月の魔女と聖剣

空流眞壱

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極星騎士団と王都冒険者ギルド

第42話 極星騎士団との顔合わせ

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月の魔女と聖剣

第42話 極星騎士団との顔合わせ

 ガーゼルベルトが呼んだメイドは訓練所側のテラスで、パウエルたちにお茶を飲む準備を始めた。屋敷から応援のメイドが二人現れて、テーブルや椅子を人数分運び込む。

 手慣れた動作で、優雅に動く彼女たちを見ているといつの間にかお茶の準備が整ったようだった。

「あまりお待たせするわけにも参りませんから、急いでみました。おかげで、用意は出来ておりますわ」

 流石に宰相だけあって、使用人もレベルが高いことが伺える。客をもてなすこともあるからだろうが、急いでいるようには見えなかったあたりが相当だった。

 カッブとソーサーも人数分用意されていて、いつの間にか軽くつまめるスコーンが置かれていた。

 前もって用意されていたのだろうか?ガーゼルベルトがパウエルたちを連れてくるともしかしたら先に連絡が来ていたのかもしれないが、それでも用意が良すぎた。

 流石に疑うわけではないし、あのガーゼルベルトがこちらを填める可能性はほぼ無い。となれば、それだけ有能ということなのだろう。

 出されたお茶を頂きつつ、スコーンをつまむ。少しでもお腹に入れられれば大分気分も落ち着いてきた。

 やはり、王都の辺境伯の屋敷は元采配のアランの影響下だったのだろうと沙更は推測していた。でなければ、リエットの扱いがあそこまで悪いことに説明がつかない。

『どちらにしても是正は免れないと言うことになる。ガーゼルベルト様があの状態を良しとするわけがないから。相当数の使用人が解雇になるのでしょうが私が口出しすることでもないし、首を突っ込むのはなし』

 沙更として、リエットを害するのなら守る。今の所、動いてきてはいなかったから静観していたに過ぎない。だが、ガーゼルベルトやジークが動くのならこちらまで動くのはなしだろうと思う。邪魔になりかねない上に、あの二人が動くのなら悪いことにならないのは分かっていた。

 ゆっくりとお茶とスコーンを頂くと訓練所に騎士たちが集まってきた。今日は訓練がないと言っていたはずだと思っていると屋敷からガーゼルベルトが出てきた。

「訓練はしないがわしの部下たちと顔合わせしておこうと思って呼んだのだ」

 そう言うと壮年の騎士が一歩前に出た。立っているだけで風格がある騎士など滅多にいない。それだけ歴戦の勇士なのだとすぐにわかった。

「極星騎士団副団長のナゼルだ。大将が気に入った相手はそういないから、一緒に訓練出来るのを楽しみにしているぞ」

 副団長と言うことは、団長は言うまでもなくガーゼルベルトと言うこと。極星騎士団は殆どの騎士が壮年のベテランばかり、若年の騎士はほぼいなかった。

 ナゼルは、パウエルたち全員と握手していく。普通なら沙更が混ざっていることで怒りそうなものだが、そこは長年の勘で察知したのだろう。沙更を見て驚いた表情を浮かべた。
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