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王都へ
第17話 街道での待ち伏せ
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月の魔女と聖剣
第17話 街道での待ち伏せ
軽々と逃げられたことに、相手の出方を見ようと考えた沙更だったが、逃げられたことで安心したところでの第2陣があるだろうと言うことに気づいた。
多分、最初から逃げられることを前提に策を練ってきたということのようだ。ならば、そろそろ第2陣があってもおかしくはない。誘い込まれたようではあるがそこを破れば、こちらが有利になるのは理解出来た。
「ミリアお姉さん、相手はこの先に待ち伏せています。リエットさまを守りつつ応戦出来ます?」
「簡単に逃げられたからおかしいなと思ったけど、そういうこと?頭は回るってとこなんだろうけどね」
沙更の言葉にミリアは納得するとそこで探査魔法に反応が返ってくる。ご丁寧にも街道側での待ち伏せとなれば、沙更に気取られるのは当然のことであった。
反辺境伯の貴族の私兵が、リエットの馬車のいる先で待ち構えていた。が、沙更とミリアに気取られていたのが痛い。
最初から弓矢で仕掛けてくるが、沙更のウインドプロテクションが相手の弓矢からこちらを保護してくれる為、影響はない。逆に、相手に動揺させてしまうほどだ。
「くっ、魔法で弓矢を防ぐだと!?高位魔法士でもいると言うのか!」
弓矢で、足止めしつつ接近する手はずが沙更の魔法によりその手が使えなくなった。思わず、私兵の隊長が舌打ちする。思っているよりもリエットを拉致することが困難になっていたからだ。
『弓矢に対応できる魔法士が相手にいるとは予想外過ぎる。辺境伯め、騎士を配置していないと思ったら高位冒険者を護衛に配置しやがった』
私兵たちに取って、この状況は完全に想定外であった。騎士よりも高位冒険者の方がより隙が少ないから、仕掛けるにしても強敵と相対するのと大差変わらないからだ。
一方の荒野の狼にしてみれば、相手の腕がわかりやすいだけにあまり脅威に感じてはいない。ヘレナでも対応仕切れるだろう。だからこそ、リエットの守りに沙更とヘレナが回っていた。本当なら前衛のガレムかパウエルが回った方が良いのだろうが、後衛でもある程度のことをこなしてくれる沙更が回ったことでヘレナが一緒でも問題ないと判断していた。
リエットとしては、また巻き込むことを気に病んでいる風ではあった。が、沙更にしてみればそう考えるだけ無駄と言うしかない。何に巻き込まれようと守ると決めているし、そのつもりでいたから。
反辺境伯の貴族の私兵たちがジリジリとこちらに近寄ってくる。が、一定以上からは近寄ってはこない。ガレムが聖鋼の斧で威嚇していて、それに気圧されているからだった。
私兵たちの隊長は、威嚇されて動けない部下をふがいないと思いつつも相手が悪いことに気づいていた。さすがに相手の武器が聖鋼の品とは思ってもみなかったからだ。しかも、武器に頼り切っている風でもないことはガレムを見て理解するしかない。
『まさか、あれは聖鋼か!?あれだけの武器を扱いきれる冒険者など、それほどいないはずだ』
相手が悪いどころの話ではないことに、ようやく気づいた私兵の隊長。時すでに遅しと言うしかなかった。
第17話 街道での待ち伏せ
軽々と逃げられたことに、相手の出方を見ようと考えた沙更だったが、逃げられたことで安心したところでの第2陣があるだろうと言うことに気づいた。
多分、最初から逃げられることを前提に策を練ってきたということのようだ。ならば、そろそろ第2陣があってもおかしくはない。誘い込まれたようではあるがそこを破れば、こちらが有利になるのは理解出来た。
「ミリアお姉さん、相手はこの先に待ち伏せています。リエットさまを守りつつ応戦出来ます?」
「簡単に逃げられたからおかしいなと思ったけど、そういうこと?頭は回るってとこなんだろうけどね」
沙更の言葉にミリアは納得するとそこで探査魔法に反応が返ってくる。ご丁寧にも街道側での待ち伏せとなれば、沙更に気取られるのは当然のことであった。
反辺境伯の貴族の私兵が、リエットの馬車のいる先で待ち構えていた。が、沙更とミリアに気取られていたのが痛い。
最初から弓矢で仕掛けてくるが、沙更のウインドプロテクションが相手の弓矢からこちらを保護してくれる為、影響はない。逆に、相手に動揺させてしまうほどだ。
「くっ、魔法で弓矢を防ぐだと!?高位魔法士でもいると言うのか!」
弓矢で、足止めしつつ接近する手はずが沙更の魔法によりその手が使えなくなった。思わず、私兵の隊長が舌打ちする。思っているよりもリエットを拉致することが困難になっていたからだ。
『弓矢に対応できる魔法士が相手にいるとは予想外過ぎる。辺境伯め、騎士を配置していないと思ったら高位冒険者を護衛に配置しやがった』
私兵たちに取って、この状況は完全に想定外であった。騎士よりも高位冒険者の方がより隙が少ないから、仕掛けるにしても強敵と相対するのと大差変わらないからだ。
一方の荒野の狼にしてみれば、相手の腕がわかりやすいだけにあまり脅威に感じてはいない。ヘレナでも対応仕切れるだろう。だからこそ、リエットの守りに沙更とヘレナが回っていた。本当なら前衛のガレムかパウエルが回った方が良いのだろうが、後衛でもある程度のことをこなしてくれる沙更が回ったことでヘレナが一緒でも問題ないと判断していた。
リエットとしては、また巻き込むことを気に病んでいる風ではあった。が、沙更にしてみればそう考えるだけ無駄と言うしかない。何に巻き込まれようと守ると決めているし、そのつもりでいたから。
反辺境伯の貴族の私兵たちがジリジリとこちらに近寄ってくる。が、一定以上からは近寄ってはこない。ガレムが聖鋼の斧で威嚇していて、それに気圧されているからだった。
私兵たちの隊長は、威嚇されて動けない部下をふがいないと思いつつも相手が悪いことに気づいていた。さすがに相手の武器が聖鋼の品とは思ってもみなかったからだ。しかも、武器に頼り切っている風でもないことはガレムを見て理解するしかない。
『まさか、あれは聖鋼か!?あれだけの武器を扱いきれる冒険者など、それほどいないはずだ』
相手が悪いどころの話ではないことに、ようやく気づいた私兵の隊長。時すでに遅しと言うしかなかった。
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