47 / 211
極星騎士団と王都冒険者ギルド
第42話 極星騎士団との顔合わせ
しおりを挟む
月の魔女と聖剣
第42話 極星騎士団との顔合わせ
ガーゼルベルトが呼んだメイドは訓練所側のテラスで、パウエルたちにお茶を飲む準備を始めた。屋敷から応援のメイドが二人現れて、テーブルや椅子を人数分運び込む。
手慣れた動作で、優雅に動く彼女たちを見ているといつの間にかお茶の準備が整ったようだった。
「あまりお待たせするわけにも参りませんから、急いでみました。おかげで、用意は出来ておりますわ」
流石に宰相だけあって、使用人もレベルが高いことが伺える。客をもてなすこともあるからだろうが、急いでいるようには見えなかったあたりが相当だった。
カッブとソーサーも人数分用意されていて、いつの間にか軽くつまめるスコーンが置かれていた。
前もって用意されていたのだろうか?ガーゼルベルトがパウエルたちを連れてくるともしかしたら先に連絡が来ていたのかもしれないが、それでも用意が良すぎた。
流石に疑うわけではないし、あのガーゼルベルトがこちらを填める可能性はほぼ無い。となれば、それだけ有能ということなのだろう。
出されたお茶を頂きつつ、スコーンをつまむ。少しでもお腹に入れられれば大分気分も落ち着いてきた。
やはり、王都の辺境伯の屋敷は元采配のアランの影響下だったのだろうと沙更は推測していた。でなければ、リエットの扱いがあそこまで悪いことに説明がつかない。
『どちらにしても是正は免れないと言うことになる。ガーゼルベルト様があの状態を良しとするわけがないから。相当数の使用人が解雇になるのでしょうが私が口出しすることでもないし、首を突っ込むのはなし』
沙更として、リエットを害するのなら守る。今の所、動いてきてはいなかったから静観していたに過ぎない。だが、ガーゼルベルトやジークが動くのならこちらまで動くのはなしだろうと思う。邪魔になりかねない上に、あの二人が動くのなら悪いことにならないのは分かっていた。
ゆっくりとお茶とスコーンを頂くと訓練所に騎士たちが集まってきた。今日は訓練がないと言っていたはずだと思っていると屋敷からガーゼルベルトが出てきた。
「訓練はしないがわしの部下たちと顔合わせしておこうと思って呼んだのだ」
そう言うと壮年の騎士が一歩前に出た。立っているだけで風格がある騎士など滅多にいない。それだけ歴戦の勇士なのだとすぐにわかった。
「極星騎士団副団長のナゼルだ。大将が気に入った相手はそういないから、一緒に訓練出来るのを楽しみにしているぞ」
副団長と言うことは、団長は言うまでもなくガーゼルベルトと言うこと。極星騎士団は殆どの騎士が壮年のベテランばかり、若年の騎士はほぼいなかった。
ナゼルは、パウエルたち全員と握手していく。普通なら沙更が混ざっていることで怒りそうなものだが、そこは長年の勘で察知したのだろう。沙更を見て驚いた表情を浮かべた。
第42話 極星騎士団との顔合わせ
ガーゼルベルトが呼んだメイドは訓練所側のテラスで、パウエルたちにお茶を飲む準備を始めた。屋敷から応援のメイドが二人現れて、テーブルや椅子を人数分運び込む。
手慣れた動作で、優雅に動く彼女たちを見ているといつの間にかお茶の準備が整ったようだった。
「あまりお待たせするわけにも参りませんから、急いでみました。おかげで、用意は出来ておりますわ」
流石に宰相だけあって、使用人もレベルが高いことが伺える。客をもてなすこともあるからだろうが、急いでいるようには見えなかったあたりが相当だった。
カッブとソーサーも人数分用意されていて、いつの間にか軽くつまめるスコーンが置かれていた。
前もって用意されていたのだろうか?ガーゼルベルトがパウエルたちを連れてくるともしかしたら先に連絡が来ていたのかもしれないが、それでも用意が良すぎた。
流石に疑うわけではないし、あのガーゼルベルトがこちらを填める可能性はほぼ無い。となれば、それだけ有能ということなのだろう。
出されたお茶を頂きつつ、スコーンをつまむ。少しでもお腹に入れられれば大分気分も落ち着いてきた。
やはり、王都の辺境伯の屋敷は元采配のアランの影響下だったのだろうと沙更は推測していた。でなければ、リエットの扱いがあそこまで悪いことに説明がつかない。
『どちらにしても是正は免れないと言うことになる。ガーゼルベルト様があの状態を良しとするわけがないから。相当数の使用人が解雇になるのでしょうが私が口出しすることでもないし、首を突っ込むのはなし』
沙更として、リエットを害するのなら守る。今の所、動いてきてはいなかったから静観していたに過ぎない。だが、ガーゼルベルトやジークが動くのならこちらまで動くのはなしだろうと思う。邪魔になりかねない上に、あの二人が動くのなら悪いことにならないのは分かっていた。
ゆっくりとお茶とスコーンを頂くと訓練所に騎士たちが集まってきた。今日は訓練がないと言っていたはずだと思っていると屋敷からガーゼルベルトが出てきた。
「訓練はしないがわしの部下たちと顔合わせしておこうと思って呼んだのだ」
そう言うと壮年の騎士が一歩前に出た。立っているだけで風格がある騎士など滅多にいない。それだけ歴戦の勇士なのだとすぐにわかった。
「極星騎士団副団長のナゼルだ。大将が気に入った相手はそういないから、一緒に訓練出来るのを楽しみにしているぞ」
副団長と言うことは、団長は言うまでもなくガーゼルベルトと言うこと。極星騎士団は殆どの騎士が壮年のベテランばかり、若年の騎士はほぼいなかった。
ナゼルは、パウエルたち全員と握手していく。普通なら沙更が混ざっていることで怒りそうなものだが、そこは長年の勘で察知したのだろう。沙更を見て驚いた表情を浮かべた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる