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極星騎士団と王都冒険者ギルド
第31話 王都シルバールの冒険者ギルド2
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月の魔女と聖剣
第31話 王都シルバールの冒険者ギルド2
絡んできた冒険者を遠巻きに見ていた他の冒険者たちだが、そこに気づいた受付嬢のひとりがこちらにやってきた。
「絡むのはやめてくださいと言いましたよね?」
「俺に聖鋼の武器さえあればBランクに上がることも出来るはずだ」
「それが絡んだ言い訳ですか?そういうことをしている限り、ランクが上がることはないんですけれど、気づいていませんでしたか、そうですか」
受付嬢の威圧が一気に絡んだ冒険者にのしかかる。そのまま一気に戦意を刈り取られた冒険者を引きずって行ってしまった。
「すげえな、あのおっさんそれなりには出来たんだがなあ」
Cランク冒険者をあっさりと制圧した受付嬢の凄さにガレムが感嘆しているとパウエルたちの番が回ってきた。
「先程は申し訳ございません。王都所属の冒険者が迷惑をかけてしまって、お詫び申し上げます」
「いや、気にしてねえよ。ちょっかい出すなら相手見ろと伝えて貰えるか?」
「えっ、わかりました。冒険者カードの提示をお願いします」
受付嬢の言葉に応じて、パウエルたちがカードを出す。同じように沙更がカードを出すと受付嬢が驚いた表情を浮かべた。それもそのはず、こんな幼い子が冒険者だと思っていなかったからだ。
それは、他の冒険者たちも同様で驚きを隠せない。そんな様子に、沙更として予想内だったことから抑えていた魔力を一時的に解き放つ。
濃密な魔力を感じた魔法士や治癒士たちと受付嬢が顔色を真っ青にしつつ沙更を見るのがわかる。あれだけの魔力を隠蔽出来る時点で、凄腕の魔法士であることの証明であった。
一気にざわつく冒険者ギルドだが、受付嬢はいち早く立ち直りカードを受け取るとさらに驚くことになる。沙更もBランクであり、二つ名を与えられていたからだ。
「えっ、この子に二つ名!?しかも月の魔女って」
その言葉に、騒然となる冒険者ギルド。流石にここまで来ると沙更も苦笑いしか出来ない。ある程度実力を示したことから、ギルドにいる魔法士たちは沙更を認めることにしたようだが、近接戦専門の冒険者たちはそんな魔法士たちに首をかしげている。
魔力を感じられるのは魔法士か治癒士で、剣士や戦士たちには魔力を感じることは出来ない。一流どころなら話は別だろうが、この時間にいる冒険者たちはそこまでランクは高くはない。その為、沙更の実力を図りかねているようだ。
そこに引きずっていった受付嬢が戻ってきた。
「なんの騒ぎですか?」
聞かれた受付嬢が事情を説明すると聞いた受付嬢が頭に手をやった。
「貴女、ランク以外のカードの情報は開示しては駄目と教えたはずでしょう」
そのことに気づいた受付嬢が顔を青くする。情報漏洩はギルド規則により、職員が守るべきルールを破ったことになる。罰則が付くのは当然の話であった。
第31話 王都シルバールの冒険者ギルド2
絡んできた冒険者を遠巻きに見ていた他の冒険者たちだが、そこに気づいた受付嬢のひとりがこちらにやってきた。
「絡むのはやめてくださいと言いましたよね?」
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「それが絡んだ言い訳ですか?そういうことをしている限り、ランクが上がることはないんですけれど、気づいていませんでしたか、そうですか」
受付嬢の威圧が一気に絡んだ冒険者にのしかかる。そのまま一気に戦意を刈り取られた冒険者を引きずって行ってしまった。
「すげえな、あのおっさんそれなりには出来たんだがなあ」
Cランク冒険者をあっさりと制圧した受付嬢の凄さにガレムが感嘆しているとパウエルたちの番が回ってきた。
「先程は申し訳ございません。王都所属の冒険者が迷惑をかけてしまって、お詫び申し上げます」
「いや、気にしてねえよ。ちょっかい出すなら相手見ろと伝えて貰えるか?」
「えっ、わかりました。冒険者カードの提示をお願いします」
受付嬢の言葉に応じて、パウエルたちがカードを出す。同じように沙更がカードを出すと受付嬢が驚いた表情を浮かべた。それもそのはず、こんな幼い子が冒険者だと思っていなかったからだ。
それは、他の冒険者たちも同様で驚きを隠せない。そんな様子に、沙更として予想内だったことから抑えていた魔力を一時的に解き放つ。
濃密な魔力を感じた魔法士や治癒士たちと受付嬢が顔色を真っ青にしつつ沙更を見るのがわかる。あれだけの魔力を隠蔽出来る時点で、凄腕の魔法士であることの証明であった。
一気にざわつく冒険者ギルドだが、受付嬢はいち早く立ち直りカードを受け取るとさらに驚くことになる。沙更もBランクであり、二つ名を与えられていたからだ。
「えっ、この子に二つ名!?しかも月の魔女って」
その言葉に、騒然となる冒険者ギルド。流石にここまで来ると沙更も苦笑いしか出来ない。ある程度実力を示したことから、ギルドにいる魔法士たちは沙更を認めることにしたようだが、近接戦専門の冒険者たちはそんな魔法士たちに首をかしげている。
魔力を感じられるのは魔法士か治癒士で、剣士や戦士たちには魔力を感じることは出来ない。一流どころなら話は別だろうが、この時間にいる冒険者たちはそこまでランクは高くはない。その為、沙更の実力を図りかねているようだ。
そこに引きずっていった受付嬢が戻ってきた。
「なんの騒ぎですか?」
聞かれた受付嬢が事情を説明すると聞いた受付嬢が頭に手をやった。
「貴女、ランク以外のカードの情報は開示しては駄目と教えたはずでしょう」
そのことに気づいた受付嬢が顔を青くする。情報漏洩はギルド規則により、職員が守るべきルールを破ったことになる。罰則が付くのは当然の話であった。
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