更自身に願いはなく、ただ騎士達を送っただけだったから。
「騎士の方々、私たちが来ると知らなかったのでしょうか?」
「その可能性はあるな。下手すると上官のメンツのためだけに派遣されたって可能性もあるが、どちらかと言えば後者だろうな」
「そう言う意味じゃ宮仕えも辛いな。俺には想像も出来ねえぜ」
「ちっぽけなメンツで、騎士の方々の命を落とさせる様なことをさせるのが貴族の悪癖と言って良いわ。今回もその口だと思うの」
「どちらにしろ、亡くなった騎士達の代わりにあたしたちがオークを叩き潰しておいたから少しは気が晴れていることを祈りたいかな」
どちらにしても、国の防衛の重要な部分を占める騎士をこんな風に使っていてはいずれ国が滅びかねないなと沙更は思う。自分たちは例外としても、冒険者の方が騎士達よりも頼りにされている風潮が王都ではあった。その辺が辺境とは異なる。
倒したオークはすべて沙更の虚空庫に入れられて、保管されている。これでしばらくお肉には困ることはないだろう。オークは魔石を持つ個体は少ないが、オークファイター以上なら確実に魔石を持っていることからそれらも回収しておく。
流石にオークロードやオークエンペラーの魔石はかなり大きい。AランクとAランク以上のモンスターだけはあると言うことだろう。補助があったとはいえ、勝てると言うことはそれだけの実力を兼ね備えると言えた。荒野の狼の冒険者としての格は相当高いと言うしかない。
「どちらにしても、腹が減ったぜ。お昼どころかそろそろ夕方だ。これから王都にも取っても閉門の時間には間に合わないだろ?」
「これからじゃ流石に間に合わないな。今日は野営だろう」
ガレムの正直な言葉にパウエルもこれからだと辛いだろうと返す。急げば間に合うかもしれないが、食事もなしに戦闘で消耗した状態のまま動くのはあまり良くない。
オークと戦闘した場所から少し離れた広く開けた場所で野営の準備をする。落ちた小枝などを集めて、火をつけるとその上に鍋をおく。元々沙更が用意をしていた野菜とオーク肉のホワイトシチューで、ある程度の下ごしらえをしてから虚空庫に入れて置いた物だ。
ある程度暖まったところで、鍋の蓋を開けるとシチューの良い香りが辺りを覆う。戦闘してお腹が減っている面々にしてみれば、余計にお腹が空いてしまうのも無理はない。
シチューだけでは足りないのは重々承知なので、さらに大型のパンも用意しておく。それもウエストエンドの孤児院で作って置いたのを虚空庫に入れて置いた物だけに、味も保証されていた。
パンとシチューで軽い食事をする。ガレムとパウエルが争ってシチューを食べていくため、それなりに大きい鍋で作ったとは言え、なくなるまでそこまで時間はかからなかった。ミリアとヘレナもそれなりに食べて、ほっとした表情を浮かべる。
冒険者ならいつ何が起きても言いように八分が基本なのだが、あれだけの戦闘の後となれば若干足りない部分があるのは否めなかった。
第52話 オーク大発生の後始末
オークエンペラーを討ち取り、オークの軍団を壊滅させた後パウエル達はそのまま騎士達の弔いをしていく。沙更がホワイトフレイムで亡骸を聖なる炎で燃やすと魂が天に還っていった。
流石に今回はヘブンズゲートが開くことはなかった。沙更自身に願いはなく、ただ騎士達を送っただけだったから。
「騎士の方々、私たちが来ると知らなかったのでしょうか?」
「その可能性はあるな。下手すると上官のメンツのためだけに派遣されたって可能性もあるが、どちらかと言えば後者だろうな」
「そう言う意味じゃ宮仕えも辛いな。俺には想像も出来ねえぜ」
「ちっぽけなメンツで、騎士の方々の命を落とさせる様なことをさせるのが貴族の悪癖と言って良いわ。今回もその口だと思うの」
「どちらにしろ、亡くなった騎士達の代わりにあたしたちがオークを叩き潰しておいたから少しは気が晴れていることを祈りたいかな」
どちらにしても、国の防衛の重要な部分を占める騎士をこんな風に使っていてはいずれ国が滅びかねないなと沙更は思う。自分たちは例外としても、冒険者の方が騎士達よりも頼りにされている風潮が王都ではあった。その辺が辺境とは異なる。
倒したオークはすべて沙更の虚空庫に入れられて、保管されている。これでしばらくお肉には困ることはないだろう。オークは魔石を持つ個体は少ないが、オークファイター以上なら確実に魔石を持っていることからそれらも回収しておく。
流石にオークロードやオークエンペラーの魔石はかなり大きい。AランクとAランク以上のモンスターだけはあると言うことだろう。補助があったとはいえ、勝てると言うことはそれだけの実力を兼ね備えると言えた。荒野の狼の冒険者としての格は相当高いと言うしかない。
「どちらにしても、腹が減ったぜ。お昼どころかそろそろ夕方だ。これから王都にも取っても閉門の時間には間に合わないだろ?」
「これからじゃ流石に間に合わないな。今日は野営だろう」
ガレムの正直な言葉にパウエルもこれからだと辛いだろうと返す。急げば間に合うかもしれないが、食事もなしに戦闘で消耗した状態のまま動くのはあまり良くない。
オークと戦闘した場所から少し離れた広く開けた場所で野営の準備をする。落ちた小枝などを集めて、火をつけるとその上に鍋をおく。元々沙更が用意をしていた野菜とオーク肉のホワイトシチューで、ある程度の下ごしらえをしてから虚空庫に入れて置いた物だ。
ある程度暖まったところで、鍋の蓋を開けるとシチューの良い香りが辺りを覆う。戦闘してお腹が減っている面々にしてみれば、余計にお腹が空いてしまうのも無理はない。
シチューだけでは足りないのは重々承知なので、さらに大型のパンも用意しておく。それもウエストエンドの孤児院で作って置いたのを虚空庫に入れて置いた物だけに、味も保証されていた。
パンとシチューで軽い食事をする。ガレムとパウエルが争ってシチューを食べていくため、それなりに大きい鍋で作ったとは言え、なくなるまでそこまで時間はかからなかった。ミリアとヘレナもそれなりに食べて、ほっとした表情を浮かべる。
冒険者ならいつ何が起きても言いように八分が基本なのだが、あれだけの戦闘の後となれば若干足りない部分があるのは否めなかった。
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